ご家族が亡くなられた後、故人の銀行口座が凍結されてしまい、葬儀費用や生活費の支払いに困っていませんか?「手続きが複雑そう」「費用はどれくらいかかるの?」といった不安を感じる方も多いかもしれません。この記事では、銀行口座の凍結解除にかかる費用や具体的な手続きの流れ、そして状況に応じた必要書類について、誰にでも分かりやすく、ステップごとに丁寧に解説していきます。この記事を読めば、落ち着いて手続きを進めることができるようになりますよ。
銀行口座の凍結解除にかかる費用
まず気になるのが費用ですよね。銀行口座の凍結解除手続きそのものに対して、銀行に手数料を支払う必要は基本的にありません。ただし、手続きに必要な書類を取得するための実費や、専門家に依頼する場合の報酬が発生します。それぞれについて見ていきましょう。
自分で手続きする場合の費用
ご自身で手続きを進める場合、費用は必要書類の発行手数料のみとなります。主な書類の費用は以下の通りです。相続人の人数や、故人が本籍地を何度か移しているかによって、必要な戸籍謄本の枚数が変わってきますが、一般的には合計で数千円から1万円程度に収まることが多いですよ。
| 書類名 | 1通あたりの費用目安 |
| 戸籍謄本 | 450円 |
| 除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 750円 |
| 印鑑登録証明書 | 300円~400円(市区町村による) |
専門家(司法書士など)に依頼する場合の費用
「手続きが複雑で時間がない」「相続人が多くて書類集めが大変」といった場合には、司法書士などの専門家に代行を依頼することもできます。その場合、上記の実費に加えて専門家への報酬が必要になります。報酬は事務所によって異なりますが、金融機関1社あたり3万円~5万円程度が相場とされています。遺産の総額や手続きの複雑さによって費用は変動するため、依頼を検討する際は、複数の事務所から見積もりを取って比較してみることをおすすめします。
銀行口座の凍結解除手続きの3ステップ
銀行口座の凍結解除は、以下の3つのステップで進めていきます。手続きには時間がかかることもあるので、慌てずに一つずつ着実に進めていきましょう。一般的に、すべての書類を提出してから手続きが完了するまでには、おおよそ2週間~1ヶ月程度かかります。
ステップ1:金融機関への連絡と必要書類の確認
はじめに、故人が口座を持っていた銀行や信用金庫などの金融機関に連絡をします。窓口に直接行くか、相続専門のコールセンターに電話をして、口座名義人が亡くなったことを伝えてください。この連絡をした時点で、その金融機関にある故人名義のすべての口座が凍結されます。その際、今後の手続きの流れと、相続の状況に応じた必要書類について詳しく案内してもらえますので、しっかりとメモを取っておきましょう。
ステップ2:必要書類の収集・作成
次に、金融機関から案内された必要書類を集めます。戸籍謄本や印鑑証明書などを役所で取得したり、相続人全員で遺産分割協議書を作成したりします。この書類集めが、相続手続きの中で最も時間と手間がかかる部分かもしれません。次の章で詳しく解説しますが、遺言書の有無などによって必要な書類が大きく変わるので、ご自身のケースに合わせて準備を進めましょう。
ステップ3:書類の提出と払戻し
すべての書類が揃ったら、金融機関の窓口に提出します。書類に不備がなければ、金融機関内で確認作業が進められます。手続きが完了すると、預金は解約されて指定した相続人の口座に振り込まれるか、口座の名義人が相続人に変更された新しい通帳が発行されます。これで一連の手続きは完了です。
【ケース別】銀行口座の凍結解除に必要な書類一覧
口座凍結の解除に必要な書類は、遺言書があるか、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)が終わっているかなど、状況によって大きく異なります。ここでは、代表的な3つのケースに分けて、一般的に必要となる書類を表にまとめました。
ケース1:遺言書がある場合
故人が遺言書を残していた場合は、その内容に従って手続きを進めることになります。自筆の遺言書の場合は、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要になる点に注意してください。
| 必要書類 | 概 要 |
| 遺言書(原本) | 公正証書遺言以外は、家庭裁判所の「検認済証明書」が必要です。 |
| 亡くなった方の死亡が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本) | |
| 預金を相続する方(受遺者)の戸籍謄本 | |
| 預金を相続する方(受遺者)の印鑑証明書 | 発行後3ヶ月または6ヶ月以内のもの(金融機関によります)。 |
| 金融機関所定の相続手続依頼書 | 窓口で受け取るか、ウェブサイトからダウンロードします。 |
| 亡くなった方の通帳・キャッシュカードなど | 紛失した場合はその旨を申し出てください。 |
ケース2:遺産分割協議書がある場合
遺言書がなく、相続人全員での話し合いで財産の分け方を決めた場合は、「遺産分割協議書」を作成します。この書類には、相続人全員の署名と実印での押印が必要です。
| 必要書類 | 概 要 |
| 遺産分割協議書 | 相続人全員の署名と実印での押印が必要です。 |
| 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本 | 複数の役所にまたがることも多く、収集に時間がかかる場合があります。 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 発行後3ヶ月または6ヶ月以内のもの(金融機関によります)。 |
