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祖父母の遺産を孫が相続できる?知っておきたい4つのケースと注意点

2026-04-12
目次

「おじいちゃん、おばあちゃんの財産を、孫である私が受け取ることはできるのかな?」と考えたことはありませんか?実は、原則として孫は祖父母の遺産を直接相続する権利(法定相続人)はありません。でも、諦めるのはまだ早いですよ。特定のケースでは、お孫さんも大切な遺産を受け取ることができるんです。この記事では、祖父母の遺産を孫が相続する具体的なケースや、知っておくべき税金の注意点、そして生前の対策について、わかりやすくお話ししていきますね。

祖父母の遺産を孫が相続する4つのケース

通常、お孫さんは相続人にはなりませんが、例外的に遺産を受け継ぐことができる4つのパターンがあります。ご自身の状況がどれかに当てはまるか、一緒に見ていきましょう。

親が先に亡くなっている場合(代襲相続)

もし、祖父母が亡くなるよりも前に、相続人である親(祖父母の子)がすでに亡くなっていた場合、その子どもである孫が親に代わって相続人になります。これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と言います。これは、お孫さんが相続権を引き継ぐ、最も一般的なケースですね。
代襲相続が起こる理由は、親の死亡だけではありません。親が重大な非行によって相続権を失う「相続欠格」や、祖父母の意思で相続権を剥奪される「相続廃除」の場合も、その子どもである孫が代わって相続人になります。

代襲相続が発生する原因 内容
相続人の死亡 祖父母より先に親が亡くなっているケースです。
相続欠格 親が祖父母を殺害しようとするなど、法律で定められた重大な非行をした場合に相続権を失うことです。
相続廃除 親が祖父母を虐待するなどしたため、祖父母が家庭裁判所に申し立てて相続権を剥奪することです。

遺言書で孫に財産を渡すと指定されている場合

祖父母が「この財産は孫の〇〇に渡す」という内容の遺言書をのこしていた場合、お孫さんはその遺産を受け取ることができます。これを「遺贈(いぞう)」と呼びます。遺言書は、亡くなった方の意思を最も尊重するものですので、法定相続人ではないお孫さんにも、特定の財産をのこすことができるんです。「自宅の土地と建物を孫に」といった特定の財産を指定する方法(特定遺贈)や、「全財産の3分の1を孫に」と割合で指定する方法(包括遺贈)があります。

孫と養子縁組をしている場合

祖父母がお孫さんと生前に養子縁組をしていた場合、そのお孫さんは法律上「子」として扱われます。そのため、実の子どもと同じ立場で法定相続人となり、遺産を相続する権利を持ちます。この場合、他の子どもたちと同じ割合で遺産を受け取ることになります。これは、祖父母が特定のお孫さんに確実に財産をのこしたいと考える場合に使われる方法の一つです。

相続手続き中に親が亡くなった場合(数次相続)

少し複雑なケースですが、祖父母が亡くなった後、遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が終わる前に、相続人である親が亡くなってしまうことがあります。この場合、親が持っていた「祖父母の遺産を相続する権利」を、その子どもである孫が引き継ぐことになります。これを「数次相続(すうじそうぞく)」と呼びます。祖父の相続(一次相続)と、父の相続(二次相続)が立て続けに起こるイメージですね。

孫が遺産を相続するときの注意点

お孫さんが遺産を相続できるのは嬉しいことですが、いくつか注意しなければならない点があります。後々のトラブルを避けるためにも、しっかり確認しておきましょう。

親が「相続放棄」すると孫は代襲相続できない

代襲相続と間違えやすいのが「相続放棄」です。もし親が、祖父母の遺産(借金なども含む)を一切受け取らない「相続放棄」を家庭裁判所で手続きした場合、その親は初めから相続人ではなかったことになります。そのため、代襲相続は発生せず、お孫さんに相続権が移ることはありません。遺産は、祖父母の両親や兄弟姉E妹など、次の順位の相続人に引き継がれていきます。

他の相続人から「遺留分」を請求される可能性

遺言書によってお孫さんが多くの財産を受け取った場合、注意したいのが「遺留分(いりゅうぶん)」です。遺留分とは、配偶者や子どもなど、一定の法定相続人に法律で保障された最低限の遺産の取り分のことです。例えば「全財産を孫に」という遺言があった場合、本来遺産をもらえるはずだった他の相続人(祖父母の配偶者や他の子など)の遺留分を侵害してしまう可能性があります。その場合、他の相続人はお孫さんに対して、侵害された分のお金を支払うよう請求(遺留分侵害額請求)することができます。

相続人の組み合わせ 遺留分の割合(遺産全体に対して)
配偶者のみ 2分の1
配偶者と子 配偶者:4分の1、子:4分の1
子のみ 2分の1

※祖父母の兄弟姉妹には遺留分はありません。

必要書類や手続きが通常と異なる場合がある

代襲相続や数次相続の場合、通常の相続手続きよりも必要になる書類が多くなります。例えば代襲相続では、亡くなった祖父母の出生から死亡までの戸籍謄本に加えて、先に亡くなった親の出生から死亡までの戸籍謄本もすべて集める必要があります。誰が相続人であるかを正確に証明するためですね。手続きが複雑になることが多いので、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。

孫が相続する場合の相続税のポイント

お孫さんが遺産を相続する場合、相続税の計算でいくつか特別なルールがあります。知っていると知らないとでは、納税額に大きな差が出ることもありますよ。

相続税が2割加算されるケースがある

ここが一番の注意点です。遺産を相続した人が、亡くなった方の配偶者や子、父母以外の場合、相続税額が2割増しになるというルールがあります。これを「相続税の2割加算」といいます。
お孫さんの場合、次のようになります。

