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後見人が相続した投資信託を現金化!確定申告は誰の口座で判断?

2026-01-16
目次

ご家族が亡くなり、後見人として、またはご自身が相続人として投資信託を引き継ぎ、現金化を考えている方も多いのではないでしょうか。その際に気になるのが「確定申告は必要なのか?」という点ですよね。特に、その判断基準が亡くなった方(被相続人)の口座なのか、それとも相続したご自身の口座の種類で決まるのか、迷いやすいポイントです。この記事では、そんな疑問をスッキリ解決できるよう、わかりやすく解説していきます。

投資信託を相続して現金化!確定申告の基本

まず大切なこととして、相続した投資信託を現金化(売却)して利益が出た場合、原則として確定申告が必要になります。この利益は「譲渡所得」と呼ばれ、所得税と住民税の対象となります。しかし、誰が、いつ、どのように申告するのかは状況によって異なります。まずは確定申告の基本的なルールから一緒に確認していきましょう。

確定申告が必要になるのはどんなとき?

相続した投資信託を売却して、利益(譲渡所得)が出た場合に確定申告が必要になる可能性があります。譲渡所得は、以下の計算式で算出します。

譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)

ここでとても重要になるのが「取得費」です。相続した投資信託の場合、被相続人(亡くなった方)がその投資信託を購入したときの価格が、そのまま取得費として引き継がれることになります。つまり、亡くなった方が安く購入していた投資信託の価値が上がっている状態で売却すると、利益が大きくなりやすいということです。

確定申告の要否は「相続人の口座種類」で決まる!

ここが今回の最も重要なポイントです。確定申告が必要かどうかは、亡くなった方(被相続人)の口座の種類ではなく、相続した投資信託を受け入れた「相続人ご自身の口座の種類」で判断します。相続した投資信託は、一度相続人の証券口座に移してから売却手続きを行うのが一般的です。この、いわば「受け皿」となる相続人の口座の種類が、確定申告の要否を左右するのです。

口座の種類による確定申告の要否

証券会社の取引口座には、主に3つの種類があります。後見人の方が手続きする場合でも、被後見人(相続人)の名義で開設した口座の種類によって判断しますので、それぞれの特徴と確定申告の要否をしっかり理解しておきましょう。

口座の種類 確定申告の要否
特定口座(源泉徴収あり) 原則不要です。利益が出ると、金融機関が税金を計算して自動的に天引き(源泉徴収)してくれるため、ご自身での申告は基本的に必要ありません。
特定口座(源泉徴収なし) 必要です。金融機関が1年間の損益を計算した「年間取引報告書」を作成してくれるので、それを使ってご自身で確定申告を行います。
一般口座 必要です。ご自身で1年間のすべての取引について損益を計算し、確定申告を行う必要があります。

このように、確定申告の手間をできるだけ省きたい場合は、「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでおくと安心ですね。

後見人が関わる場合の注意点

成年後見人の方が相続手続きに関わる場合、ご自身が相続人であるケースとは少し異なる、特別な注意点があります。被後見人の方の大切な財産を守るという観点から、より慎重な判断が求められます。

投資信託の現金化には家庭裁判所の許可が必要な場合も

後見人が被後見人(相続人)の財産である投資信託を売却(現金化)する場合、たとえそれが「居住用不動産の処分」ではなくても、重要な財産の処分として家庭裁判所の許可が必要となるケースがあります。特に、売却する金額が大きい場合や、その現金化が被後見人の今後の生活設計に大きく影響を与えるような場合は、自己判断で進めずに、必ず事前に家庭裁判所に相談し、指示を仰ぐことが賢明です。「これくらいなら大丈夫だろう」と安易に考えず、確認を怠らないようにしましょう。

手続きはすべて被後見人(相続人)の名義で

後見人は、あくまで被後見人の代理人という立場です。そのため、相続した投資信託を受け入れるための証券口座の開設や、売却手続き、そして必要に応じた確定申告など、すべての手続きは被後見人(相続人)本人の名義で行わなければなりません。手続きが面倒だからといって、後見人ご自身の個人の口座を利用することは、財産の混同を招くため絶対にできませんのでご注意ください。

被相続人の確定申告「準確定申告」とは?

相続に関連する確定申告には、相続人がご自身の所得について行うものの他に、亡くなった方のために行う「準確定申告」というものがあります。これも相続が発生した際に忘れてはいけない大切な手続きの一つです。

準確定申告が必要なケース

準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)が、亡くなったその年の1月1日から死亡日までに得た所得について、相続人が代わりに行う確定申告のことです。例えば、亡くなった方が個人事業主であったり、不動産収入があったりした場合に必要となります。また、給与所得者であっても、給与収入が2,000万円を超えていた場合や、年金収入が400万円を超えていた場合なども対象です。もちろん、亡くなるまでの間に投資信託の分配金や売却益があった場合も、その所得は準確定申告の対象となります。この申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、税務署へ提出する必要があります。

