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相続税対策は生前贈与がカギ!贈与税率が低い今、賢く財産を圧縮する方法

2025-05-05
目次

「将来、子どもたちに多額の相続税がかかってしまうかも…」そんな不安をお持ちではありませんか?実は、生前対策として、将来の高い相続税率が適用される前に、比較的低い贈与税率で計画的に財産を贈与しておくことで、相続税を大きく圧縮できる可能性があります。この記事では、生前贈与を賢く活用して、大切な財産を円満に次世代へ引き継ぐための具体的な方法と注意点を、わかりやすく解説していきます。

生前贈与が相続税対策になる仕組み

そもそも、なぜ生前に財産を渡す「贈与」が、亡くなった後に財産を引き継ぐ「相続」の税金対策になるのでしょうか。その理由は、相続税と贈与税の仕組みの違いと、相続財産そのものを減らせるという点にあります。

相続税と贈与税の税率構造

相続税と贈与税は、どちらも財産が多いほど税率が高くなる「累進課税」ですが、その構造が異なります。一度に大きな財産が動く相続では税率が高くなりがちですが、贈与は毎年少しずつ財産を移転することで、低い税率を適用したり、非課税制度を使ったりすることが可能です。これにより、結果的にトータルの税負担を抑えることができるのです。

課税価格(基礎控除後) 相続税率
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15%
5,000万円以下 20%
1億円以下 30%
2億円以下 40%
課税価格(基礎控除後) 贈与税率(特例贈与:父母や祖父母から18歳以上の子や孫へ)
200万円以下 10%
400万円以下 15%
600万円以下 20%
1,000万円以下 30%
1,500万円以下 40%

例えば、相続で3,000万円の財産を追加で受け取る場合、適用される税率が20%になる可能性があります。しかし、生前に500万円ずつ贈与すれば、15%の税率で済む、といったケースが考えられます。

相続財産を直接減らす効果

相続税は、亡くなった時点での財産総額に対して課税されます。つまり、生前贈与で財産を減らしておけば、課税対象となる財産そのものが少なくなるため、相続税額を直接的に圧縮できます。財産総額が減ることで、より低い相続税率が適用されたり、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の範囲内に収まり、相続税がゼロになったりする可能性も出てきます。

亡くなる直前の贈与は要注意「生前贈与加算」

とても重要な注意点として、亡くなる直前の贈与は相続税の計算に含められるルールがあります。これを「生前贈与加算」といい、相続開始前7年以内(※令和6年1月1日以降の贈与から段階的に3年から7年に延長)に相続人に対して行われた贈与は、相続財産に持ち戻して計算されます。そのため、相続税対策としての生前贈与は、元気なうちから計画的に、そして早めに始めることが成功のカギとなります。

どちらを選ぶ?贈与税の2つの課税制度

生前贈与を行う際には、主に2つの課税制度から自分に合った方法を選ぶことができます。「暦年課税」と「相続時精算課税」それぞれの特徴を理解し、賢く使い分けましょう。

毎年110万円まで非課税「暦年課税」

「暦年課税」は、1人の人が1年間(1月1日~12月31日)にもらった財産の合計額が110万円以下であれば贈与税がかからないという制度です。この非課税枠は、贈与を受ける側(受贈者)一人ひとりに対して適用されます。例えば、子ども2人と孫2人の合計4人に毎年110万円ずつ贈与すれば、年間で440万円、10年間続ければ4,400万円もの財産を非課税で移転できます。長期間にわたってコツコツと財産を移したい場合に非常に有効な方法です。

まとまった贈与に有利「相続時精算課税」

「相続時精算課税」は、原則として60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫へ贈与する際に選択できる制度です。この制度には、生涯で2,500万円までの特別控除枠があり、それを超えた分には一律20%の贈与税がかかります。さらに、2024年からは新たに年間110万円の基礎控除が創設され、この枠内であれば贈与税もかからず、将来の相続税の計算にも加算されません。将来値上がりしそうな株式や不動産、または収益を生むアパートなどを早めに贈与しておきたい場合に特に有効です。ただし、一度この制度を選択すると、同じ贈与者からの贈与では暦年課税に戻れない点には注意が必要です。

制度の選び方ケース別比較

どちらの制度が有利かは、贈与する方の年齢や財産状況によって異なります。下の表を参考に、ご自身の状況に合った制度を検討してみてください。

制度 メリット
暦年課税 ・毎年110万円まで非課税で贈与できる
・長期間、複数人に行うと大きな効果
・相続人以外(孫など)への贈与は7年内加算の対象外
相続時精算課税 ・最大2,500万円まで大きな非課税枠がある
・年間110万円の基礎控除は相続財産に加算されない
・値上がり資産の贈与に有利

もっとお得に!贈与税の非課税特例

年間110万円の基礎控除のほかにも、特定の目的で財産を贈与する場合には、大きな非課税枠が用意されています。これらを活用することで、一度にまとまった額の財産を非課税で移転させることが可能です。

夫婦間の居住用不動産の贈与(おしどり贈与)

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、住んでいる家やその購入資金を贈与する場合、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円まで贈与税がかからない特例です。配偶者の将来の生活基盤を確保しながら、相続財産を減らすことができます。

子や孫への住宅取得等資金の贈与

子どもや孫がマイホームを新築・購入・増改築するための資金を贈与する場合、一定の要件を満たす省エネ住宅などであれば最大1,000万円まで贈与税が非課税になります。若い世代のマイホーム取得を応援しつつ、効果的に生前贈与ができる制度です。(令和8年12月31日までの贈与が対象)

子や孫への教育資金の一括贈与

30歳未満の子どもや孫に対して、教育資金として使う目的で、金融機関に専用口座を開設して資金を預け入れた場合、最大1,500万円までの贈与が非課税になります。将来必要になる学費などを前もって一括で渡しておくことができます。(令和8年3月31日までの贈与が対象)

