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42条1項5号道路の相続税評価は?路線価に接する私道の評価額を解説

2025-09-27
目次

ご家族が亡くなり相続が発生した際、財産の中に「私道」が含まれていると、その評価方法に迷ってしまうことがありますよね。特に、建築基準法で定められた「42条1項5号道路(位置指定道路)」が、路線価の付いた道路に接している場合、どのように相続税評価額を計算すればよいのでしょうか。この道路は、見た目は公道と変わらないこともあり、評価が必要な財産であることを見落としがちです。この記事では、位置指定道路の基本から、具体的な相続税評価額の計算方法まで、ステップを踏んで優しく解説していきます。

そもそも42条1項5号道路(位置指定道路)とは?

まずは、今回のテーマである「42条1項5号道路」がどのような道路なのかを知ることから始めましょう。少し専門的な言葉が出てきますが、ポイントを押さえれば難しくありません。

建築基準法上の「道路」です

42条1項5号道路とは、建築基準法という法律で定められた道路の一種で、一般的に「位置指定道路」と呼ばれています。これは、土地を宅地として利用するために、特定の行政庁(市役所など)から「ここが道路です」と位置の指定を受けて造られた、幅員4メートル以上の私道のことです。主に、宅地分譲地などで見られることが多いです。
この道路に2メートル以上接していることで、その土地に建物を建てることが許可される「接道義務」を満たすことができるため、土地の価値を左右する非常に重要な役割を持っています。

所有者は国や自治体ではない「私道」

位置指定道路は、国や市町村が所有する「公道」とは異なり、個人や法人が所有・管理する「私道」です。そのため、その道路の所有者が亡くなった場合には、他の土地や建物と同じように相続財産に含まれます。分譲地の住民たちで共有しているケースも多く、その場合は共有持分が相続の対象となります。

固定資産税が非課税でも相続税は課税対象?

「この道路は固定資産税がかかっていないから、相続税も関係ないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、位置指定道路のような公共性の高い私道は、「公衆用道路」として固定資産税が非課税になっていることがよくあります。
しかし、固定資産税のルールと相続税のルールは異なります。相続税の評価では、たとえ固定資産税が0円であっても、財産的な価値があると判断されれば課税対象となるため、注意が必要です。

位置指定道路(42条1項5号道路)の相続税評価の基本

私道の相続税評価額は、その道路がどのように利用されているかによって大きく変わります。国税庁は、私道の利用状況に応じて評価方法を定めています。

不特定多数の人が利用する私道は「評価ゼロ」

誰でも自由に通り抜けできる私道は、公共性が非常に高いと判断されます。具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 公道から公道へ通り抜けができる
  • 行き止まりだが、その先に公園や商店街、公民館などがあり、不特定多数の人が利用する
  • 公共バスの転回場や停留所が設けられている

このような私道は、所有者であっても自由に利用を制限したり処分したりすることができないため、財産価値はないものとみなされ、相続税評価額は0円となります。

特定の人だけが利用する私道は「30%評価」

一方で、その道路に面している住民など、特定の限られた人だけが利用する私道は、一定の財産価値があるとみなされます。典型的なのが「行き止まりの私道」です。
今回テーマにしている42条1項5号道路(位置指定道路)も、宅地分譲地内の道路として造られることが多く、そのほとんどがこの「特定の者のみが利用する私道」に該当します。
この場合、その土地を通常の宅地(自用地)として評価した価額の30%相当額で評価することになります。これを「30%評価」と呼びます。

私道の利用状況 相続税評価額
不特定多数の者が利用(通り抜け可能など) 評価しない(0円)
特定の者のみが利用(行き止まりなど) 自用地評価額の30%

路線価に接する42条1項5号道路の具体的な評価方法

それでは、いよいよ本題である「路線価が設定されている道路に接している、特定の者のみが利用する42条1項5号道路」の評価額を計算する方法を見ていきましょう。ここでは「30%評価」を前提に解説します。

評価額の計算式

評価額は、まずその私道を通常の宅地(自用地)として評価し、その価額に30%を乗じて計算します。計算式は以下のようになります。

(私道が接する道路の路線価 × 各種補正率 × 私道の面積) × 30% = 私道の相続税評価額

計算手順をステップで解説

具体的な計算は、以下の4つのステップで進めます。

  1. ステップ1:路線価の確認
    まず、評価したい私道が接している道路の「路線価」を国税庁のホームページにある「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認します。路線価は、その道路に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額(千円単位)です。
  2. ステップ2:各種補正の実施
    路線価は標準的な形状の土地を前提としているため、土地の奥行や形状に応じて価額を調整する必要があります。私道の場合、主に「奥行価格補正」を使って路線価を補正します。
  3. ステップ3:自用地評価額の算出
    ステップ2で補正した1平方メートルあたりの価額に、私道全体の面積(地積)を掛け合わせます。これが、もしその土地が通常の宅地だった場合の評価額(自用地評価額)になります。
  4. ステップ4:30%を乗じて評価額を確定
    最後に、ステップ3で算出した自用地評価額に30%を乗じます。この金額が、私道の最終的な相続税評価額となります。

