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建物の固定資産税評価額はどう決まる?再建築価格方式を優しく解説

2025-10-21
目次

毎年送られてくる固定資産税の納税通知書。そこに書かれている「評価額」を見て、「この金額ってどうやって決まっているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?特に建物の評価額は、土地とは違って少し複雑です。この評価額の基礎となっているのが、「再建築価格方式」という考え方です。今回は、この再建築価格方式について、誰にでもわかるように、ステップごとに優しく解説していきますね。

再建築価格方式とは?建物の固定資産税評価額の基本

建物の固定資産税評価額を計算するための基本的な方法が「再建築価格方式」です。これは、とてもシンプルに言うと、「評価の対象となる建物を、今この時点でもう一度新しく建てたらいくらかかるか?」という費用(再建築価格)を基準に評価額を計算する方法です。実際に家を建てたときの工事費や購入した金額そのものではなく、あくまで「今、建て直した場合の費用」を基準にするのがポイントですよ。

再建築価格方式の目的

なぜ実際の建築費ではなく、わざわざ「再建築価格」を計算するのでしょうか。それは、税金の公平性を保つためです。もし実際の購入価格を基準にすると、安く建てられた家は税金が安く、高く建てた家は税金が高い、ということになってしまいますよね。同じような家でも、建てた時期やハウスメーカー、値引き交渉の有無などで建築費用は変わってきます。再建築価格方式は、そういった個別の事情をなくし、国が定めた統一の基準で評価することで、誰に対しても公平な税額を計算することを目的としているんです。

「再建築価格」と「実際の建築費」はなぜ違うの?

「今建てたらいくらかかるか」という考え方なら、実際の建築費と近くなりそうに思えますよね。でも、この二つは一致しないことがほとんどです。なぜなら、再建築価格は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」という全国共通のルールに基づいて算出されるからです。この基準には、屋根や壁、床などに使われる資材の種類ごとの標準的な単価が定められています。実際の建築費に含まれるような、特別なデザイン料や外構工事費、個別の値引きなどは考慮されません。あくまで、標準的な仕様で建てた場合の費用を計算するのが再建築価格なのです。

評価額はいつ、誰が決めるの?

建物の評価額は、家を新築したり増築したりしたタイミングで決定されます。完成後に、市町村(東京23区の場合は都)の職員が現地を訪問する「家屋調査」が行われます。この調査で、どんな資材が使われているか、どんな設備があるかなどを細かくチェックし、それをもとに評価額が算出されます。そして、この評価額は一度決まったら終わりではなく、原則として3年に一度、「評価替え」というタイミングで見直しが行われます。

再建築価格方式による評価額の計算ステップ

では、具体的にどのように評価額が計算されるのでしょうか。専門的で複雑な部分もありますが、ここでは簡単な3つのステップに分けて流れを見ていきましょう。

ステップ1:部分ごとの点数(評点)を積み上げる

まず、家屋調査の結果をもとに、建物を構成する部分ごとに点数(評点)を付けていきます。屋根、基礎、外壁、柱、内壁、天井、床、建具、キッチンやお風呂といった建築設備まで、それぞれ「固定資産評価基準」に照らし合わせて点数を算出します。例えば、豪華なシステムキッチンや質の良い外壁材を使っていれば、その分点数が高くなります。こうして計算したすべての部分の点数を合計したものが、その建物の基本的な評価点数(再建築費評点数)となります。

評価項目の例 使われている資材・設備の例
屋根 スレート、ガルバリウム鋼板、瓦など
外壁 サイディング、モルタル、タイル貼りなど
内装(床・壁) フローリング、クッションフロア、壁紙クロス、珪藻土など
建築設備 システムキッチン、ユニットバス、トイレ、給湯器など

ステップ2:経年劣化を考慮する(経年減点補正)

建物は年数が経つにつれて古くなっていきますよね。その価値の減少を評価額に反映させるのが「経年減点補正」です。新築時を1.0として、年数が経つごとに一定の率(経年減点補正率)を掛けて評価額を下げていきます。この補正率は建物の構造(木造か鉄骨造かなど)によって異なります。ただし、どんなに古くなっても建物の価値がゼロになることはありません。最終的には、再建築価格の20%が評価額の下限として設定されており、それ以上は下がらない仕組みになっています。

項目 内容
経年減点補正率 建物の構造や用途、経過年数に応じて定められた減価率のこと。
評価額の下限 どんなに古くなっても、再建築価格の20%が最低ラインとなります。

ステップ3:物価や設計費などを調整して評価額を決定

最後に、ステップ1で算出した評点に、ステップ2の経年減点補正率を掛け、さらに「1点あたりの価額」を乗じて最終的な評価額を算出します。「1点あたりの価額」は、物価水準による補正や設計管理費などを考慮したもので、通常は1.05円~1.1円程度になります。

【簡易的な計算式】
評価額 = 再建築費評点数 × 経年減点補正率 × 1点あたりの価額

3年に一度の「評価替え」とは?

土地や家屋の固定資産税評価額は、原則として3年ごとに見直されます。これを「評価替え」と呼び、直近では令和6年度に実施されました。この評価替えは、私たちの税額にどう影響するのでしょうか。

なぜ評価替えが必要なの?

評価替えの主な目的は、時の経過による資産価値の変動や、物価の変動を評価額に反映させるためです。例えば、建築資材の価格や人件費は年々変動しますよね。3年ごとにこうした経済状況の変化を反映させることで、より実態に合った、公平な評価額を保つことができるのです。

評価替えで税金は上がる?下がる?

