税理士法人プライムパートナーズ

中古償却資産の申告、購入価額でOK?新品の3倍でも?配分方法を解説

2024-12-27
目次

事業のために、中古で土地や建物、そして機械などの償却資産をまとめて購入すること、ありますよね。その際の償却資産税の申告で、「申告する金額は、実際に支払った購入価額でいいの?」「もし、その購入価額が新品の価格よりずっと高くても大丈夫?」といった疑問をお持ちではありませんか?特に、土地や建物と一緒に買った場合、どの資産にいくらずつ配分すればいいのか、悩んでしまう方も多いと思います。この記事では、そんな中古で取得した償却資産の申告に関する疑問について、優しく丁寧に解説していきます。

中古資産の償却資産税申告、基本のキ

まずは、償却資産税の申告における基本的な考え方から押さえていきましょう。特に中古資産の場合、どこを基準に考えればよいのかがポイントになります。

償却資産税ってそもそも何?

償却資産税は、固定資産税の一種です。会社や個人事業主が事業のために使っている土地や家屋以外の資産(これを「償却資産」といいます)に対して課される税金です。例えば、パソコン、コピー機、工場の機械、お店の陳列棚などがこれにあたります。毎年1月1日時点で所有しているこれらの資産について、資産がある市町村(東京23区の場合は都)に申告し、納税する必要があります。

申告に使う価額は「購入価額」が原則

ここが一番大切なポイントです。償却資産税の申告で使う金額は、その資産の製造価額(新品のときの価格)ではなく、原則として「実際にその資産を取得するために支払った購入価額」となります。これを取得価額といいます。
たとえ中古であっても、その取引で実際に支払った金額が、税金の計算のスタート地点になる、と覚えておいてくださいね。

購入価額に含まれるもの、含まれないもの

「購入価額」には、資産そのものの代金だけでなく、それを事業で使えるようにするためにかかった費用(付随費用)も含まれます。どこまでが含まれるのか、下の表で確認してみましょう。

購入価額に含まれる費用(例) 資産本体の購入代価、引取運賃、荷役費、購入手数料、関税、据付費など、事業で使うために直接かかった費用
購入価額に含まれない費用(例) 不動産取得税、登録免許税、事業を開始した後の修繕費、借入金の利子など

購入価額が新品価額の3倍でも「購入価額」で申告するの?

次に、多くの方が疑問に思う「市場価格が高騰していて、新品のときよりずっと高い値段で買ってしまった」というケースについて見ていきましょう。

結論:はい、購入価額で申告します

結論から言うと、たとえ購入価額が製造価額(新品価額)の3倍になっていたとしても、申告は「実際に支払った購入価額」で行います。
税金の計算は、あくまで客観的な取引の事実に基づいて行われます。希少価値が高い機械や、人気のモデルなどで中古市場の価格が新品を上回ることは十分にあり得ます。その取引が正当なものであれば、その取引価額が取得価額として認められるのです。

なぜ高額でも購入価額が基準になるの?

償却資産税の評価額は、まず「取得価額」を基礎とし、そこから資産が古くなった分(減価)を差し引いて計算されます。つまり、計算のスタート地点が「いくらで手に入れたか」という事実に基づいているためです。
もし、実際の支払額と異なる製造価額を基準にしてしまうと、実際の事業の支出と税金の計算根拠がずれてしまい、正しい納税額を計算できなくなってしまいます。そのため、取引の事実である実際の購入価額が何よりも重視されるのです。

土地・建物・償却資産を一括購入!どうやって配分する?

土地、建物、償却資産をセットで、例えば「一式9,000万円」のように購入した場合、それぞれの資産にいくらずつ価額を配分すればよいのでしょうか。この配分は税額に直接影響するため、とても重要です。

配分の重要性:税額に大きく影響します

なぜ配分が重要かというと、資産の種類によって税金の取り扱いが全く異なるからです。

資産の種類 課税される税金と特徴
土地 固定資産税・都市計画税(価値が減らないので、償却資産税の対象外)
建物 固定資産税・都市計画税(家屋として評価され、償却資産税の対象外)
償却資産 償却資産税(毎年申告が必要で、減価償却の対象)

