健康診断の結果を見て、「血圧と血糖値が少し高め…」と気になっている方も多いのではないでしょうか。実はこの2つ、密接に関係していて、片方が高いともう片方も上がりやすくなる傾向があるんです。今回は、血圧と血糖値の関係性から、具体的な改善方法まで、分かりやすくお話ししていきますね。
血圧と血糖値の基本を知ろう
まずは、血圧と血糖値がそれぞれ何を指すのか、基本から確認しましょう。どちらも私たちの健康状態を知るための大切な指標です。正しく理解することが、健康管理の第一歩になりますよ。
そもそも血圧とは?
血圧は、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。心臓が収縮して血液を送り出すときの「収縮期血圧(上の血圧)」と、心臓が拡張したときの「拡張期血圧(下の血圧)」の2つの数値で表されます。高血圧の状態が続くと、血管に常に負担がかかり、動脈硬化を引き起こし、心臓病や脳卒中のリスクを高めてしまいます。
| 分類 | 収縮期血圧(上) / 拡張期血圧(下) |
| 正常血圧 | 120mmHg未満 かつ 80mmHg未満 |
| 高血圧 | 140mmHg以上 または 90mmHg以上 |
血糖値とは?
血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。食事をすると一時的に上がりますが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きで正常な範囲に保たれます。このインスリンの分泌が少なくなったり、働きが悪くなったりすると、高血糖の状態が続き、糖尿病につながる可能性があります。
| 分類 | 血糖値(mg/dL) |
| 正常型 | 空腹時110未満、食後2時間140未満 |
| 糖尿病型 | 空腹時126以上、または食後2時間200以上 |
なぜ両方の数値が大切なの?
血圧と血糖値は、どちらも血管の健康に深く関わっています。高血圧は血管に物理的な圧力をかけて傷つけ、高血糖は血管の細胞にダメージを与えてもろくします。この2つの要因が重なると、動脈硬化が急速に進行し、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクが相乗効果でぐっと高まってしまうのです。だからこそ、両方の数値をセットで管理することが非常に大切なんですよ。
血圧と血糖値の密接な関係
「血圧が高い人は血糖値も高くなりやすい」「糖尿病の人は高血圧を合併しやすい」とよく言われますが、それにはちゃんとした理由があります。ここからは、その気になるメカニズムを少し詳しく見ていきましょう。
高血糖が血圧を上げる仕組み
高血糖の状態が続くと、血液中の糖分が多くなり、血液の浸透圧が高まります。すると、体は血液の濃度を薄めようとして血管内に水分を引き込み、体内の血液量が増加します。循環する血液の量が増えれば、当然、血管の壁にかかる圧力、つまり血圧が上がってしまうのです。これが高血糖が高血圧を招く一つの大きな理由です。
インスリンの働きと血圧の関係
高血糖の状態では、血糖値を下げようとインスリンがたくさん分泌されます。しかし、このインスリンが過剰になると、いくつかの作用によって血圧を上げてしまうことが分かっています。一つは交感神経を刺激して血管を収縮させる作用、もう一つは腎臓での塩分(ナトリウム)の再吸収を促し、体内に水分を溜め込みやすくする作用です。これらによっても血圧が上昇しやすくなります。
肥満が共通のリスクに
肥満、特にぽっこりお腹の原因となる内臓脂肪が増えると、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」という状態を引き起こします。これが高血糖や2型糖尿病の直接的な原因になるだけでなく、内臓脂肪からは血圧を上げる物質も分泌されるため、肥満は血圧と血糖値の両方にとって非常に大きな共通のリスク要因となるのです。
食事で改善!血圧と血糖値を下げるポイント
血圧と血糖値の改善には、毎日の食事がとても重要です。厳しい食事制限は長続きしませんが、少しの工夫で大きな違いが生まれます。今日からすぐに実践できるポイントをご紹介しますね。
減塩で血圧コントロール
塩分の摂りすぎは、高血圧の最大の原因の一つです。日本高血圧学会では、高血圧の方の食塩摂取量の目標を1日6g未満としています。まずは、ラーメンやうどんの汁を飲み干さない、醤油やソースは「かける」のではなく「つける」ようにするなど、小さなことから始めてみましょう。だしを効かせたり、香辛料や香味野菜を使ったりして、薄味でも美味しく食べられる工夫をするのがおすすめです。
血糖値の急上昇を防ぐ食べ方
血糖値の急な上昇(血糖値スパイク)を防ぐには、「食べる順番」が鍵となります。食事の最初に野菜やきのこ、海藻などの食物繊維が豊富なものから食べ始め、次にお肉や魚などのタンパク質、そして最後にご飯やパンなどの炭水化物を摂る「ベジファースト」を実践しましょう。食物繊維が糖の吸収を穏やかにしてくれます。また、早食いをやめて、一口20回以上よく噛んで食べることも効果的です。
バランスの良い食事を心がける
特定の食品だけを制限するよりも、主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食事を1日3食、規則正しく摂ることが基本です。特に、カリウムが豊富な野菜や果物(ほうれん草、かぼちゃ、バナナなど)は体内の余分な塩分を排出するのを助けてくれます。また、青魚に含まれるEPAやDHAといった良質な油は、血液をサラサラにし、動脈硬化の予防に役立つので積極的に摂りたい食品です。
運動で改善!効果的な運動習慣
食事の見直しと両輪で取り組みたいのが運動習慣です。運動は血圧と血糖値の両方に良い影響を与えてくれます。無理なく、楽しく続けられる運動を見つけることが成功の秘訣ですよ。
おすすめは有酸素運動
ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動は、血圧を下げ、血糖値をコントロールするのに非常に効果的です。運動中に血中のブドウ糖がエネルギーとして使われるため、血糖値が直接下がります。まずは1日合計で30分以上、週に3~5日を目標に始めてみませんか?「少しきついけれど、会話はできる」くらいの強度が目安です。
筋トレをプラスしてさらに効果アップ
筋肉は体の中で最も多くのブドウ糖を消費してくれる場所です。スクワットや腕立て伏せなどの軽い筋力トレーニングを取り入れて筋肉量を増やすと、基礎代謝が上がり、インスリンの働きも良くなるため、血糖値が上がりにくい体質へと改善していきます。有酸素運動と筋トレを組み合わせることで、より効率的に健康効果を得ることができます。
運動するベストタイミングは?