| 金融機関所定の相続手続依頼書 | |
| 亡くなった方の通帳・キャッシュカードなど |
ケース3:遺言書も遺産分割協議書もない場合
この場合、法定相続分通りに分けるか、相続人全員の同意のもとで手続きを進めます。金融機関所定の書類に相続人全員が署名・押印することで、遺産分割協議書の代わりとすることが一般的です。必要書類は基本的にケース2と同じですが、「遺産分割協議書」の代わりに金融機関指定の「相続関係届出書」などを使用します。
口座凍結後でも大丈夫!「仮払い制度」で一部出金する方法
「葬儀費用をすぐに支払いたい」「残された家族の当面の生活費が必要」といった緊急の場合には、口座凍結解除の正式な手続きが終わる前でも、預金の一部を引き出せる「仮払い制度」を利用できます。これは2019年7月から始まった便利な制度です。
仮払い制度で引き出せる金額
この制度で引き出せる金額には上限があり、以下の計算式で算出されます。
「死亡時の預金残高 × 1/3 × 払戻しを受ける相続人の法定相続分」
ただし、この計算結果に関わらず、一つの金融機関から引き出せる上限額は150万円までと定められています。
仮払い制度の手続きと必要書類
仮払い制度を利用する場合でも、相続人であることを証明するための書類が必要です。通常の相続手続きよりは少ない書類で済むことが多いですが、事前に金融機関に確認しましょう。
| 必要書類 | 概 要 |
| 金融機関所定の払戻請求書 | 仮払い制度専用の書類です。 |
| 亡くなった方の除籍謄本 | 死亡の事実と、相続関係を確認するために必要です。 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 法定相続人を確認するために求められることがあります。 |
| 払戻しを受ける相続人の印鑑証明書 | 本人確認のために必要です。 |
銀行口座が凍結される前に注意すべきこと
銀行に死亡の連絡を入れると、その時点ですぐに口座は取引停止となります。そのため、連絡をする前にいくつか確認しておくと、その後の手続きがスムーズに進みます。
公共料金などの引き落とし口座の変更
故人の口座が電気、ガス、水道、電話代、クレジットカードなどの引き落とし口座になっている場合、凍結されると支払いができなくなってしまいます。そのままにしておくと延滞料金が発生したり、サービスが停止されたりする恐れがあるため、事前に契約者名義の変更と、引き落とし口座の変更手続きを済ませておきましょう。
凍結前の預金引き出しは大きなリスクを伴います
故人のキャッシュカードと暗証番号を知っていれば、亡くなった後でもATMで現金を引き出すことは物理的に可能です。しかし、この行為は絶対にやめましょう。大きなリスクが伴います。まず、引き出したお金の使い道が不透明だと、他の相続人から「財産を隠したのではないか」と疑われ、深刻なトラブルに発展する原因になります。さらに法的には、預金を引き出す行為は「相続を単純承認した」と見なされる可能性があります。これは、故人のプラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継ぐという意思表示と解釈されるため、後から多額の借金が発覚しても「相続放棄」ができなくなってしまう危険性があるのです。
まとめ
銀行口座の凍結解除は、必要書類が多く、手続きが少し複雑に感じられるかもしれません。ですが、この記事でご紹介したように、手順を追って一つひとつ進めていけば、必ず完了することができます。費用面では、ご自身で手続きを行えば数千円程度の実費で済みます。もし時間がなかったり、相続人が多くて調整が大変だったりする場合は、司法書士などの専門家に依頼することも有効な選択肢の一つです。まずは故人が口座を持っていた金融機関に連絡し、ご自身のケースではどのような書類が必要になるのかを確認することから始めてみてくださいね。
参考文献
銀行口座の凍結解除に関するよくある質問まとめ
Q.銀行口座が凍結されるのはどのような場合ですか?
A.口座名義人が亡くなったことを金融機関が知った場合(相続発生時)が最も一般的です。その他、債務整理や差押え、犯罪への利用が疑われる場合などにも凍結されることがあります。
Q.口座凍結の解除にはどのような手続きが必要ですか?
A.凍結理由によって手続きは異なりますが、相続の場合は必要書類を揃えて金融機関の窓口で手続きを行います。まずは口座のある金融機関に連絡し、具体的な手順と必要書類を確認することが第一歩です。
Q.相続による口座凍結の解除に必要な書類は何ですか?
A.一般的に、被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、遺産分割協議書などが必要です。金融機関所定の書類も必要となるため、事前に必ず確認しましょう。
Q.銀行口座の凍結解除に費用はかかりますか?
A.金融機関への手数料は基本的にかかりませんが、戸籍謄本や印鑑証明書といった必要書類の取得に実費が必要です。また、手続きを司法書士などの専門家に依頼した場合は別途報酬が発生します。
Q.口座凍結の解除までどれくらいの期間がかかりますか?
A.必要書類を金融機関に提出してから、通常1~2週間程度で手続きが完了します。ただし、書類に不備があったり、相続関係が複雑だったりすると、さらに時間がかかる場合があります。
Q.専門家に依頼せず自分で凍結解除手続きはできますか?
A.はい、ご自身で手続きを行うことは可能です。ただし、必要書類の収集や作成には時間と手間がかかります。相続人が多い、平日に時間が取れないといった場合は、専門家への依頼も有効な選択肢です。