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法定調書とは?初心者でもわかる種類や提出期限、書き方を徹底解説

2025-03-19
目次

「法定調書」という言葉、経理を担当している方や個人事業主の方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。ですが、「具体的にどんな書類なの?」「なぜ提出が必要なの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実はこの法定調書、適正な税金の申告と納付のために非常に重要な役割を担っています。今回は、法定調書の基本から、具体的な種類、提出方法まで、わかりやすく解説していきますね。

法定調書とは?なぜ提出が必要なの?

まず、法定調書がどのようなものか、その目的から見ていきましょう。これを理解すると、なぜ作成・提出が必要なのかがスッキリしますよ。

法定調書の目的は「適正な課税」

法定調書とは、簡単に言うと「誰が誰に、いつ、どのような理由で、いくら支払ったのか」を税務署に報告するための書類です。所得税法や相続税法などの法律によって、特定の支払いをした事業者に対して税務署への提出が義務付けられています。

例えば、A社がフリーランスのBさんにデザイン料として100万円を支払ったとします。このとき、A社は「Bさんに100万円支払いました」という内容の「支払調書」を税務署に提出します。一方で、報酬を受け取ったBさんは確定申告で「A社から100万円の収入がありました」と申告します。税務署は、A社から提出された支払調書とBさんの確定申告の内容を照らし合わせることで、「申告内容が正しいな」と確認できるわけです。このように、お金の動きを透明化し、申告漏れや脱税を防ぎ、公平で適正な課税を実現することが法定調書の大きな目的です。

誰が作成・提出するの?

法定調書を作成し、税務署に提出する義務があるのは、給与や報酬などの支払いを行った事業者(法人または個人事業主)です。支払いを受けた側(従業員や取引先)が作成するものではありません。これを「提出義務者」と呼びます。ただし、すべての支払いが対象となるわけではなく、法律で定められた特定の支払いについてのみ、提出義務が発生します。

法定調書の種類は60種類以上!

実は、法定調書にはたくさんの種類があり、国税庁によると現在63種類も存在します。とはいっても、すべての事業者が全種類の法定調書に関わるわけではありません。ほとんどの事業者が関わるのは、その中でも特に代表的な数種類です。次の章では、皆さんのビジネスに深く関わる可能性の高い、代表的な法定調書について詳しく見ていきましょう。

事業でよく使う!代表的な法定調書6選

ここでは、多くの事業者の方が作成・提出する機会のある、代表的な6つの法定調書をご紹介します。ご自身の事業と照らし合わせながら確認してみてくださいね。

給与所得の源泉徴収票

従業員を雇用している方には最も身近な法定調書です。会社員やアルバイトの方なら、年末調整後にもらうお馴染みの書類ですね。これは、1年間に支払った給与や賞与の総額、源泉徴収した所得税額などを記載したものです。従業員全員に交付する義務がありますが、税務署への提出が必要になるのは、以下のような一定の条件を満たす場合に限られます。

受給者の区分(年末調整をした場合) 税務署への提出が必要な範囲
法人の役員 その年の給与支払額が150万円を超える場合
弁護士、司法書士、税理士など その年の給与支払額が250万円を超える場合
上記以外の一般の従業員 その年の給与支払額が500万円を超える場合
年末調整をしなかった人 「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出有無など、条件により給与支払額が50万円または250万円を超える場合など

退職所得の源泉徴収票

従業員に退職金を支払った場合に作成する法定調書です。退職金を支払ったすべての人に交付する義務がありますが、税務署への提出義務があるのは、支払相手が「法人の役員」である場合のみです。一般の従業員への退職金支払いの場合は、税務署への提出は不要となります。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

フリーランスのデザイナーやライター、弁護士や税理士などの専門家へ報酬を支払った場合に作成する書類で、一般的に「支払調書」と呼ばれることが多いのがこちらです。源泉徴収の対象となる特定の報酬を支払った場合に提出が必要となります。提出が必要となる金額の基準は報酬の種類によって異なり、例えば以下のようなものがあります。
・弁護士や税理士などへの報酬:同一人に対し、その年の支払合計額が5万円を超える場合
・外交員、集金人などへの報酬:同一人に対し、その年の支払合計額が50万円を超える場合

不動産の使用料等の支払調書

事務所や店舗の家賃、権利金、更新料などを支払っている場合に作成する法定調書です。同一の相手(個人大家さんなど)に対する年間の支払合計額が15万円を超える場合に提出が必要です。ただし、注意点として、支払い先が法人の場合の「家賃」や「地代」は提出の対象外です。法人に権利金や更新料を支払った場合は対象となります。

不動産等の譲受けの対価の支払調書

土地や建物といった不動産などを購入した際に作成する法定調書です。同一の相手から購入した対価の、年間の支払合計額が100万円を超える場合に提出が必要となります。

不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

不動産の売買や賃貸借の際に、不動産会社などに仲介手数料(あっせん手数料)を支払った場合に作成します。同一の相手に対する年間の支払合計額が15万円を超える場合に提出が必要です。

法定調書の提出方法と期限

法定調書は、作成したら決められた期限までに正しく提出しなければなりません。ここでは、提出に関する基本ルールを確認しましょう。

提出期限はいつまで?

ほとんどの法定調書の提出期限は、原則として、支払いがあった年の翌年1月31日です。例えば、2024年中に支払った給与や報酬に関する法定調書は、2025年1月31日までに提出する必要があります。この期限は必ず守るようにしましょう。もし1月31日が土日や祝日にあたる場合は、その翌開庁日が期限となります。

どこに提出するの?

