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親が認知症かも?法定後見制度とは?申立て手続きと任意後見との違いを解説

2026-05-08
目次

「最近、親の物忘れがひどくて心配…」「もしかして認知症?」そんな不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。もし親御さんの判断能力が低下してしまった場合、財産の管理や大切な契約手続きをどうすればよいのでしょうか。そんな時にご家族を支えてくれるのが成年後見制度です。この制度には「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。今回は、特に判断能力が低下した後に利用する法定後見制度を中心に、申立ての方法や費用、そして任意後見との違いについて、わかりやすくお話ししていきますね。

成年後見制度とは?

成年後見制度は、認知症や知的障がい、精神障がいなどが原因で、物事を判断する能力が十分でなくなった方々を法律的に保護し、支援するための仕組みです。例えば、悪質な訪問販売で不要な高額商品を買わされてしまったり、銀行でお金をおろせなくなったり、介護サービスの契約を結べなくなったり…。そういったトラブルからご本人を守り、安心して生活を送れるように、後見人などが財産を管理したり、契約手続きを代わりに行ったりします。

法定後見制度とは

法定後見制度は、すでにご本人の判断能力が低下している場合に、ご家族などが家庭裁判所に申立てを行うことでスタートする制度です。ご本人の判断能力のレベルに合わせて、家庭裁判所が「後見」「保佐」「補助」の3つのうち、どのサポートが必要かを判断し、適切な支援者(成年後見人・保佐人・補助人)を選んでくれます。

任意後見制度とは

一方、任意後見制度は、まだご本人の判断能力がしっかりしているうちに、「将来、もし判断能力が衰えたら、この人にお願いしたい」と、ご自身で支援してくれる人(任意後見人)と支援内容を決めて、あらかじめ契約(任意後見契約)を結んでおく制度です。将来への「備え」のための制度といえますね。

法定後見制度の3つの種類

法定後見制度は、ご本人の判断能力の状態によって、次の3つのタイプに分かれています。どのタイプになるかは、医師の診断書などをもとに家庭裁判所が決定します。

種類 対象となる方
後見 判断能力がほとんどない状態の方(日常の買い物も自分一人では難しいなど)
保佐 判断能力が著しく不十分な方(日常の買い物はできても、不動産の売買など重要な契約は難しい)
補助 判断能力が不十分な方(重要な契約もできるかもしれないが、不安がある)

成年後見人・保佐人・補助人の権限の違い

選ばれた支援者には、ご本人をサポートするための法的な権限が与えられます。主な権限は「代理権」「同意権」「取消権」の3つです。

権限の種類 内容
代理権 ご本人に代わって、財産の管理や契約などを行う権限です。
同意権 ご本人が特定の重要な行為(借金や不動産の売買など)をするときに、同意を与える権限です。
取消権 ご本人が不利な契約などを結んでしまった場合に、後からその契約を取り消すことができる権限です。

「後見」の場合は、財産に関する法律行為のほぼすべてについて代理権があり、日用品の購入などを除いて本人が行った契約を取り消すことができます。「保佐」や「補助」は、法律で定められた特定の行為や、家庭裁判所が必要と認めた範囲でこれらの権限が与えられます。

法定後見制度の申立て手続きと流れ

法定後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要です。誰でも申立てができるわけではなく、決められた人のみになります。

申立てができる人

申立てができるのは、主に以下の方々です。

  • ご本人
  • 配偶者
  • 四親等内の親族(子、親、兄弟姉妹、おい、めい、いとこなど)
  • 市区町村長

申立て手続きの主な流れ

申立てから後見が開始されるまで、一般的に2〜4ヶ月程度の時間がかかります。

  1. 家庭裁判所への相談・書類準備
    まずはご本人の住所地を管轄する家庭裁判所に相談し、必要な書類を集めます。
  2. 申立て
    必要書類を揃えて、家庭裁判所に申立てを行います。
  3. 調査・審問・鑑定
    家庭裁判所の調査官が、申立人や後見人の候補者、ご本人と面談(審問)をします。必要に応じて、医師による精神鑑定が行われることもあります。
  4. 審判
    家庭裁判所が、後見を開始するかどうか、どの類型にするか、誰を後見人にするかを決定(審判)します。
  5. 後見開始
    審判が確定すると、その内容が法務局に登記され、後見業務がスタートします。

申立てにかかる費用

申立てには、実費として以下の費用がかかります。

費用の種類 金額の目安
申立手数料 収入印紙 800円分
登記手数料 収入印紙 2,600円分
郵便切手代 約3,000円~5,000円(裁判所により異なります)
鑑定費用 約5万円~10万円(鑑定が必要な場合のみ)

この他に、後見人として弁護士や司法書士などの専門家が選ばれた場合は、その方への報酬が別途必要になります。報酬額は家庭裁判所が決定し、管理する財産の額に応じて月額2万円~6万円程度が目安となります。

任意後見制度とは?

