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再婚家庭の相続トラブル回避術!連れ子・前妻の子の相続権を解説

2026-04-25
目次

再婚は素晴らしいことですが、相続となると少し複雑になります。特に「前妻との子」や「再婚相手の連れ子」がいる場合、誰がどれだけ財産を受け取れるのか、気になりますよね。知らずにいると、大切な家族が相続をきっかけに揉めてしまうかもしれません。この記事では、再婚したご夫婦が知っておくべき相続の基本から、トラブルを防ぐための具体的な対策まで、優しく解説していきます。

再婚家庭の相続、誰が相続人になるの?

まずは、誰が財産を受け取る権利を持つ「相続人」になるのか、基本的なルールから見ていきましょう。相続人になる人の範囲や順番は法律で決まっています。配偶者は常に相続人になり、その次に子、親、兄弟姉妹と続きます。再婚家庭では、この「配偶者」と「子」の範囲が少しややこしくなるので、しっかり確認しましょう。

前妻(前夫)に相続権はない

離婚した元妻や元夫には、相続権は一切ありません。法律上の「配偶者」とは、亡くなった時点で婚姻届を提出している相手のことを指します。そのため、どんなに長く連れ添ったとしても、離婚が成立していれば相続人にはなれないのです。相続人となるのは、今、法律上の夫婦である現在の配偶者だけです。

前妻(前夫)との子も、今の配偶者との子も相続人

お子さんについては、状況が異なります。亡くなった方との間に血のつながりがあるお子さんは、全員が等しく相続人になります。これは、前妻(前夫)との間に生まれたお子さんでも、現在の配偶者との間に生まれたお子さんでも同じです。親が離婚・再婚したという事情で、お子さんの相続権が変わることはありません。法定相続分(法律で定められた相続割合)も、お子さんたちの間で平等です。

再婚相手の「連れ子」に相続権はない

ここが一番勘違いしやすいポイントかもしれません。再婚相手が前の結婚で授かったお子さん、いわゆる「連れ子」には、原則として相続権がありません。たとえ一緒に暮らし、本当の親子のように仲が良かったとしても、血のつながりがないため、法律上の相続人にはならないのです。連れ子にも財産を遺したい場合は、特別な手続きが必要になります。

連れ子に財産を相続させるための2つの方法

「連れ子にも、他の子と同じように財産を遺してあげたい」そう思うのは自然なことですよね。連れ子に財産を渡すためには、主に2つの方法があります。それぞれの特徴を理解して、ご自身の家庭に合った方法を選びましょう。

方法1:養子縁組をする

最も確実な方法は、連れ子と養子縁組をすることです。養子縁組をすると、法律上の親子関係が成立し、連れ子は「実子」と全く同じ立場で相続権を持つことができます。つまり、法定相続人となり、遺産分割協議にも参加できるようになります。養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」がありますが、再婚家庭で一般的に利用されるのは、実の親との関係も残る「普通養子縁組」です。

種類 実親との親子関係
普通養子縁組 残ります。養親と実親、両方の相続人になります。
特別養子縁組 消滅します。原則として養親の相続人のみになります。

養子縁組と相続税の関係

養子縁組は、相続税の節税にも繋がることがあります。相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除額があり、法定相続人が増えるほど税金の負担が軽くなるからです。ただし、節税目的だけの無制限な養子縁組を防ぐため、相続税の計算上、法定相続人に含められる養子の数には制限があります。

被相続人の状況 相続税計算上の養子の数
実子がいる場合 1人まで
実子がいない場合 2人まで

ただし、ご安心ください。再婚相手の連れ子を養子にした場合は、「実子」とみなされ、この人数制限の対象外となります。何人養子にしても、法定相続人の数としてカウントできます。

方法2:遺言書で財産を遺す(遺贈)

養子縁組をしない場合でも、遺言書を作成して財産を「遺贈(いぞう)」するという方法で、連れ子に財産を渡すことができます。「○○銀行の預金500万円を、長女〇〇(連れ子)に遺贈する」といった形で、具体的に指定します。ただし、注意点が2つあります。1つは、相続人ではない人が遺贈で財産を受け取ると、相続税が2割加算されること。もう1つは、他の相続人が持つ最低限の取り分である「遺留分」を侵害しないように配慮する必要があることです。

再婚家庭で起こりがちな相続トラブル

再婚家庭の相続は、初婚の家庭に比べて関係者が多く、関係性も複雑になりがちです。そのため、残念ながら相続トラブル、いわゆる「争族」に発展しやすい傾向があります。どのようなトラブルが起こりやすいのか、事前に知っておきましょう。

遺産の取り分をめぐる感情的な対立

トラブルの根底にあるのは、やはり感情的な問題です。例えば、後妻の立場からすると「長年連れ添い、財産形成に貢献してきたのに、会ったこともない前妻の子に財産の半分が渡るのは納得できない」と感じるかもしれません。一方で、前妻の子からすれば「父が再婚しなければ自分がもっと多くもらえたはずだ」という不満を持つこともあります。こうしたお互いの立場や感情がぶつかり合い、遺産の分け方をめぐる争いに発展してしまうのです。

遺産分割協議が進まない

遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が必要になります。しかし、再婚家庭では、後妻と前妻の子がそれまで全く交流がないケースも珍しくありません。お互いをよく知らない者同士が、お金というデリケートな問題について話し合うのは非常に難しく、協議がまとまらないことが多々あります。協議が長引くと、預貯金の解約や不動産の名義変更などができず、相続手続きがストップしてしまいます。

