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相続人がオーストラリア在住でも安心!相続手続きと税金の完全ガイド

2025-03-27
目次

ご家族が亡くなり、相続人の一人がオーストラリアに住んでいる場合、「手続きはどう進めればいいの?」「税金はどうなるの?」といった不安を感じていらっしゃるかもしれませんね。国際的な相続は、国内の相続とは異なる点がいくつかあり、戸惑うことも多いものです。この記事では、相続人がオーストラリアに居住している時の相続手続の流れ、必要書類、そして税金について、専門的な内容を分かりやすく、丁寧にご説明していきます。

オーストラリア在住の相続人が知っておくべき基本

まず、日本の相続手続きにおいて、相続人の方が世界のどこに住んでいても、相続人であることに変わりはありません。しかし、オーストラリアにお住まいの場合、手続きに必要な書類や税金の扱いが日本国内にお住まいの方とは異なります。 特に、日本とオーストラリア両国の法律や税制が関わってくるため、基本的な知識をしっかり押さえておくことがスムーズな手続きの第一歩となります。

日本とオーストラリアの相続制度の違い

日本とオーストラリアの相続制度には大きな違いがあります。日本では、亡くなった方(被相続人)の財産は、法律で定められた相続人に引き継がれます。一方、オーストラリアには、日本のような相続税や贈与税が存在しません。 これは大きな魅力ですが、だからといって税金が一切かからないわけではないので注意が必要です。例えば、資産を売却した際にはキャピタルゲイン税がかかる場合があります。また、オーストラリアでの相続手続きには「プロベート」という裁判所が関与する手続きが一般的で、日本の手続きとは大きく異なります。

日本の相続税、課税対象はどこまで?

相続人がオーストラリアに住んでいる場合、日本の相続税がどこまで課税されるのかは非常に重要なポイントです。これは、亡くなった方(被相続人)と相続人の方の国籍や居住期間によって決まります。基本的には、日本国内にある財産(不動産や預貯金など)は課税対象となります。 海外の財産が課税対象になるかどうかはケースバイケースで、複雑な判断が必要です。

ケース 課税対象となる財産
被相続人・相続人ともに10年以上日本に住所がない場合 日本国内の財産のみ
上記以外の場合(被相続人か相続人のどちらかが10年以内に日本に住所があったなど) 日本国内および国外の全財産

※上記は一般的な例です。詳細は国税庁の指針を確認するか、専門家にご相談ください。

納税管理人の選任が必須

相続人が海外に住んでいる場合、日本の税務署とのやり取りや納税手続きを代行してくれる人が必要になります。この役割を担うのが「納税管理人」です。相続税の申告書を提出するまでに、納税管理人を定めて税務署に「納税管理人届出書」を提出しなければなりません。納税管理人は、親族や友人、または税理士などの専門家に依頼することができます。この手続きを忘れると、申告に関する重要な書類が届かず、不利益を被る可能性があるので必ず行いましょう。

オーストラリア在住の相続人が必要な書類

日本の相続手続きでは、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書が必要となりますが、オーストラリアにはこれらの制度がありません。そのため、代わりとなる書類を用意する必要があります。準備に時間がかかることもあるので、早めに確認しておきましょう。

印鑑証明書の代わり「サイン証明書」

遺産分割協議書など、実印の押印と印鑑証明書が必要な書類には、「サイン証明書(署名証明書)」で対応します。これは、ご本人がオーストラリアにある日本の大使館や領事館に出向き、領事の目の前で書類に署名することで、その署名が本人のものであることを証明してもらうものです。手続きにはパスポートなどの本人確認書類と、署名する書類(遺産分割協議書など)が必要になります。

住民票の代わり「在留証明書」

不動産の相続登記などで現在の住所を証明する必要がある場合、住民票の代わりに「在留証明書」を使用します。これもサイン証明書と同様に、オーストラリアの日本大使館や領事館で発行してもらえます。申請には、パスポートや現地の運転免許証など、住所と氏名が確認できる書類が必要です。

書類の準備と送付の注意点

オーストラリアで取得した書類を日本の他の相続人や専門家に送る際は、国際郵便を利用します。郵送には時間がかかるため、スケジュールには十分に余裕を持つことが大切です。 また、大切な書類ですので、追跡サービスが付いた書留郵便(Registered Post)などを利用すると安心です。書類のやり取りをスムーズにするためにも、日本の相続人との間で密に連絡を取り合うようにしましょう。

オーストラリアの相続手続き「プロベート」とは?