  • 2割加算の対象になるケース:遺言による遺贈や、養子縁組によって相続人になった場合。
  • 2割加算の対象にならないケース:親が先に亡くなっていて「代襲相続人」として相続した場合。

代襲相続でなければ、お孫さんへの相続は税負担が重くなる可能性があることを覚えておきましょう。

法定相続人の数が変わり、基礎控除額に影響する

相続税には「これまでは税金がかかりません」という非課税の枠があり、これを「基礎控除」と呼びます。基礎控除額は「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」で計算されます。
代襲相続によってお孫さんが複数人相続人になったり、養子縁組で相続人が増えたりすると、法定相続人の数が増えるため、この基礎控除額が大きくなります。結果として、相続税がかからなくなったり、税額が下がったりするメリットがあります。同様に、生命保険金の非課税枠「500万円 × 法定相続人の数」も増えます。

養子の数には税法上の制限がある

養子縁組で法定相続人を増やせば節税になる、と考える方もいるかもしれませんが、税金の計算上、法定相続人の数に含められる養子の数には制限があります。
亡くなった方に実の子どもがいる場合は1人まで、実の子どもがいない場合は2人までと決められています。これは、相続税を不当に安くするための無制限な養子縁組を防ぐためです。

孫に財産を渡す「生前贈与」という選択肢

相続を待つだけでなく、祖父母が元気なうちに財産を渡す「生前贈与」という方法もあります。計画的に進めることで、スムーズな財産承継が可能です。

暦年贈与(年間110万円まで非課税)

最もシンプルな方法が、毎年コツコツ贈与する「暦年贈与」です。1年間(1月1日~12月31日)に受け取った財産の合計額が110万円までであれば、贈与税はかからず、申告も不要です。お孫さんは法定相続人ではないため、原則として相続開始前の贈与財産を遺産に加算(持ち戻し)する必要がない点も大きなメリットです。

目的別の非課税制度

お孫さんの将来のために、まとまった資金を非課税で贈与できる特例制度もあります。ただし、いずれも期間限定の制度なので、利用する際は期限を確認しましょう。

制度の名称 非課税限度額
教育資金の一括贈与 1,500万円まで(学校以外の習い事等は500万円まで)
結婚・子育て資金の一括贈与 1,000万円まで(結婚関係は300万円まで)
住宅取得等資金の贈与 省エネ等住宅で1,000万円、一般住宅で500万円まで

孫が相続するときの基本的な手続きの流れ

実際に相続が発生した場合、どのような流れで手続きを進めるのか、基本的なステップを確認しておきましょう。

  1. 遺言書の有無の確認:まず、故人が遺言書をのこしていないか探します。
  2. 相続人と財産の調査:戸籍謄本などを集めて誰が相続人になるかを確定し、同時に預貯金や不動産、借金など、すべての財産を調査します。
  3. 遺産分割協議:相続人全員で、誰がどの財産をどれだけ受け取るかを話し合います。
  4. 名義変更・解約手続き:不動産や預貯金などの名義を、新しい所有者に変更します。
  5. 相続税の申告・納付:遺産総額が基礎控除額を超える場合は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に税務署へ相続税の申告と納税を行います。

もし、代襲相続人であるお孫さんが未成年者の場合、遺産分割協議に参加するためには、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらう必要があります。親権者も同じ相続の当事者である場合、利益が相反するため代理人にはなれないからです。

まとめ

お孫さんが祖父母の遺産を相続するには、代襲相続や遺言、養子縁組など、いくつかの方法があります。しかし、通常の相続と比べて、相続税が2割加算されたり、他の相続人との間でトラブルになったりする可能性も考えられます。どの方法がご自身の家族にとって一番良いのか、また税金の負担はどうなるのか、事前にしっかりと理解しておくことが大切です。特に、遺言書の作成や生前贈与など、元気なうちから準備できる対策はたくさんあります。もし手続きが複雑でわからないことや、ご家族での話し合いが難しいと感じた場合は、相続に詳しい税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

参考文献

国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分

国税庁 No.4157 相続税額の2割加算

国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択

国税庁 令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

孫の相続に関するよくある質問まとめ

Q.祖父母の遺産を孫が相続できるのはどんな時ですか?

A.主に3つのケースがあります。①親がすでに亡くなっていて孫が代わりに相続する「代襲相続」、②遺言書で孫に遺産を譲ると指定されている「遺贈」、③孫が祖父母の養子になっている「養子縁組」です。

Q.親が健在でも、祖父母の遺産を孫が相続できますか?

A.はい、可能です。祖父母が遺言書で「孫に遺産を遺す」と明記していれば、親が健在でも孫は遺産を受け取ることができます。これを「遺贈」と呼びます。

Q.孫が相続する場合、相続税は高くなるのですか?

A.はい、「相続税額の2割加算」という制度の対象となり、通常の相続税額に2割が加算されます。ただし、代襲相続で相続人となった孫の場合は、この2割加算の対象にはなりません。

Q.代襲相続とは何ですか?簡単に教えてください。

A.代襲相続とは、本来相続人となるはずだった子(孫から見て親)が、祖父母より先に亡くなっている場合に、その子である孫が代わりに相続人になる制度のことです。

Q.祖父母の遺産に借金があった場合、孫も相続放棄できますか?

A.はい、できます。相続する権利があることを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ることで、プラスの財産もマイナスの財産(借金など)もすべて受け継がない「相続放棄」が可能です。

Q.孫が生命保険の受取人になっている場合、その保険金は相続財産になりますか?

A.生命保険金は、原則として受取人固有の財産とみなされるため、遺産分割の対象にはなりません。ただし、相続税の計算上は「みなし相続財産」として課税対象に含まれるので注意が必要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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