突然、親や親族から財産を相続することになったら、うれしい反面、「このまとまったお金、どうしたらいいんだろう?」と戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。とりあえず銀行に預けておくだけでは、今の時代、もったいないかもしれません。この記事では、相続した大切な財産を賢く運用するための具体的な方法や、知っておくべき注意点を、わかりやすくお話ししていきますね。
相続した財産をそのまま預貯金にしておくリスク
相続した財産をそのまま銀行に預けておくだけで安心、と思っていませんか?実は、そこにはいくつかの「見えないリスク」が潜んでいるんです。大切な資産を守り、賢く増やすために、まずはそのリスクについて知っておきましょう。
インフレでお金の価値が目減りする
インフレ(物価上昇)が進むと、同じ100万円でも買えるものが少なくなってしまいます。つまり、お金の「価値」が実質的に下がってしまうんですね。例えば、年間のインフレ率が2%だとすると、1,000万円の価値は1年後には実質的に980万円になってしまう計算です。現在の日本の銀行預金の金利は非常に低いので、インフレのペースにお金が増えるスピードが追いつかず、資産が目減りしてしまう可能性があるんです。
ほとんど増えない低金利
ご存知の通り、日本の銀行預金は超低金利時代が続いています。例えば、大手銀行の1年もの定期預金の金利は年0.02%程度(2024年時点)です。1,000万円を1年間預けても、利息はわずか2,000円(税引前)。これでは、資産を「増やす」という目的はほとんど達成できません。せっかくのまとまった資金を有効活用できていない「機会損失」とも言えますね。
金融機関の破綻リスク(ペイオフ)
万が一、お金を預けている銀行が破綻してしまった場合、「預金保険制度(ペイオフ)」によって保護されるのは、1つの金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円とその利息までです。相続した財産が1,000万円を超える場合、一つの銀行に集中させておくと、全額が保護されないリスクがあります。外貨預金などはペイオフの対象外なので、さらに注意が必要です。
相続した財産の賢い使い道
では、相続した財産は具体的にどのように使うのが良いのでしょうか。ただ貯めておくだけでなく、ご自身のライフプランに合わせて有効活用する方法をいくつかご紹介します。
住宅ローンなどの繰り上げ返済
もし住宅ローンや自動車ローンなどの借入れがあるなら、繰り上げ返済に充てるのは非常に有効な選択肢です。特に金利の高いローンから返済することで、将来支払うはずだった利息を大幅に節約でき、月々の家計に余裕が生まれます。例えば、残高3,000万円、金利1.5%、残期間30年の住宅ローンで500万円を繰り上げ返済(期間短縮型)すると、約250万円もの利息を節約でき、返済期間も5年以上短縮できるケースもあります。
子どもの教育資金や自分の老後資金に
お子さんがいらっしゃるなら、将来の教育資金として確保しておくのも賢い使い方です。文部科学省の調査によると、幼稚園から高校まですべて公立でも約577万円、すべて私立だと約1,840万円の学習費がかかると言われています。また、ご自身の老後資金として、将来のために計画的に準備しておくのも大切です。
将来に備えるための資産運用
すぐに使う予定がないお金であれば、将来のためにお金を増やす「資産運用」を始める絶好の機会です。インフレに負けないように、預貯金よりも高いリターンを目指すことで、資産の目減りを防ぎ、より豊かにすることができます。次の章で、具体的な運用方法を見ていきましょう。
初心者にもおすすめ!相続財産の運用方法
資産運用と聞くと「難しそう」「リスクが怖い」と感じるかもしれませんが、ご自身の考え方に合った方法を選べば大丈夫です。ここでは、初心者の方でも始めやすい運用方法を、メリット・デメリットと合わせてご紹介します。
リスクを抑えて安定的に運用したい方向け
まずは「元本割れは避けたい」「着実に資産を守りたい」という方向けの、比較的リスクが低い運用方法です。
| 個人向け国債 | 日本国が発行する債券で、安全性が非常に高いのが特徴です。最低金利が年0.05%保証されており、銀行預金よりは有利です。特に「変動10年」タイプは、世の中の金利が上がれば受け取る利息も増えるので、インフレ対策にもなります。 |
| 貯蓄型保険 | 終身保険や養老保険など、万が一の保障を備えながら、将来のためにお金を貯められる保険商品です。ただし、途中で解約すると支払った保険料を下回る「元本割れ」のリスクがあるので、長期で続けることが前提になります。 |
ある程度のリスクを取って資産を増やしたい方向け
「時間をかけてでも資産を増やしたい」「インフレに負けない運用がしたい」という方向けの、ミドルリスク・ミドルリターンの運用方法です。
| 投資信託 | 運用の専門家が、私たちから集めた資金をまとめて株式や債券などに投資してくれる金融商品です。一つの商品でさまざまな資産に分散投資されているため、リスクを抑えやすいのが魅力です。少額から始められ、NISAという税金が優遇される制度を活用するのがおすすめです。 |
