確定申告を自宅のパソコンやスマートフォンから行えるe-Tax(国税電子申告・納税システム)。その入り口になるのが「利用者識別番号」です。まず結論からお伝えしますね。
- 利用者識別番号とは、e-Taxを使うためのあなた専用の半角16桁のID。引っ越して納税地が変わっても、番号はずっと同じものを使い続けます。
- 忘れた・わからないときは、税務署からの郵便物、マイナンバーカードでのマイページ確認など5つの確認方法があります。どれでも分からなければ「変更等届出書」を提出して再通知を受けます。
- やってはいけないのは「もう一度、新規で取り直すこと」。過去にe-Taxで提出した申告等の内容が確認できなくなることがあります。
- これから取得する方は、マイナンバーカードがあればオンラインで即時に番号が通知されます。
この記事では、利用者識別番号とは何かという基本から、忘れた時の調べ方、個人・法人それぞれの取得手順までを、一つひとつ丁寧にご説明しますね。
利用者識別番号とは?e-Tax専用の16桁のID
利用者識別番号とは、簡単に言うとe-Taxのシステムを利用するための、あなた専用のID番号のことです。半角16桁の数字で構成されており、e-Taxで申告や申請を行う際に、誰が手続きをしているのかを識別するために使われます。一度取得すれば、引っ越しなどで納税地が変わっても同じ番号をずっと使い続けることができます。この番号があることで、安全かつ確実にオンラインでの税務手続きが可能になるんですね。
まず押さえたい基本情報
| 項 目 | 内 容 |
|---|---|
| 桁数・形式 | 半角数字16桁 |
| 誰が使う? | 個人・法人ともに、e-Taxを利用するすべての方 |
| 取得費用 | 無料 |
| 引っ越したら? | 番号は変わらず、同じものを継続して使用 |
| 忘れたときは? | 郵便物やマイページ等で確認。分からなければ変更等届出書(新規取得はNG) |
利用者識別番号が必要になる場面
利用者識別番号は、国税に関するさまざまな電子手続きで必要になります。具体的には、以下のような場面で活躍します。
- 所得税や消費税、贈与税などの確定申告をe-Taxで行うとき
- 開業届や青色申告承認申請書などの各種届出を電子申請するとき
- 納税証明書の交付をオンラインで請求するとき
- e-Taxのメッセージボックスで税務署からのお知らせを確認するとき
つまり、税務署に行かずにオンラインで手続きを完結させたい場合には、この利用者識別番号が必須となるわけです。
納税用確認番号との違い
利用者識別番号とよく似た言葉に「納税用確認番号」というものがあります。どちらも電子的な手続きで使いますが、役割が全く異なりますので、混同しないようにしましょう。
| 種類 | 内 容 |
|---|---|
| 利用者識別番号 | e-Tax(電子申告システム)を利用するための16桁のID。申告や申請の際に「誰が」手続きしたかを示します。 |
| 納税用確認番号 | インターネットバンキングやATMで電子納税をする際に使う6桁の番号。納税手続きの本人確認に使います。 |
e-Taxの利用開始手続きの際に、ご自身で任意の6桁の数字を「納税用確認番号」として登録します。申告は「利用者識別番号」、納税は「納税用確認番号」と覚えておくと分かりやすいですよ。
マイナンバーカードとの関係
現在のe-Taxでは、マイナンバーカードを使ったログイン方法が主流です。マイナンバーカードには「電子証明書」という機能が搭載されており、これを利用して本人確認を行います。利用者識別番号はe-Tax上のID、マイナンバーカードは「この手続きは間違いなく本人が行っています」という証明書の役割を担い、この2つを組み合わせることで、なりすましを防ぎ、安全な電子申告を実現しています。マイナンバーカードがあれば、利用者識別番号の取得も非常にスムーズに行えます。
利用者識別番号を忘れた・わからない時の確認方法5つ
「利用者識別番号を控えておいた紙をなくしてしまった!」「そもそも取得したかどうかも分からない」そんな時も慌てないでください。国税庁(e-Tax)では、次のような確認方法が案内されています。上から順に試してみてくださいね。
| 確認方法 | こんな方におすすめ |
|---|---|
| ①税務署からの郵便物・控えを見る | 過去に申告・届出をしたことがある方 |
| ②マイナンバーカードでログインしてマイページを見る | マイナンバーカードをお持ちの方(最短) |
| ③e-Taxソフトのログイン画面で確認する | パソコンにe-Taxソフトを入れている方 |
| ④確定申告書等作成コーナーの保存データを開く | 前年の「.data」ファイルが手元にある方 |
| ⑤変更等届出書を提出して再通知を受ける | ①〜④のどれでも分からなかった方 |
①税務署からの郵便物・過去の控えで確認する
まずは、過去の申告書類や税務署からの郵便物を確認してみましょう。以下の書類に記載されている可能性があります。
- e-Taxで申告した際の「申告書等送信票(兼送付書)」の控え
- 税務署から送られてくる「確定申告のお知らせ」というハガキや通知書
- 利用者識別番号を取得した際に税務署から届いた通知書