法定調書は、支払事務を行う事業所の所在地を管轄する税務署に提出します。また、先ほどご紹介した「給与所得の源泉徴収票」と内容がほぼ同じ「給与支払報告書」という書類があり、こちらは従業員が住んでいる市区町村に提出する必要があります。税務署と市区町村、提出先が異なる点に注意してください。

提出方法にはどんなものがある?

法定調書の提出方法には、いくつかの選択肢があります。ご自身の状況に合わせて便利な方法を選びましょう。

提出方法 特 徴
書面(窓口・郵送) 作成した書類を税務署の窓口に直接持参するか、郵送で提出する最も基本的な方法です。
e-Tax(電子申告) 国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用して、インターネット経由で提出する方法です。24時間提出可能で便利です。
光ディスク等 CDやDVDなどに法定調書のデータを記録して提出する方法です。

法定調書作成時の注意点

法定調書の作成には、いくつか注意すべき大切なポイントがあります。ミスを防ぐために、以下の点をしっかり押さえておきましょう。

マイナンバーの記載ルール

法定調書には、支払者と受給者のマイナンバー(個人番号)または法人番号を記載する必要があります。しかし、ここで非常に重要な注意点があります。税務署に提出する法定調書にはマイナンバーの記載が必要ですが、従業員や取引先本人に交付する源泉徴収票や支払調書の写しには、絶対にマイナンバーを記載してはいけません。個人情報保護の観点から厳しく定められているルールですので、必ず守ってください。

支払金額は消費税込みで記載する

法定調書に記載する支払金額は、原則として消費税を含んだ金額を記載します。ただし、請求書などで報酬額と消費税額が明確に区分されている場合は、消費税抜きの金額を支払金額とし、摘要欄に消費税額を別途記載することも認められています。

電子申告の義務化について

税務手続きのデジタル化が進んでおり、法定調書の提出も例外ではありません。基準年(前々年)に提出した法定調書の枚数が、種類ごとに100枚以上である場合、e-Taxや光ディスク等による電子提出が義務付けられています。例えば、前々年に提出した「給与所得の源泉徴収票」が100枚以上だった場合、今年の「給与所得の源泉徴収票」は書面では提出できず、電子提出が必須となります。対象となる事業者は早めに準備を進めましょう。

法定調書の保管義務はある?

作成・提出した法定調書は、保管しておく必要があるのでしょうか?提出者と受取人、それぞれの立場から解説します。

提出者(事業者)の保管義務

意外に思われるかもしれませんが、事業者が税務署に提出した法定調書の「控え」自体には、法律上の保管義務はありません。ただし、法定調書を作成する元になった「源泉徴収簿」などの帳簿書類は、7年間の保存が義務付けられています。税務調査などで確認を求められる可能性があるため、これらの関連書類はきちんと保管しておきましょう。また、従業員から源泉徴収票の再発行を依頼された際にスムーズに対応するためにも、控えを保管しておくことをお勧めします。

受取人(従業員など)の保管義務

支払いを受けた側(従業員やフリーランスの方)も、受け取った源泉徴収票や支払調書に法的な保管義務はありません。しかし、確定申告を行う際に必要になりますし、住宅ローンを組む際や賃貸契約を結ぶ際の収入証明書として提出を求められることもあります。そのため、少なくとも数年間は大切に保管しておくのが安心です。

まとめ

今回は、法定調書の基本について解説しました。法定調書は、私たちが正しく税金を納めるための、社会にとってなくてはならない大切な制度です。支払いを行う事業者の皆さんは、どの法定調書を、いつまでに、どこへ提出する必要があるのかをしっかりと把握し、正確な手続きを心がけましょう。もし手続きで不明な点や不安なことがあれば、管轄の税務署や税理士などの専門家に相談することも検討してみてくださいね。

参考文献

国税庁 No.7401 法定調書の種類

国税庁 No.7400 法定調書の提出義務者

国税庁 令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

法定調書のよくある質問まとめ

Q. 法定調書とは何ですか?

A. 所得税法などに基づき、税務署への提出が義務付けられている書類のことです。お金の支払者が、誰にいくら支払ったかを税務署に報告することで、適正な課税を実現する目的があります。

Q. 法定調書はいつまでに提出すればいいですか?

A. 原則として、支払いがあった年の翌年1月31日までに、事業所の所在地を管轄する税務署へ提出する必要があります。

Q. すべての支払いで法定調書の提出が必要ですか?

A. いいえ、すべての支払いが対象ではありません。例えば「給与所得の源泉徴収票」は年間の給与支払額が500万円を超える場合など、法定調書の種類ごとに提出が必要な金額や条件が定められています。

Q. 支払調書は、支払い相手にも渡す必要がありますか?

A. 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」などの支払調書は、税務署への提出義務はありますが、支払い相手への交付義務は法律上ありません。ただし、慣習として交付されることは多いです。

Q. 法定調書の提出を忘れたらどうなりますか?

A. 正当な理由なく提出しなかったり、虚偽の記載をして提出したりすると、所得税法に基づき1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

Q. 法定調書にマイナンバーは必要ですか?

A. はい、税務署に提出する法定調書には、支払を受ける方と支払者のマイナンバー(または法人番号)の記載が必要です。ただし、支払を受ける方に交付する書類(源泉徴収票など)にはマイナンバーを記載してはいけません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
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電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

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