税理士法人プライムパートナーズ

富裕層増税!3.3億円の壁が1.65億円に?税制改正をわかりやすく解説

2026-01-09
目次

こんにちは。最近、ニュースで「富裕層への課税強化」という言葉を耳にしませんか?特に注目されているのが、令和8年度税制改正大綱で示された、いわゆる「3.3億円の壁」の見直しです。この制度が変更されると、これまで対象ではなかった方にも影響が出るかもしれません。今回は、この大きな変更点について、できるだけ専門用語を使わずに、やさしく解説していきますね。

超富裕層への課税強化「ミニマムタックス」とは?

今回の改正を理解するために、まずは「どうしてこのような制度ができたのか?」という背景から見ていきましょう。話のキーワードは「1億円の壁」と「ミニマムタックス」です。

「1億円の壁」ってなんですか?

日本の所得税は、所得が高くなるほど税率も上がる「累進課税」が基本ですよね。給与所得などでは、最大で45%の税率になります。しかし、株の売却益や配当などの金融所得は、所得の金額にかかわらず税率が一律約20%です。
高所得者層、特に年間所得が1億円を超えるあたりから、収入に占める金融所得の割合が増える傾向があります。すると、所得全体で見たときの税金の負担率が、所得1億円の人よりも所得10億円の人のほうが低くなる、という逆転現象が起きていました。これが「1億円の壁」と呼ばれているものです。この税負担の公平性を保つために導入されたのが「ミニマムタックス」という制度なんです。

現行のミニマムタックス制度(3.3億円の壁)

現行の制度は、令和5年度の税制改正で導入されたもので、「特定の基準所得金額の課税の特例」というのが正式名称です。とても簡単に言うと、「ものすごく所得が高い人には、最低でもこれくらいの税金は納めてくださいね」という仕組みです。
具体的には、年間の合計所得金額から3.3億円を引いた金額に22.5%を掛けた金額が、通常の計算で出した所得税額よりも高い場合、その差額を追加で納税するというルールになっています。この「3.3億円」という基準が、通称「3.3億円の壁」と呼ばれているんですね。

【令和8年度税制改正】3.3億円の壁が1.65億円の壁に!

そして、今回の令和8年度税制改正大綱で、このミニマムタックス制度がさらに強化されることになりました。これまでよりも低い所得水準から、より高い税率で課税されることになります。ポイントを詳しく見ていきましょう。

改正ポイント①:控除額が半分に!

まず大きな変更点として、追加課税の計算で基準となる控除額が、現行の3.3億円から1.65億円へと引き下げられます。つまり、これまで対象外だった「所得が1.65億円を超え、3.3億円以下」の方々も、この制度の対象になる可能性があるということです。基準が半分になるので、影響を受ける方の範囲がぐっと広がることになります。

改正ポイント②:税率がアップ!

もう一つの大きな変更点は、適用される税率です。現行の22.5%から30%へと引き上げられます。控除額が下がり、税率が上がるということで、対象となる方にとっては税金の負担が大きく増えることになります。

ミニマムタックス制度の新旧比較
項目 現行制度(令和8年分まで)
特別控除額 3.3億円
税率 22.5%
項目 改正後(令和9年分から)
特別控除額 1.65億円
税率 30%

いつから適用されるの?

この新しい制度は、令和9年(2027年)分の所得税から適用される予定です。つまり、令和9年1月1日から12月31日までの所得が対象となり、実際に申告と納税を行うのは令和10年(2028年)の確定申告の時期になります。

どれくらい税負担が増えるの?【具体例でシミュレーション】

では、実際にどれくらい税金の負担が変わるのでしょうか。仮に、所得のすべてが株式の譲渡所得だった場合で簡単に計算してみましょう。(※実際の計算はもっと複雑ですが、イメージを掴むための簡単な例です)

【例】年間の株式譲渡所得が5億円の場合

<現行制度での計算>

  1. 通常の所得税額:5億円 × 20%(仮)= 1億円
  2. ミニマムタックスの税額:(5億円 – 3.3億円)× 22.5% = 3,825万円
  3. 比較:通常の所得税額(1億円)のほうが高いため、追加の納税は発生しません。

<改正後の制度での計算>

  1. 通常の所得税額:5億円 × 20%(仮)= 1億円
  2. ミニマムタックスの税額:(5億円 – 1.65億円)× 30% = 1億50万円
  3. 比較:ミニマムタックスの税額(1億50万円)のほうが高いため、差額の50万円を追加で納税する必要があります。

このように、同じ所得でも改正後は追加の税負担が発生する可能性があることがわかりますね。

どんな人が影響を受けるの?

