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祖母の遺産相続で父が死亡…孫は相続できる?相続順位と注意点を解説

2026-04-18
目次

お祖母様が亡くなられ、深い悲しみの中にいらっしゃることと存じます。相続手続きを進めようとしたとき、本来なら相続人になるはずのお父様がすでにお亡くなりになっていると、「自分は遺産を相続できるのだろうか?」「相続の順位はどうなるの?」と、たくさんの疑問や不安を感じてしまいますよね。ご安心ください。このようなケースでは、お孫さんがお父様に代わって相続人になることができます。この記事では、お父様に代わってお孫さんがお祖母様の遺産を相続する「代襲相続」について、相続順位や相続できる割合、注意点などを分かりやすく解説していきます。

そもそも相続の順位はどう決まるの?

遺産を誰がどれくらい相続できるのかは、民法という法律でルールが決められています。まずは、基本的な相続の仕組みである「法定相続人」と「相続順位」について理解しておきましょう。この基本を知ることで、お孫さんが相続できる理由がよく分かりますよ。

配偶者は常に相続人

亡くなった方(被相続人)に配偶者(夫や妻)がいる場合、配偶者は常に相続人となります。他の相続人が誰であっても、配-配偶者のこの権利は変わりません。今回の場合、お祖父様がご存命であれば、お祖父様は必ず相続人になります。

血族相続人の順位

配偶者以外の親族には、相続できる優先順位が定められています。これを「相続順位」と呼びます。順位の高い人が一人でもいる場合、それより下の順位の人は相続人になることはできません。

順位 対象者
第1順位 子(子が亡くなっている場合は孫などの直系卑属)
第2順位 父母(父母が亡くなっている場合は祖父母などの直系尊属)
第3順位 兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪)

例えば、お祖母様に子ども(お父様など)がいる場合、第1順位の子どものみが相続人となり、第2順位のお祖母様のご両親や、第3順位のお祖母様のご兄弟は相続人にはなりません。

孫は本来、法定相続人ではない

上記の表を見ていただくと分かるように、原則として「孫」は相続順位に含まれていません。お祖母様にお子さん(つまり、あなたのお父様や叔父様・叔母様)がいる場合、その方たちが第1順位の相続人となるため、お孫さんは直接の相続人にはならないのが基本です。しかし、今回のケースのように「相続人であるはずの子が先に亡くなっている」という特別な場合には、お孫さんが相続人となる道が開かれます。

父が死亡している場合、孫が相続できる「代襲相続」とは?

お父様がお祖母様より先に亡くなっている場合に、お孫さんが相続権を引き継ぐ制度のことを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と言います。これは「代わりに襲名する」という字の通り、本来相続人であったお父様の「相続人としての地位」を、その子であるお孫さんがそっくりそのまま引き継ぐ、というイメージです。この制度により、お孫さんはお祖母様の遺産を相続する権利を得るのです。

代襲相続が発生するケース

代襲相続は、いつでも起こるわけではありません。主に以下の3つのケースで発生します。

  1. 相続人(子)が被相続人(親)より先に死亡している場合
    今回のケースがまさにこれにあたります。お父様がお祖母様より先に亡くなられているため、そのお子さんであるお孫さんが代襲相続人となります。
  2. 相続人が「相続欠格」に該当する場合
    相続人が、被相続人を殺害しようとしたり、遺言書を偽造したりするなど、法律で定められた重大な不正行為を行った場合、相続権を失います。この場合も、その相続人にお子さんがいれば代襲相続が発生します。
  3. 相続人が「相続廃除」された場合
    被相続人が、相続人からの虐待や重大な侮辱などを理由に、家庭裁判所に申し立てて相続権を奪った場合です。この場合も、その相続人にお子さんがいれば代襲相続が発生します。

代襲相続が発生しないケース

注意したいのが「相続放棄」の場合です。もし、お父様が生前にお祖母様の相続を「放棄」する意思表示をしていたわけではありませんが、仮に「もし祖母が亡くなっても、自分は相続を放棄する」と考えていたとしても、お父様が亡くなっている今回のケースでは関係ありません。代襲相続が発生しないのは、お父様がお祖母様の相続が発生した後に(つまりお祖母様が亡くなった後、お父様が存命で)家庭裁判所で相続放棄の手続きをした場合です。相続放棄をした人は「初めから相続人ではなかった」とみなされるため、その地位を引き継ぐことはできず、代襲相続は起こりません。

孫の相続分はどうなる?