もし、亡くなった方がオーストラリアにも財産(不動産、銀行口座など)をお持ちだった場合、オーストラリアの法律に基づいた相続手続きが必要になります。その中心となるのが「プロベート(Probate)」という裁判所の手続きです。

遺言がある場合の手続き

遺言書がある場合、「Grant of Probate」という手続きを行います。これは、遺言書で指定された遺言執行者(Executor)が、裁判所に遺言書の有効性を認めてもらい、遺産を管理・分配する権限を得るための手続きです。裁判所の承認が得られて初めて、銀行口座の解約や不動産の名義変更などが可能になります。

遺言がない場合の手続き

遺言書がない場合は、「Letters of Administration」という手続きになります。相続人が裁判所に対して遺産管理人(Administrator)の選任を申し立て、裁判所の承認を得てから遺産の整理・分配を行います。遺言がないと、誰が遺産管理人になるか、財産をどう分けるかで相続人間のトラブルに発展しやすいため、手続きがより複雑になる傾向があります。

国際相続で注意すべき税金

国際相続では、日本とオーストラリア両国の税制を考慮する必要があります。特に、二重課税にならないか、どのような税金がかかるのかを正しく理解しておくことが重要です。

日本の相続税申告と納税

日本の相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を完了させる必要があります。相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に申告が必要です。オーストラリア在住の場合でもこの期限は同じなので、納税管理人と連携し、計画的に手続きを進めましょう。納税は、納税管理人の日本の口座から行うのが一般的です。

オーストラリアの税金:キャピタルゲイン税

前述の通り、オーストラリアには相続税はありません。しかし、相続した資産(不動産や株式など)を売却して利益(キャピタルゲイン)が出た場合、その利益に対して所得税(キャピタルゲイン税)が課税される可能性があります。税率や計算方法は複雑なため、現地の会計士などの専門家に相談することをおすすめします。

為替レートの変動リスク

日本の財産を相続し、その金銭をオーストラリアに送金する場合、為替レートの変動リスクを考慮する必要があります。相続税の計算は相続開始日(亡くなった日)のレートで行いますが、実際に送金する日のレートは変動しています。送金するタイミングによっては、手元に残る金額が変わってくることを覚えておきましょう。外貨預金の評価も、相続開始日のTTB(電信買相場)で日本円に換算して評価額を計算します。

手続きをスムーズに進めるためのポイント

国際相続は複雑で時間もかかります。少しでもスムーズに進めるために、いくつかポイントを押さえておきましょう。

専門家への相談

相続人が海外にいるケースは、専門的な知識が不可欠です。日本の相続税については税理士、法律的な手続きについては弁護士や司法書士、行政書士など、国際相続に詳しい専門家に早めに相談することが最も確実で安心な方法です。特に、日本とオーストラリア両方の財産がある場合は、両国の専門家と連携できる事務所に依頼すると良いでしょう。

相続人同士の円滑なコミュニケーション

物理的な距離があるため、日本にいる他の相続人とのコミュニケーションは非常に重要です。ビデオ通話などを活用して、手続きの進捗状況や必要書類について定期的に情報共有を行いましょう。認識のズレがトラブルの原因になることもあるため、密な連絡を心がけることが大切です。

まとめ

相続人がオーストラリアに居住している場合、日本の相続手続きとは異なる点がいくつかあります。特に、「納税管理人の選任」「サイン証明書・在留証明書の取得」「10か月以内の相続税申告」は重要なポイントです。また、オーストラリアの財産がある場合は「プロベート」という手続きも必要になります。手続きが複雑で不安に感じることも多いと思いますが、一つひとつ手順を確認し、必要であれば専門家の力も借りながら進めていきましょう。早めの準備と相続人同士の協力が、スムーズな国際相続の鍵となります。

参考文献

国税庁 No.4138 相続人が外国に居住しているとき
国税庁 No.4432 受贈者が外国に居住しているとき

オーストラリア在住の相続手続きに関するよくある質問

Q. 相続人がオーストラリア在住の場合、日本の遺産分割協議はどうすればいいですか?

A. オーストラリア在住の相続人は、遺産分割協議書に実印の代わりに署名をし、その署名が本人のものであることを証明する「サイン証明書」を現地の日本大使館・領事館で取得して添付します。このサイン証明書が印鑑証明書の代わりとなります。

Q. オーストラリアには相続税がないと聞きましたが、日本の相続税も払わなくていいですか?

A. いいえ、そうではありません。オーストラリアの税制に関わらず、日本の法律に基づいて、日本国内にある財産などを相続した場合は日本の相続税の課税対象となります。基礎控除額を超える財産を相続した場合は、申告と納税の義務があります。

Q. 納税管理人とは何ですか?必ず選ばないといけませんか?

A. 納税管理人とは、海外に住む相続人に代わって、日本の税務署への申告や納税、書類の受け取りなどを行う代理人のことです。相続税の申告が必要な場合、海外居住者は必ず納税管理人を選任し、税務署に届け出る必要があります。

Q. 相続手続きに必要な書類をオーストラリアから送る際の注意点は?

A. 国際郵便は日数がかかるため、時間に余裕を持って発送することが重要です。また、遺産分割協議書などの重要書類は、紛失リスクを避けるために追跡可能な書留郵便(Registered Post)などを利用することをおすすめします。

Q. 亡くなった親がオーストラリアにも銀行口座を持っていました。どうすればいいですか?

A. オーストラリア国内の財産を相続するには、現地の法律に基づいた「プロベート」という裁判所手続きが必要です。遺言の有無によって手続きが異なります。現地の弁護士など専門家への依頼が必要になることがほとんどです。

Q. 日本の相続税の申告期限は、海外在住でも同じですか?

A. はい、同じです。相続人が海外に住んでいる場合でも、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内という申告・納税期限は変わりません。期限に遅れると延滞税などのペナルティが発生する可能性があるため、注意が必要です。

事務所概要
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税理士 島本 雅史

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