トラブルを避けるための生前対策

「争族」は誰にとっても不幸なことです。大切な家族が揉めることのないよう、元気なうちから対策をしておくことが何よりも大切です。ここでは、円満な相続のためにできる3つの対策をご紹介します。

対策1:遺言書を作成する

再婚家庭において、遺言書の作成は最も有効なトラブル防止策です。誰に、どの財産を、どれだけ渡すのかを明確に指定しておくことで、相続人同士が遺産分割協議をする必要がなくなります。特に、法的な効力が高く、偽造などの心配もない「公正証書遺言」の作成をおすすめします。遺言書には、なぜそのような分け方にしたのか、家族への感謝の気持ちなどを書き添える「付言事項」を記載することもでき、相続人の納得感を得やすくなります。

対策2:生命保険を活用する

生命保険の死亡保険金は、受取人固有の財産とみなされ、原則として遺産分割の対象になりません。そのため、「後妻に当面の生活費を確実に渡したい」「お世話になった連れ子にまとまったお金を遺したい」といった場合に非常に有効です。受取人が単独で手続きでき、比較的すぐに現金を受け取れるため、納税資金の準備にも役立ちます。

対策3:家族で話し合い、意思を伝えておく

遺言書や生命保険の準備とあわせて、ご自身の想いを家族に伝えておくことも大切です。誰が相続人になるのか、どのような財産があるのかをオープンにし、なぜそうしたいのかを話しておくことで、残された家族の間の誤解や疑念を防ぐことができます。全ての財産を一覧にした「財産目録」を作成しておくと、相続手続きがスムーズに進むだけでなく、「財産を隠しているのでは?」といった無用な疑いをかけられることもなくなります。

ケース別Q&A よくある疑問にお答えします

ここでは、再婚家庭の相続に関してよく寄せられる具体的な質問について、Q&A形式で解説していきます。

前妻の子に相続させたくない場合は?

前妻の子は法律で定められた相続人であるため、相続権を完全になくすことは非常に困難です。遺言書で「全財産を後妻に相続させる」と書いたとしても、前妻の子には最低限の取り分である「遺留分」を請求する権利があります。もし遺留分を請求されれば、後妻はそれに応じなければならず、かえってトラブルの原因になりかねません。対策としては、遺言書で遺留分に相当する額だけを渡すように指定する方法があります。また、生前に前妻の子に遺留分を放棄してもらう方法もありますが、家庭裁判所の許可が必要で、ハードルはかなり高いと言えます。

連れ子に相続させたくない場合は?

この場合は、連れ子と養子縁組をしているかどうかで対応が変わります。
【養子縁組をしていない場合】
そもそも相続人ではないため、何もしなくてもあなたの財産が直接連れ子に渡ることはありません。ただし、注意したいのが「二次相続」です。あなたが亡くなった後(一次相続)、あなたの財産を相続した配偶者が亡くなった時(二次相続)には、その財産は配偶者の子である連れ子が相続することになります。
【養子縁組をしている場合】
養子縁組をしている連れ子は法定相続人です。相続させたくない場合は、「離縁」の手続きをして養子縁組を解消する必要があります。お互いの合意があれば役所に離縁届を提出するだけで済みますが、相手が同意しない場合は家庭裁判所での調停や裁判が必要になり、簡単には離縁できないこともあります。

まとめ

再婚家庭の相続は、登場人物が多く、関係も複雑なため、どうしてもトラブルが起こりやすくなります。しかし、誰が相続人になるのかを正しく理解し、元気なうちに遺言書を作成するなどの対策を講じておけば、多くのトラブルは防ぐことができます。大切なのは、残される家族が困らないように、そして争うことがないように、事前に準備をしておくことです。ご自身の想いをしっかりと形にして、円満な相続を実現しましょう。もし、どうすれば良いか迷ったら、専門家に相談してみるのも一つの良い方法ですよ。

参考文献

国税庁 No.4170 相続人の中に養子がいるとき

国税庁 No.4157 相続税額の2割加算

再婚した夫婦の相続に関するよくある質問まとめ

Q.再婚相手の「連れ子」は、私の財産を相続できますか?

A.いいえ、そのままでは相続権はありません。連れ子に財産を相続させるには、生前に「養子縁組」をするか、「遺言書」で財産を遺贈する旨を記載する必要があります。

Q.私が亡くなった場合、離婚した「前妻の子」に相続権はありますか?

A.はい、あります。ご自身と法律上の親子関係にあるため、前妻(前夫)との間の子は実子として常に相続人となります。法定相続分も他の子と同じです。

Q.連れ子と養子縁組をした場合、相続分はどうなりますか?

A.養子縁組をすると、連れ子は法律上「実子」と同じ扱いになります。したがって、他の実子がいる場合は、その子たちと同じ法定相続分を持つことになります。

Q.再婚相手が亡くなりました。私はどのくらいの財産を相続できますか?

A.配偶者は常に相続人です。他に相続人(子や親など)がいるかどうかで法定相続分は変わります。例えば、亡くなった相手に子(連れ子・前妻の子含む)がいる場合、配偶者の法定相続分は財産全体の1/2です。

Q.再婚家庭で相続トラブルを防ぐには、どうすればいいですか?

A.最も有効な対策は、生前に「遺言書」を作成しておくことです。誰にどの財産をどれだけ渡すかを明確に指定することで、相続人間の争いを未然に防ぐことができます。

Q.前妻の子に財産を渡したくない場合、何か方法はありますか?

A.遺言書で特定の相続人に財産を渡さないと指定することは可能です。しかし、実子には最低限の相続分である「遺留分」を請求する権利があるため、完全にゼロにすることは難しい場合が多く、注意が必要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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