代襲相続で気になるのが「どれくらいの遺産を相続できるのか」ですよね。お孫さんが相続する遺産の割合(法定相続分)は、亡くなったお父様が本来受け取るはずだった分と全く同じです。
例えば、お祖母様の相続人が、お祖父様(配偶者)とお父様、叔母様の2人(子)だったとします。この場合の法定相続分は、お祖父様が1/2、子どもたちが残りの1/2を分け合うので、お父様と叔母様はそれぞれ1/4ずつです。
もしお父様が亡くなっていると、お孫さんであるあなたが、お父様の相続分である1/4をそのまま引き継ぎます。もし、あなたにご兄弟がいる場合は、その1/4をご兄弟の人数で均等に分け合うことになります。(例:兄弟2人なら、それぞれ1/8ずつ)

孫が相続人になる他のケース

代襲相続以外にも、お孫さんがお祖母様の遺産を受け取れるケースがあります。知識として知っておくと役立つかもしれません。

祖母と孫が養子縁組をしている場合

もし、お祖母様とあなたが生前に養子縁組をしていた場合、あなたは法律上、お祖母様の「子」として扱われます。そのため、代襲相続とは関係なく、第1順位の法定相続人として相続権を持つことになります。この場合、お父様がご存命であっても、あなたはお父様と同じ立場で相続人となります。

遺言書で孫に遺贈する場合

お祖母様が「孫の〇〇に財産を遺す」という内容の遺言書を作成していた場合、その遺言に従って財産を受け取ることができます。これを「遺贈(いぞう)」と呼びます。遺言書は法定相続よりも優先されるため、たとえ相続人でないお孫さんでも財産を引き継ぐことが可能です。ただし、他の相続人には「遺留分」という最低限の遺産を受け取る権利が保障されているため、遺言の内容によってはトラブルに発展する可能性もあります。

孫が相続する場合の注意点

代襲相続人として相続手続きを進める上で、いくつか知っておくべき注意点があります。スムーズに手続きを終えるためにも、事前に確認しておきましょう。

相続税が2割加算されることがある?

相続税には、配偶者と一親等の血族(子や父母)以外の人が財産を相続した場合、相続税額が2割増しになる「2割加算」というルールがあります。お孫さんは通常「二親等」なので、このルールの対象になりそうに思えますよね。
しかし、ご安心ください。代襲相続によって相続人となったお孫さんは、亡くなったお父様(一親等)の立場を引き継ぐため、この2割加算の対象にはなりません。
ただし、遺言による遺贈や、お父様がご存命の状況で養子縁組によって相続人となった場合は、原則として2割加算の対象となるため注意が必要です。

相続手続きに必要な書類が増える

代襲相続を証明するため、通常の相続手続きで必要な書類に加えて、追加の書類が必要になります。具体的には、亡くなったお父様の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本など)です。これにより、あなたがお父様の子どもであり、代襲相続人であることを公的に証明します。役所をいくつか回る必要が出てくるなど、少し手間が増えることを覚えておきましょう。

親族間トラブルの可能性

相続では、残念ながら親族間で意見が対立してしまうことも少なくありません。代襲相続の場合、あなたは他の相続人(例えば叔父様や叔母様)から見れば「甥・姪」という立場になります。遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」では、対等な相続人として意見を主張する必要がありますが、関係性によっては話し合いがスムーズに進まない可能性も考えられます。冷静かつ誠実な態度で協議に臨むことが大切です。

