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事業承継税制の雇用確保要件を徹底解説!贈与税の納税猶予(特例措置)

2025-01-27
目次

事業承継を考えている経営者の方にとって、贈与税の負担は大きな課題ですよね。その負担を軽減してくれるのが「事業承継税制(法人版)」です。特に期間限定の「特例措置」はとても有利な制度ですが、「雇用を維持しなきゃいけない」という要件がネックになっていませんか?この記事では、贈与税の納税猶予の特例措置における「雇用確保要件」について、わかりやすく解説していきます。

事業承継税制と納税猶予制度の基本

まずは、事業承継税制の基本からおさらいしましょう。事業承継税制は、後継者が会社の株式を贈与や相続で引き継ぐ際に、その贈与税や相続税の納税が猶予されたり、最終的には免除されたりする制度です。この制度には「一般措置」と、より使いやすい「特例措置」の2種類があります。

「一般措置」と「特例措置」の違いって?

「一般措置」は恒久的な制度ですが、要件が厳しい面があります。一方、「特例措置」は2027年12月31日までの贈与が対象となる期間限定の制度ですが、納税猶予の対象となる株式の制限がなかったり、複数の後継者への承継が認められたりと、非常に利用しやすくなっています。主な違いを表で見てみましょう。

項目 特例措置
適用期限 2027年12月31日までの贈与・相続
対象株式数 全株式
納税猶予割合 100%
後継者の数 最大3人まで
雇用確保要件 弾力化(事実上の撤廃)

なぜ雇用確保要件があるの?

事業承継税制は、会社の存続と発展を支援し、ひいては雇用の維持を通じて地域経済に貢献することを目的としています。そのため、税金の優遇を受ける条件として、一定期間、従業員の雇用を維持することが求められているんですね。

特例措置の適用期限に注意!

特例措置を利用するためには、まず「特例承継計画」を作成し、都道府県知事の確認を受ける必要があります。この計画の提出期限は2026年3月31日までです。計画さえ提出しておけば、実際の贈与は2027年12月31日までが対象となりますので、早めの準備が大切です。

納税猶予のカギ!「雇用確保要件」とは?

それでは、本題の「雇用確保要件」について詳しく見ていきましょう。この要件は、事業承継後の5年間、雇用の維持が求められるというものです。

具体的な要件の内容

雇用確保要件とは、贈与日(または相続開始日)から5年間、贈与時の「常時使用する従業員数」の80%を平均して維持するというものです。もし5年間の平均で80%を下回ってしまうと、原則として納税猶予が打ち切られ、猶予されていた税金と利子税を納付する必要が出てきます。

「常時使用する従業員」の数え方

「常時使用する従業員」とは、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者となっている従業員のことです。ただし、役員や労働時間が短いパートタイマーなどは含まれませんので、誰が対象になるのかを正確に把握することが重要です。

含まれる人 社会保険に加入している正社員や、それに準ずる労働時間・日数の従業員
含まれない人 役員(兼務役員を除く)、労働時間が正社員の4分の3未満のパート・アルバイト、75歳以上の従業員(後期高齢者医療制度の被保険者)など

正確な人数は、日本年金機構から送付される「標準報酬月額決定通知書」などで確認できます。

雇用人数の計算方法

5年間の平均雇用人数は、承継後の各事業年度末日時点の常時使用従業員数を月数按分して計算します。具体的には、申告期限から5年を経過する日までの各月の末日における従業員数の平均を算出します。少し複雑ですが、毎年きちんと人数をチェックしておくことが重要になります。

特例措置でどう変わった?雇用確保要件の弾力化(事実上の撤廃)

これまで説明した雇用確保要件ですが、「特例措置」ではこの要件が大幅に緩和されています。これが「事実上の撤廃」といわれる理由です。

8割維持できなくても猶予が継続できる!

特例措置の最大のポイントは、もし5年間の平均雇用人数が贈与時の80%を下回ってしまっても、納税猶予が打ち切られないという点です。ただし、そのためには所定の手続きが必要になります。

必要な手続きとは?

