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人事じゃない!老後破産の原因と対策、万が一の時の対処法を解説

2026-01-13
目次

「老後破産」という言葉、他人事だと思っていませんか?実は、現役時代に安定した収入があった方でも、定年後に思わぬ形で家計が苦しくなるケースは少なくありません。長寿化が進む現代において、老後の生活設計は誰にとっても重要な課題です。この記事では、なぜ老後破産が起きてしまうのか、その原因から、今すぐ始められる予防策、そして万が一の時のための対処法まで、分かりやすく丁寧にご説明します。この記事を読めば、漠然とした将来への不安が解消され、具体的なアクションプランが見えてくるはずです。

なぜ老後破産は起きるのか?主な原因

「自分は大丈夫」と思っていても、いくつかの要因が重なることで、誰にでも老後破産のリスクは訪れます。まずは、どのようなことが引き金になるのか、主な原因を見ていきましょう。

収入の減少と変わらない生活水準

多くの方が定年退職を迎えると、主な収入源は公的年金になります。しかし、その額は現役時代の収入と比べて大幅に減少するのが一般的です。例えば、令和4年度の厚生年金の平均受給額は月額約14.4万円(国民年金部分を含む)、国民年金のみの場合は月額約5.6万円です。夫婦二人でもらえる年金額を合わせても、現役時代の収入を下回ることがほとんどでしょう。
それにもかかわらず、現役時代と同じような生活水準を維持しようとすると、毎月の家計は赤字になり、貯蓄を切り崩す生活が始まります。この赤字が積み重なることが、老後破産の最も大きな原因の一つです。

予期せぬ高額な支出(医療・介護費)

年齢を重ねると、どうしても病気やケガのリスクは高まります。それに伴い、医療費や介護費といった予期せぬ高額な支出が発生しやすくなります。例えば、大きな手術や長期入院が必要になった場合、高額療養費制度を利用しても自己負担は月々数万円から十数万円にのぼることがあります。また、親や配偶者の介護が必要になれば、介護サービスの利用料や介護施設の入居費用で月々数万円から数十万円の費用がかかることも珍しくありません。これらの支出は、計画していた老後資金を大きく圧迫する要因となります。

住宅ローンの残債と家の維持費

晩婚化などの影響で、住宅ローンを組む年齢が上がり、定年後も返済が残ってしまうケースが増えています。年金収入の中から毎月住宅ローンを返済していくのは、家計にとって非常に大きな負担です。さらに、持ち家の場合、住宅ローンの返済が終わっても固定資産税修繕費(外壁塗装や給湯器の交換など)といった維持費が継続的にかかります。これらの住居関連費用が、老後の家計をじわじわと追い詰めていくことがあります。

子や孫への経済的支援

子どもが独立した後も、経済的な支援を続けている家庭も少なくありません。例えば、成人した子どもの生活費の援助、結婚費用の援助、さらには可愛い孫の教育費の援助などです。良かれと思って始めた支援が長期化し、自分たちの老後資金を削ってしまう結果になることもあります。特に、離婚した子どもが孫を連れて実家に戻ってくるなど、想定外の形で家族の生活費まで背負うことになると、家計は一気に苦しくなります。

退職金の運用失敗や詐欺被害

まとまった退職金を手にした際に、「少しでも増やしたい」と考えるのは自然なことです。しかし、金融知識が不十分なままハイリスクな投資商品に手を出してしまい、大切な退職金を大きく減らしてしまうケースが後を絶ちません。また、高齢者は「必ず儲かる」「あなただけ」といった甘い言葉で誘う投資詐欺特殊詐欺のターゲットにされやすく、老後の生活資金を根こそぎ奪われてしまう悲しい事件も多く発生しています。