血糖値対策として運動するなら、食後30分~1時間後が最も効果的と言われています。食事によって血糖値が上がり始めるタイミングで体を動かすことで、血糖値の急上昇を効果的に抑えることができます。食後にテレビを見ながら足踏みをする、近所を15分ほど散歩するなど、軽い運動でも構いませんので、ぜひ習慣にしてみてください。
その他の生活習慣の見直し
食事や運動以外にも、血圧や血糖値に影響を与える生活習慣はたくさんあります。ご自身の生活を振り返り、改善できる点がないかチェックしてみましょう。
適切な体重を維持する
肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、血圧と血糖値の両方に悪影響を及ぼす元凶です。まずはご自身の適正体重(BMI=体重kg ÷ (身長m × 身長m)で22が目安)を知り、現在の体重から3%減らすだけでも、数値の改善が期待できると言われています。焦らず、1ヶ月に1~2kgのペースで、健康的に減量を目指しましょう。
禁煙と節酒を心がける
喫煙は血管を収縮させて一時的に血圧を上げ、長期的には動脈硬化を促進します。また、インスリンの働きを悪くすることも知られています。アルコールの飲みすぎはカロリー過多につながり、血圧や血糖値、中性脂肪を上げる原因になります。健康のためには、禁煙し、お酒は適量(1日の目安:ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合)を守ることが大切です。
ストレス管理と十分な睡眠
強いストレスや慢性的な睡眠不足は、交感神経を優位にし、血圧や血糖値を上げるホルモンの分泌を促します。趣味の時間を作ったり、ゆっくり入浴したりと、自分なりのリラックス方法を見つけて上手にストレスを解消しましょう。また、1日6~8時間の質の良い睡眠を確保することも、自律神経のバランスを整え、健康を維持するためには欠かせません。
まとめ
今回は、血圧と血糖値の深い関係性や、その改善方法について詳しくお話ししました。この2つの数値は密接に関わり合っており、どちらか一方だけでなく、両方を意識した総合的な生活習慣の改善が重要です。食事では「減塩」と「食べる順番」、運動では「有酸素運動」と「筋トレ」の組み合わせを基本に、減量、禁煙・節酒、ストレス管理などを心がけましょう。健康診断の結果は、ご自身の体からの大切なメッセージです。今日からできることから少しずつ始めて、10年後、20年後の健康な未来を守っていきましょうね。
参考文献
血圧と血糖値のよくある質問まとめ
Q. 血圧の正常値はいくつですか?
A. 診察室での測定では収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満が「至適血圧」とされています。一般的に、収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上が高血圧と診断される基準です。
Q. 血糖値はいつ測るのが良いですか?
A. 健康診断では主に朝食前の「空腹時血糖値」を測定します。しかし、食後の血糖値の動きも重要です。糖尿病が疑われる場合など、医療機関では食後の血糖値を調べるブドウ糖負荷試験を行うこともあります。
Q. 薬を飲んでいれば生活習慣は変えなくてもいいですか?
A. いいえ、お薬はあくまで治療の補助的な役割です。血圧や血糖値の治療の基本は、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善です。生活習慣を見直すことで、薬の効果を高めたり、薬の量を減らしたりできる可能性もあります。
Q. 減塩のコツを教えてください。
A. 麺類の汁を飲まない、醤油やソースはかけるより小皿にとって「つける」、香辛料やハーブ、レモンなどの酸味をうまく利用する、漬物や加工食品を控えるなどが効果的です。
Q. 運動する時間がないのですが、どうすればいいですか?
A. 通勤時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う、テレビを見ながらストレッチをするなど、日常生活の中でこまめに体を動かす「ながら運動」から始めるのがおすすめです。少しの意識で活動量は増やせます。
Q. 血圧や血糖値が高いとどんな病気になりますか?
A. 高血圧や高血糖が長期間続くと、血管が傷ついて動脈硬化が進行します。その結果、心筋梗塞、脳梗塞、腎臓病(人工透析に至ることも)、失明につながる網膜症、足の切断に至る神経障害など、全身に重大な合併症を引き起こすリスクが高まります。