雇用を80%以上維持できなかった場合、「雇用確保要件を満たせなかった理由を記載した報告書」を都道府県知事に提出する必要があります。この報告書には、税理士や金融機関などの「認定経営革新等支援機関」に、その理由が妥当である旨の意見を記載してもらう必要があります。この手続きさえきちんと行えば、納税猶予は継続されるのです。

経営状況の悪化が理由の場合

雇用を維持できなかった理由が、やむを得ない経営状況の悪化である場合でも、手続きは基本的に同じです。認定経営革新等支援機関から経営改善のための指導や助言を受け、その内容を報告書に記載して提出します。これにより、経営が厳しい状況でも納税猶予が継続されるため、後継者は安心して事業の立て直しに集中できます。

一般措置と特例措置の雇用確保要件を比較

ここで、一般措置と特例措置の雇用確保要件の違いを改めて整理してみましょう。この違いが、特例措置がいかに経営者にとって有利な制度であるかを示しています。

猶予打ち切りのリスクが大きく違う

一般措置では、雇用確保要件を満たせないと、猶予されていた贈与税全額と、さらに利子税を合わせて一括で納付しなければなりません。これは経営にとって非常に大きなリスクです。一方、特例措置では前述の手続きをすれば猶予が継続されるため、このリスクが大幅に軽減されます。

措置の種類 雇用が80%未満になった場合
一般措置 原則、納税猶予が打ち切られ、猶予税額と利子税を一括納付。
特例措置 理由書を提出すれば納税猶予は継続。

なぜ特例措置がおすすめなのか

5年先、10年先の経済状況や経営環境を完璧に予測することは困難です。慢性的な人手不足や景気変動など、自社の努力だけではどうにもならない要因で雇用を維持できなくなる可能性は十分にあります。特例措置は、そうした不確実な未来のリスクに対応できる、経営者に優しい制度と言えるでしょう。

雇用確保要件以外に注意すべきポイント

事業承継税制の納税猶予を継続するためには、雇用確保要件以外にも守らなければならない要件がいくつかあります。うっかり違反してしまわないように、こちらも確認しておきましょう。

後継者の代表者継続

贈与から5年間(特例経営承継期間)は、後継者が会社の代表者であり続ける必要があります。やむを得ない理由なく代表者を退任すると、納税猶予が打ち切られてしまいますので注意してください。

株式の継続保有

納税猶予の対象となった株式は、後継者が継続して保有しなければなりません。納税猶予期間中に一部でも譲渡してしまうと、譲渡した分について納税猶予が打ち切られ、税金を納付する必要があります。

定期的な報告義務

納税猶予期間中は、都道府県と税務署に定期的に報告書を提出する義務があります。この報告を怠ると、納税猶予が打ち切られる原因になるため、忘れずに行いましょう。報告は、承継後5年間は毎年、5年経過後は3年に1度必要です。

まとめ

今回は、贈与税の納税猶予(事業承継税制)における雇用確保要件について、特に「特例措置」での変更点を中心に解説しました。

一般措置では、5年間の平均雇用が80%未満になると納税猶予が打ち切られる厳しい要件ですが、期間限定の特例措置では、この要件が事実上撤廃されています。雇用を維持できなくても、認定経営革新等支援機関の意見を添えた理由書を提出すれば、納税猶予は継続されます。

この非常に有利な特例措置を利用するためには、2026年3月31日までに「特例承継計画」を都道府県に提出する必要があります。事業承継を円滑に進めるため、この制度の活用をぜひ検討してみてくださいね。もしご不明な点があれば、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

贈与税の納税猶予と雇用確保要件のよくある質問まとめ

Q. 事業承継税制の「雇用確保要件」とは何ですか?

A. 贈与や相続で事業を引き継いだ後、5年間の平均で、承継時の常時使用する従業員数の80%以上を維持するという要件です。

Q. 特例措置では、雇用確保要件は本当に撤廃されたのですか?

A. 法律上は要件が残っていますが、80%を維持できなくても、所定の理由書を提出すれば納税猶予が継続されるため、「事実上の撤廃」と言われています。

Q. 従業員数が80%を下回った場合、どのような手続きが必要ですか?

A. 「雇用確保要件を満たせない理由を記載した書類」に、認定経営革新等支援機関の意見を添えて、都道府県に提出する必要があります。

Q. 「常時使用する従業員」にはパートやアルバイトも含まれますか?

A. 原則として、社会保険の被保険者が対象です。労働時間が正社員の4分の3未満のパート・アルバイトの方は通常含まれません。

Q. 特例措置はいつまで利用できますか?

A. 2027年12月31日までに行われる贈与が対象です。ただし、その前提として2026年3月31日までに「特例承継計画」を都道府県に提出する必要があります。

Q. 雇用確保要件以外に、納税猶予が打ち切られるケースはありますか?

A. はい。後継者が代表者を退任した場合や、対象株式を譲渡した場合、定期的な報告を怠った場合などに打ち切られる可能性があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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