収益物件を探していると、「劣化対策等級」という言葉を目にすることがありますよね。なんだか難しそう…と感じるかもしれませんが、実はこれ、物件の寿命や価値に関わる、とっても大切な指標なんです。特に長期的な視点が欠かせない収益物件への投資では、この等級を理解しているかどうかが成功の分かれ道になることも。この記事では、劣化対策等級とは何か、収益物件にとってどんなメリットがあるのかを、優しく解説していきますね。
そもそも劣化対策等級って何?
まずは基本からお話ししますね。劣化対策等級とは、簡単に言うと「建物の劣化への強さ」を客観的に評価し、等級で示したものです。これは2000年に定められた「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく「住宅性能表示制度」の評価分野のひとつ。専門の第三者機関が評価するので、信頼性が高いのが特徴です。等級は1から3まであり、数字が大きいほど「大規模な修繕が必要になるまでの期間を伸ばすための対策がしっかりされている」ということになります。
等級ごとの違いをチェック!
では、具体的に等級ごとにどれくらいの差があるのでしょうか。世代で例えられることが多く、イメージしやすいですよ。
| 等級 | 想定される耐久期間の目安 |
|---|---|
| 等級3(最高等級) | 3世代(約75年~90年)の大規模修繕が不要な対策がされている |
| 等級2 | 2世代(約50年~60年)の大規模修繕が不要な対策がされている |
| 等級1 | 建築基準法に定められた対策がされており、1世代(約25年~30年)で大規模修繕が必要になるレベル |
このように、等級3は等級1の約3倍も長持ちするように設計されているんですね。収益物件を長く運用することを考えると、この差はとても大きいですよね。
どんなことが評価されるの?
評価のポイントは、建物の構造によって少し異なります。なぜなら、劣化の原因がそれぞれ違うからです。
- 木造:湿気による腐食やシロアリの被害を防ぐ対策(床下の換気、防蟻処理など)
- 鉄骨造:雨水などによる鉄骨のサビを防ぐ対策(防錆塗装やめっき処理など)
- 鉄筋コンクリート造:コンクリートの中性化による鉄筋のサビを防ぐ対策(コンクリートのかぶり厚さなど)
これらの対策が、基準に沿ってきちんと行われているかが厳しくチェックされます。
住宅性能表示制度って?
劣化対策等級は、「住宅性能表示制度」という仕組みの中の一つの評価項目です。この制度は、住宅の様々な性能(耐震性、省エネ性、劣化対策など)を国が定めた統一基準で評価し、分かりやすく表示するためのもの。評価結果は「住宅性能評価書」として発行されます。これがあることで、専門家でなくても物件の性能を客観的に比較・検討できるというわけです。不動産投資において、物件の価値を正確に把握する上で、とても頼りになる制度なんですよ。
収益物件で劣化対策等級を取得する4つのメリット
では、投資家であるオーナーさんにとって、劣化対策等級が高い収益物件を持つことには、具体的にどんな良いことがあるのでしょうか。ここでは大きな4つのメリットをご紹介します。
メリット①:融資期間が長くなりやすい
これが最大のメリットかもしれません。特に木造アパートの場合、法律で定められた法定耐用年数は22年です。そのため、金融機関の融資期間も22年以内になるのが一般的でした。しかし、劣化対策等級2や3を取得した物件は「通常より長持ちする」と評価され、法定耐用年数を超えて30年以上の長期融資を受けられる可能性が高まります。融資期間が延びれば月々の返済額を抑えられるので、手元に残るお金、つまりキャッシュフローが大きく改善するんです。
メリット②:メンテナンス費用を削減できる
劣化対策等級が高いということは、それだけ建物が傷みにくいということです。外壁の再塗装や屋根の葺き替えといった大規模修繕工事は、一度に数百万円単位の費用がかかることも。等級が高い物件は、こうした大規模修繕が必要になるまでの期間が長いため、長期的に見てメンテナンスコストを大幅に削減できます。これは、安定した賃貸経営を続ける上で非常に大きなアドバンテージになります。
メリット③:地震保険料が割引される
住宅性能表示制度で評価を受けると、等級に応じて地震保険料の割引が適用されます。例えば、耐震等級と合わせて評価されることが多いですが、建物の性能が高いと認められることで、保険料が10%から最大50%も割引になることがあります。火災保険や地震保険は収益物件の運営に必須の経費ですから、これが安くなるのは嬉しいポイントですよね。
メリット④:物件の資産価値が向上する
「住宅性能評価書」という、国のお墨付きがある物件は、客観的に性能の高さが証明されています。そのため、将来物件を売却することになった場合、他の物件との差別化が図りやすく、より有利な条件で売却できる可能性が高まります。買い手側も安心して購入できるため、資産価値が落ちにくい、むしろ向上するとも言えるでしょう。
構造別!劣化対策等級の評価ポイント
建物の構造によって劣化の原因や対策が違うため、評価のポイントも異なります。ここでは主な構造別に、どんな点がチェックされるのかをもう少し詳しく見ていきましょう。
【木造】湿気とシロアリ対策がカギ
日本の気候では、木造住宅にとって湿気は大敵です。湿気は木材を腐らせる原因になり、シロアリを呼び寄せることにもつながります。そのため、床下の地面をコンクリートで覆う「防湿措置」や、壁の中に空気の通り道を作る「通気構法」、土台部分への「防腐・防蟻措置」などが厳しく評価されます。