私は大丈夫?老後破産しやすい人の特徴チェックリスト

ご自身の状況を客観的に見つめ直してみましょう。以下の項目に3つ以上当てはまる方は、少し注意が必要かもしれません。早めに見直しを始めるきっかけにしてください。

チェック項目 内  容
□ 家計管理の曖昧さ 毎月の収支を正確に把握しておらず、家計簿もつけていない。
□ 貯蓄が苦手 「余ったら貯金しよう」と思っているが、結局毎月使い切ってしまう。
□ ローンが残っている 60歳を過ぎても、住宅ローンやカードローンなどの返済が残る予定だ。
□ 老後計画が未定 自分の年金がいくらもらえるか知らず、老後の生活設計を立てたことがない。
□ 楽観的な考え方 「退職金があるから大丈夫」「いざとなれば何とかなる」と思っている。
□ 人に頼まれると断れない 子どもや孫からお金の無心をされると、つい援助してしまう。

老後破産を防ぐ!今日からできる5つの対策

老後破産は、現役時代からの備えで十分に防ぐことが可能です。「まだ先のこと」と思わずに、今日からできることから始めてみましょう。

家計の「見える化」と固定費の見直し

まず最初に行うべきは、家計の収支を正確に把握することです。家計簿アプリなどを活用して、毎月何にいくら使っているのかを「見える化」しましょう。支出が分かれば、どこに無駄があるのかが見えてきます。特に、毎月自動的に引き落とされる固定費(スマートフォン料金、保険料、サブスクリプションサービスなど)の見直しは効果が大きいです。プラン変更や不要な契約の解除で、月々数千円でも支出を減らせれば、年間では数万円の差になります。

計画的な資産形成(iDeCo・NISA)

公的年金だけでゆとりのある老後を送るのは難しい時代です。そこで重要になるのが、自分自身で老後資金を準備する「資産形成」です。国も税制優遇制度を用意して後押ししています。
例えば、掛金が全額所得控除になるiDeCo(個人型確定拠出年金)や、運用益が非課税になる新NISA(少額投資非課税制度)などを活用するのがおすすめです。少額からでも始められるので、リスクを抑えながら長期的な視点でコツコツと資産を育てていきましょう。

住宅ローンの繰り上げ返済

もし住宅ローンが残っているなら、定年退職までに完済することを目指しましょう。資金に余裕がある時に「繰り上げ返済」を行うことで、総支払額を減らしたり、返済期間を短縮したりできます。退職金で一括返済を考えている方も多いですが、退職金は大切な老後資金です。できるだけ現役時代の収入でローンを完済し、退職金は老後の生活費や万が一の備えとして手元に残しておくのが理想です。

長く健康に働き続ける

老後の収入を増やす最も確実な方法は、少しでも長く働くことです。65歳、70歳と働く期間が長くなれば、その分収入を得られ、年金の繰下げ受給(後述)の選択肢も生まれます。長く働くためには、何よりも健康が資本です。日頃から適度な運動やバランスの取れた食事を心がけ、健康診断を定期的に受けるなど、健康寿命を延ばす努力が将来の家計を助けることにつながります。

公的制度を知っておく

いざという時に自分を助けてくれる公的な制度について知っておくことも、立派な対策です。例えば、医療費の自己負担額に上限を設ける「高額療養費制度」や、年金の受給開始を66歳以降に遅らせることで受給額を増やせる「繰下げ受給」などがあります。年金の繰下げ受給は、75歳まで遅らせると年金額が最大で84%も増額されます。これらの制度を正しく理解し、自分の状況に合わせて活用できるように準備しておきましょう。

万が一、老後破産してしまったらどうなる?

もし対策が間に合わず、生活が立ち行かなくなってしまった場合、どうなるのでしょうか。最終的な選択肢として自己破産や生活保護がありますが、そこに至るまでには厳しい現実があります。

持ち家や車などの資産を失う

自己破産の手続きをすると、借金の返済義務は免除されますが、その代償として生活に最低限必要な財産(99万円以下の現金など)を除き、持ち家や車、預貯金といった資産は原則としてすべて手放すことになります。長年住み慣れた家を失うことは、経済的なダメージだけでなく、精神的にも大きな負担となります。

最終的なセーフティネット「生活保護」

あらゆる資産や能力を活用してもなお生活が困窮する場合、最後のセーフティネットとして生活保護制度があります。生活保護を受給できれば、国が定めた最低限度の生活を送るための費用(生活扶助や住宅扶助など)が支給されます。例えば、東京都区部等の高齢者単身世帯の場合、食費や光熱費にあたる生活扶助基準額は月額77,980円(令和5年10月現在)で、これに家賃相当分の住宅扶助などが加わります。ただし、受給するためには厳しい資産要件などがあり、誰でも簡単に受けられるわけではありません。

