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地区計画で相続税が変わる?土地の相続税評価額への影響を徹底解説!

2025-08-25
目次

ご家族から土地を相続することになったとき、「この土地、地区計画の対象になっているらしいけど、相続税はどうなるの?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。地区計画は、私たちの住むまちをより良くするためのルールですが、実は土地の相続税評価額にも影響を与える大切な要素なんです。この記事では、地区計画が土地の評価額にどう関わってくるのか、特に評価額が下がるケースについて、分かりやすくお話ししていきますね。

地区計画ってなんだろう?

まず、「地区計画」という言葉自体、あまり聞きなれないかもしれません。これは、一言でいうと「地域の特性に合わせた、よりきめ細かいまちづくりのルール」のことです。都市計画法という法律に基づいて、市区町村が定めます。みんなが気持ちよく暮らせるように、建物や道路のルールを決めて、良好な市街地環境をつくっていくことを目的としています。

地区計画の目的と概要

地区計画は、画一的なルールでは対応しきれない、それぞれの地域の個性や魅力を活かしたまちづくりを目指すものです。「この地域は閑静な住宅街にしよう」「この駅前は商業施設で賑わうエリアにしよう」といった具体的な目標を立て、それを実現するためのルールを定めます。これにより、無秩序な開発を防ぎ、将来にわたって住みやすい環境を保全・形成していくことができるんですよ。

地区計画で決められることの具体例

では、地区計画では具体的にどんなことが決められるのでしょうか。代表的なものをいくつかご紹介しますね。

  • 建物の用途制限:「ここは住宅しか建てられません」「店舗も建ててOKです」といったルール。
  • 建物の高さの制限:「高さ10mまでの建物しか建てられません」など、景観を守るためのルール。
  • 壁面の位置の制限:道路から一定の距離を離して建物を建てるよう定め、ゆとりある空間を生み出すルール。
  • 垣根や生垣のルール:緑豊かな街並みをつくるために、ブロック塀ではなく生垣にすることを推奨するなど。
  • 道路や公園の配置:将来的に新しい道路や公園を整備する計画。

このように、建物のことから街並み全体のことまで、非常に細かいルールが定められるのが特徴です。

自分の土地が地区計画の対象か調べる方法

「うちの土地も対象なのかな?」と気になったら、お住まいの市区町村の役所で確認することができます。都市計画課まちづくり課といった部署の窓口で、「この住所の土地は地区計画の対象ですか?」と尋ねてみましょう。最近では、自治体のホームページで都市計画図を公開しているところも多いので、インターネットで手軽に調べることも可能ですよ。

地区計画が土地の相続税評価額に与える影響

ここからが本題です。地区計画が定められている土地は、相続税評価額にどのような影響を与えるのでしょうか。結論から言うと、地区計画による制限の内容によっては、評価額が減額されることがあります。これは、さまざまなルールによって土地の利用が制限されるため、その分だけ土地の価値が下がると考えられるからです。

評価額が変わる基本的な考え方

相続税の土地評価は、「その土地がどれだけ自由に、有効に使えるか」という点が大きく影響します。地区計画によって「3階建て以上の建物は建てられない」「敷地の半分しか建物を建てられない」といった制限がかかると、その土地の利用価値は制限がない土地に比べて低くなりますよね。この利用価値の低下分を、相続税評価額から差し引いてくれる、というのが基本的な考え方です。

特に影響が大きい「都市計画道路予定地」

地区計画の中でも、相続税評価額に特に大きな影響を与えるのが、土地の一部が「都市計画道路予定地」になっているケースです。これは、将来その土地の上に道路が造られる計画があることを意味します。計画が決定されると、その土地には建物の建築などに厳しい制限がかかります。具体的には、原則として3階建て以上の建物や、鉄筋コンクリート造の丈夫な建物を建てることができなくなります。こうした強い利用制限があるため、評価額を大きく減額できる仕組みが用意されているのです。

その他の地区計画による評価への影響

都市計画道路以外にも、公園や広場、公共施設などの「都市計画施設」の予定地になっている場合も、同様に評価額が減額される可能性があります。いずれの場合も、「計画によって土地の自由な利用が妨げられている」という点が評価減のポイントになります。ただし、すべての地区計画で評価が下がるわけではなく、あくまで利用制限の度合いによって判断されることを覚えておいてくださいね。

【重要】都市計画道路予定地にかかる土地の評価方法

それでは、最も影響の大きい都市計画道路予定地について、具体的な評価方法を見ていきましょう。評価は少し複雑に感じるかもしれませんが、仕組みを理解すれば大丈夫ですよ。

評価額の計算式

都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価額は、以下の計算式で求められます。

評価額 = 予定地でないとした場合の評価額 × 補正率

つまり、まずは普通に評価した土地の価額を計算し、そこに一定の「補正率」を掛けて評価額を引き下げる、という流れになります。

補正率の決まり方(地区区分・容積率・地積割合)

評価額を下げるための「補正率」は、次の3つの要素によって決まります。これらの要素を国税庁が公表している「補正率表」に当てはめて、ご自身の土地の補正率を探します。

要素 説  明
地区区分 その土地が「普通住宅地区」なのか、「商業地区」なのかといった区分です。路線価図で確認できます。
容積率 敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことです。この数値が大きいほど、大きな建物を建てられます。都市計画図などで確認できます。
地積割合 土地全体の面積のうち、どれくらいの割合が都市計画道路予定地にかかっているか、という割合です。

