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高層住居誘導地区の土地、相続税は上がる?制度の基本と評価額への影響

2025-08-28
目次

ご自身の土地や、親から相続する予定の土地が「高層住居誘導地区」に指定されていると聞いたら、少し戸惑ってしまいますよね。「なんだか難しそう…」「固定資産税や相続税が高くなるの?」と不安に感じるかもしれません。でも、ご安心ください。この制度は、街をより良くするための仕組みなんです。この記事では、高層住居誘導地区とは何か、そして土地の相続税評価額にどのような影響を与えるのかを、一つひとつ丁寧に解説していきます。

そもそも高層住居誘導地区ってどんな場所?

高層住居誘導地区とは、カンタンに言うと「都心部などの便利な場所に、質の良いマンションなどが増えるように応援するエリア」のことです。職場と家が近い「職住近接」の暮らしを実現し、人々が街の中心部に住むことで、活気のあるコンパクトな街づくり(コンパクトシティ)を目指す目的があります。この地区に指定されると、建物を建てるときのルールが少し緩和され、より高い建物を建てやすくなるんですよ。

高層住居誘導地区が生まれた背景

以前は、多くの人が郊外に家を持ち、都心へ通勤するというライフスタイルが一般的でした。しかし、それによって都心部の夜間人口が減ってしまったり、通勤時間が長くなったりといった課題も出てきました。そこで、もう一度都心に住む魅力を高め、人々が戻ってくるように都市計画を見直す動きが出てきたのです。高層住居誘導地区は、その流れを後押しするための大切な制度の一つなんですね。

指定されるエリアの条件

どんな場所でも指定されるわけではなく、いくつかの条件があります。主に、人々が住みやすい環境でありながら、ある程度の高さの建物が建てられる「用途地域」に指定されます。具体的には、以下の条件を満たすエリアが対象です。

対象となる用途地域 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域
指定されている容積率 400% または 500%

※容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合のことです。この数字が大きいほど、より大きな建物を建てられます。

どんなメリットがあるの?(規制緩和の内容)

この地区に指定される最大のメリットは、建物を建てやすくするための規制緩和が受けられる点です。これにより、土地をより有効に活用できるようになります。

容積率の緩和 建物の住宅部分の割合など、一定の条件を満たすと、最大600%まで容積率がアップします。
各種制限の緩和 建物の高さを制限する「斜線制限」や、前面道路の幅によって容積率が制限されるルールが緩やかになります。
日影規制の適用除外 高い建物を建てるときに考慮が必要な「日影規制(周囲の土地に一定時間以上の日影ができないようにするルール)」の対象外となります。

これらの緩和によって、これまでよりも背の高い、戸数の多いマンションなどが建てやすくなるというわけです。

高層住居誘導地区の指定が土地の相続税評価額に与える影響

ここからが本題です。土地の利用価値が高まるということは、その土地の資産価値、つまり相続税評価額(相続税を計算するときの土地の値段)にも影響してきます。結論から言うと、高層住居誘導地区に指定されると、将来的に土地の評価額は上昇する可能性が高いと考えられます。

なぜ相続税評価額が上がる可能性があるの?

相続税の土地評価は、主に路線価という価格をもとに行われます。路線価とは、国税庁が定める「その道路に面している土地1平方メートルあたりの価格」のことです。この路線価は、土地の利便性や周辺の環境、そして「どれだけ有効に活用できるか」というポテンシャルを反映して決められます。高層住居誘導地区に指定されると、容積率などが緩和され、土地の活用できる可能性が大きく広がりますよね。この「土地の利用価値の向上」が、路線価を押し上げる要因となるのです。

路線価の評価と高層住居誘導地区

土地の価格にはいくつか種類があり、それぞれ目的が異なります。路線価は、公示地価という国が発表する土地価格の約80%を目安に設定されています。

公示地価 国土交通省が公表する、土地取引の目安となる価格。不動産鑑定士が評価します。
路線価 国税庁が公表する、相続税や贈与税を計算するための価格
固定資産税評価額 市町村が決定する、固定資産税や都市計画税を計算するための価格。

高層住居誘導地区に指定されると、デベロッパーなどが「より価値の高いマンションを建てられる土地」として高く評価するため、実際の取引価格(実勢価格)が上昇しやすくなります。この動きが公示地価に反映され、最終的に路線価にも反映されることで、相続税評価額が上がっていくという流れになります。

評価額への影響はいつから?