もし、償却資産に多く配分しすぎると償却資産税が高くなり、逆に少なくしすぎると税務調査で指摘される可能性があります。そのため、適切な配分が必要不可欠なのです。

合理的な基準で按分するのが基本ルール

一括で購入した資産の価額を配分する際の絶対的なルールは、「客観的で合理的な基準」によって按分(あんぶん)することです。
一番わかりやすいのは、売買契約書に「土地:6,000万円、建物:2,500万円、償却資産:500万円」というように、それぞれの価額が明記されている場合です。この記載が、当事者間の合意に基づいた不自然でない金額であれば、原則としてその価額がそれぞれの取得価額となります。

契約書に記載がない場合の具体的な配分方法

契約書に内訳の記載がない場合は、自分で合理的な基準を見つけて按分計算をする必要があります。主な方法としては、以下のようなものが考えられます。

1. それぞれの「時価」の比率で按分する
これが最も合理的とされる方法です。土地、建物、償却資産それぞれの客観的な時価を調べ、その比率に応じて購入総額を配分します。

  • 土地の時価:固定資産税評価額や路線価、近隣の売買実例などから算定します。
  • 建物の時価:建物の固定資産税評価額や、再建築した場合の価額から古くなった分を差し引いて算定します。
  • 償却資産の時価:同じ型式の中古市場での販売価格や、専門業者による査定額などを参考にします。

2. 固定資産税評価額の比率で按分する
償却資産以外の土地と建物については、市区町村が算定している固定資産税評価額の比率を使って按分する方法も一般的です。ただし、この方法では償却資産の価額を直接算定できないため、まずは土地と建物の価額をこの方法で算出し、総額から差し引いた残額を償却資産の価額とする、といった工夫が必要になります。

3. 専門家の評価額を参考にする
不動産鑑定士や機械設備の専門家などに評価を依頼し、その評価額を基準に按分する方法です。費用はかかりますが、取引額が大きい場合などには、最も客観的で信頼性の高い根拠となります。

具体例でシミュレーション!新品の3倍で購入した場合の配分

それでは、ご質問のケースに近い状況で、具体的な配分方法をシミュレーションしてみましょう。

ケーススタディの設定

  • 購入総額:9,000万円
  • 各資産の時価(客観的に調査した価額)
    • 土地の時価:6,500万円
    • 建物の時価:2,000万円
    • 償却資産の時価:500万円
  • 各資産の新品価額(参考)
    • 土地(造成費等):1,500万円
    • 建物(建築費):1,000万円
    • 償却資産:500万円
    • 合計:3,000万円

このケースでは、資産全体の価値が上がったことで、新品価額の合計3,000万円の物件を9,000万円で購入した、という状況です。

「時価の比率」で按分してみよう

契約書に内訳がない場合、最も合理的な「それぞれの時価の比率」で按分計算を行います。

ステップ1:時価の合計額を計算する
6,500万円(土地) + 2,000万円(建物) + 500万円(償却資産) = 9,000万円
(※この例では時価の合計が購入総額と一致しましたが、一致しない場合は時価の「比率」を使います)

ステップ2:時価の比率を計算する
もし時価合計が異なった場合(例えば時価合計が8,000万円だった場合)は、以下のように比率で計算します。

  • 土地の割合:6,500万円 ÷ 8,000万円 = 81.25%
  • 建物の割合:2,000万円 ÷ 8,000万円 = 25.00%
  • 償却資産の割合:500万円 ÷ 8,000万円 = 6.25%

ステップ3:購入総額を比率で按分する
ステップ2の比率を購入総額9,000万円に乗じます。

  • 土地の取得価額:9,000万円 × 81.25% = 7,312.5万円
  • 建物の取得価額:9,000万円 × 25.00% = 2,250万円
  • 償却資産の取得価額:9,000万円 × 6.25% = 562.5万円

この結果、償却資産の取得価額は562.5万円となり、これを基に償却資産税の申告を行うことになります。新品価額(500万円)を上回っていますが、全体の取引価額が高騰している状況を合理的に反映した結果といえます。

税務署への説明責任が重要

どの方法で按分計算を行ったとしても、「なぜこの配分になったのか」という根拠を明確に説明できることが最も重要です。按分計算に用いた資料(固定資産税評価証明書、不動産鑑定評価書、中古市場価格がわかるウェブサイトの写し、専門業者の査定書など)は、必ず大切に保管しておきましょう。これが、将来もし税務調査があった場合に、あなたの申告の正当性を証明する強力な武器になります。

申告時の注意点とよくある質問

最後に、中古資産を申告する際の注意点や、よくある質問にお答えします。

耐用年数はどうなる?中古資産の特例

中古資産を取得した場合、税務上の耐用年数は新品の法定耐用年数ではなく、その資産を事業で使えると見積もられる残りの期間で計算することができます。これを「中古資産の耐用年数」といいます。簡単な計算方法(簡便法)もあり、これを使うと新品よりも短い期間で償却できるため、結果として1年あたりの経費(減価償却費)が大きくなり、節税につながる場合があります。取得価額だけでなく、耐用年数も正しく設定することが大切です。

Q&A:申告を間違えたらどうなる?

