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無道路地の評価減!想定開設通路の正しい取り方4つのケース解説

2025-02-13
目次

ご自身の土地の評価額、正しく計算できていますか?特に「無道路地」は、評価がとても複雑で、通路をどう取るかによって評価額が大きく変わってしまうんです。でも、正しく評価できれば、相続税を大幅に抑えられる可能性もあります。この記事では、無道路地評価のキモとなる「想定開設通路」の取り方を、具体的なケースを交えながら、誰にでも分かりやすく解説していきますね。

そもそも無道路地とは?評価の基本をおさらい

まずは、無道路地評価の基本から確認していきましょう。そもそもどんな土地が無道路地にあたるのか、なぜ評価額が下がるのかを知ることが大切ですよ。

無道路地の定義と接道義務

無道路地とは、その名の通り「道路に接していない土地」のことです。それだけでなく、道路に接してはいるけれど、法律で定められた条件を満たしていない土地も無道路地に含まれます。
その法律の条件というのが「接道義務」です。建築基準法では、建物を建てる敷地は「幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していなければならない」と定められています。このルールを満たしていないと、原則として建物を新築したり、建て替えたりすることができないのです。この接道義務は、主に都市計画区域や準都市計画区域内で適用されます。

無道路地になるとどうなる?評価額が下がる理由

接道義務を満たさない無道路地は、建物の建築や建て替えができないという大きな制限があります。土地の価値は、その土地をどれだけ有効に使えるかで決まりますから、利用価値が著しく低い無道路地は、通常の土地と比べて評価額が大きく下がることになります。相続税の評価では、この利用価値の低さを反映させるために、評価額を減額する特別な計算(補正)が認められているのです。

無道路地の評価方法のキホン

無道路地の価額は、まずその土地が道路に接していると仮定して、不整形地などの補正を行った価額を計算します。そして、その価額から「通路開設費用相当額」を差し引いて評価します。

無道路地の評価額 = (不整形地などとして評価した価額) - (通路開設費用相当額)

この「通路開設費用相当額」とは、道路に出るために最低限必要な通路を隣地から購入すると想定した場合の費用です。ただし、いくらでも差し引けるわけではなく、控除できる金額は、控除前の評価額の40%が上限と決められています。

どんな土地が無道路地になる?具体例でチェック

「うちの土地は無道路地なのかな?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。ここでは、無道路地に該当するケースと、そう見えても該当しないケースを具体的に見ていきましょう。

無道路地に該当する主なケース

以下のような土地は、無道路地として評価される可能性が高いです。

ケース 説 明
完全に他人の土地に囲まれている 道路に全く接していない典型的な無道路地です。
接道間口が2m未満 道路に接していても、その幅が2mに満たない場合です。
通路の幅員が途中で2m未満になる 旗竿地などで、道路との接道部分は2mあっても、奥に入るまでの通路のどこか一か所でも幅が2m未満になる場合です。
道路との間に水路や他人の土地がある 道路に直接接しておらず、間に障害物がある場合です。
接している道路が建築基準法上の道路ではない 見た目は道路でも、建築基準法で認められた道路(公道や位置指定道路など)でない場合です。
自治体の条例を満たさない 例えば東京都では、通路の長さが20mを超える場合は3m以上の幅員が必要など、自治体独自の厳しい条例がある場合があります。

無道路地に見えても該当しないケース

一方で、一見すると無道路地に見えても、そうは扱われないケースもあります。注意が必要ですよ。

ケース 説 明
無道路地と前面宅地を同一人物が所有している 相続によって、無道路地とその前面の道路に接する土地を同じ人が所有することになった場合、一体の土地として利用できるため無道路地にはなりません。
通行地役権が設定されている 他人の土地を通行する権利(地役権など)が法的に設定されている場合は、無道路地として扱われません。
建築基準法第43条2項の認定・許可がある 周囲に公園があるなど、一定の条件を満たせば、接道義務がなくても建築が許可される場合があります。この許可がある土地は無道路地には該当しません。

想定開設通路とは?評価額を左右する重要なポイント

無道路地評価で最も重要で、そして最も難しいのが「想定開設通路」の考え方です。ここをどう設定するかで、評価額が大きく変わってきます。

想定開設通路の基本的な考え方

想定開設通路とは、その無道路地が建築基準法上の道路に出るために、隣地などを買い取って最小限度の通路を確保すると「想定」した通路のことです。実際に通路を作るわけではありません。あくまで評価計算上の仮定の話です。
この想定した通路部分の価額(路線価 × 通路面積)を「通路開設費用相当額」として、無道路地の評価額から差し引くことができる、という仕組みです。

通路の幅員はどう決まる?

