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後見人の登記事項証明書は税務署に必要?原本?コピー?徹底解説

2026-01-17
目次

相続人の中に成年被後見人の方がいて、後見人が遺産分割協議書に捺印した場合、相続税申告の手続きで「後見人の登記事項証明書は税務署に提出するの?」「原本じゃなきゃダメ?」といった疑問が出てきますよね。相続手続きはただでさえ複雑なのに、さらに心配事が増えてしまうかもしれません。この記事では、そんな疑問をスッキリ解決できるよう、後見人がいる場合の相続税申告で必要な書類について、分かりやすく解説していきます。

相続税申告で後見人の登記事項証明書は必要?

まず結論からお伝えすると、後見人が遺産分割協議書に捺印した場合、相続税の申告で税務署に後見人の登記事項証明書を提出する必要はありません。相続税申告では、遺産分割協議が成立していることを証明するために「遺産分割協議書の写し」を提出しますが、そこに添付する書類として登記事項証明書は求められていないんです。

なぜ税務署には提出不要なの?

税務署が相続税申告で確認したいのは、「誰がどの財産をどれだけ相続したか」という事実です。その事実を証明するのが遺産分割協議書なんですね。後見人が代理で捺印した遺産分割協議書が法的に有効であることの証明(後見人の代理権の証明)は、主に不動産の名義変更(相続登記)を行う法務局や、預貯金の解約手続きを行う金融機関で求められます。税務署は、その成立した遺産分割協議書の内容に基づいて税額を計算するため、後見人の権限を証明する書類までは通常要求しない、というわけです。

法務局や金融機関ではなぜ必要なの?

法務局や金融機関では、財産の名義を書き換えるという非常に重要な手続きを行います。そのため、「本当にこの後見人には、本人に代わって遺産分割協議に参加し、契約を結ぶ権限があるのか」を厳密に確認する必要があるのです。もし権限のない人が勝手に手続きを進めてしまったら、大変なことになりますよね。そこで、公的な証明書である「登記事項証明書」と、後見人本人の「印鑑証明書」をセットで提出してもらい、手続きの正当性を担保しているのです。

税務署から提出を求められる例外的なケース

原則として提出は不要ですが、絶対にないとは言い切れません。例えば、遺産分割の内容が非常に複雑であったり、税務調査の過程で相続人間の関係性や協議の経緯について確認が必要になったりした場合など、ごくまれなケースでは、税務署の担当者から参考資料として提出を求められる可能性はあります。その場合は、指示に従って提出すれば問題ありません。

後見人の登記事項証明書は原本が必要?コピーでも大丈夫?

先ほどお伝えしたように、相続税申告で税務署に提出することは基本的にありません。しかし、不動産の相続登記や金融機関での手続きでは必ず必要になります。では、その際には原本とコピー、どちらを提出するのでしょうか?手続き先ごとに見ていきましょう。

不動産の相続登記(法務局)の場合

法務局へ相続登記を申請する際には、後見人の登記事項証明書の原本を提出する必要があります。これは、後見人の代理権限を証明する重要な書類だからです。ただし、法務局では「原本還付」という手続きが可能です。これは、原本と一緒にコピーを提出し、「原本は確認したのでお返しします」と返却してもらう手続きです。これにより、1通の原本を他の手続きにも使い回すことができます。

預貯金の解約・名義変更(金融機関)の場合

金融機関での手続きでも、原則として原本の提出(または提示)が求められます。金融機関ごとに規定が異なりますが、多くの場合は窓口で原本を提示し、行員がコピーを取って原本はその場で返却してくれる「原本提示」という対応をしてもらえます。ただし、金融機関によっては原本の提出を求められることもありますので、事前に電話などで確認しておくとスムーズです。

書類の有効期限に注意!

法務局や金融機関に提出する登記事項証明書や印鑑証明書には、有効期限が定められていることがほとんどです。一般的には「発行から3か月以内」のものを求められます。遺産分割協議が成立してから手続きまでに時間が空いてしまうと、証明書を取り直す必要が出てくるので注意しましょう。

手続き先 登記事項証明書の提出
税務署(相続税申告) 原則不要
法務局(相続登記) 原本(原本還付可・発行後3か月以内)
金融機関(預貯金解約等) 原本提示または提出(発行後3か月または6か月以内など金融機関による)

後見人の登記事項証明書ってどんな書類?

ここで、そもそも「後見人の登記事項証明書」とはどのような書類なのか、簡単におさらいしておきましょう。これは、成年後見制度を利用している場合に、「誰が」「誰の」成年後見人であるか、そしてどのような権限を持っているかを法務局が公的に証明する書類です。

登記事項証明書の記載内容

証明書には、主に以下のような情報が記載されています。

  • 後見の種類:成年後見、保佐、補助などの区分
  • 本人(成年被後見人)の情報:氏名、生年月日、住所など
  • 後見人の情報:氏名、住所など
  • 代理権の範囲:後見人が本人に代わって行うことができる法律行為の範囲(特に保佐や補助の場合に重要です)
  • 審判が確定した年月日

この証明書があることで、後見人が正当な代理人であることが第三者にも分かるようになっています。

どこで取得できるの?