【鉄骨造】サビ対策が最重要
鉄骨造の建物は、その名の通り骨組みが鉄でできています。鉄の最大の弱点は「サビ」です。雨水などが内部に侵入して鉄骨が錆びてしまうと、建物の強度が著しく低下してしまいます。これを防ぐために、鉄骨に施されためっきや塗装の厚さ、種類といった「防錆措置」が重要な評価ポイントになります。
【鉄筋コンクリート造】コンクリートの品質が決め手
丈夫なイメージのある鉄筋コンクリート造ですが、これも永久にもつわけではありません。空気中の二酸化炭素などの影響で、コンクリートが徐々にアルカリ性から中性に変わっていく「中性化」という現象が起こります。中性化が内部の鉄筋まで達すると、鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートにひび割れを起こしてしまいます。これを防ぐため、鉄筋を覆うコンクリートの厚さ(かぶり厚さ)や、水セメント比(コンクリートの強度に関わる)などが評価されます。
デメリットや注意点も知っておこう
いいこと尽くしに見える劣化対策等級ですが、もちろん注意すべき点もあります。メリットとデメリットの両方を理解して、総合的に判断することが大切です。
建築コストがアップする
最も大きな注意点は、建築費用が高くなることです。高い等級の基準をクリアするためには、より高品質な建材を使ったり、手間のかかる工法を採用したりする必要があります。また、住宅性能評価を受けるための申請費用として、10万円から40万円程度が別途必要になります。初期投資が増える点は覚悟しておきましょう。
設計やデザインに制約が出ることも
性能を最優先するため、間取りやデザインに一定の制約が出てくる場合があります。例えば、耐久性を高めるために特定の壁や柱が必要になり、希望していたような開放的な空間が作りにくくなる、といったケースです。デザイン性を重視したい場合は、設計士とよく相談する必要があります。
工期が長くなる可能性がある
住宅性能評価では、工事の各段階(基礎工事、躯体工事など)で第三者機関による現場検査が入ります。その検査日程に合わせて工事を進める必要があるため、通常の建築プロセスよりも工期が少し長くなる可能性があります。入居開始時期や資金計画にも影響する可能性があるので、スケジュールには余裕を持たせておくと安心です。
中古物件の劣化対策等級はどうなの?
新築だけでなく、中古の収益物件を検討している方も多いですよね。中古物件と劣化対策等級の関係についても解説します。
中古でも等級は確認できる?
はい、確認できます。その物件が新築された時に「住宅性能評価書」が発行されていれば、そこに等級が記載されています。物件の販売資料に記載があったり、不動産会社に問い合わせれば確認できたりします。もし評価書がない場合でも、「既存住宅性能評価制度」という仕組みを使って、専門家にあらためて評価してもらうことも可能です。ただし、その場合は調査費用と時間がかかります。
等級がない中古物件はダメ?
そんなことはありません。住宅性能表示制度が普及する前に建てられた良い物件もたくさんあります。等級という客観的な指標がない分、購入前にはホームインスペクション(住宅診断)を依頼するなどして、建物の現在の状態(劣化具合や欠陥の有無など)を専門家の目でしっかりとチェックすることが非常に重要になります。
まとめ
劣化対策等級は、収益物件の長期的な安定経営を目指す上で、非常に心強い味方になってくれる指標です。融資の条件が良くなったり、将来の修繕コストを抑えられたりと、キャッシュフローに直結するメリットがたくさんあります。もちろん、初期コストがかかるなどの注意点もありますが、長期的なリターンを考えれば、十分に検討する価値があると言えるでしょう。これから収益物件を探す方は、ぜひ「劣化対策等級」という新しい視点を持って、物件選びをしてみてくださいね。
参考文献
劣化対策等級のよくある質問まとめ
Q. 劣化対策等級って何ですか?
A. 建物の劣化を防ぐ対策がどの程度されているかを示す等級です。1から3まであり、数字が大きいほど性能が高い、つまり長持ちすることを意味します。
Q. 等級が高いと収益物件にどんなメリットがありますか?
A. 金融機関からの融資期間が長くなりやすくなったり、長期的な修繕コストを抑えられたり、物件の資産価値向上につながるなどのメリットがあります。
Q. 劣化対策等級を取得するのに費用はかかりますか?
A. はい、かかります。等級の基準を満たすための建築コストアップに加え、評価機関への申請費用として10万円から40万円程度が必要になる場合があります。
Q. 中古物件でも劣化対策等級はありますか?
A. 新築時に住宅性能評価書が発行されていれば確認できます。ない場合でも、既存住宅性能評価制度を利用して新たに評価を受けることは可能です。
Q. 等級1は取得する意味がないですか?
A. 等級1は建築基準法で定められた最低限の基準です。意味がないわけではありませんが、融資優遇などのメリットを享受するには、等級2以上、特に等級3を目指すのが一般的です。
Q. RC造(鉄筋コンクリート造)には劣化対策等級は関係ないですか?
A. いいえ、関係あります。RC造ではコンクリートの品質や鉄筋のかぶり厚さなどが評価され、等級が高いほど中性化などの劣化に強い建物と評価されます。