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空き家控除の「譲渡する日」は契約日?決済日?3000万円控除の重要ポイント

2024-12-05
目次

ご両親などから相続した空き家を売却する際に利用できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」、通称「空き家控除」。この制度を使うと、譲渡所得から最大3,000万円を控除できるため、税負担を大きく軽減できる可能性があります。特に2024年(令和6年)1月1日からの税制改正で、これまでは売却前に必要だった家屋の取り壊しや耐震改修が、売却後でも認められるようになりました。その要件の一つに「譲渡のする日の属する年の翌年の2月15日までに家屋の取り壊し等を行うこと」とあります。ここで気になるのが「譲渡する日」とは、不動産売買における「契約日」なのか、それとも「決済日(引き渡し日)」なのかという点です。この日付を間違えると、控除が受けられなくなる可能性もあるため、非常に重要なポイントです。この記事では、どちらの日付を基準に考えればよいのか、詳しく解説していきます。

結論!空き家控除の「譲渡する日」は原則「決済日(引き渡し日)」

早速結論からお伝えします。空き家控除における「譲渡する日」とは、原則として、買主へ不動産を引き渡した日、つまり「決済日(引き渡し日)」を指します。不動産売買の流れを考えると、売買契約を締結した「契約日」と、残代金の授受と物件の鍵の引き渡しを行う「決済日(引き渡し日)」は別の日になるのが一般的です。税務上の判断基準となるのは、後者の「決済日(引き渡し日)」となりますので、しっかりと覚えておきましょう。

税法上の「譲渡の日」の考え方

所得税法では、資産を譲渡した日は、原則としてその資産を買主に引き渡した日とされています。これが「決済日(引き渡し日)」に該当します。ただし、納税者の選択によって、売買契約の効力が発生した日、つまり「契約日」を譲渡の日とすることも認められています。しかし、空き家控除の取り壊し期限のように、譲渡日を基準に明確な期限が設定されている場合、いつを譲渡日とするかで期限が大きく変わってしまいます。後々のトラブルを避けるためにも、原則である「決済日(引き渡し日)」を基準にスケジュールを立てるのが最も安全で確実です。

なぜ決済日(引き渡し日)が重要なのか?

この「譲渡する日」が重要なのは、空き家控除の適用期限や、改正によって可能になった譲渡後の家屋の取り壊し期限の起算日となるからです。例えば、契約が年末で、決済が年明けになるケースを考えてみましょう。

  • 契約日:2024年12月20日
  • 決済日(引き渡し日):2025年1月30日

この場合、「譲渡する日」は2025年1月30日となります。そのため、家屋の取り壊し期限は「譲渡の日の属する年(2025年)の翌年2月15日」、つまり2026年2月15日までとなります。もし契約日を基準にしてしまうと、期限が1年も変わってきてしまうため、いかに決済日(引き渡し日)が重要かお分かりいただけるかと思います。

契約書で確認すべきポイント

ご自身のケースで「譲渡する日」がいつになるかを確認するには、不動産会社と取り交わした「不動産売買契約書」を確認しましょう。契約書には「所有権移転の時期」や「引渡し」といった項目があります。通常、この日付が「決済日(引き渡し日)」となり、税法上の「譲渡する日」と一致します。契約内容に不明な点があれば、仲介を依頼した不動産会社に確認することをおすすめします。

空き家控除(3,000万円特別控除)の概要をおさらい

ここで改めて、空き家控除の制度について簡単におさらいしておきましょう。正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。これは、相続した空き家を売却した際に得た利益(譲渡所得)から、最大3,000万円までを差し引くことができる制度です。譲渡所得にかかる税金が大幅に軽減されるため、対象となる方はぜひ活用したい特例です。

制度の目的

この制度は、年々増加している空き家問題への対策として創設されました。使われなくなった家が放置されるのを防ぎ、中古住宅市場への流通を促すことで、空き家の発生を抑制することを目的としています。

主な適用要件

空き家控除を利用するためには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。主な要件を以下の表にまとめました。

項目 主な要件
対象となる家屋 ・相続開始の直前まで被相続人(亡くなった方)が居住していた家屋であること
昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・マンションなどの区分所有建物でないこと
・相続開始の直前に被相続人以外に居住者がいなかったこと
対象となる相続人 ・相続または遺贈により家屋や敷地を取得した個人であること
相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
・売却代金が1億円以下であること
・親子や夫婦など特別な関係にある人への売却でないこと
家屋の状態 以下のいずれかを満たすこと
1. 売却時に現行の耐震基準に適合している
2. 家屋を全て取り壊して更地にしてから売却する
3. 【2024年1月1日以降の譲渡】家屋付きで売却し、買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを行う

【重要】2024年(令和6年)からの税制改正ポイント

今回の「譲渡する日」の問題が特に重要になった背景には、2024年(令和6年)1月1日から適用された税制改正があります。この改正によって、特例の使い勝手が向上しましたが、同時に注意すべき点も出てきました。

譲渡後の取り壊し・耐震改修も対象に!

