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地代が固定資産税の2~3倍は普通?相当の地代と通常の地代を解説

2025-11-01
目次

土地を誰かに貸すとき、「地代は固定資産税の2〜3倍くらいが相場だよ」と聞いたことはありませんか?この金額設定、実は税金の面でとても重要な意味を持つことがあるんです。地代には「通常の地代」と「相当の地代」という種類があり、どちらに当てはまるかで税務上の扱いが変わってきます。この記事では、固定資産税の2〜3倍という地代が一体何なのか、そして税務署が注目する「通常の地代」と「相当の地代」の違いについて、わかりやすく解説していきますね。

地代の3つの種類とその違い

地代と一言でいっても、実は場面によって3つの異なる意味で使われることがあります。まずは、この3つの地代の違いをしっかり理解しておきましょう。この違いが分かると、なぜ地代の設定が税金に関わってくるのかが見えてきますよ。

実際の地代

実際の地代とは、土地の貸主(地主)と借主との間で交わされた契約に基づいて、実際に支払われている地代のことを指します。法律で地代の金額が決められているわけではないので、基本的には当事者同士が合意すればいくらに設定しても問題ありません。近隣の相場や土地の固定資産税などを参考に決められることが一般的です。

通常の地代

通常の地代は、税法上の考え方の一つです。一般的に、第三者間で土地を貸し借りする際には、借主が地主に対して「権利金」を支払う慣習があります。この権利金の授受があった場合における、適正な地代のことを「通常の地代」と呼びます。主に、相続税の計算で貸している土地(貸宅地)の評価額を算出する際に用いられる基準となります。

相当の地代

相当の地代も税法上の考え方ですが、こちらは権利金の授受がなかった場合に支払われるべき地代を指します。例えば、親が子に土地を無償同然で貸すようなケースです。もし地代がタダだったり、極端に安かったりすると、権利金相当額が贈与されたとみなされ(これを「権利金の認定課税」といいます)、多額の贈与税がかかる可能性があります。この認定課税を避けるために設定するのが「相当の地代」です。

地代の種類 概要
実際の地代 当事者間で実際に支払われている地代
通常の地代 権利金の授受があった場合の税法上の適正地代
相当の地代 権利金の授受がなかった場合の税法上の適正地代

固定資産税の2〜3倍の地代とは?

では、冒頭の「固定資産税の2〜3倍」という地代は、先ほどの3つのうちどれに当たるのでしょうか。これは一般的に、当事者間で取り決める「実際の地代」の目安としてよく使われる数字です。税法で定められた明確な基準というよりは、実務上の慣習や相場観に基づいたものと言えます。

なぜ固定資産税を基準にするの?

地主さんにとって、土地を所有しているだけで毎年固定資産税や都市計画税がかかります。土地を貸すからには、少なくともこの税金の負担分は地代で回収したいと考えるのが自然ですよね。そのため、固定資産税額が地代を決める上での最低ラインとなり、分かりやすい基準として広く用いられているのです。

地代相場の一般的な目安

固定資産税を基準とした地代の相場は、土地の利用目的によって変わるのが一般的です。

利用目的 地代相場の目安(年間)
住宅地 固定資産税・都市計画税の合計額の3倍~5倍程度
商業地 固定資産税・都市計画税の合計額の5倍~8倍程度

このように見ると、「固定資産税の2〜3倍」という水準は、住宅地として貸す場合の一般的な相場か、少し低めの設定であることがわかりますね。

【税務署がチェック】親族間の貸借で重要な「相当の地代」

親族間や自身が経営する会社(同族会社)に土地を貸す場合、権利金なしで、かつ非常に安い地代で貸してしまうケースが少なくありません。しかし、これは税務上「贈与」と見なされるリスクがあり、注意が必要です。そこで重要になるのが「相当の地代」という考え方です。

相当の地代の計算方法

国税庁によると、相当の地代の額は、原則として「その土地の更地価額のおおむね年6%」とされています。更地価額とは、その土地の時価のことですが、計算を簡便にするため、その土地の相続税評価額(路線価や固定資産税評価額をもとに計算したもの)を使うことも認められています。

計算式:相当の地代(年額) = 土地の更地価額(相続税評価額など) × 6%

例えば、相続税評価額が3,000万円の土地であれば、相当の地代は年間180万円(月額15万円)となります。固定資産税の2〜3倍という相場観とは、計算の元となる基準が全く違うことがわかりますね。