どうしても困った時の最終手段

破産という事態に陥る前に、検討できることがあります。一人で抱え込まず、早めに専門機関に相談することが大切です。

公的な相談窓口を利用する

経済的に困窮してしまったら、まずは公的な窓口に相談しましょう。市区町村の福祉担当課社会福祉協議会、国が設立した法的トラブルの相談窓口である「法テラス」などでは、無料で相談に乗ってくれます。専門家が状況を整理し、利用できる制度や解決策を一緒に考えてくれます。

持ち家を活用した資金調達

持ち家がある場合に限り、それを活用して当面の資金を調達する方法があります。代表的なものが「リースバック」と「リバースモーゲージ」です。

方法 概  要
リースバック 自宅を不動産会社などに売却してまとまった資金を得て、その後は買主と賃貸契約を結び、家賃を払いながら同じ家に住み続ける方法です。
リバースモーゲージ 自宅を担保にお金を借りる制度です。契約者が亡くなった後に自宅を売却するなどして借入金を一括返済します。生きている間は、利息のみの返済で済むことが多いです。

どちらもメリット・デメリットがあるため、利用する際は家族とよく相談し、専門家の意見を聞きながら慎重に検討することが重要です。

まとめ

老後破産は、特別な誰かの話ではなく、誰の身にも起こりうる現実的なリスクです。しかし、その原因を知り、現役時代から計画的に対策を立てることで、そのリスクは大きく減らすことができます。まずはご自身の家計状況を見直し、「見える化」することから始めてみてください。そして、iDeCoやNISAを活用した資産形成、健康維持など、できることから一歩ずつ行動に移していくことが、安心で豊かなセカンドライフにつながります。もし少しでも不安を感じたら、一人で悩まずに専門家や公的機関に相談しましょう。

参考文献

老後破産に関するよくある質問まとめ

Q.老後破産はなぜ起きてしまうのですか?

A.主な原因は「収入の減少(年金だけでは不十分)」「支出の増加(医療費・介護費)」「退職金の不足や住宅ローン残債」「想定外の病気や家族の介護」などが挙げられます。現役時代と同じ感覚で生活していると、貯蓄が予想以上に早く尽きてしまうケースが多いためです。

Q.老後破産を防ぐために、現役時代からできる対策は何ですか?

A.まずは「家計の見直し」で収支を正確に把握し、「長期的な資産形成(iDeCoや新NISAなど)」を早くから始めることが重要です。また、健康を維持して将来の医療費を抑えることや、長く働けるスキルを身につけて収入源を確保することも有効な対策です。

Q.老後の生活費は、月々どれくらい準備すれば安心ですか?

A.総務省の調査では、高齢夫婦無職世帯の平均的な生活費は月額約25万円程度とされています。ただし、これはあくまで平均値です。ご自身の希望するライフスタイル(旅行、趣味など)に合わせて、ゆとりを持った資金計画を立てることが大切です。

Q.もし老後の生活が苦しくなったら、どうすればいいですか?

A.まずは公的な支援制度の活用を検討しましょう。お住まいの自治体の窓口で「生活福祉資金貸付制度」や「生活保護」などの相談ができます。持ち家があれば、それを担保に生活資金を借り入れる「リバースモーゲージ」という選択肢もあります。

Q.親が老後破産しそうな場合、子供として何ができますか?

A.まずは親子で現状を冷静に話し合い、収支状況を正確に把握することが第一歩です。その上で、公的支援の申請を手伝ったり、家計の見直しを一緒に考えたりすることが考えられます。無理のない範囲での援助も選択肢ですが、まずは公的な相談窓口へ繋ぐことが重要です。

Q.老後破産に関する公的な相談窓口はどこですか?

A.お住まいの市区町村の福祉担当窓口、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどが主な相談先です。借金問題が深刻な場合は、法テラス(日本司法支援センター)で弁護士や司法書士への無料法律相談を利用することもできます。

事務所概要
社名
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対応責任者
税理士 島本 雅史

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