基本的に、容積率が高い地域(高層の建物を建てられる地域)であるほど、また、地積割合が大きい(土地の大部分が道路予定地にかかっている)ほど、利用制限の影響は大きくなるため、補正率による減額幅も大きくなる傾向にあります。

具体的な計算例

ここで簡単な例を挙げてみましょう。

  • 土地の状況
    • 予定地でないとした場合の評価額:5,000万円
    • 地区区分:普通住宅地区
    • 容積率:200%
    • 総地積:200㎡
    • 道路予定地部分の地積:50㎡
  1. 地積割合を計算する
    50㎡(道路予定地) ÷ 200㎡(総地積) = 0.25 (25%)
  2. 補正率表で補正率を確認する
    国税庁の補正率表から、「普通住宅地区」「容積率200%」「地積割合25%」に該当する補正率を探すと、0.95となります。
  3. 評価額を計算する
    5,000万円 × 0.95 = 4,750万円

このケースでは、都市計画道路予定地にかかっていることで、評価額が250万円下がることになります。

地区計画と混同しやすい制度

土地の評価をしていると、地区計画と似たような言葉が出てきて混乱してしまうことがあります。ここでは、特に間違いやすい制度との違いを整理しておきましょう。

市街化調整区域との違い

「市街化調整区域」は、市街化を抑制するエリアのことで、原則として建物を建てることができません。地区計画が「ルールの中で建物を建てて良いまちづくり」を目指すのに対し、市街化調整区域は「そもそも建物を建てさせない」という点で目的が大きく異なります。

制度 目  的
地区計画 良好な市街地環境を形成するための、きめ細かいルール作り。
市街化調整区域 無秩序な市街化を防ぐため、開発行為(建物を建てるなど)を原則として抑制する。

セットバックとの違い

「セットバック」は、幅員4m未満の狭い道路に面した土地で建物を建てる際に、道路の中心線から2m後退して建物を建てなければならない、という建築基準法のルールです。セットバックした部分は道路とみなされ、建物を建てることができません。この部分も相続税評価で減額対象になりますが、地区計画とは根拠となる法律も評価方法も異なります。

制度 対象となる土地
都市計画道路予定地 都市計画で定められた道路の予定地。既存の道路とは関係なく指定されることもある。
セットバック 建築基準法上の道路で、幅員が4m未満のものに接する土地。

相続する土地が地区計画区域内だった場合の注意点

最後に、もし相続する土地が地区計画の対象だった場合に、気をつけていただきたい点をお伝えします。

まずは役所で情報収集を

最も大切なのは、正確な情報を集めることです。市区町村の役所の都市計画担当課へ行き、都市計画図を見せてもらいましょう。ご自身の土地が地区計画のどの部分に、どのようにかかっているのかを正確に把握することが評価の第一歩です。特に都市計画道路予定地の場合は、道路予定地となっている面積(地積割合)が評価の鍵になるため、しっかりと確認してくださいね。

専門家への相談も検討しよう

地区計画が関わる土地の評価は、通常の土地評価よりも複雑になりがちです。特に、補正率の計算や適用要件の判断には専門的な知識が必要になることも少なくありません。もしご自身での判断に不安がある場合は、無理をせず、相続税に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。適切な評価減を適用してもらうことで、納める相続税額が大きく変わる可能性もありますよ。

まとめ

今回は、地区計画が土地の相続税評価額に与える影響についてお話ししました。地区計画は、利用制限がかかることで相続税評価額が減額される可能性がある、という点が一番のポイントです。特に都市計画道路予定地に指定されている場合は、大きな評価減につながることもあります。相続する土地が地区計画の対象かどうか、まずは役所で確認し、正確な情報をもとに評価を進めることが大切です。もし評価が難しいと感じたら、専門家の力を借りることもぜひ検討してみてくださいね。

参考文献

地区計画と相続税評価額のよくある質問まとめ

Q.そもそも「地区計画」とは何ですか?

A.地区計画とは、特定の地区の特性に合わせて、よりきめ細かいルールを定める都市計画の一つです。建物の用途、高さ、デザインなどに制限を設けることで、良好な街並みを維持・形成することを目的とします。

Q.地区計画区域内の土地は相続税評価額に影響しますか?

A.はい、影響する可能性があります。地区計画による建築制限などが、土地の利用価値に影響を与え、結果として相続税評価額が変わることがあります。ただし、必ずしも評価額が下がるとは限りません。

Q.地区計画によって土地の相続税評価額は下がりますか?

A.地区計画による建築制限(例:建ぺい率・容積率の引き下げなど)が、その土地の一般的な利用方法に比べて厳しい場合、利用価値が低いと判断され、評価額が減額される可能性があります。

Q.地区計画で逆に評価額が上がることはありますか?

A.はい、あります。地区計画によって景観が保たれ、住環境が向上することで、その地区全体のブランド価値や需要が高まり、結果的に土地の市場価値が上がり、相続税評価額も高くなるケースがあります。

Q.相続した土地が地区計画区域内にあるか調べる方法は?

A.土地が所在する市区町村の役所(都市計画課など)で確認できます。多くの自治体では、ウェブサイト上の都市計画図や「〇〇市 地区計画」などで検索して調べることも可能です。

Q.地区計画による評価額の減額を受けるには、何か手続きが必要ですか?

A.自動的に減額されるわけではありません。相続税の申告時に、地区計画による利用価値の低下を具体的に主張し、評価額を計算した根拠を明記した「評価明細書」などを添付して提出する必要があります。

事務所概要
社名
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税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。