準確定申告と相続後の確定申告は別物

ここで混同しないようにしたいのが、準確定申告と相続後の確定申告の違いです。準確定申告は、あくまで亡くなった方の生前の所得に対する申告です。一方で、この記事のメインテーマである「相続した投資信託を現金化した際の確定申告」は、相続人が相続後にご自身の財産として売却して得た所得(譲渡所得)に対する申告です。この2つは申告する人も、対象となる所得も、時期も全く別の手続きであるとしっかり区別しておきましょう。

知っておくとお得!相続税申告での特例

相続した投資信託を売却する際には、税金の負担を軽くできる可能性のある特例があります。知っているかどうかで手元に残る金額が大きく変わることもありますので、ぜひ押さえておきたいポイントです。

「取得費加算の特例」で節税できる

相続によって財産を取得し、その際に相続税を納めている場合、相続開始のあった日の翌日から3年10か月以内にその相続した財産(この場合は投資信託)を売却すると、納めた相続税の一部を売却した資産の取得費に加算できる「取得費加算の特例」という制度があります。思い出してください、譲渡所得は「売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)」でしたね。この「取得費」が大きくなるということは、利益(譲渡所得)がその分だけ少なく計算されることになり、結果的に所得税・住民税が安くなるという大きなメリットがあるのです。

特例の適用を受けるには確定申告が必須

この「取得費加算の特例」を適用するためには、ご自身で確定申告を行うことが必須となります。たとえ売却した口座が「特定口座(源泉徴収あり)」で、本来であれば申告が不要な場合であっても、このお得な特例を使いたいのであれば、確定申告をしなければなりません。節税できるメリットは大きいことが多いので、期限内に売却した場合は、忘れずに確定申告を検討しましょう。

NISA口座の投資信託を相続した場合

近年、多くの方が利用しているNISA(少額投資非課税制度)。もし亡くなった方がNISA口座で投資信託を運用していた場合、相続の際の取り扱いは通常の課税口座とは異なるため、いくつか注意が必要です。

非課税メリットは引き継げない

NISA口座の最大のメリットである「運用益が非課税になる」という特典は、残念ながら相続人に引き継ぐことはできません。相続が発生した時点で、そのNISA口座での非課税運用は終了となります。相続人がそのまま非課税で運用を続けることはできない、ということを覚えておきましょう。

相続人の課税口座へ移管される

相続することが決まったNISA口座内の投資信託は、相続人のNISA口座に引き継がれるわけではなく、特定口座や一般口座といった「課税口座」に移管されます。その際、もう一つ重要な点があります。取得価額は、被相続人が購入したときの価格ではなく、相続が発生した日の時価(終値)に更新されるのです。そのため、相続後にその投資信託を売却して利益が出れば、通常通り課税対象となります。

まとめ

後見人が関わるケースも含め、相続した投資信託を現金化する際の確定申告について解説しました。最も大切なポイントをもう一度おさらいしますと、確定申告の要否は、亡くなった方の口座ではなく、相続人ご自身の口座の種類(特定口座源泉あり・なし、一般口座)で決まるということです。後見人として手続きする際は、家庭裁判所への確認を怠らないことや、必ず被後見人名義で手続きを進めることなど、特有の注意点があります。また、亡くなった方の準確定申告や、節税につながる取得費加算の特例など、関連する税務手続きは意外と複雑です。少しでも不安な点やわからないことがあれば、無理せず税理士などの専門家に相談することをおすすめします。正しい知識を身につけて、スムーズかつ適切に手続きを進めていきましょう。

参考文献

国税庁 No.1464 譲渡した株式等の取得費

国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

国税庁 No.4644 貸付信託・証券投資信託の評価

投資信託の相続に関するよくある質問まとめ

Q. 投資信託を相続して現金化したら、確定申告は必ず必要ですか?

A. いいえ、必ずしも必要ではありません。相続した投資信託を受け入れたご自身の口座が「特定口座(源泉徴収あり)」であれば、金融機関が税金の計算と納税を代行してくれるため、原則として確定申告は不要です。

Q. 確定申告の要否は、亡くなった人の口座で判断するのですか?

A. いいえ、亡くなった方(被相続人)の口座の種類ではなく、相続したご自身(相続人)の口座の種類で判断します。

Q. 後見人ですが、投資信託を現金化するのに許可は要りますか?

A. はい、重要な財産の処分にあたるとして、家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。特に金額が大きい場合は、事前に家庭裁判所に相談することをおすすめします。

Q. 相続した投資信託の売却益にかかる税金を安くする方法はありますか?

A. はい、「取得費加算の特例」を使える場合があります。相続税を支払っている場合、相続開始から3年10か月以内に売却すれば、支払った相続税の一部を取得費に加算でき、税負担を軽減できます。ただし、この特例の適用には確定申告が必要です。

Q. 亡くなった人の確定申告(準確定申告)はいつまでにする必要がありますか?

A. 準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に行う必要があります。

Q. NISA口座で運用していた投資信託を相続しました。非課税のまま運用できますか?

A. いいえ、NISAの非課税メリットは相続できません。相続した投資信託は、ご自身の課税口座(特定口座や一般口座)に移管され、その後の売却益は課税対象となります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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