後見人の登記事項証明書は、全国の法務局・地方法務局の本局の窓口で取得できます。支局や出張所では取り扱っていないので注意が必要です。また、東京法務局に郵送で請求することも可能です。請求できるのは、後見人本人や成年被後見人、その四親等内の親族などに限られています。

相続税申告で遺産分割協議書に添付する書類

それでは、相続税申告の際に、遺産分割協議書(の写し)と一緒に税務署へ提出する一般的な書類を確認しておきましょう。後見人の登記事項証明書は不要ですが、代わりに以下の書類が必要です。

必ず提出が必要な書類

遺産分割協議が成立している場合、相続税申告書には以下の書類の「写し」を添付します。

  • 遺産分割協議書:相続人全員の署名と実印の押印があるもの。後見人がいる場合は、後見人が代理人として署名・押印します。
  • 相続人全員の印鑑証明書:遺産分割協議書に押印した実印を証明するためのものです。後見人が捺印した場合は、相続人本人ではなく後見人の印鑑証明書が必要になります。

遺言書がある場合

遺言書に基づいて遺産を分けた場合は、遺産分割協議書の代わりに「遺言書の写し」を提出します。もし、遺言書の内容とは異なる分け方をするために遺産分割協議を行ったのであれば、遺言書の写しと遺産分割協議書の写しの両方が必要になることもあります。

後見人が関わる遺産分割協議の注意点

後見人が遺産分割協議に参加する場合、いくつか重要な注意点があります。相続税申告の手続き以前の、とても大切なポイントなので、しっかり押さえておきましょう。

利益相反行為と特別代理人

もし、後見人自身も同じ相続の相続人である場合、それは「利益相反」にあたります。例えば、父が亡くなり、相続人が母(成年被後見人)と長男(母の後見人)というケースです。この場合、長男が自分の取り分を多くすると、母の取り分が減ってしまいます。このように、後見人と本人の利益がぶつかってしまうため、後見人は本人を代理して遺産分割協議に参加することはできません。このような場合は、家庭裁判所に申し立てて、その遺産分割協議のためだけの中立的な代理人である「特別代理人」を選任してもらう必要があります。

被後見人の法定相続分を確保する

後見人は、あくまで本人(成年被後見人)の財産と権利を守るための代理人です。そのため、遺産分割協議においては、本人の法定相続分をきちんと確保する内容でなければなりません。「介護の負担が大きいから長男に多く」「母は施設に入っているから相続分はなしで」といった、本人にとって一方的に不利な内容の協議に後見人が同意することは、原則として認められません。

まとめ

今回は、後見人が遺産分割協議書に捺印した場合の登記事項証明書の取り扱いについて解説しました。ポイントをまとめますね。

  • 相続税申告で税務署後見人の登記事項証明書を提出する必要は原則ありません。
  • 相続税申告では、遺産分割協議書の写しと、後見人を含む相続人全員の印鑑証明書の写しを提出します。
  • 登記事項証明書の原本は、不動産の相続登記(法務局)や金融機関での手続きで必要になります。
  • 法務局や金融機関に提出する証明書は「発行後3か月以内」など有効期限があるので注意しましょう。
  • 後見人が関わる手続きは、利益相反など注意すべき点も多いです。

相続手続き、特に後見人が関わるケースは専門的な知識が必要です。もし少しでも不安な点があれば、税理士や司法書士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

参考文献

国税庁:相続税の申告のしかた

東京法務局:成年後見登記

後見人が関わる相続のよくある質問まとめ

Q. 後見人が捺印した遺産分割協議書を税務署に提出する際、後見人の登記事項証明書は必要ですか?

A. いいえ、原則として税務署への提出は不要です。遺産分割協議書の写しと、後見人の印鑑証明書の写しを提出します。

Q. 後見人の登記事項証明書の原本は、どのような手続きで必要になりますか?

A. 不動産の名義変更(相続登記)を法務局で行う際や、金融機関で預貯金の解約・名義変更を行う際に原本の提出または提示が求められます。

Q. 登記事項証明書に有効期限はありますか?

A. はい、法務局や金融機関などの手続き先から「発行後3か月以内」など、有効期限内のものを求められるのが一般的です。

Q. 相続税申告で必要な「印鑑証明書」は、相続人本人のものですか?後見人のものですか?

A. 遺産分割協議書に捺印した後見人の印鑑証明書が必要です。相続人本人のものではありません。

Q. 後見人自身も相続人の一人です。遺産分割協議に参加できますか?

A. いいえ、できません。それは利益相反行為にあたるため、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらう必要があります。

Q. 登記事項証明書はどこで取得できますか?

A. 全国の法務局・地方法務局の本局窓口、または東京法務局への郵送請求で取得できます。支局や出張所では取得できません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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