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相続税申告しないとどうなる?無申告の罰金と税務署にバレる理由を解説

2026-05-06
目次

ご家族が亡くなられた後、悲しみに暮れる間もなく様々な手続きに追われますが、その中でも特に重要なのが相続税申告です。「うちは財産が少ないから大丈夫」「黙っていればバレないのでは?」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、その考えはとても危険です。申告が必要にもかかわらず何もしないでいると、後から重いペナルティが課されてしまう可能性があります。この記事では、相続税を無申告だった場合に何が起こるのか、なぜ税務署にバレてしまうのか、そしてどう対処すればよいのかを、優しく分かりやすく解説していきます。

そもそも相続税申告は必要?申告義務のボーダーライン

まず大切なのは、「そもそも自分の場合に相続税申告が必要なのか?」を知ることです。実は、相続が発生したすべてのご家庭で申告が必要になるわけではありません。申告が必要かどうかには、はっきりとしたボーダーラインが存在します。

相続税申告が必要になるケースとは

相続税申告が必要になるのは、亡くなった方(被相続人)の遺産の総額が「基礎控除額」を超える場合です。この基礎控除額は、次の計算式で求められます。

【基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)】

法定相続人とは、民法で定められた遺産を相続する権利のある人のことです。例えば、法定相続人の数によって基礎控除額は以下のようになります。

法定相続人の数 基礎控除額
1人(配偶者のみなど) 3,600万円
2人(配偶者と子1人など) 4,200万円
3人(配偶者と子2人など) 4,800万円

遺産の総額がこの金額を超えなければ、相続税はかからず、申告の必要もありません。しかし、1円でも超える場合は、相続税の申告義務が発生します。

申告が必要なのにしないとどうなる?

もし遺産総額が基礎控除額を超えていて申告義務があるにもかかわらず、申告をしなかった場合、それは「無申告」という状態になります。この場合、税務署から指摘を受けると、本来納めるべきだった相続税に加えて、ペナルティとしての税金(罰金)が課されてしまいます。このペナルティについては、次の章で詳しくご説明しますね。

相続税の申告・納付期限はいつまで?

相続税の申告と納税には期限があります。この期限は、「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています。例えば、1月10日に亡くなった場合、その年の11月10日が申告と納税の期限となります。この期限は思っているより短いため、早めに準備を始めることがとても大切です。

相続税の無申告で課される4つのペナルティ(罰金)

相続税の申告期限を過ぎてしまったり、申告をしなかったりした場合、本来の税金に加えてペナルティが課されます。これは「うっかり忘れていた」という場合でも容赦なく課されてしまうものです。主に4つの種類があり、状況によって組み合わされて請求されることもあります。

無申告加算税

無申告加算税は、その名の通り、期限内に申告をしなかったこと自体に対するペナルティです。申告するタイミングによって税率が変わるのが特徴です。

申告のタイミング 無申告加算税の税率
税務調査の通知前に自主的に申告した場合 納める税額の5%
税務調査の通知後に申告した場合 納める税額の50万円までは10%、50万円を超える部分は15%
税務調査で指摘されてから申告した場合 納める税額の50万円までは15%、50万円を超える部分は20%

このように、税務署から指摘される前に自主的に申告することで、ペナルティを軽く抑えることができます。

延滞税

延滞税は、税金の納付が期限に遅れたことに対する利息のようなペナルティです。法定納期限の翌日から、実際に税金を納付する日までの日数に応じて課されます。1日でも納付が遅れると発生し、期間が長くなるほど金額も増えていきます。税率は年によって変動しますが、納期限の翌日から2か月を経過するかどうかで大きく変わります。

期間 税率(年率)※令和4年1月1日~令和6年12月31日の場合
納期限の翌日から2か月以内 2.4%
納期限の翌日から2か月を超えた日以降 8.7%

無申告の場合は、無申告加算税と延滞税の両方が課されることになります。

過少申告加算税

過少申告加算税は、期限内に申告はしたものの、申告した納税額が本来よりも少なかった場合に課されるペナルティです。例えば、財産の計算ミスや一部の財産を申告し忘れた場合などが該当します。これも税務調査で指摘される前に自主的に修正申告をすれば課されませんが、指摘後の場合は追加で納める税額に対して10%~15%の税率で課されます。

重加算税

重加算税は、ペナルティの中で最も重い罰金です。これは、財産を意図的に隠したり、書類を偽造したりするなど、悪質な不正行為があったと判断された場合に課されます。

  • 無申告で悪質と判断された場合:本来の税額の40%
  • 過少申告で悪質と判断された場合:追加で納める税額の35%

重加算税が課されると、他の加算税はかかりませんが、延滞税は別途発生します。非常に大きな負担となるため、財産隠しなどは絶対にしてはいけません。

なぜバレる?税務署に相続税の無申告が発覚する3つの理由

「どうして税務署は、申告していないことを知っているの?」と不思議に思うかもしれません。実は、税務署は私たちが考えている以上に、個人の資産情報を把握する仕組みを持っています。相続税の無申告がバレる主な理由を3つご紹介します。