もし申告内容に誤りがあった場合でも、修正申告を行うことで訂正が可能です。税額を少なく申告していた場合は、追加の税金と延滞税がかかることがあります。逆に多く払いすぎていた場合は、「更正の請求」という手続きをすることで、払いすぎた税金が戻ってくる可能性があります。気づいた時点で、速やかに対応することが肝心です。

Q&A:専門家(税理士)に相談すべき?

一括購入した資産の価額按分は、判断が難しいケースが少なくありません。特に、購入総額が大きい場合や、合理的な時価の算定に自信がない場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家は、税法に基づいた適切な按分方法をアドバイスしてくれるだけでなく、税務署に説明するための客観的な根拠作りも手伝ってくれます。安心して事業を進めるためにも、専門家の力を借りるのは賢明な選択ですよ。

まとめ

中古で取得した償却資産の申告について、ポイントを振り返ってみましょう。

  • 償却資産税の申告は、「購入価額(取得価額)」が原則です。たとえ新品価額の3倍であっても、その取引が正当なものであれば、実際の支払額で申告します。
  • 土地・建物・償却資産を一括購入した場合は、契約書に内訳がなければ「客観的で合理的な基準(時価の比率など)」で価額を按分する必要があります。
  • なぜその按分方法を選んだのか、その根拠となる資料をきちんと保管し、説明責任を果たせるようにしておくことが何よりも重要です。
  • 価額の按分や中古資産の耐用年数の見積もりなど、判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。

少し複雑に感じるかもしれませんが、一つ一つのルールを正しく理解すれば、適切な申告ができます。この記事が、あなたの疑問や不安を解消する一助となれば幸いです。

参考文献

中古償却資産の高額取得と価額按分に関するよくある質問まとめ

Q.中古で取得した機械や備品は、償却資産税の申告でどの価額を使いますか?

A.原則として、その資産を取得するために支払った「購入価額」で申告します。購入価額には、運送費や据付費など、事業で使えるようにするためにかかった付随費用も含まれます。

Q.購入した中古資産の価格が、新品価格の3倍と高額でした。この場合でも購入価額で申告するのですか?

A.はい、その取引が社会通念上妥当と認められる限り、実際に支払った「購入価額」で申します。希少性や特殊な付加価値により、中古資産が新品価格を上回るケースはあり得ます。

Q.土地・建物・機械設備(償却資産)を一括で購入し、契約書にそれぞれの金額が書かれていません。どうやって償却資産の価額を決めればよいですか?

A.一括で購入し内訳がない場合、全体の購入価額を各資産の時価の比率で按分(配分)して計算します。時価の基準としては、固定資産税評価額や不動産鑑定士の評価額などが一般的に用いられます。

Q.一括購入した資産の価額を按分する際、どのような基準を使えばよいですか?

A.客観的で合理的な基準であれば認められます。一般的には、①各資産の固定資産税評価額の比率で按分する方法、②不動産鑑定評価額や中古資産販売業者の見積価額など、専門家の評価額の比率で按分する方法が用いられます。

Q.新品より著しく高額な中古資産を購入した場合、税務調査で問題になりますか?

A.取引価額が客観的に見て不合理に高額だと判断された場合、指摘を受ける可能性があります。価額の妥当性を証明するため、売買契約書や鑑定評価書、取引経緯の記録などを保管しておくことが重要です。

Q.償却資産税の申告で使った取得価額は、法人税や所得税の減価償却計算でも同じ金額を使いますか?

A.はい、原則として同じです。償却資産税の取得価額は、法人税法・所得税法の減価償却の基礎となる価額と一致します。そのため、価額の按分は両方の税金に影響を与えることを念頭に、合理的な基準で行う必要があります。

事務所概要
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