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間口が狭い土地の評価減!相続税を抑える間口狭小補正の考え方

2024-11-12
目次

ご家族から土地を相続された際、その土地が道路に接している部分、いわゆる「間口」が狭いと、「使い勝手が悪そう…」と感じることがあるかもしれません。実は、その「使い勝手の悪さ」が、相続税を計算する上で有利に働くことがあるんです。間口が狭い土地は、その利用しにくさから相続税評価額を下げることができる「間口狭小補正」という制度があります。この記事では、間口が狭いことによる補正の考え方と具体的な方法について、分かりやすく解説していきますね。

間口が狭いとなぜ評価が下がるの?間口狭小補正の基本

土地の価値は、その使いやすさによって大きく変わります。間口が狭い土地は、例えば大きな車が出入りしにくかったり、建てられる建物の形に制限が出たりと、さまざまなデメリットが考えられます。こうした利用上の制約を考慮して、相続税評価額を減額調整するのが「間口狭小補正」の基本的な考え方です。つまり、土地の個性を評価額に正しく反映させるための、大切なルールなんですね。

間口狭小補正率とは?

間口狭小補正率とは、その名の通り、間口が狭い土地の評価額を減額するために用いられる割合のことです。この補正は、国税庁が定める「路線価方式」で土地の評価額を計算する場合にのみ適用されます。路線価とは、主要な道路に面した土地1㎡あたりの価格のことで、主に市街地の土地評価に使われます。この路線価を基準に、土地の形や条件に合わせて評価額を調整していくのです。

どれくらい評価額が下がるの?

間口狭小補正を適用すると、土地の評価額を最大で10%減額できる可能性があります。具体的にどれくらい減額されるかは、土地が所在する「地区区分」と、道路に接している「間口距離」によって決まります。例えば、一般的な住宅地である「普通住宅地区」にある土地の場合、間口が8m未満から補正の対象となり、間口が4m未満だと補正率は0.90、つまり10%の減額が適用されます。

間口狭小補正が使える土地、使えない土地

この補正が適用できるのは、路線価方式で評価される土地に限られます。郊外や農村部などで路線価が定められていない地域では、「倍率方式」という別の方法で評価されます。倍率方式は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算する方法で、土地の個々の形状はすでに固定資産税評価額に反映されていると考えられるため、間口狭小補正のような個別の補正は行いません。まずは、評価したい土地がどちらの方式で評価されるのかを確認することが第一歩になります。

間口狭小補正率の計算方法を3ステップで解説

それでは、実際に間口狭小補正を使って土地の評価額を計算する手順を見ていきましょう。少し専門的に聞こえるかもしれませんが、3つのステップに沿って進めれば、どなたでも理解できますので安心してくださいね。

STEP1:土地の「地区区分」を確認する

最初に、評価したい土地がどの「地区区分」に属しているかを確認します。地区区分は、国税庁のホームページで公開されている「路線価図」で調べることができます。路線価図を見ると、道路に「150C」のような数字とアルファベットが書かれていますが、この路線価を囲む記号で地区区分が示されています。例えば、特に記号がなければ「普通住宅地区」、丸で囲まれていれば「普通商業・併用住宅地区」といった具合です。地区区分によって適用される補正率が変わるので、とても重要な確認作業です。

STEP2:土地の「間口距離」を測る

次に、土地が道路に接している部分の長さ、つまり「間口距離」を正確に測ります。この距離は、法務局で取得できる「公図」や「地積測量図」などの公的な図面で確認するのが確実です。もし図面がない場合は、専門家による測量が必要になることもあります。間口距離が1m違うだけで評価額が変わることもあるため、正確な数値を把握しましょう。

STEP3:間口狭小補正率表で補正率を確認して計算する

STEP1の「地区区分」とSTEP2の「間口距離」がわかったら、国税庁が公表している「間口狭小補正率表」に当てはめて、該当する補正率を探します。例えば、「普通住宅地区」で「間口が5m」の土地なら、補正率は0.94となります。

補正率がわかったら、以下の式で1㎡あたりの評価額を計算します。

1㎡あたりの評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 間口狭小補正率

そして、この1㎡あたりの評価額に土地の総面積(地積)を掛ければ、最終的な土地の評価額が算出できます。例えば、路線価200,000円、奥行価格補正率1.00、間口狭小補正率0.94、面積100㎡の土地なら、評価額は18,800,000円(200,000円 × 1.00 × 0.94 × 100㎡)となります。

間口狭小補正率表(一部抜粋)
地区区分 間口距離
普通住宅地区 4m未満:0.90 / 4m以上6m未満:0.94 / 6m以上8m未満:0.97 / 8m以上:1.00
普通商業・併用住宅地区 6m未満:0.97 / 6m以上8m未満:1.00

間口距離の測り方で注意したいポイント

間口距離の測り方は、一見単純そうに見えて、実は少し注意が必要なケースがあります。測り方を間違えると評価額が大きく変わってしまう可能性もあるので、代表的な注意点を押さえておきましょう。

角地(隅切り)がある場合

交差点などにある角地では、安全のために角を切り取って道路状にしている部分(隅切り)があります。この場合、実際に道路に接している長さではなく、隅切りがなかったものとして仮定した長さを間口距離として測定します。少しでも間口を長く計算することで、不利にならないように配慮されているんですね。

間口が複数に分かれている場合

土地の形によっては、道路に接している部分が2か所以上に分かれていることがあります。このような場合は、それぞれの間口の長さを合計したものが間口距離となります。間の道路に接していない部分は含めずに計算するので注意してください。