想定開設通路の幅員は、接道義務を満たすために必要な最低限の幅で考えます。基本的には建築基準法に定められている2mとなります。
ただし、注意したいのが自治体の条例です。自治体によっては、建築安全条例などで独自の、より厳しい基準を設けている場合があります。

例えば、東京都建築安全条例では、路地状部分(通路部分)の長さによって必要な幅員が変わります。

  • 通路の長さが20m以下の場合:幅員2m以上
  • 通路の長さが20mを超える場合:幅員3m以上

このように、評価対象地のある自治体の条例をしっかり確認することが、正しい通路幅員を設定する第一歩になります。

【ケース別】想定開設通路の取り方4パターン

では、具体的にどのように想定開設通路を取ればよいのでしょうか。状況別に4つのパターンを見ていきましょう。

ケース① 接する道が「建築基準法上の道路ではない」「路線価もない」

評価対象地が、見た目は道(法定外道路)に接していても、その道が建築基準法上の道路ではなく、路線価も設定されていない場合です。この場合、その法定外道路は通路として認められません。したがって、最も近い建築基準法上の道路から、新たに幅員2m(または条例で定められた幅)の通路を開設すると想定して評価します。

ケース② 接する道が「建築基準法上の道路ではない」「路線価はある」

これもよくあるケースです。接している道路に路線価が設定されているからといって、必ずしも建築基準法上の道路とは限りません。もし建築基準法上の道路でなければ、この場合も無道路地として扱います。想定通路は、ケース①と同様に、周囲にある建築基準法上の道路から開設すると考えます。接している道の路線価をそのまま使って評価すると、過大評価になってしまう可能性があるので注意が必要です。

ケース③ 接する道が「建築基準法上の道路である」「路線価がない」

このケースは、無道路地ではありませんが、評価が難しいパターンです。位置指定道路などで、建築基準法上の道路ではあるものの、路線価が設定されていない場合に起こります。この評価方法としては、税務署に申請して路線価を設定してもらう「特定路線価」を使う方法や、最も近い路線価のある道路から通路が伸びている「旗竿地」として評価する方法などが考えられます。

ケース④ 複数の道路から通路が取れる場合

これが最も判断に迷うケースです。評価対象地の周りに複数の道路があり、どの道路から通路を取るかで評価額が大きく変わってきます。
財産評価基本通達では、「実際に利用している路線」の路線価に基づいて評価するとされています。しかし、一方で通路開設費用は「最小限度の通路を開設する場合」とされています。
例えば、以下のような場合はどうでしょう?

  • A通路:いつも使っている道だが、距離が長く通路開設費用が高くなる。
  • B通路:普段は使わないが、距離が短く通路開設費用は安くなる。

どちらを選ぶべきか、明確な正解はありません。「実際に利用している」という実態を重視すればA通路ですが、「最小限度」という経済合理性を重視すればB通路となります。また、B通路側に他人の家が密集していて通路開設が現実的でない、といった状況も考慮する必要があります。利用実態、通路開設の現実可能性、経済合理性などを総合的に勘案して、最も妥当な通路を選択することが求められます。

想定開設通路を設定する際の注意点

最後に、通路開設費用を計算する上での大切な注意点を2つお伝えします。

通路開設費用に各種補正は適用しない

通路開設費用相当額の計算はとてもシンプルです。「想定通路に面する道路の路線価 × 想定通路の地積」で計算します。想定した通路の形が不整形だったり、間口が狭かったりしても、不整形地補正や間口狭小補正などの各種画地調整は行いません。シンプルに路線価と面積を掛け合わせるだけ、と覚えておきましょう。

通路開設費用の控除限度額

繰り返しになりますが、通路開設費用相当額として控除できる金額には上限があります。その上限は、通路開設費用を控除する前の評価額の40%です。計算した通路開設費用がこの上限を超える場合は、40%の金額までしか控除できないので注意してください。

まとめ

無道路地評価、特に想定開設通路の取り方は、非常に専門的な判断が求められる分野です。どの道路から通路を取るか、自治体の条例はどうか、利用実態はどうなっているかなど、一つ一つの判断が評価額に大きく影響します。
ご自身の土地が無道路地かもしれない、と思った場合は、まず接道状況をしっかり確認し、複数の想定通路パターンを検討することが大切です。もし判断に迷うようであれば、相続税に詳しい専門家に相談することをおすすめします。正しい評価で、適切な相続税申告を行いましょう。

参考文献

国税庁  No.4620 無道路地の評価

国税庁  接道義務を満たしていない宅地の評価

無道路地の想定開設通路に関するよくある質問まとめ

Q.無道路地とはどんな土地ですか?

A.道路に全く接していない土地、または、建築基準法で定められた「幅員4m以上の道路に2m以上接する」という接道義務を満たしていない土地のことです。建物の建築や建て替えができないなどの制限があります。

Q.なぜ無道路地は評価額が下がるのですか?

A.建物の建築や建て替えができないなど、土地の利用価値が著しく低いためです。相続税評価では、その利用上の制限を考慮して、評価額を最大で40%減額できる補正が認められています。

Q.想定開設通路の幅は何メートルにすればいいですか?

A.原則として建築基準法で定められた2mです。ただし、東京都など一部の自治体では、通路の長さによって3mや4m以上の幅員が必要となる独自の条例を定めているため、所在地の自治体の条例を確認する必要があります。

Q.複数の道路がある場合、どの道路から通路を取れば有利ですか?

A.一概にどちらが有利とは言えません。原則は「実際に利用している路線」から取りますが、「最小限度の通路」という経済合理性も考慮されます。利用実態や通路開設の現実性を総合的に判断して、最も妥当な通路を選択することが重要です。

Q.通路開設費用の計算で、土地の形が悪くても補正はしないのですか?

A.はい、しません。通路開設費用は「路線価 × 通路の面積」でシンプルに計算し、不整形地補正や間口狭小補正などの各種画地調整は行いません。

Q.通路開設費用はいくらでも控除できますか?

A.いいえ、できません。控除できる金額には上限があり、通路開設費用を控除する前の無道路地の評価額の40%までと定められています。

事務所概要
社名
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対応責任者
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