都市計画が決定されて、高層住居誘導地区に指定されたからといって、翌年の路線価がすぐに急上昇するわけではありません。一般的には、市場での取引が活発になり、その価格動向が公示地価に反映され、そして路線価に反映されるまでには、少し時間がかかります。ただし、将来的な価値の上昇が見込まれるため、相続のタイミングによっては、指定前よりも高い評価額になることを想定しておく必要があります。

相続税対策で知っておきたいポイント

将来的に土地の評価額が上がる可能性があるのなら、早めに対策を考えておくことが大切です。ここでは、考えられる3つの対策をご紹介します。

生前贈与を検討する

土地の評価額が本格的に上昇する前に、お子さんやお孫さんへ贈与しておくという方法です。暦年贈与や相続時精算課税制度といった国の制度を活用することで、将来の相続財産を減らし、相続税の負担を軽減できる可能性があります。ただし、贈与税がかかる場合や不動産取得税などのコストも発生するため、専門家と相談しながら慎重に進めることが重要です。

賃貸マンションなどを建設する(土地活用)

高層住居誘導地区のメリットを活かして、賃貸マンションやアパートを建設するのも有効な対策です。土地の上に建物を建てて人に貸している場合、その土地は「貸家建付地」として評価額が下がります。また、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」という制度を使えて、土地の評価額を最大50%減額できる可能性もあります。節税効果と家賃収入の両方が期待できる方法です。

売却して納税資金を確保する

土地の利用価値が高まっているということは、売却する際にも有利な条件で取引できる可能性があります。もし土地を活用する予定がないのであれば、売却して現金化し、納税資金に充てたり、他の資産に組み換えたりするのも一つの選択肢です。相続が発生してから慌てて売却するよりも、計画的に進める方が良い条件を引き出しやすいでしょう。

高層住居誘導地区の土地を相続する際の注意点

相続税以外にも、知っておきたい注意点がいくつかあります。

固定資産税・都市計画税も高くなる可能性

土地の価値が上がるということは、毎年支払う固定資産税都市計画税の負担も増える可能性があるということです。これらの税金は、市町村が決定する固定資産税評価額をもとに計算されますが、これも路線価と同様に土地の利用価値を反映するため、将来的に上昇する傾向にあります。長期的に見て、税金の負担がどのくらい増えるのかもシミュレーションしておくと安心です。

相続後の土地活用には専門的な知識が必要

せっかくの規制緩和も、そのメリットを最大限に活かすには建築や不動産に関する専門的な知識が求められます。ご自身で活用するのが難しい場合は、不動産に詳しい税理士や不動産コンサルタント、デベロッパーなどに相談し、共同で事業を行ったり、土地を買い取ってもらったりと、様々な可能性を探ることが大切です。

まとめ

高層住居誘導地区は、街に活気を取り戻すためのポジティブな制度ですが、土地を所有する方にとっては資産価値や税金に直結する重要なポイントです。

ポイントをまとめると、

  • 高層住居誘導地区は、容積率などの規制が緩和され、土地の利用価値が高まるエリアです。
  • 土地の利用価値が上がることで、将来的に相続税評価額(路線価)や固定資産税評価額が上昇する可能性があります。
  • 評価額の上昇を見越して、生前贈与や土地活用、売却といった相続税対策を早めに検討することが大切です。

ご自身の土地が該当するかどうかは、市役所などの都市計画担当部署で確認できます。もし、相続について不安なことや分からないことがあれば、一人で悩まずに、ぜひ税理士などの専門家にご相談くださいね。

参考文献

国税庁 No.4602 土地家屋の評価

国税庁 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表

高層住居誘導地区と相続税評価額のよくある質問まとめ

Q.高層住居誘導地区とは何ですか?

A.都心部などで容積率を緩和し、高層マンションの建設を促すことで、職住近接の実現や地域の活性化を目指す都市計画上の地区のことです。

Q.高層住居誘導地区に指定されると、土地の価値は上がりますか?

A.はい、一般的に価値は上がる傾向にあります。容積率が緩和されることで、より大規模な建物を建てられるようになり、土地の利用価値が高まるためです。

Q.高層住居誘導地区の土地は、相続税評価額にどう影響しますか?

A.土地の利用価値が上がるため、相続税評価額の基準となる路線価も高くなる可能性があります。結果として、相続税の負担が増えるケースが考えられます。

Q.容積率が緩和されると、なぜ相続税評価額が上がるのですか?

A.容積率の緩和は、土地の潜在的な収益性を高めます。この利用価値の向上が、土地の公的な価格である路線価に反映され、相続税評価額が上昇する一因となります。

Q.自分の土地が高層住居誘導地区か調べる方法はありますか?

A.土地が所在する市区町村の役所の都市計画課などで確認できます。また、自治体のウェブサイトで都市計画図を公開している場合も多いです。

Q.高層住居誘導地区の土地を相続した場合の注意点は何ですか?

A.評価額が高くなり、予想以上の相続税が発生する可能性があります。生前贈与や小規模宅地等の特例の適用可否など、早めに相続税対策を検討することが重要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
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対応責任者
税理士 島本 雅史

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