故人がゴルフを趣味にしていた場合、遺産の中にゴルフ会員権が含まれていることがありますよね。ゴルフ会員権は財産的な価値があるため、原則として相続税の課税対象になります。しかし、その評価方法は種類によって異なり、少し複雑に感じるかもしれません。この記事では、ゴルフ会員権の相続税評価額の計算方法について、どなたにも分かりやすく丁寧に解説していきますね。
ゴルフ会員権は相続税の対象になるの?
まずはじめに、ゴルフ会員権がどのようなもので、相続財産になるのか、基本的なところからお話しします。ゴルフ会員権とは、ゴルフクラブを会員として利用できる権利のことです。これには財産的な価値が認められるため、基本的には相続税の対象となります。ただし、すべての会員権に価値があるわけではない点も知っておきましょう。
ゴルフ会員権の種類
ゴルフ会員権には、大きく分けていくつかの種類があります。どの種類に当てはまるかによって評価方法が変わってくるので、最初に確認することが大切です。主な種類は以下の通りです。
| 株主制 | ゴルフクラブを運営する会社の株主になることで、会員としての権利を得るタイプです。クラブの経営に参加できる権利も含まれます。 |
| 預託金制 | ゴルフクラブに一定のお金を預ける(預託する)ことで、会員としての権利を得るタイプです。日本のゴルフ場の多くがこの形式です。 |
| プレー会員権制 | 株主になったり預託金を預けたりするのではなく、プレーする権利そのものを購入するタイプです。 |
相続財産にならないケース
すべてのゴルフ会員権が相続税の対象になるわけではありません。例えば、ゴルフクラブの規約で「会員の死亡とともに権利が消滅する」と定められていて、相続が認められていない場合があります。また、譲渡ができないプレー会員権制のように、金銭的な価値がないと判断されるものも、相続税評価額は0円として扱われます。
ゴルフ会員権の相続税評価額の計算方法
ここからが本題です。ゴルフ会員権の評価方法は、まず「取引相場があるか、ないか」で大きく2つに分かれます。ここが一番のポイントになりますので、しっかり押さえていきましょう。それぞれのケースについて、具体的な計算方法を詳しく見ていきますね。
取引相場のあるゴルフ会員権の評価
市場で売買されている、最も一般的なゴルフ会員権の評価方法です。基本的な計算式と、預託金の有無による違いを順番に解説します。
基本的な評価方法(預託金なし、または返還見込みなし)
最もシンプルなケースです。評価額は、被相続人が亡くなった日(課税時期)の取引価格の70%で計算します。これは国税庁が定めたルールです。例えば、課税時期の取引価格が100万円だった場合、相続税評価額は70万円となります。
【計算式】課税時期の取引価格 × 70% = 相続税評価額
預託金があり、すぐに返還される場合
会員権とは別に、退会時などに返還される預託金がある場合は、その金額も財産価値に含める必要があります。計算は簡単で、先ほどの取引価格の70%に、返還される預託金の額をそのまま足し合わせます。
【計算式】(課税時期の取引価格 × 70%) + 返還される預託金の額 = 相続税評価額
預託金があり、一定期間後に返還される場合
預託金の返還が「5年後」や「10年後」など、将来に設定されている場合は、現在の価値に割り引いて評価します。将来もらえるお金は、今すぐもらえるお金よりも価値が少し低いと考えられるからです。この割り引いた額を「複利現価相当額」といい、国税庁が公表する基準年利率と複利現価率を使って計算します。
【計算式】(課税時期の取引価格 × 70%) + 預託金の複利現価相当額 = 相続税評価額
取引相場のないゴルフ会員権の評価
ゴルフクラブの規約で譲渡が禁止されていたり、長期間にわたって名義書換が停止されていたりして、市場価格が存在しない会員権もあります。この場合は、会員権の種類に応じて以下のように評価方法が変わります。
| 株主制会員権 | ゴルフ場の株式として評価します。これは「非上場株式の評価」という専門的な方法を用いるため、非常に複雑です。この場合は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。 |