道路と土地に高低差がある場合

道路と土地の間に崖や擁壁などがあって高低差があり、実際に人や車が出入りできる部分が限られているケースもあります。この場合の間口距離は、道路に接している全体の長さではなく、実際に通行可能な部分の長さで評価することになります。土地の利用実態に即して評価するためのルールです。

他の補正との併用でさらに評価額が下がる可能性も

間口が狭い土地は、他の特徴を併せ持っていることも少なくありません。そうした場合、間口狭小補正だけでなく他の補正を組み合わせることで、さらに評価額を下げられる可能性があります。

奥行長大補正との併用

間口が狭くて奥行きが非常に長い、いわゆる「うなぎの寝床」のような土地は、使い勝手がさらに悪くなります。このような土地は、間口の狭さを補正する間口狭小補正と、奥行きの長さを補正する奥行長大補正の両方を適用できる場合があります。具体的には、間口距離に対して奥行距離が2倍以上ある場合などが対象となり、それぞれの補正率を掛け合わせることで、より実態に合った評価減が可能になります。

不整形地補正との関係

正方形や長方形ではない、いびつな形をした土地を「不整形地」といいます。間口が狭い土地が、同時に不整形地であることもよくあります。不整形地も利用しにくいため、不整形地補正という評価減の対象となります。間口が狭い不整形地の場合、単純に両方の補正率を掛けるのではなく、不整形地補正の計算過程で間口の狭さが考慮されるなど、少し複雑な計算を行います。こうしたケースでは、評価方法によって税額が大きく変わることもあるため、専門家のアドバイスが特に重要になります。

間口が狭い土地の評価でよくある質問

ここでは、間口が狭い土地の評価に関してよくいただくご質問にお答えします。

路線価が設定されていない場合はどうなりますか?

路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額をもとに計算する「倍率方式」が用いられます。倍率方式では、土地の形状による減額要素はすでに固定資産税評価額に織り込み済みと考えられているため、間口狭小補正を適用することはできません。ご自身の土地がどちらの方式で評価されるか、国税庁の「評価倍率表」で確認してみてください。

旗竿地も間口狭小補正の対象になりますか?

はい、なります。細い通路部分で道路に接している「旗竿地」は、間口が狭い土地の典型的な例です。そのため、間口狭小補正の対象となります。ただし、旗竿地は不整形地でもあるため、多くの場合、不整形地補正として評価されます。どちらの補正を適用した方が評価額が低くなるかを検討し、最も有利な方法で評価することが大切です。

まとめ

今回は、間口が狭い土地の評価方法について解説しました。ポイントをまとめると以下のようになります。

まず、道路に接している間口が狭い土地は、その利用しにくさから相続税評価額を減額できる「間口狭小補正」の対象になります。この補正を正しく適用するためには、路線価図で「地区区分」を確認し、公図などで「間口距離」を正確に把握することが不可欠です。計算は3ステップで進められ、地区区分と間口距離がわかれば、補正率表を使って誰でも評価額を算出できます。

また、間口が狭いだけでなく、奥行きが長い土地(奥行長大)や、形がいびつな土地(不整形地)の場合は、他の補正と組み合わせて評価することになります。土地の評価は非常に専門的で、少しの解釈の違いで納税額が大きく変わることもあります。もしご自身での計算に少しでも不安を感じたら、無理せず税理士などの専門家にご相談いただくのが、最も確実で安心な方法ですよ。

参考文献

財産評価基準書 路線価図・評価倍率表|国税庁

間口狭小補正率表|国税庁

No.4620 無道路地の評価|国税庁

間口が狭い土地の評価補正に関するよくある質問まとめ

Q. そもそも「間口が狭い土地」とはどのような土地ですか?

A. 一般的に、土地が道路に接している部分(間口)の距離が短い土地を指します。利用価値が低くなるため、相続税や固定資産税の評価額が減額(補正)されることがあります。

Q. 間口狭小補正率とは何ですか?

A. 間口が狭いことによる土地の利用価値の低下を、評価額に反映させるための補正率です。国税庁が定める財産評価基本通達に基づいて、地区分や間口距離に応じて率が決められています。

Q. 間口が狭いと、なぜ土地の評価額が下がるのですか?

A. 建物の設計に制約が出たり、駐車スペースの確保が難しくなったり、重機の進入が困難で建築コストが割高になったりするなど、土地の利用効率が下がるためです。この利用価値の低下分を評価額から減額します。

Q. 間口狭小補正の計算方法を教えてください。

A. 計算式は「路線価 × 間口狭小補正率 × 奥行価格補正率 × 地積」が基本です。まず路線価に奥行価格補正率を掛けて1㎡あたりの評価額を算出し、それに間口狭小補正率と土地の面積(地積)を乗じて計算します。

Q. 間口狭小補正と不整形地補正は一緒に使えますか?

A. はい、併用できます。間口が狭く、かつ土地の形が歪な(不整形な)場合は、両方の補正を適用して評価額を計算します。ただし、計算方法が複雑になるため注意が必要です。

Q. 自分の土地が間口狭小補正の対象になるか、どこで確認できますか?

A. まずは公図や測量図で道路に接する間口の長さを確認します。その上で、国税庁のウェブサイトで公開されている「財産評価基準書」で、ご自身の土地の地区分に応じた間口狭小補正率表を確認することで、対象になるか判断できます。

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