評価替えでは、建築物価の変動率が、年数の経過による減価率(経年減点補正率)を上回る場合があります。特に近年は建築コストが上昇傾向にあるため、「家は古くなっているのに評価額が下がらない、むしろ上がってしまった」というケースも起こり得ます。ただし、急激な税負担増を避けるため、評価替えによって計算された評価額が、前年度の評価額を上回る場合には、前年度の評価額に据え置かれるという措置が取られています。

相続税申告における建物の評価

建物の固定資産税評価額は、固定資産税だけでなく、実は相続税を計算する上でも非常に重要な役割を果たします。

相続税評価額の計算方法

相続財産に建物が含まれる場合、その建物をいくらと評価して相続税を計算するのでしょうか。答えはとてもシンプルで、原則としてその建物の固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。計算式で表すと「固定資産税評価額 × 1.0倍」です。そのため、相続税の申告書を作成する際には、固定資産税の課税明細書に記載されている評価額をそのまま使うことになります。

賃貸物件の評価はどうなる?

もし相続した建物が自宅ではなく、アパートや貸家など人に貸している物件だった場合は、評価額が少し変わります。他人に貸している建物は、所有者であっても自分で自由に使えないという制約があるため、その分だけ評価額を下げることができるのです。具体的には、以下の計算式で評価額を算出します。

貸家の評価額 = 固定資産税評価額 ×(1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

借家権割合は全国一律で30%と定められています。例えば、建物全体を賃貸に出している(賃貸割合100%)場合、評価額は固定資産税評価額の70%(1 – 30%)となり、相続税の負担を軽減することができます。

自分の家の評価額を確認する方法

ご自身の家の固定資産税評価額は、いくつかの方法で簡単に確認することができます。一番手軽な方法からご紹介しますね。

課税明細書で確認する

最も簡単な方法は、毎年4月~6月頃に市町村から送られてくる「固定資産税・都市計画税 納税通知書」を確認することです。この通知書に同封されている「課税明細書」を見てみましょう。「価格」あるいは「評価額」と記載されている欄の金額が、その年の1月1日時点での固定資産税評価額です。

固定資産評価証明書を取得する

相続登記や不動産売買などで公式な証明書が必要な場合は、市町村の役所(資産税課など)や都税事務所で「固定資産評価証明書」を取得します。本人確認書類や印鑑、手数料(1通300円~400円程度)を持参すれば、所有者本人やその代理人が取得できます。

固定資産課税台帳を閲覧する

役所の窓口では、「固定資産課税台帳(名寄帳)」を閲覧することもできます。これは、同一の所有者がその市町村内に所有する土地・家屋の一覧表です。自分の所有する不動産全体の評価額を確認したい場合に便利です。

まとめ

今回は、建物の固定資産税評価額の基礎となる「再建築価格方式」について解説しました。少し複雑に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば大丈夫です。

・建物の評価額は「今、同じ家を新築したらいくらかかるか」という再建築価格を基準に計算される。

・実際の建築費とは異なり、税の公平性を保つための統一的な評価方法である。

・年数の経過による価値の減少は考慮されるが、評価額はゼロにはならず、20%が下限となる。

・固定資産税評価額は、相続税を計算する際の基礎にもなる重要な金額。

・自分の家の評価額は、納税通知書に同封の課税明細書で簡単に確認できる

ご自身の資産価値を正しく理解する第一歩として、ぜひ一度、お手元の課税明細書を確認してみてくださいね。

参考文献

総務省|固定資産税の概要

国税庁|No.4602 土地家屋の評価

再建築価格方式のよくある質問まとめ

Q.再建築価格方式とは、どのような計算方法ですか?

A.その建物を評価時点で新築した場合にかかる費用(再建築価格)を算出し、そこから経年劣化による価値の減少分(減価)を差し引いて評価額を求める方法です。固定資産税評価の基本的な考え方となります。

Q.「再建築価格」はどのようにして決まるのですか?

A.国が定めた「固定資産評価基準」に基づき、建物の屋根、外壁、柱、内装などの資材や仕上げごとに点数を付け、その合計(再建築費評点数)に物価水準による補正などを加えて算出します。

Q.「経年減点補正率」とは何ですか?

A.建物の建築後の年数経過によって生じる価値の減少を反映するための率です。建物の構造(木造、鉄骨造など)や用途によって異なり、年数が経つほどこの率が小さくなり、評価額が下がります。

Q.リフォームをすると固定資産税の評価額は上がりますか?

A.はい、上がる可能性があります。増築や大規模なリフォーム、設備のグレードアップなどは「再建築価格」を上昇させる要因となり、固定資産税評価額の見直しの対象となることがあります。

Q.新築時より建材価格が上がった場合、評価額も上がりますか?

A.はい、影響します。再建築価格は「評価時点」で新築した場合の費用で計算されるため、建築資材や労務費が高騰していると、3年ごとに行われる評価替えの際に評価額が上昇することがあります。

Q.自分の家の評価額が再建築価格方式でどのように計算されたか確認できますか?

A.はい、確認できます。市町村(東京23区の場合は都税事務所)の固定資産税担当窓口で「固定資産課税台帳」を閲覧したり、「評価証明書」を取得したりすることで、評価額の内訳を確認することが可能です。

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