| 預託金制会員権 | 返還される預託金の額そのものが評価額となります。返還まで期間がある場合は、先ほどと同じように複利現価率を使って現在の価値に割り引いて計算します。 |
| 株主制+預託金制 | 上記の「株主制」の方法で計算した評価額と、「預託金制」の方法で計算した評価額を合計した金額になります。 |
| プレー権のみ(譲渡不可) | 金銭的な価値がないとみなされるため、相続税評価額は0円です。 |
取引相場の調べ方
「取引相場のある会員権」の評価に欠かせない取引相場ですが、これはどうやって調べればいいのでしょうか。主な方法と、調べた際の注意点についてご説明しますね。
仲介業者のウェブサイトで確認する
最も手軽な方法は、ゴルフ会員権の売買を仲介している業者のウェブサイトで確認することです。インターネットで「〇〇カントリークラブ 会員権相場」のように検索すると、複数の業者のサイトが見つかります。そこで、被相続人が亡くなった日に最も近い日の取引価格を調べましょう。
取引相場が複数ある場合の対処法
同じゴルフ会員権でも、仲介業者によって提示される価格が異なることは珍しくありません。このような場合、相続税の計算上有利になる最も低い価格を採用して問題ありません。ただし、一つの業者の価格だけが他の価格と極端にかけ離れている場合は、税務調査で指摘される可能性もゼロではありません。念のため、複数の価格を確認し、その中で妥当と思われる金額を選ぶのが安心です。
相続税申告書への記載方法
ここまでで計算したゴルフ会員権の評価額は、相続税申告書の「第11表(相続税がかかる財産の明細書)」という書類に記載します。記載方法は以下の通りで、それほど難しくはありませんよ。
・「種類」の欄:「その他の財産」と記載します。
・「細目」の欄:「ゴルフ会員権」と記載します。
・「利用区分、銘柄等」の欄:「〇〇カントリークラブ」のように、ゴルフ場の正式名称を記載します。
・「所在場所等」の欄:ゴルフ場の住所を記載します。
・「価額」の欄:計算した相続税評価額を記入します。
・「取得財産の価額」の欄:ゴルフ会員権は不動産と違って共有することができないため、相続する人ひとりの欄に、価額と同じ金額を記載します。
まとめ
今回は、ゴルフ会員権の相続税評価額について、計算方法や注意点を詳しく解説しました。一番のポイントは、まず「取引相場の有無」を確認し、会員権の種類に応じた正しい方法で評価することでしたね。評価方法は一見すると複雑に感じるかもしれませんが、この記事でご紹介した手順に沿って一つひとつ確認していけば、ご自身でもある程度の評価額を計算することができます。
もし、取引相場のない株主制の会員権のように評価が難しいケースや、ご自身での計算に不安がある場合は、無理をせず税理士などの専門家にご相談ください。正確な評価と申告で、スムーズな相続手続きを進めていきましょう。
参考文献
ゴルフ会員権の相続税評価額に関するよくある質問まとめ
Q. ゴルフ会員権は相続税の課税対象になりますか?
A. はい、ゴルフ会員権は金銭的価値のある財産とみなされるため、相続税の課税対象となります。相続財産として申告が必要です。
Q. ゴルフ会員権の相続税評価額はどのように決まりますか?
A. 取引相場のあるゴルフ会員権は、被相続人が亡くなった日の「最終価格の70%」で評価します。取引相場がない場合は、専門家への相談をおすすめします。
Q. 預託金制のゴルフ会員権の評価方法は通常と違いますか?
A. 預託金制のゴルフ会員権も、基本的には取引相場を基に評価します。取引相場が預託金の額を下回る場合でも、預託金の額ではなく、あくまで取引相場(の70%)で評価します。
Q. ゴルフ会員権を相続したくない場合、相続放棄できますか?
A. ゴルフ会員権だけを放棄することはできません。相続放棄をする場合は、預貯金や不動産など他のすべての財産も一緒に放棄する必要があります。
Q. 相続したゴルフ会員権の名義変更には何が必要ですか?
A. 一般的に、ゴルフ場所定の書類、戸籍謄本、遺産分割協議書などが必要です。名義書換料も発生します。詳細は各ゴルフ場にご確認ください。
Q. ゴルフ会員権の相続税申告はいつまでに行えばよいですか?
A. 相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署へ申告と納税を行う必要があります。