相当の地代を支払わないリスク

もし権利金なしで土地を貸しているにもかかわらず、受け取っている地代がこの「相当の地代」よりも低い場合、税務署から権利金相当額の利益供与があったとみなされる可能性があります。これを権利金の認定課税といい、借主である個人には贈与税が、法人には法人税が課される恐れがあるため、親族間での土地の貸し借りでは特にこの「相当の地代」を意識することが不可欠です。

【相続で重要】権利金がある場合の「通常の地代」

一方で、親族間ではなく、全くの第三者と権利金の授受を伴う一般的な借地契約を結んでいる場合はどうでしょうか。この場合に、相続税の計算などで基準となるのが「通常の地代」です。

通常の地代の計算方法

通常の地代は、権利金を受け取っていることを前提としているため、相当の地代よりも低く計算されます。

計算式:通常の地代(年額) = 土地の更地価額 × (1 - 借地権割合) × 6%

「借地権割合」とは、その土地の価値のうち借主の権利が占める割合のことで、路線価図などで確認できます(例:60%や70%など)。土地の価値から借地権分を差し引いた、地主の権利(底地)部分に対して6%を乗じるイメージです。

例えば、更地価額3,000万円、借地権割合60%の土地なら、通常の地代は年間72万円(3,000万円 × (1 – 0.6) × 6%)となります。

「通常の地代」と「相当の地代」の使い分けまとめ

ここまで見てきたように、地代の設定は誰に、どのような条件で貸すかによって、意識すべきポイントが大きく異なります。最後に、両者の使い分けを整理しておきましょう。

項目 相当の地代
意識すべき場面 親族間や同族会社など、権利金なしで土地を貸すとき
目的 権利金の認定課税(贈与税など)を避けるため
計算式(年額) 土地の更地価額 × 6%
項目 通常の地代
意識すべき場面 第三者と権利金ありで土地を貸しているとき(主に相続時)
目的 相続税評価額の計算など、税務上の基準として
計算式(年額) 土地の更地価額 × (1 – 借地権割合) × 6%

まとめ

「固定資産税の2〜3倍」という地代は、あくまで当事者間で決める「実際の地代」の一つの目安です。しかし、税務の世界では、それとは別に「通常の地代」と「相当の地代」という基準が存在します。

特に、親族や自分の会社に権利金なしで土地を貸す場合は、「相当の地代」(更地価額の年6%)をきちんと受け取らないと、思わぬ贈与税などが課されるリスクがあります。

一方で、第三者に権利金を受け取って貸している場合は、相続が発生した際に「通常の地代」が土地の評価に関わってきます。

地代の設定は、将来の税金に大きく影響する重要なポイントです。ご自身の状況に合わせて適切な地代を設定することが、円満な土地活用と節税につながります。もし判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

国税庁「No.5732 相当の地代及び相当の地代の改訂」

地代(通常の地代・相当の地代)と固定資産税のよくある質問

Q.地代が固定資産税の3倍だと何が違うのですか?

A.権利金の授受なしに土地を貸し借りしても、税務上の問題が生じないとされる「相当の地代」とみなされる可能性が高いです。これにより、借地権認定課税を避けられます。

Q.「通常の地代」と「相当の地代」の違いは何ですか?

A.「通常の地代」は借地権の設定を前提とし、権利金の授受がない場合に借地権課税などが問題になります。一方、「相当の地代」は権利金の授受を行わないことを前提とした地代で、借地権課税を避けるためのものです。

Q.相当の地代の計算方法を教えてください。

A.原則として、その土地の過去3年間の相続税評価額の平均額の年6%です。ただし、簡易的な方法として、その土地の固定資産税評価額の3倍の金額が最低ラインとされることが多いです。

Q.個人が法人に土地を貸す場合、地代はいくらに設定すれば良いですか?

A.固定資産税の2~3倍の金額を地代として受け取れば、権利金の授受がなくても税務上の問題は生じにくいとされています。これを「相当の地代」の授受といいます。

Q.地代が固定資産税額より低いと問題がありますか?

A.地代が低すぎると、権利金の認定課税や寄附金課税の問題が生じる可能性があります。特に法人と役員間などの取引では、適正な地代(例えば相当の地代)を設定することが重要です。

事務所概要
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税理士 島本 雅史

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