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その設備、固定資産税じゃないかも?建物附属設備の償却資産税

2025-10-11
目次

事業で使っている建物には、電気設備や空調設備など、さまざまな「建物附属設備」が取り付けられていますよね。「建物の一部だから、ぜんぶ固定資産税(家屋)の対象でしょ?」と思っている方も多いかもしれません。でも、実はその中には固定資産税(家屋)ではなく、償却資産税の対象になるものがあるんです。もし申告が漏れていると、後からまとめて税金を支払うことになる可能性も…。この記事では、どんな建物附属設備が償却資産税の対象になるのか、その見分け方や注意点をわかりやすく解説していきますね。

建物附属設備は「家屋」?それとも「償却資産」?

建物附属設備が、固定資産税の対象となる「家屋」に含まれるか、それとも償却資産税の対象となる「償却資産」になるのか。この区別は、税金の計算においてとても大切です。まずは、基本的な考え方から見ていきましょう。

家屋として固定資産税の対象になるもの

原則として、建物と構造上一体となっていて、建物の価値を高める設備は「家屋」として扱われます。これらは家屋の評価額に含まれるため、別途償却資産として申告する必要はありません。具体的には、建物にしっかりと固定されていて、簡単には取り外せないものがイメージしやすいですね。

対象となる設備の例 家屋の壁や天井に埋め込まれた電気配線、ガス管、給排水管、衛生設備(便器や洗面台)、ビルトインエアコン、エレベーターなど
判断のポイント 家屋の所有者が所有していて、家屋に取り付けられ、構造的に一体となって家屋の一般的な効用を高めているか。

償却資産として償却資産税の対象になるもの

一方で、家屋とは独立した資産としての性格が強い設備は「償却資産」として扱われ、償却資産税の申告が必要です。これらは、特定の事業のためだけに使われるものや、建物から比較的簡単に取り外せるものが該当します。

対象となる設備の例 受変電設備、発電機、ルームエアコン、屋外の看板、門や塀などの外構工事、工場の動力配線、飲食店の厨房設備など
判断のポイント 特定の生産・業務用か、独立した機械装置としての性格が強いか、家屋と構造的に一体でないか。

建物附属設備の区分一覧表

少し複雑に感じるかもしれませんので、主な設備について家屋と償却資産のどちらに区分されるかを表にまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。

設備の種類 償却資産(申告が必要)
受変電設備 設備一式
動力配線設備 特定の生産・業務用の設備
電話・LAN設備 電話機、交換機、サーバー等の機器
空調設備 ルームエアコン(壁掛け型など取り外しが容易なもの)、特定の生産・業務用の設備
厨房設備 飲食店や病院などの業務用厨房設備
運搬設備 工場用ベルトコンベア、機械式駐車設備
その他 広告塔、ネオンサイン、外構工事(門、塀、舗装路面など)、簡易間仕切り
設備の種類 家屋(申告は不要)
電灯コンセント設備 屋内の配管・配線など
給排水・ガス設備 屋内の配管など
衛生設備 便器、洗面台など
消火設備 消火栓、スプリンクラー設備
空調設備 ビルトインエアコンなど建物と一体の設備
運搬設備 エレベーター、エスカレーター
内装・造作 床、壁、天井の仕上げなど

※上記は一般的な区分であり、自治体によって取扱いが異なる場合があります。

こんなケースは特に注意!償却資産になる建物附属設備

特に判断に迷いやすいケースや、申告漏れが起こりやすいケースについて、もう少し詳しく見ていきましょう。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

テナント(賃借人)が設置した設備

これは最も注意が必要なポイントです。貸店舗や貸事務所を借りているテナントの方が、ご自身の事業のために費用を負担して取り付けた内装や建築設備は、すべてテナントの方の償却資産となります。これは地方税法(第343条第10項)で定められており、家屋の所有者が誰であるかは関係ありません。

例えば、飲食店を経営するために取り付けた厨房設備やカウンター、壁紙の張り替え、専用の空調設備などは、たとえ建物に固定されていても、取り付けたテナントが償却資産として申告する義務があります。

特定の事業専用の設備

その設備が、建物の一般的な価値を高めるためではなく、特定の事業を行うためだけに設置されたものである場合、償却資産と判断されます。

例えば、工場で製品を作るための動力配線、クリーニング店の業務用洗濯機、病院のレントゲン装置に電気を供給するための専用設備などは、その事業をやめれば用途がなくなってしまいます。このように、事業と密接に結びついた設備は償却資産に該当する可能性が高いです。

屋外の設備や独立性の高い設備

建物本体とは別に設置されている屋外の設備も、償却資産税の対象です。例えば、会社の敷地を囲う門や塀、駐車場の舗装、庭園設備などの外構工事、屋上に設置された広告塔やネオンサインなどがこれにあたります。これらは家屋とは構造的に独立しているため、構築物として償却資産の申告が必要になります。

償却資産税の申告と税額の基本

もし償却資産に該当する設備をお持ちの場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。申告と税金の基本について簡単にご説明します。

誰がいつまでに申告するの?