具体的な計算例

以下の条件で、実際に評価額を計算してみましょう。

  • 私道が接する道路の路線価:200,000円/㎡
  • 私道の面積:120㎡
  • 私道の奥行距離:30m
  • 地区区分:普通住宅地区
  • 奥行価格補正率(奥行30mの場合):0.97

【計算過程】

  1. 補正後の路線価を計算
    200,000円 × 0.97(奥行価格補正率)= 194,000円/㎡
  2. 自用地評価額を計算
    194,000円/㎡ × 120㎡(私道の面積)= 23,280,000円
  3. 30%を乗じて最終評価額を算出
    23,280,000円 × 30% = 6,984,000円

このケースでは、私道の相続税評価額は6,984,000円となります。

私道の所有形態による評価の違い

私道の評価額を計算したら、次にその所有形態を確認する必要があります。被相続人がどのように所有していたかによって、最終的に申告する価額が変わってきます。

単独で所有していた場合

被相続人が私道の土地全体を一人で所有していた場合は、先ほど計算した評価額がそのまま相続税評価額となります。上記の例でいえば、6,984,000円が評価額です。

複数人で共有していた場合

分譲地などの私道は、道路に面する土地の所有者たちで共有しているケースが一般的です。この場合、まずは私道全体の評価額を計算し、その価額に被相続人の共有持分割合を乗じて評価額を算出します。

例えば、上記の例(私道全体の評価額6,984,000円)で、被相続人の共有持分が「5分の1」だったとします。
6,984,000円 × 1/5(共有持分)= 1,396,800円
この場合、相続税申告書に記載する評価額は1,396,800円となります。

知っておきたい注意点と関連知識

最後に、位置指定道路の評価において注意すべき点や、知っておくと役立つ知識をいくつかご紹介します。

私道自体に路線価が付いているケース

非常にまれですが、行き止まりの私道にも路線価が設定されていることがあります。この場合は、納税者にとって有利な方法を選択できます。

  • ① 私道に設定された路線価を使って30%評価した価額
  • ② 私道が接する道路の路線価を使って30%評価した価額

この2つを計算し、いずれか低い方の金額を評価額とすることができます。

私道に接する「宅地」の評価は別です

この記事では「私道自体」の評価方法を解説してきましたが、その私道に面している「宅地」の評価は別途必要です。宅地の評価を行う際は、この私道を正面路線として評価しますが、私道に路線価が付いていない場合は、税務署に「特定路線価」の設定を申し出るか、別の評価方法を検討する必要があります。私道と宅地はセットで考える必要がありますので、混同しないようにしましょう。

まとめ

路線価のある道路に接している42条1項5号道路(位置指定道路)の相続税評価について、ポイントを振り返りましょう。

  • 42条1項5号道路は建築基準法上の道路ですが、多くは個人や法人が所有する「私道」です。
  • 相続税評価では、その利用状況が重要です。行き止まりなどで特定の人だけが利用する場合は、自用地として評価した価額の30%で評価するのが原則です。
  • 具体的な評価額は、私道が接している道路の路線価を基に計算します。
  • 私道を複数人で共有している場合は、全体の評価額を計算した後に共有持分を乗じます。

私道の評価は、利用状況の判断や各種補正の計算など、専門的な知識が求められる場面が多くあります。評価方法を誤ると、税金を納め過ぎてしまったり、逆に後から追徴課税を受けたりするリスクもあります。もし少しでも不安を感じたら、相続税に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

私道の用に供されている宅地の評価|国税庁

No.4621 私道に沿接する宅地の評価|国税庁

位置指定道路(42条1項5号道路)の相続税評価額に関するよくある質問

Q. 42条1項5号道路(位置指定道路)とは何ですか?

A. 建築基準法上の道路の一つで、特定行政庁から位置の指定を受けた私道のことです。宅地開発などで造られることが多く、不特定多数の人の通行に使われる公共性の高いものとみなされます。

Q. 路線価のある道路に接する42条1項5号道路(位置指定道路)の相続税評価額はいくらですか?

A. その道路が不特定多数の人の通行に使われている場合、原則として評価しません。つまり、相続税評価額は0円となります。

Q. なぜ位置指定道路の評価額が0円になるのですか?

A. 不特定多数の人の通行の用に供されている道路は公共性が高く、所有者による自由な使用収益が著しく制限されていると判断されるため、財産評価基本通達に基づき評価しないことになっています。

Q. 位置指定道路でも相続税評価額が0円にならないケースはありますか?

A. はい、あります。特定の利用者しか通行できない袋小路状の私道など、所有者が排他的に利用している場合は評価の対象となります。この場合、その私道を宅地として評価した価額の30%で評価します。

Q. 位置指定道路にだけ接している宅地の評価はどうなりますか?

A. その位置指定道路が接続している路線価設定のある道路の路線価を基に、特定路線価の設定を申請するか、個別評価によって評価額を算出します。

Q. 自宅前の道路が位置指定道路かどうかはどこで確認できますか?

A. 市区町村役場の建築指導課など、建築基準法上の道路を管轄する部署で確認できます。「道路種別図」や「指定道路調書」などで確認することが一般的です。

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