最大の変更点は、家屋付きのまま売却し、買主が後に取り壊しや耐震改修を行う場合でも、空き家控除の対象になったことです。これまでは、売主の負担で売却前に取り壊しなどを行う必要があったため、費用や手間の面でハードルが高いケースもありました。この改正により、古い家が残ったままでも売却しやすくなり、特例を利用できるチャンスが広がりました。ただし、その期限が「譲渡の日の属する年の翌年2月15日まで」と定められているため、起算点となる「譲渡する日」の正確な把握が不可欠です。

買主の協力が不可欠に

譲渡後に買主が取り壊しなどを行う場合、当然ながら買主の協力がなければ要件を満たすことができません。「売却後に買主が期限までに取り壊してくれるだろう」と安易に考えていると、万が一実行されなかった場合に控除が受けられなくなり、大きなトラブルに発展しかねません。こうした事態を防ぐため、国土交通省は、売買契約を結ぶ際に「買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに家屋を取り壊すこと」などを特約として盛り込むことを推奨しています。

相続人が3人以上の場合の控除額

もう一つの改正点として、空き家とその敷地を相続した相続人が3人以上いる場合、特別控除額が一人あたり最大2,000万円に引き下げられました。これまでは相続人の数にかかわらず一律3,000万円でしたので、共同で相続した方は注意が必要です。

具体例で見る!取り壊し期限の計算方法

「譲渡する日」がいつになるかで、取り壊しの期限がどのように変わるのか、具体的なケースで見ていきましょう。

ケース1:年内に決済(引き渡し)が完了した場合

  • 契約日:2024年11月20日
  • 決済日(引き渡し日):2024年12月25日

この場合の「譲渡する日」は2024年12月25日です。
譲渡の日の属する年は「2024年」となるため、家屋の取り壊し・耐震改修の期限は、翌年の2025年2月15日までとなります。

ケース2:年をまたいで決済(引き渡し)した場合

  • 契約日:2024年12月20日
  • 決済日(引き渡し日):2025年1月25日

この場合の「譲渡する日」は2025年1月25日です。
譲渡の日の属する年は「2025年」となるため、家屋の取り壊し・耐震改修の期限は、翌年の2026年2月15日までとなります。

このように、決済日が年末になるか年始になるか、わずかな違いで期限が丸1年変わってきます。売却のスケジュールを立てる際は、この点を十分に考慮することが大切です。

まとめ

今回は、空き家控除の要件である「譲渡する日」がいつを指すのかについて解説しました。ポイントをまとめます。

  • 空き家控除における「譲渡する日」は、原則として決済日(引き渡し日)です。
  • 2024年の税制改正により、譲渡後に家屋を取り壊す場合でも控除の対象となりましたが、その期限は「譲渡の日の属する年の翌年2月15日まで」と定められています。
  • この期限の起算日となるため、「譲渡する日」がいつになるかを正確に把握し、スケジュールを管理することが非常に重要です。
  • 特に年末年始をまたぐ取引の場合は、決済日(引き渡し日)が年内か年明けかで期限が1年変わるため、十分に注意しましょう。

空き家控除は、要件が細かく複雑な制度です。ご自身での判断に不安がある場合は、管轄の税務署や、相続税・譲渡所得に詳しい税理士などの専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。

参考文献

国土交通省:空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)

国税庁:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

国税庁:No.3102 譲渡所得の申告期限

空き家控除の「譲渡する日」に関するよくある質問まとめ

Q.空き家控除の「譲渡する日」とは、契約日ですか?それとも決済日(引き渡し日)ですか?

A.原則として、資産の引き渡しがあった日(決済日・引き渡し日)を指します。ただし、納税者の選択により、契約効力発生の日(契約日)を譲渡の日とすることも可能です。

Q.家屋取り壊し期限の基準となる「譲渡する日」はいつになりますか?

A.納税者が選択した「譲渡する日」が基準となります。例えば、引き渡し日を譲渡日とした場合、その引き渡し日の属する年の翌年2月15日までに取り壊しが必要です。

Q.なぜ契約日を「譲渡する日」として選択する場合があるのですか?

A.契約が年末で引き渡しが翌年になるなど、譲渡所得を計上する年を調整したい場合に選択することがあります。ただし、取り壊し期限も契約日を基準に計算されるため注意が必要です。

Q.契約日と引き渡し日が年をまたぐ場合、どちらを選択するのが有利ですか?

A.一概にどちらが有利とは言えません。他の所得との兼ね合いや、取り壊しスケジュールなどを総合的に考慮して判断する必要があります。税務の専門家への相談をおすすめします。

Q.不動産売買における「決済日」と「引き渡し日」は同じ意味ですか?

A.はい、不動産取引では代金の決済と物件の引き渡し(鍵の受け渡しなど)は同日に行われることが一般的なため、基本的には同じ日と考えて差し支えありません。

Q.譲渡契約の前に家屋を取り壊しても、空き家控除の対象になりますか?

A.はい、対象になる場合があります。譲渡契約前に家屋を取り壊し更地として売却した場合でも、取り壊しから1年以内に譲渡契約を締結するなどの要件を満たせば、控除の適用を受けられる可能性があります。

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