「事業を始めたいけど資金が…」「新しい設備を導入したいな…」そんなとき、心強い味方になってくれるのが補助金です。国や自治体が事業者を応援するために用意してくれている、原則返済不要のお金のことですね。でも、「なんだか手続きが難しそう」「自分は対象になるのかな?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな補助金初心者の方や個人事業主の方でも使いやすい補助金を厳選して5つ、わかりやすくご紹介します。ぜひ、ご自身の事業に活かせるものがないか探してみてくださいね。
そもそも補助金ってどんな制度?
まずは、補助金の基本について簡単におさらいしましょう。補助金とは、国や地方自治体が、特定の政策目標(例えば、中小企業の活性化やIT化の推進など)を達成するために、事業者の取り組みを金銭的にサポートする制度です。最大の魅力は、銀行からの融資と違って、原則として返済する必要がないことです。事業にかかる費用の一部を補助してもらえるので、資金的な負担を大きく減らすことができますよ。
補助金と助成金、何が違うの?
補助金とよく似た言葉に「助成金」があります。どちらも返済不要の支援金ですが、少し違いがあるので、表で見てみましょう。
| 項目 | 補助金 |
| 管轄 | 経済産業省や地方自治体などが多い |
| 目的 | 新規事業の創出、設備投資、販路開拓など事業の成長支援 |
| 審査 | 審査があり、優れた事業計画が採択される(必ずもらえるわけではない) |
| 予算 | 予算や採択件数に上限がある |
| 項目 | 助成金 |
| 管轄 | 厚生労働省が多い |
| 目的 | 雇用の安定、人材育成、労働環境の改善など |
| 審査 | 定められた要件を満たせば原則として受給できる |
| 予算 | 通年で募集しているものが多い(予算がなくなり次第終了) |
簡単に言うと、新しいチャレンジを応援するのが「補助金」、働く環境を整えるのを応援するのが「助成金」というイメージですね。今回は、事業拡大に直結しやすい「補助金」を中心にご紹介します。
補助金をもらうための基本的な流れ
補助金は申請すればすぐにもらえるわけではなく、いくつかのステップがあります。基本的な流れを知っておきましょう。
1. 公募期間の確認と申請準備
2. 事業計画書など必要書類を作成し、期間内に申請
3. 審査・採択結果の通知
4. 交付決定後、事業を開始(経費の支払い)
5. 事業完了後、実績報告書を提出
6. 検査・補助金額の確定
7. 補助金の振り込み
ここで一番大切なポイントは、補助金は原則として後払いだということです。先に自分で費用を立て替える必要があるので、資金繰りには注意が必要ですよ。
【定番】小規模事業者持続化補助金
「使いやすい補助金」と聞いて、まず名前が挙がるのがこの小規模事業者持続化補助金です。個人事業主やフリーランス、従業員の少ない小さな会社を対象に、販路開拓や業務効率化の取り組みを支援してくれます。幅広い経費に使えるので、多くの方にとって活用のチャンスがある人気の補助金です。
どんな人が対象?
名前の通り、「小規模事業者」が対象です。具体的には、常時使用する従業員の数で判断されます。
| 業種 | 従業員数 |
| 商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く) | 5人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業・その他 | 20人以下 |
ここでいう従業員には、役員や個人事業主本人は含まれません。パートタイマーの方は労働時間などによって変わるので、公募要領で確認しましょう。
いくらもらえるの?対象経費は?
申請する枠によって補助額が変わりますが、基本的な「通常枠」の内容は以下の通りです。
| 補助上限額 | 50万円(特定の要件を満たすと最大250万円まで) |
| 補助率 | 2/3 |
これは、75万円の経費を使った場合、その2/3である50万円が補助されるという意味です。対象となる経費の例も見てみましょう。
・新しいチラシやカタログの作成
・Webサイトの制作やリニューアル
・ネット広告やSNS広告の出稿
・新商品の開発にかかる費用
・展示会への出展費用
・店舗の改装費用(バリアフリー化など)
このように、お客様を増やすための様々な取り組みに使えるのが大きな魅力です。
【IT化】IT導入補助金
日々の業務をもっと効率的にしたい、と考えている方におすすめなのがIT導入補助金です。会計ソフトや顧客管理システム、POSレジといったITツールを導入する際の費用の一部を補助してくれます。インボイス制度への対応を考えている方にも非常に使いやすい補助金です。
補助対象となるITツール
どんなITツールでも対象になるわけではなく、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が提供するツールの中から選ぶ必要があります。具体的には、以下のようなソフトやサービスが対象です。
・会計ソフト、決算ソフト
・受発注ソフト、決済ソフト
・顧客対応、販売支援ツール
・POSレジシステム
・勤怠管理、給与計算システム
最近では、PCやタブレット、レジなどのハードウェア購入費も対象になる枠があり、ますます使いやすくなっています。