確定申告の書類一式をまとめてファイルしている方は、この方法が一番早いことが多いですよ。
②マイナンバーカードでe-Taxにログインして確認する(最短)
マイナンバーカード(またはスマートフォン用電子証明書を搭載したスマートフォン)をお持ちの方は、番号が分からないままでもe-Taxにログインできます。手順はとてもシンプルです。
- e-Taxソフト(WEB版)にアクセスし、マイナンバーカード方式でログインします。
- スマートフォンアプリまたはICカードリーダライタでマイナンバーカードを読み取ります。
- ログイン後、「マイページ」の「基本情報」を開きます。
- ここにご自身の利用者識別番号が表示されています。
その場で確認できるので、お急ぎの方はこの方法がおすすめです。
③e-Taxソフトのログイン画面で確認する
パソコンにe-Taxソフトをインストールして使っている方は、メッセージボックスの確認などを行った際に表示される「受付システムログイン用暗証番号入力」画面で、利用者識別番号を確認することができます。
④確定申告書等作成コーナーの保存データから確認する
確定申告書等作成コーナーで作成したデータ(拡張子が「.data」のファイル)が残っている場合は、作成コーナーの「作成再開」からそのデータを読み込むことで、過去に入力した利用者識別番号を確認できます。前年のデータをパソコンに保存している方は、探してみてくださいね。
⑤どうしても分からない時は「変更等届出書」を提出する
①〜④のどの方法でも確認できない場合は、変更等届出書を所轄の税務署へ提出(送信)します。提出後、税務署から利用者識別番号が郵送で送付されます。
ここでひとつ、とても大切な注意点があります。すでに利用者識別番号をお持ちの方が、もう一度「開始届出書」を出して新規取得してしまうと、これまでe-Taxで提出した申告等の内容を確認できなくなることがあります。番号が分からない時は、必ず「新規取得」ではなく「変更等届出」として手続きしてくださいね。
パスワード(暗証番号)も忘れてしまった場合
利用者識別番号は分かるけれど暗証番号(パスワード)だけ忘れた、というケースもよくあります。この場合、「秘密の質問と答え」を事前に登録していれば、オンラインで暗証番号を再設定できます(届出書の提出は不要です)。
登録していない場合や、番号とパスワードの両方が分からない場合は、マイナンバーカードでログインして確認・再設定するか、変更等届出書を提出して再通知を受ける流れになります。
【個人向け】利用者識別番号の取得方法
ここからは、これから新しく取得する方向けの手順です。個人の場合、利用者識別番号を取得する方法はいくつか用意されています。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選んでくださいね。
オンラインで取得する方法(マイナンバーカードあり)
最も手軽で推奨されているのが、マイナンバーカードを使ったオンラインでの取得方法です。必要なものは、マイナンバーカードと、それを読み取れるスマートフォンまたはICカードリーダライタだけです。
- e-Taxの公式サイトにアクセスし、「ログイン」から手続きを開始します。
- マイナンバーカードをスマートフォンアプリやICカードリーダライタで読み取ります。
- 画面の案内に従って、氏名や住所などの必要事項を入力します。
- 登録が完了すると、画面に利用者識別番号が表示されます。
開始届出書をオンラインで作成・送信した場合、利用者識別番号と暗証番号はその場で即時に通知されます。自宅にいながら数分で手続きが完了しますので、表示された番号は必ず控えておきましょう。
オンラインで取得する方法(ID・パスワード方式)
マイナンバーカードを持っていない場合でも、「ID・パスワード方式」という方法で利用者識別番号を取得できます。これは、税務署で職員による本人確認を受けた上で、ID(利用者識別番号)とパスワードを発行してもらう方法です。運転免許証などの本人確認書類を持参して、お近くの税務署で手続きを行ってください。ただし、この方法はマイナンバーカードが普及するまでの暫定的な措置とされています。
書面で取得する方法
パソコンやスマートフォンの操作が苦手な方は、書面で手続きすることも可能です。国税庁のホームページから「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」をダウンロード・印刷し、必要事項を記入して納税地を管轄する税務署へ郵送または持参します。後日、税務署から利用者識別番号が記載された通知書が郵送で届きますが、手続きに時間がかかる点には注意が必要です。
【法人向け】利用者識別番号の取得方法
法人がe-Taxを利用する場合も、もちろん利用者識別番号が必要です。個人の場合と手続きは似ていますが、いくつか専用の方法があります。
オンラインで取得する方法
法人の場合、e-Taxの「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」からオンラインで手続きができます。画面の指示に従って法人情報や代表者情報を入力し、届出書を送信すれば番号が発行されます。また、これから法人を設立する場合は、デジタル庁の「法人設立ワンストップサービス」を利用すれば、設立登記から税務関係の届出までをまとめてオンラインで行え、その中で利用者識別番号も取得できます。
