「身体障害者」という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような状態を指すのか、どんなサポートが受けられるのか、詳しくは知らない方も多いかもしれませんね。病気やケガは誰にでも起こりうることです。いざという時のために、知識を持っておくことはとても大切です。この記事では、身体障害者の定義から、障害の種類や等級、受けられる福祉サービスや税金の控除まで、専門的な内容をできるだけ分かりやすく、優しくお話ししていきますね。
身体障害者とは?法律上の定義をわかりやすく解説
まずはじめに、「身体障害者」とはどのような状態を指すのか、基本的なところからご説明しますね。これは、身体障害者福祉法という法律で定められていて、「身体上の障害がある18歳以上の方で、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた方」とされています。つまり、法律で定められた障害に該当し、身体障害者手帳を持っていることが一つの基準になるんです。
「身体障害者」と認定されるための基準
身体障害者として認定されるためには、身体障害者福祉法で定められている障害の種類と、その程度(等級)に該当する必要があります。具体的には、まず都道府県が指定した医師(指定医)に診てもらい、「この方は法律で定められた障害の状態にありますよ」という内容の診断書・意見書を書いてもらうことから始まります。この診断書をもとに、自治体が審査を行い、手帳が交付される流れになります。
身体障害者手帳とは?
身体障害者手帳は、身体に障害があると正式に認定されたことを証明するための大切な手帳です。この手帳を持っていることで、後ほど詳しくお話しするような、さまざまな福祉サービスや支援を受けられるようになります。手帳には、障害の名前やその程度を示す「等級」などが記載されています。ピンク色の手帳が多いことから「愛の手帳」と間違われることもありますが、それは療育手帳(知的障害のある方の手帳)の東京都での呼び名で、身体障害者手帳とは別のものです。
似ているけど違う?「高度障害」との違い
「身体障害」と似た言葉に「高度障害」というものがあります。これは主に生命保険の世界で使われる言葉で、意味が少し異なります。高度障害とは、生命保険会社の保険約款で定められた、非常に重い障害状態を指し、「回復の見込みがない」ことが条件とされる場合がほとんどです。一方で、身体障害は国の福祉制度における区分です。そのため、身体障害者手帳の1級を持っていても、生命保険の高度障害保険金が支払われるとは限らない、という違いがあるんです。
身体障害の種類と等級
身体障害は、障害のある体の部分によっていくつかの種類に分けられています。そして、その障害の程度によって1級から7級までの等級が定められています。1級が最も重く、数字が大きくなるほど軽くなります。ただし、身体障害者手帳が交付されるのは、原則として6級までです。7級の障害は、単独では手帳の対象になりませんが、7級の障害が2つ以上ある場合などには6級として認定されることがあります。
視覚障害
視力や視野に障害がある状態です。全く見えない「全盲」から、メガネやコンタクトレンズを使っても視力が弱い「弱視」、見える範囲が狭い「視野狭窄」まで、さまざまな状態が含まれます。
| 等級 | 状態の例 |
| 1級 | 両眼の視力の和が0.01以下のもの |
| 6級 | 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を超えるもの |
聴覚・平衡機能障害
聴覚障害は、音が聞こえにくい、または全く聞こえない状態です。平衡機能障害は、体のバランスを保つ機能に障害があり、めまいがしたり、まっすぐ立ったり歩いたりするのが難しくなったりする状態を指します。
| 障害の種類 | 等級 |
| 聴覚障害 | 2級、3級、4級、6級 |
| 平衡機能障害 | 3級、5級 |
音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障害
声を出すこと(音声)、言葉を話すこと(言語)、食べ物を噛み砕くこと(そしゃく)に困難がある状態です。等級は3級と4級に分けられます。例えば、機能を完全に失っている場合は3級、著しい障害がある場合は4級に該当します。
肢体不自由
手や足、体幹(胴体部分)の機能に障害がある状態で、身体障害の中で最も多くを占めています。事故による手足の切断や、病気による麻痺などが原因となります。障害の部位(上肢、下肢、体幹)や程度によって、1級から7級まで細かく等級が定められています。
内部障害
心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう、直腸、小腸、肝臓、または免疫機能など、体の内部の臓器に障害がある状態です。外見からは分かりにくいため、「見えない障害」とも言われます。日常生活に大きな制約があり、例えば、じん臓機能障害で人工透析が必要な方や、心臓機能障害でペースメーカーを入れている方などが該当します。
身体障害者手帳で受けられるサービス
身体障害者手帳を持っていると、日常生活や社会生活を送りやすくするための、さまざまな支援サービスを利用することができます。お住まいの自治体や障害の等級によって内容が異なる場合があるので、詳しくは市区町村の窓口で確認してくださいね。
医療費の助成
障害を軽くしたり、進行を抑えたりするための医療費の負担を軽減する制度があります。代表的なものに「自立支援医療(更生医療)」があり、認められると医療費の自己負担が原則として1割になります。また、車いすや補聴器、義足といった「補装具」を購入したり修理したりする際の費用も助成されます。
税金の軽減措置(障害者控除)
ご自身や、生計を同じにするご家族が身体障害者である場合、所得税や住民税の計算をする際に障害者控除という制度が適用され、税金の負担が軽くなります。控除額は障害の等級などによって異なります。