任意後見制度は、ご本人が元気なうちに、将来の判断能力の低下に備える制度です。ご自身で信頼できる人を選び、「財産管理はこのようにしてほしい」「介護施設に入るときの手続きをお願いしたい」といった具体的な支援内容を契約で決めておきます。この契約は、公証役場で公正証書として作成する必要があります。

そして、実際に判断能力が低下したときに、家庭裁判所に「任意後見監督人」を選んでもらうことで契約の効力が生じ、任意後見人によるサポートが始まります。任意後見監督人は、任意後見人が契約通りに仕事をしているかをチェックする役割を担います。

法定後見と任意後見の決定的な違い

「法定後見」と「任意後見」、どちらを選べばいいのでしょうか。一番の違いは「いつ準備を始めるか」と「誰が後見人を選ぶか」です。その違いを表にまとめてみました。

項目 法定後見制度
開始のタイミング 判断能力が低下した
後見人を選ぶ人 家庭裁判所が選任する
後見人の権限 法律で定められた範囲
本人の意思の反映 反映されにくい(すでに判断能力が低下しているため)
取消権 ある(本人が不利な契約をした場合に取り消せる)
項目 任意後見制度
開始のタイミング 判断能力があるに契約を結ぶ
後見人を選ぶ人 ご本人が自由に選べる
後見人の権限 契約で自由に決められる
本人の意思の反映 反映されやすい(元気なうちに自分で決めるため)
取消権 ない(本人がした契約は取り消せない)

このように、任意後見はご本人の意思を強く反映できる自由度の高い制度ですが、すでにご両親の認知症が進んでいる場合は、法定後見制度を利用することになります。

まとめ

今回は、親御さんが認知症になった場合に利用できる法定後見制度について、その手続きや費用、任意後見との違いを中心にお話ししました。判断能力が低下すると、ご本人の財産が凍結されてしまったり、必要な契約ができなくなったりと、ご家族だけでは対応が難しい問題がたくさん出てきます。法定後見制度は、そうした状況でご本人とご家族を法的に守ってくれる大切な制度です。手続きには時間も費用もかかりますが、親御さんの大切な財産と穏やかな生活を守るために、ぜひ知っておいていただきたいと思います。もし不安なことやわからないことがあれば、お住まいの地域の家庭裁判所や、司法書士・弁護士などの専門家に相談してみてくださいね。

参考文献

法定後見制度のよくある質問まとめ

Q.そもそも法定後見制度とは何ですか?

A.認知症などで判断能力が不十分になった方の財産管理や身上保護(介護サービスの契約など)を、家庭裁判所が選んだ後見人が法的に支援する制度です。本人の意思を尊重し、権利を守ることを目的としています。

Q.法定後見制度と任意後見制度の違いは何ですか?

A.法定後見は本人の判断能力が低下した「後」に家庭裁判所が後見人を選ぶ制度です。一方、任意後見は本人が元気な「前」に、将来に備えて自分で後見人や支援内容を決めておく契約です。

Q.法定後見の申立ては誰が、どこにすればいいですか?

A.本人、配偶者、四親等内の親族などが、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。申立てには、申立書や診断書などの書類が必要です。

Q.後見人には誰がなれますか?親族でもなれますか?

A.親族も後見人の候補者になれますが、最終的には家庭裁判所が、本人の状況や財産内容を考慮して最も適任な人(弁護士や司法書士などの専門家を含む)を選任します。必ずしも親族が選ばれるとは限りません。

Q.法定後見制度を利用するための費用はどれくらいかかりますか?

A.申立てにかかる費用(収入印紙、切手代、鑑定費用など)で数万円から10万円程度が目安です。後見人が選任された後は、後見人への報酬が本人の財産から支払われます。報酬額は家庭裁判所が決定します。

Q.法定後見制度のデメリットや注意点はありますか?

A.後見人は家庭裁判所の監督下に置かれるため、財産管理が厳格になり、自由な財産の処分(贈与や積極的な資産運用など)が難しくなります。また、一度開始すると原則として本人が亡くなるまで続く点も注意が必要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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