この改正で特に影響を受ける可能性があるのは、一時的に大きな所得を得る方々です。具体的には、以下のようなケースが考えられます。

  • 会社のオーナー経営者で、M&Aによって株式を売却し、多額の譲渡益を得た方
  • 先祖代々の土地などを売却し、高額な不動産売却益が出た方
  • 上場企業の役員で、ストックオプションの行使や多額の役員賞与などにより、一時的に所得が1.65億円を超えた方

これまでは「自分には関係ない」と思っていた方も、人生の大きなイベントによっては対象になるかもしれない、ということを知っておくことが大切です。

今からできる対策はありますか?

もし、将来的に会社の売却や不動産の売却などを考えている場合、この税制改正は無視できません。対策として考えられるのは、タイミングです。

売却のタイミングを検討する

新しい制度は令和9年分から適用されます。そのため、もし大きな利益が出る資産の売却を計画しているなら、可能であれば令和8年(2026年)中に実行することで、改正前の税率が適用されることになります。もちろん、税金だけで売却のタイミングを決めるのは難しいですが、重要な判断材料の一つとして、専門家と相談しながら慎重に検討することをおすすめします。

専門家への相談が不可欠

税金の計算は非常に複雑で、個々の状況によって大きく変わります。特に、このような大きな税制改正があるときは、自己判断は禁物です。資産の売却などを検討される際には、必ず税理士などの専門家に相談し、ご自身の状況に合わせた最適なプランを立ててもらうことが何よりも重要です。早めに相談することで、取れる選択肢も増えるかもしれません。

まとめ

今回は、令和8年度税制改正で示された「3.3億円の壁」から「1.65億円の壁」への変更について解説しました。ポイントをまとめると以下のようになります。

  • 超富裕層向けのミニマムタックス制度が強化されます。
  • 対象となる基準が、所得3.3億円超から1.65億円超に引き下げられます。
  • 適用される税率が22.5%から30%に引き上げられます。
  • 適用開始は令和9年分の所得からです。
  • 会社の売却や不動産売却などを考えている方は、実行のタイミングが重要になります。

この改正は、私たちの暮らしに直接関わる大きな変化です。今は関係ないと思っていても、将来のライフプランによっては無関係ではないかもしれません。ぜひこの機会に、ご自身の資産や将来設計について考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。

参考文献

国税庁 極めて高い水準の所得に対する負担の適正化のための税制改正(申告所得税)

ミニマムタックスに関するよくある質問まとめ

Q.ミニマムタックス(特定の基準所得金額の課税の特例)って何ですか?

A.年間の所得が非常に高い方に対して、最低限の税負担を求める制度です。通常の所得税額と、基準所得金額を基に計算した特別な税額を比較し、高い方を納税する仕組みで、税負担の公平性を保つことを目的としています。

Q.「3.3億円の壁が1.65億円になる」とは具体的にどういうことですか?

A.ミニマムタックスの計算で使われる特別控除額が、現行の3.3億円から1.65億円に引き下げられることを指します。これにより、これまで対象でなかった年間所得1.65億円超の方も、この制度の影響を受ける可能性が出てきます。

Q.この税制改正はいつから始まりますか?

A.令和9年(2027年)分の所得税から適用される予定です。したがって、令和9年1月1日以降の所得が対象となり、令和10年(2028年)の確定申告から影響が出始めます。

Q.具体的にどんな人が対象になりますか?

A.主に、会社の株式売却(M&A)や不動産売却などで一時的に非常に大きな所得を得た方が対象となる可能性が高いです。年間の合計所得金額が1.65億円を超える場合は注意が必要です。

Q.税率はどのように変わるのですか?

A.ミニマムタックスの計算で適用される税率が、現行の22.5%から30%に引き上げられます。対象となる所得の基準が下がり、税率が上がるため、対象者の税負担は増加する方向です。

Q.何か対策はありますか?

A.もし株式や不動産など大きな資産の売却を計画している場合、改正が適用される前の令和8年(2026年)中に実行することで、現行の制度が適用されます。ただし、個別の状況によるため、必ず税理士などの専門家にご相談ください。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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