毎年1月1日時点で事業用の償却資産を所有している法人または個人事業主の方が対象です。申告書の提出期限は、原則としてその年の1月31日まで。資産が所在する市町村(東京23区の場合は都税事務所)に申告書を提出します。

税額はどれくらい?

償却資産税の税額は、以下の計算式で算出されます。

課税標準額 × 税率(標準は1.4%) = 税額

課税標準額とは、所有している償却資産の評価額を合計したものです。この課税標準額の合計が150万円未満の場合は、免税点といって償却資産税は課税されません。ただし、課税されない場合でも申告は必要ですのでご注意くださいね。

なぜ正しく区分する必要があるの?

「少し面倒だな…」と感じるかもしれませんが、家屋と償却資産を正しく区分して申告することは、とても重要です。もし間違ってしまうと、思わぬ不利益につながることもあります。

申告漏れによるペナルティ

償却資産の申告が漏れていることが税務調査などで発覚した場合、過去にさかのぼって税金が課されることになります。最大で5年度分(偽りその他不正な行為があった場合は7年度分)までさかのぼる可能性があり、さらに延滞金も加算されてしまいます。後からまとまった金額を請求されることのないよう、正しく申告することが大切です。

国税(法人税・所得税)との違いを理解しよう

国税(法人税や所得税)の会計処理と、地方税である固定資産税(償却資産)の考え方は必ずしも一致しません。例えば、税務会計上は「建物」として一括で減価償却していても、固定資産税の世界では、その中身を「家屋」と「償却資産」に分けて判断し、償却資産に該当するものは申告しなければなりません。この違いを理解しておくことが、正しい申告への第一歩です。

まとめ

建物附属設備が固定資産税の対象となる「家屋」か、償却資産税の対象となる「償却資産」かを見分けるには、「建物と構造上一体か」「誰が所有しているか(特にテナントの場合)」「特定の事業専用の設備か」といったポイントを確認することが重要です。

会計上は建物として処理していても、償却資産の申告が必要なケースは少なくありません。この記事を参考に、ご自身の資産を一度見直してみてはいかがでしょうか。もし判断に迷う場合は、資産が所在する市町村役場の資産税担当課や、都税事務所に相談することをおすすめします。正しい申告で、安心して事業を続けていきましょう。

参考文献

国税庁 No.2100 減価償却のあらまし

国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表

建物附属設備の固定資産税・償却資産税に関するよくある質問まとめ

Q.建物附属設備は、すべて家屋として固定資産税の対象になるのでしょうか?

A.原則として家屋の一部として固定資産税の対象となります。しかし、賃借人(テナント)が事業のために取り付けた設備は、償却資産税の対象となる場合があります。

Q.テナントが自社の費用で設置した内装や空調設備は、どちらの税金の対象ですか?

A.テナントが設置した事業用の内装や設備(特定附帯設備)は、テナントの資産となるため、償却資産税の対象となります。建物のオーナーが支払う固定資産税の対象には含まれません。

Q.償却資産税の対象となる「特定附帯設備」の具体例を教えてください。

A.テナントが設置した可動式の間仕切り、店舗用の照明設備、業務用エアコン、給排水設備、看板などが該当します。これらはテナントが所有する事業用資産として扱われます。

Q.テナントが設置した設備について、償却資産税の申告は誰が行うのですか?

A.その設備を所有しているテナント(賃借人)自身が、事業所のある市町村へ償却資産税の申告を行う必要があります。

Q.建物のオーナーとして、テナントが設置した設備について注意すべき点はありますか?

A.テナントが設置した設備を、誤ってご自身の家屋の評価に含めて固定資産税を支払わないよう注意が必要です。二重課税を避けるため、工事内容などを明確に区分しておくことが重要です。

Q.建物附属設備が固定資産税と償却資産税のどちらに該当するか判断が難しいです。

A.判断に迷う場合は、資産が所在する市町村の固定資産税担当部署、または税理士などの専門家にご相談ください。

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本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。