| 区分 | 所得税の控除額 |
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 |
※「特別障害者」とは、身体障害者手帳の等級が1級または2級の方などを指します。
※「同居特別障害者」とは、特別障害者である配偶者や扶養親族と常に同居している場合に適用されます。
その他の税金の優遇
障害者控除のほかにも、税金の優遇措置があります。例えば、預貯金の利子が非課税になる「マル優(少額貯蓄非課税制度)」は、元本350万円まで利用できます。また、身体障害者の方が使うための特殊な構造を持つ自動車は、消費税が非課税になったり、自動車税(環境性能割・種別割)が減免されたりする制度もあります。
公共料金や交通機関の割引
日常生活に身近なサービスでも割引が受けられます。JRやバス、タクシーなどの公共交通機関の運賃割引、携帯電話会社の基本料金割引、NHK放送受信料の減免など、さまざまなものがあります。利用する際には身体障害者手帳の提示が必要になることが多いです。
身体障害者手帳の申請方法
手帳を申請するには、いくつかのステップがあります。手続きの窓口はお住まいの市区町村の障害福祉担当課になりますので、まずはそちらに相談してみましょう。
申請に必要なもの
一般的に、申請には以下のものが必要になります。
- 申請書(窓口で受け取ります)
- 指定医が作成した診断書・意見書
- 本人の顔写真(縦4cm×横3cmが一般的です)
- マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードなど)
- 身元確認書類(運転免許証など)
診断書の用紙も窓口で受け取れますので、それを持って指定医の診察を受けてください。
申請から交付までの流れ
大まかな流れは以下の通りです。
- 市区町村の窓口で申請について相談し、診断書の用紙を受け取る。
- 指定医のいる医療機関を受診し、診断書・意見書を作成してもらう。
- 必要な書類を揃えて、市区町村の窓口に提出する。
- 審査が行われ、認定されると手帳が交付される。(申請から交付まで1~2ヶ月程度かかることが多いです)
Q&A よくある質問
ここでは、身体障害や手帳についてよく寄せられる質問にお答えしますね。
等級が変わることはありますか?
はい、変わる可能性があります。病気の進行などで障害の状態が悪化した場合や、リハビリテーションなどによって状態が軽くなった場合には、改めて医師の診断を受けて再申請することで、等級が見直されることがあります。これを「再認定」といいます。
介護保険の要介護認定と障害者控除は関係ありますか?
直接の関係はありません。介護保険制度の「要介護認定」を受けただけでは、自動的に税金の障害者控除の対象にはなりません。ただし、65歳以上の方で、要介護認定を受けている場合、市区町村長から「障害者に準ずる」という認定を受けることで、障害者控除の対象となることがあります。気になる方は、お住まいの市区町村の高齢福祉担当課や税務課に問い合わせてみてください。
まとめ
今回は、「どういう状態が、身体障害者?」という疑問にお答えしてきました。身体障害者とは、法律に基づいて身体の機能に永続的な障害があると認定され、身体障害者手帳の交付を受けた方のことを指します。手帳を持つことで、医療費の助成や税金の軽減、さまざまな割引サービスなど、生活を支えるための支援を受けることができます。障害は誰にとっても他人事ではありません。この記事を通して、身体障害についての正しい理解が深まり、必要な方が適切なサポートに繋がるきっかけになれば、とても嬉しく思います。
参考文献
厚生労働省:身体障害者手帳
国税庁:No.1160 障害者控除
国税庁:No.1313 障害者等のマル優(非課税貯蓄)
国税庁:No.6214 身体障害者用物品に該当する自動車
国税庁:No.1185 市町村長等の障害者認定と介護保険法の要介護認定について
身体障害者の定義や手帳に関するよくある質問まとめ
Q.身体障害者とは、どのような状態を指しますか?
A.身体障害者福祉法に定められた身体上の障害がある18歳以上の方で、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた方を指します。障害には視覚、聴覚、平衡機能、音声・言語機能、そしゃく機能、肢体不自由、心臓、じん臓、呼吸器機能、ぼうこう・直腸機能、小腸機能、免疫機能、肝臓機能の障害などがあります。
Q.身体障害者手帳の等級はどのように決まりますか?
A.身体障害者手帳の等級は、障害の種類や程度に応じて1級から6級(一部7級)まで区分されています。最も重いのが1級です。等級は指定医の診断書をもとに、自治体が審査して決定します。
Q.身体障害者手帳を申請するにはどうすればよいですか?
A.お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談し、申請に必要な書類(指定医の診断書・意見書、申請書、写真など)を揃えて提出します。その後、審査を経て手帳が交付されます。
Q.内部障害も身体障害に含まれますか?
A.はい、含まれます。心臓、じん臓、呼吸器、肝臓などの内部的な障害も身体障害者福祉法の対象となり、外見からは分かりにくいですが、身体障害者手帳の交付対象となります。
Q.障害が複数ある場合はどうなりますか?
A.複数の障害がある場合、それぞれの障害の等級を指数化し、合算した指数によって全体の障害等級が認定されることがあります。これを「障害程度の総合認定」といい、より上位の等級になる可能性があります。
Q.身体障害者手帳を持つとどのようなメリットがありますか?
A.税金の控除や減免、公共交通機関の運賃割引、医療費の助成、公共施設の利用料割引、障害者雇用枠での就職など、様々な福祉サービスや制度上の優遇措置を受けることができます。内容は自治体や等級によって異なります。