| 不動産投資 | マンションやアパートを購入し、貸し出すことで家賃収入(インカムゲイン)を得る方法です。安定した収入が期待できる一方、空室リスクや建物の維持管理コストがかかる点には注意が必要です。 |
税金の優遇制度を賢く活用しよう
資産運用をするなら、税金がお得になる制度を使わない手はありません。特にNISA(ニーサ)は、相続したまとまった資金の運用にぴったりです。
新NISA(少額投資非課税制度)
2024年から始まった新しいNISAは、運用で得た利益(売却益や配当金など)が非課税になる、とてもお得な制度です。通常、投資の利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内での取引ならそれがゼロになります。
新NISAのポイント
| つみたて投資枠 | 年間120万円まで。長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象です。 |
| 成長投資枠 | 年間240万円まで。株式や投資信託など、比較的幅広い商品に投資できます。まとまった資金の運用に向いています。 |
この2つの枠は併用可能で、生涯にわたって非課税で保有できる上限額は合計で1,800万円です。相続した財産を運用する第一歩として、まずはこの非課税枠を最大限活用することをおすすめします。
相続財産を運用する際の3つの注意点
大切な財産を守りながら運用するために、いくつか心に留めておいてほしい注意点があります。焦らず、慎重に進めていきましょう。
まずは相続税の確認を忘れずに
相続した財産の総額によっては、相続税がかかる場合があります。相続税には「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」という基礎控除額があり、遺産総額がこの金額を超えると申告と納税が必要です。申告・納税の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と決まっています。運用を始める前に、まずは税金のことを専門家(税理士など)に相談し、納税資金をしっかり確保しておきましょう。
生活レベルを急に上げない
まとまったお金が手に入ると、つい気持ちが大きくなってしまいがちです。しかし、相続は一時的な収入です。ここで生活レベルを上げてしまうと、元の生活に戻すのはとても難しくなります。まずは冷静に、将来の計画を立てることを優先しましょう。
一つの金融商品に集中投資しない
「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言があります。これは、一つの金融商品にすべての資金を投じてしまうと、それが値下がりしたときに大きな損失を被ってしまう、という意味です。国債、投資信託、株式など、複数の異なる値動きをする資産に分けて投資する「分散投資」を心がけることが、リスクを抑える上で非常に重要です。
まとめ
相続した財産をどう運用すればよいか、イメージが湧いてきましたか?大切なのは、まず預貯金のままにしておくリスクを理解し、ご自身のライフプランやリスクに対する考え方に合わせて、賢い使い道や運用方法を選ぶことです。
特に、インフレから資産価値を守り、将来のために増やしていくためには、NISAなどの非課税制度を活用した資産運用が有効な選択肢となります。まずは少額からでも、ご自身に合った方法で一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。もし不安な点があれば、信頼できる専門家に相談することも検討してみてくださいね。
参考文献
相続した財産の運用に関するよくある質問まとめ
Q.相続した財産の運用、何から始めたらいいですか?
A.まずは相続した財産の種類と金額を正確に把握することから始めましょう。次に、ご自身のライフプランやリスク許容度を明確にし、専門家に相談しながら具体的な運用計画を立てるのがおすすめです。
Q.相続した財産にはどんな運用方法がありますか?
A.預貯金、株式、投資信託、不動産投資など様々です。リスクとリターンのバランスを考え、一つの資産に偏らない「分散投資」を心がけることが大切です。NISAなどの税制優遇制度の活用も検討しましょう。
Q.相続した不動産(家や土地)はどう活用すれば良いですか?
A.主な活用法として、①賃貸に出して家賃収入を得る、②売却して現金化する、③ご自身で住む、などが考えられます。立地や物件の状態、維持費などを総合的に考慮して、最適な方法を判断しましょう。
Q.相続財産を運用する上で税金の注意点はありますか?
A.はい、運用で得た利益(配当金、売却益、家賃収入など)には所得税や住民税がかかります。どのような税金が、いつ、どのくらいかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。
Q.相続財産の運用について、誰に相談すれば良いですか?
A.資産運用全般については金融機関やファイナンシャルプランナー(FP)、税金については税理士、不動産については不動産会社など、相談したい内容に応じて専門家を選ぶことが重要です。
Q.相続した財産を運用せずにそのままにしておくリスクは?
A.現金のまま保有していると、インフレによって資産価値が実質的に目減りするリスクがあります。また、空き家などの不動産は固定資産税や管理費がかかり続けるため、資産を有効活用する視点が大切です。