具体的な相続手続きの流れ

実際に相続が発生してから手続きが完了するまでの大まかな流れを知っておくと、落ち着いて行動できます。代襲相続の場合も基本的な流れは同じです。

遺言書の有無を確認する

まず最初に、お祖母様が遺言書を遺していないかを確認します。自宅や貸金庫などを探すほか、公正証書遺言であれば全国の公証役場で、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言であれば法務局で照会することができます。

相続人を確定させる

お祖母様の出生から死亡までの戸籍謄本等を取り寄せ、誰が相続人になるのかを正確に確定させます。代襲相続の場合は、亡くなったお父様の出生から死亡までの戸籍謄本等も必要になります。

相続財産を調査する

預貯金、不動産、株式といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産がないかもれなく調査します。財産の一覧である「財産目録」を作成すると、後の手続きがスムーズです。

遺産分割協議を行う

相続人全員で、誰がどの財産をどれだけ相続するのかを話し合います。あなたも代襲相続人としてこの協議に参加します。全員の合意が得られたら、その内容を「遺産分割協議書」という書面にまとめ、全員が署名・実印を押します。

相続税の申告と納税

相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納税が必要です。期限は、お祖母様が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められているため、計画的に進める必要があります。

まとめ

お祖母様の遺産相続において、相続人であるお父様が既にお亡くなりになっている場合でも、お孫さんは「代襲相続」という制度によって、お父様の代わりに相続人になることができます。その際の相続順位はお父様と同じ第1順位で、相続できる遺産の割合も、お父様が本来受け取るはずだった分をそのまま引き継ぎます。代襲相続の場合は、相続税の2割加算が適用されないというメリットもあります。ただし、手続きに必要な書類が増える点や、他の相続人との話し合いが必要になる点には注意が必要です。相続手続きは複雑で、不安に感じることも多いかと思います。もし手続きで迷ったり、親族間の話し合いに不安があったりする場合は、無理せず税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分

国税庁 No.4157 相続税額の2割加算

国税庁 No.4170 相続人の中に養子がいるとき

祖母の遺産相続(代襲相続)に関するよくある質問まとめ

Q. 祖母が亡くなりましたが、父はすでに亡くなっています。孫である私は祖母の遺産を相続できますか?

A. はい、相続できます。これを「代襲相続」といい、亡くなったお父様に代わって、そのお子様(お孫様)が相続人となります。

Q. 父が亡くなっている場合、祖母の遺産の相続順位はどうなりますか?

A. 本来の相続順位は、配偶者と子(第一順位)です。お父様が亡くなっているため、そのお子様であるお孫様がお父様と同じ第一順位の相続人として、遺産を相続することになります。

Q. 代襲相続する場合、孫の相続分(法定相続分)はどれくらいになりますか?

A. 亡くなったお父様が受け取るはずだった相続分を、その子供たち(お孫様)で均等に分け合います。例えば、お父様の兄弟がおらず、お孫様が2人いる場合、お父様の相続分を2人で半分ずつ相続します。

Q. 祖母に借金があった場合、孫である私も相続放棄できますか?

A. はい、代襲相続人となったお孫様も、相続放棄をすることができます。相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

Q. 代襲相続人として、他の相続人と遺産分割協議に参加する必要はありますか?

A. はい、代襲相続人も正式な相続人ですので、遺産分割協議に参加し、他の相続人と一緒に遺産の分け方を話し合う必要があります。未成年者の場合は、特別代理人の選任が必要です。

Q. 父だけでなく、私もすでに亡くなっている場合、私の子供(祖母から見てひ孫)は相続できますか?

A. はい、できます。これを「再代襲相続」といいます。亡くなったお孫様に代わって、そのお子様(ひ孫)が相続人となります。ただし、再代襲相続が認められるのは、被相続人の直系卑属(子、孫、ひ孫など)の場合に限られます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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