補助額と補助率
IT導入補助金にはいくつかの申請枠があり、目的によって補助額や補助率が異なります。ここでは代表的な2つの枠をご紹介します。
| 申請枠 | 補助額と補助率 |
| 通常枠 | 最大450万円(補助率1/2) |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | 最大350万円(50万円以下の部分は補助率3/4 or 4/5) |
特にインボイス枠は、会計ソフトや決済ソフトの導入に特化しており、補助率も高めに設定されているため、インボイス制度への対応を機に業務のデジタル化を進めたい事業者の方にはぴったりです。
【新製品開発】ものづくり補助金
革新的な新製品や新サービスの開発、あるいは生産プロセスを改善するための設備投資を考えているなら、ものづくり補助金が強力なサポートになります。補助額が比較的高額なため、大きな投資を考えている中小企業や小規模事業者の方々に活用されています。
対象となる事業と事業者
この補助金のキーワードは「革新性」です。単に新しい機械を買うだけでなく、その投資によって「どう生産性が向上するのか」「どのような新しい価値を生み出せるのか」を具体的に示す事業計画が求められます。対象となるのは、全国の中小企業者や、特定の要件を満たす小規模事業者です。
補助額と補助率
申請枠によって異なりますが、基本的な枠では以下のようになっています。
| 補助上限額 | 750万円~1,250万円(従業員数による) |
| 補助率 | 1/2(小規模事業者は2/3) |
さらに、大幅な賃上げに取り組む事業者には補助上限額が上乗せされるなど、国の政策と連動した優遇措置も用意されています。機械装置費だけでなく、技術導入費や専門家経費なども対象になります。
【事業転換】事業再構築補助金
時代の変化に対応するため、思い切って新しい分野に挑戦したい、事業の形を大きく変えたい、という事業者の方を後押しするのが事業再構築補助金です。コロナ禍をきっかけに新設され、非常に注目度が高い補助金です。既存事業のノウハウを活かしつつ、新たな市場へチャレンジする意欲的な計画を支援します。
「事業再構築」の具体例
具体的にどのような取り組みが対象になるのでしょうか。いくつか例を挙げてみます。
・レストランが、店舗営業を縮小し、冷凍食品の開発・製造とオンライン販売事業を新たに始める。
・建設業者が、建物の3Dモデルを作成するドローン測量サービスを新たに開始する。
・衣料品店が、衣類のリペアやオーダーメイドサービスといった高付加価値な新事業を始める。
このように、これまでの事業とは異なる、新しい収益の柱を作るための取り組みが対象となります。
補助額と申請要件
補助額が非常に大きいのが特徴ですが、その分、申請要件も厳しく設定されています。代表的な申請枠の概要は以下の通りです。
| 補助上限額 | 2,000万円~7,000万円以上(従業員規模や申請枠による) |
| 補助率 | 1/2~2/3(中小企業の場合) |
申請するには、売上が一定以上減少していることや、認定経営革新等支援機関(専門家)と一緒に事業計画を策定することなどが求められます。計画の実現性や革新性が厳しく審査されるため、準備には専門家のサポートを得るのがおすすめです。
まとめ
今回は、事業者の方が使いやすい補助金を4つご紹介しました。それぞれの補助金には目的や特徴があります。まずはご自身の事業の課題や、これから挑戦したいことを整理し、それに合った補助金を選ぶことが大切です。
・小規模事業者持続化補助金:チラシ作成やHP制作など、日々の販路開拓に。
・IT導入補助金:会計ソフト導入など、業務の効率化・IT化に。
・ものづくり補助金:新製品開発など、大きな設備投資に。
・事業再構築補助金:新分野への挑戦など、大胆な事業転換に。
どの補助金も、公募要領をしっかりと読み込むことが採択への第一歩です。公募期間は限られているので、気になる補助金が見つかったら、早めに公式サイトをチェックして準備を始めましょう。この記事が、あなたの事業をさらに成長させる一助となれば幸いです。
使いやすい補助金のよくある質問まとめ
Q. 補助金は返済しなくてもいいのですか?
A. はい、原則として返済は不要です。融資とは違い、事業の成長を後押しするための支援金です。
Q. 申請すれば必ずもらえますか?
A. いいえ、必ずもらえるわけではありません。多くの補助金には審査があり、事業計画の内容などを評価された上で採択される必要があります。
Q. 補助金はいつもらえますか?
A. 補助金は原則として後払いです。まずご自身で経費を支払い、事業を実施した後に報告書を提出し、その内容が認められてから振り込まれます。
Q. 個人事業主でも申請できる補助金はありますか?
A. はい、たくさんあります。特に「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」は、多くの個人事業主の方が活用されています。
Q. 補助金の申請は難しいですか?
A. 書類の準備や事業計画の作成など、手間はかかります。しかし、公募要領をよく読み、商工会議所などの支援機関に相談することで、スムーズに進められます。
Q. 補助金をもらうと税金はかかりますか?
A. はい、補助金は事業収入(雑収入)として扱われるため、所得税などの課税対象になります。