子や孫への結婚・子育て資金の一括贈与

18歳以上50歳未満の子どもや孫に対して、結婚や出産、育児のための資金を贈与する場合、教育資金と同様に専用口座を通じて最大1,000万円まで非課税となります。結婚式の費用や不妊治療、保育料などに充てることができます。(令和9年3月31日までの贈与が対象)

あえて贈与税を払って相続税を圧縮する戦略

相続財産が非常に多く、将来的に高い相続税率(例:40%や50%)が適用されることが確実な場合、あえて贈与税(例:20%や30%)を支払ってでも、生前に財産を移転した方がトータルの税負担を抑えられるケースがあります。

相続税と贈与税の実効税率を比較する

この戦略のポイントは、「将来かかるであろう相続税の実効税率」と「今支払う贈与税の実効税率」を比べることです。例えば、ご自身の財産全体にかかる相続税率が平均して35%だと試算される場合、贈与税率がそれよりも低い20%で済む範囲内で贈与を行えば、差額の15%分だけ税金を圧縮できる計算になります。これは、特に資産家の方々が検討する高度な戦略です。

専門家とのシミュレーションが不可欠

この方法を実践するには、ご自身の財産状況から将来の相続税額を正確に予測し、最適な贈与額を算出する必要があります。財産評価や税率の計算は非常に複雑なため、自己判断で行うのは危険です。必ず相続に詳しい税理士などの専門家に相談し、綿密なシミュレーションを行った上で実行することが重要です。

生前贈与を成功させるための3つの鉄則

せっかくの生前贈与が、後から税務署に「これは贈与ではない」と指摘されてしまっては元も子もありません。贈与を確実に成功させるために、以下の3つのポイントを必ず守りましょう。

贈与の証拠をしっかり残す

贈与は「あげます」「もらいます」という双方の合意があって初めて成立します。この合意を証明するために、毎年必ず「贈与契約書」を作成しましょう。また、現金の直接の手渡しは避け、銀行振込を利用して「誰から誰へ、いくら送金されたか」という客観的な記録を残すことが非常に重要です。

「名義預金」になっていないか確認する

良かれと思って、親が子どもの名前で銀行口座を作り、そこにお金を貯めてあげているケースは多いですが、これは危険です。通帳や印鑑を親が管理し、子どもがその口座の存在を知らなかったり自由に使えなかったりする場合、それは「名義預金」とみなされ、親の相続財産として課税されてしまいます。贈与した預金は、必ずもらった本人が通帳や印鑑を管理し、自由に使える状態にしておく必要があります。

「定期贈与」とみなされない工夫をする

「毎年100万円を10年間、子どもの誕生日に振り込む」というように、毎年きっちり同じ日・同じ金額で贈与を続けると、「初めから1,000万円を贈与する約束を分割で実行しただけ」と判断され、合計額に対して多額の贈与税が課される「定期贈与」とみなされるリスクがあります。これを避けるため、贈与の都度、贈与契約書を作成するのはもちろん、贈与する日や金額を毎年少しずつ変えるなどの工夫をしましょう。

まとめ

将来の高い相続税率が予想される場合、生前に相続税よりも低い贈与税率を活用して財産を移転させることは、非常に有効な相続税対策です。年間110万円の基礎控除を利用した「暦年課税」、まとまった財産を移せる「相続時精算課税」、そして目的別の非課税特例を上手に組み合わせることで、相続税の負担を大きく圧縮することが可能です。ただし、生前贈与加算のルールや、税務署に否認されないためのポイントなど、注意すべき点も多くあります。制度は複雑で、税制改正も頻繁に行われるため、ご自身の状況に最適なプランを立てるためには、相続に詳しい税理士などの専門家へ相談することをお勧めします。計画的な生前対策で、大切な財産を安心して次の世代へつなぎましょう。

参考文献

生前贈与のよくある質問まとめ

Q. 結局、相続と生前贈与はどちらが得ですか?

A. 財産額や家族構成によりますが、計画的な生前贈与は将来の相続税を大きく減らせる可能性があります。贈与税の非課税枠を長期間活用することで、税負担なく財産を移転できます。

Q. 毎年110万円ずつ贈与すれば、本当に税金はかからないのですか?

A. 年間110万円以下の暦年贈与は贈与税がかかりません。ただし、贈与の証拠を残す、名義預金とみなされないようにするなど、正しい方法で行う必要があります。

Q. 贈与税を払ってでも生前贈与した方が良いのはどんな場合ですか?

A. 相続財産が非常に多く、高い相続税率が適用される見込みの場合です。将来の相続税率より低い贈与税率で先に財産を移転した方が、トータルの税負担を抑えられることがあります。

Q. 亡くなる7年以内の贈与は無駄になると聞きました。

A. 亡くなる前7年以内の相続人への贈与は、相続財産に加算されます(生前贈与加算)。しかし、加算されるのは贈与時の価額なので、値上がりする資産の場合は節税効果があります。また、相続人以外(孫など)への贈与は原則加算されません。

Q. 「相続時精算課税制度」を選ぶと損をすると聞きましたが本当ですか?

A. 2024年から年間110万円の基礎控除が新設され、使いやすくなりました。この基礎控除分は相続財産に加算されないため、高齢の方の駆け込み対策など、有利になるケースが増えています。

Q. 生前贈与で注意すべきことは何ですか?

A. 「贈与契約書を作成し、銀行振込で記録を残す」「贈与された人が自分で通帳などを管理する」「毎年同じ日時・金額の贈与を避ける」といった点に注意し、贈与の事実を客観的に証明できるようにすることが重要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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