理由1:死亡届の情報が税務署に通知されるから

ご家族が亡くなると、市区町村の役所に死亡届を提出しますよね。実は、この死亡届の情報は、法律に基づいて役所から税務署へ通知されることになっています。つまり、税務署は「誰が、いつ亡くなったか」という情報を確実に把握しているのです。この情報をもとに、故人の過去の所得や資産状況を調べ始めます。

理由2:税務署はあらゆるお金の流れを把握しているから

税務署は、KSK(国税総合管理)システムという巨大なデータベースを持っています。ここには、個人の過去の確定申告の内容、給与、不動産の売買履歴などがすべて記録されています。さらに、税務署は金融機関に対して強力な調査権限を持っており、相続人の同意がなくても銀行口座の入出金履歴や残高を調べることができます。これらの情報から、「このくらいの所得があった人なら、これくらいの遺産があるはずだ」と推測し、申告がない場合は調査対象としてリストアップするのです。

理由3:第三者からの情報提供(タレコミ)

意外に多いのが、第三者からの情報提供によって無申告が発覚するケースです。例えば、相続をめぐって親族間でトラブルになり、不満を持った誰かが税務署に密告することもあります。また、故人と親しかった知人などが「あの人はかなり財産を持っていたはずだ」と情報提供することもあります。税務署はこうした情報も調査のきっかけとしています。

相続税の時効は成立する?

「ペナルティが怖いから、時効になるまで待てばいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。確かに、相続税にも時効(法律上は「除斥期間」といいます)は存在します。しかし、時効の成立を期待するのは、現実的にはほぼ不可能だと考えてください。

相続税の時効は原則5年、悪質な場合は7年

相続税の時効は、申告期限の翌日からカウントされます。

  • 相続税の申告義務があることを知らなかった場合(善意):5年
  • 申告義務を知りながら意図的に申告しなかった場合(悪意):7年

「知らなかった」で通せば5年で済むように思えるかもしれませんが、税務署は客観的な状況から悪意があったかどうかを判断するため、簡単には認められません。

なぜ時効の成立は難しいのか

理由は単純で、税務署は時効が成立する前に必ず調査を行うからです。先ほどご説明したように、税務署は相続が発生した事実と故人の資産状況を高い精度で把握しています。そのため、申告がないまま5年や7年も放置されることはまずありません。時効を待つ間に税務調査が入り、結局は本来の税金に加えて高額なペナルティを支払うことになるのが現実です。

もし申告漏れに気づいたら?すぐにやるべきこと

「もしかして、うちも申告が必要だったかも…」「うっかり期限を過ぎてしまった!」と気づいた場合、決して諦めないでください。気づいた時点ですぐに行動すれば、ペナルティを最小限に抑えることが可能です。

自主的に「期限後申告」をする

最も大切なのは、税務署から指摘される前に、自分から申告をすることです。期限を過ぎてから行う申告を「期限後申告」といいます。税務調査の通知が来る前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税の税率が5%に軽減されます。何もせずに税務署からの指摘を待っていると、税率は10%~20%になってしまいます。少しでも早く行動することが、余計な出費を抑えるカギになります。

納税も速やかに行う

申告と同時に、納税も速やかに行いましょう。延滞税は1日単位で加算されていきます。申告と納税が1日でも早ければ、その分だけ延滞税の負担を軽くすることができます。もし一括での納税が難しい場合は、分割で納める「延納」という制度もありますので、税務署や税理士に相談してみましょう。

まとめ

相続税の無申告は、「バレなければ大丈夫」ということは決してありません。税務署は強力な調査網を持っており、申告漏れは高い確率で発覚します。そして、発覚した際には本来納めるべき税金に加えて、無申告加算税や延滞税といった重いペナルティが課されてしまいます。大切なご家族が遺してくれた財産を、ペナルティで減らしてしまうのはとても悲しいことです。相続が発生したら、まずは遺産総額が基礎控除額を超えるかどうかを確認し、もし申告が必要だと分かったら、期限内に正しく申告・納税を行いましょう。もし手続きに不安があったり、期限を過ぎてしまったりした場合は、一人で悩まずに、できるだけ早く相続税に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

相続税の無申告に関するよくある質問まとめ

Q.そもそも相続税の申告は全員必要ですか?

A.いいえ、全員が必要なわけではありません。遺産の総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除額を超える場合にのみ申告が必要です。

Q.相続税の申告をしないと、どうなりますか?

A.税務署からペナルティが課されます。本来納めるべき税金に加えて、延滞税や無申告加算税、場合によっては重加算税といった追徴課税が発生します。

Q.相続税の無申告はなぜバレるのですか?

A.税務署は、死亡届の提出や不動産の登記情報、金融機関の取引記録などを独自に調査できるため、無申告はほぼ確実に発覚します。これをKSK(国税総合管理)システムで一元管理しています。

Q.相続税の申告期限はいつまでですか?

A.相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内です。この期限までに申告と納税を完了させる必要があります。

Q.ペナルティの税金(加算税・延滞税)はどれくらいかかりますか?

A.無申告加算税は納付税額の15%~20%、悪質な場合は重加算税で40%が課されます。さらに、納付が遅れた日数に応じて延滞税もかかります。

Q.申告期限を過ぎてしまった場合はどうすればいいですか?

A.気づいた時点ですぐに自主的に期限後申告をしてください。税務署から指摘される前に申告すれば、無申告加算税が軽減される場合があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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