書面で取得する方法
個人と同様に、法人も書面による届出が可能です。「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」に必要事項を記入し、本店所在地を管轄する税務署へ提出します。
税理士に依頼する方法
顧問税理士がいる場合は、税理士に利用者識別番号の取得手続きを代行してもらうこともできます。手続きに不安がある場合は、相談してみると良いでしょう。
利用者識別番号を取得した後の流れ
無事に利用者識別番号を取得できたら、いよいよe-Taxの利用開始です。申告までの大まかな流れも知っておきましょう。
電子証明書の準備
e-Taxで申告データなどを送信する際には、そのデータが本人のものであり、改ざんされていないことを証明するために「電子署名」が必要です。個人の場合はマイナンバーカード、法人の場合は商業登記に基づく電子証明書などを用意します。
申告ソフト・コーナーの選択
次に、申告データを作成するツールを選びます。国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」や「e-Taxソフト(WEB版)」などが無料で利用できます。会計ソフトの中には、e-Taxと連携できるものもあります。
申告・申請データの作成と送信
選んだソフトやコーナーの案内に従って申告データを作成します。作成が完了したら、電子署名を行い、データを送信します。送信が完了すると、受付番号や日時が表示されます。
送信結果の確認
データを送信した後は、必ずe-Taxに再度ログインし、「メッセージボックス」を確認しましょう。ここに「受信通知」というメッセージが届けば、申告手続きは無事に完了です。エラーメッセージが届いた場合は、内容を確認して再度送信する必要があります。
まとめ
今回は、e-Taxに不可欠な利用者識別番号について解説しました。利用者識別番号は、安全に電子申告を行うための大切な半角16桁のIDです。取得方法はオンラインから書面まで複数あり、特にマイナンバーカードを使えばご自宅で即時に手続きが完了します。
もし番号を忘れてしまっても、税務署からの郵便物やマイページなどで確認する方法がありますし、最終手段として変更等届出書を提出すれば再通知を受けられます。「分からないから新規で取り直す」だけは避けてくださいね。確定申告の時期に慌てないよう、e-Taxの利用を考えている方は、早めに利用者識別番号を準備しておくことをおすすめします。
相続税の申告など、e-Taxを使った手続きでご不安な点がありましたら、お気軽に専門家へご相談ください。
参考文献
利用者識別番号やパスワードをお忘れになった場合は|e-Tax
利用者識別番号を忘れた場合はどうすればいいですか。|e-Tax
利用者識別番号のよくある質問まとめ
Q.利用者識別番号はどこに書いてありますか?
A.過去にe-Taxで申告した際の「申告書等送信票(兼送付書)」の控えや、税務署から届く「確定申告のお知らせ」ハガキ、取得時に税務署から届いた通知書に記載されています。マイナンバーカードをお持ちであれば、e-Taxソフト(WEB版)にログイン後の「マイページ」→「基本情報」でも確認できます。
Q.利用者識別番号を忘れました。もう一度取り直してもいいですか?
A.取り直しはおすすめできません。すでに番号をお持ちの方が再度「開始届出書」を提出すると、これまでe-Taxで提出した申告等の内容を確認できなくなることがあります。確認できない場合は「変更等届出書」を提出して再通知を受けてください。
Q.利用者識別番号は何桁ですか?
A.半角数字16桁です。マイナンバー(個人番号)の12桁とは別のものですので、混同しないようご注意ください。
Q.利用者識別番号の取得に費用はかかりますか?
A.いいえ、利用者識別番号の取得手続き自体に費用は一切かかりません。無料で取得できます。
Q.引っ越した場合、利用者識別番号は変わりますか?
A.いいえ、住所変更(引っ越し)をしても利用者識別番号は変わりません。一度取得した16桁の番号を継続して使用します。
Q.利用者識別番号とパスワードの両方を忘れました。どうすればいいですか?
A.マイナンバーカードがあれば、e-Taxサイトからログインすることで利用者識別番号の確認とパスワードの再設定が可能です。マイナンバーカードがない場合は、「変更等届出書」を税務署に提出して、番号とパスワードの再通知を受ける必要があります。
Q.パスワード(暗証番号)だけを忘れた場合はどうなりますか?
A.「秘密の質問と答え」を事前に登録していれば、オンラインで暗証番号を再設定できます。この場合、届出書を提出する必要はありません。
Q.法人でも利用者識別番号は必要ですか?
A.はい、法人もe-Taxを利用して電子申告や各種申請を行う場合には、個人と同様に利用者識別番号の取得が必須となります。
Q.スマートフォンだけでも利用者識別番号は取得できますか?
A.はい、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンをお持ちであれば、e-Taxの公式サイトからオンラインで利用者識別番号を即時に取得することができます。