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住宅取得資金贈与と住宅ローン控除の併用!知らなきゃ損する注意点

2026-01-28
目次

親御さんや祖父母から資金援助を受けて、夢のマイホームを購入する方は多いですよね。その際に活用したいのが「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」です。さらに、住宅ローンを組めば「住宅ローン控除」も受けられます。実はこの2つの制度、併用できるのですが、いくつか知っておかないと思わぬ落とし穴にはまってしまうことも…。この記事では、2つの制度を賢く併用するための注意点を、分かりやすく解説していきますね。

2つの制度をおさらい!住宅取得等資金贈与と住宅ローン控除

まずは、それぞれの制度がどのようなものか、簡単におさらいしておきましょう。両方のメリットをしっかり理解することが、賢い活用への第一歩ですよ。

住宅取得等資金贈与の非課税の特例とは?

これは、父母や祖父母など直系の親族から、住宅の新築や購入、リフォームのための資金を贈与してもらった場合に、一定額まで贈与税がかからなくなる、というとてもありがたい制度です。非課税になる限度額は、取得する住宅の性能によって変わります。

住宅の種類 非課税限度額
省エネ等住宅 1,000万円
上記以外の一般住宅 500万円

この非課税枠は、暦年贈与の基礎控除110万円と併用できるので、例えば省エネ等住宅なら最大で1,110万円まで非課税で贈与を受けられるんです。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは?

こちらは、住宅ローンを利用してマイホームを購入したり、リフォームしたりした場合に、所得税が戻ってくる制度です。年末時点の住宅ローン残高の0.7%を上限として、所得税から直接差し引かれます(控除しきれない分は翌年の住民税からも一部控除)。原則として、新築住宅の場合は最長13年間、中古住宅の場合は最長10年間、この控除を受け続けることができます。

2つの制度は併用できるの?

結論から言うと、この2つの制度は併用できます。親からの資金援助で自己資金を増やし、住宅ローン控除で毎年の税負担を軽くする、という理想的なマイホーム計画を立てることが可能です。ただし、併用する際にはとても重要な注意点があるんです。次の章で詳しく見ていきましょう。

最大の注意点!住宅ローン控除額が減ってしまうケース

「贈与も受けて、ローン控除も満額受けられる」と思っていると、後から「あれ、思ったより控除額が少ない…」なんてことになりかねません。ここが併用する上での一番のポイントです。

控除額の計算方法が変わる仕組み

住宅取得等資金の贈与を受けて住宅ローン控除を併用する場合、住宅ローン控除の対象となる金額の計算方法が変わります。具体的には、控除の対象となる上限額が、単純なローン残高ではなく、以下の計算式で算出された金額になります。

【住宅ローン控除の対象となる上限額 = 住宅の取得対価の額 - 贈与の非課税額】

つまり、実際の年末ローン残高がこの上限額を超えていたとしても、控除の計算に使われるのはこの上限額まで、ということなんです。これが、控除額が減ってしまうカラクリです。

具体例でシミュレーションしてみよう

言葉だけだと少し分かりにくいので、具体的な数字で見てみましょう。

【設例】

  • 物件の購入価格:4,000万円
  • 親からの贈与(省エネ等住宅):1,000万円(非課税特例を適用)
  • 住宅ローン借入額:3,000万円
  • ある年の年末ローン残高:2,800万円

この場合、住宅ローン控除の対象となる上限額は、
4,000万円(物件価格)- 1,000万円(贈与額)= 3,000万円 となります。

実際の年末ローン残高は2,800万円で、上限額の3,000万円を下回っていますね。この場合は、そのまま2,800万円が控除の計算対象となります。
2,800万円 × 0.7% = 196,000円 がその年の控除額の上限です。

では、もし自己資金が少なく、ローンを多く組んだ場合はどうでしょう。

【設例2】

  • 物件の購入価格:4,000万円
  • 親からの贈与(省エネ等住宅):1,000万円
  • 住宅ローン借入額:3,500万円
  • ある年の年末ローン残高:3,300万円

この場合も、控除の対象となる上限額は同じく 3,000万円 です。
しかし、実際の年末ローン残高は3,300万円。上限額を超えてしまっていますね。そのため、控除の計算に使えるのは3,000万円までとなってしまいます。
3,000万円 × 0.7% = 210,000円 が控除額の上限となり、残高があるにも関わらず300万円分は控除の対象外になってしまうのです。

贈与額はいくらがベスト?

贈与を多く受ければ月々のローン返済は楽になりますが、住宅ローン控除のメリットが薄れてしまう可能性があります。一方で、贈与が少ないとローン控除は満額受けやすいですが、返済負担は重くなります。ご自身の自己資金や年収、そして将来の返済計画を総合的に考えて、贈与を受ける額とローンを組む額のバランスをシミュレーションすることがとても大切です。

忘れずに!贈与税の申告は必須です

「非課税だから何もしなくていい」というのは大きな間違いです。この特例を利用するためには、必ず手続きが必要になります。

なぜ申告が必要なの?

住宅取得等資金贈与の非課税の特例は、自動的に適用されるものではありません。贈与を受けた人が「私はこの特例を使います」と税務署に意思表示、つまり贈与税の申告をすることではじめて認められる制度だからです。もし申告を忘れてしまうと、特例は適用されず、多額の贈与税を納めることになりかねないので、絶対に忘れないようにしましょう。

いつまでに何をすればいい?

申告は、資金の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、所轄の税務署で行う必要があります。申告には、贈与税の申告書のほかに、以下のような書類の添付が必要です。計画的に準備を進めましょう。

  • 戸籍謄本(贈与者が直系尊属であることを証明するため)
  • 源泉徴収票など(合計所得金額を証明するため)
  • 売買契約書や工事請負契約書の写し
  • 登記事項証明書
  • (省エネ等住宅の場合)住宅性能証明書など

将来のことも考えよう!相続に関する注意点

贈与は、将来の相続にも影響を与えることがあります。少し先の話かもしれませんが、今のうちから知っておくと安心です。

小規模宅地等の特例が使えなくなる可能性

将来、親御さんが亡くなって実家を相続する可能性がある場合、注意が必要です。相続税には「小規模宅地等の特例」という、実家の土地の評価額を最大80%も減額できる強力な節税制度があります。しかし、この特例(特に「家なき子特例」)を使うためには、「相続開始前の3年以内に自分名義の家に住んでいないこと」といった要件があります。今回、贈与を受けて自分の家を持ってしまうと、この要件を満たせなくなり、将来、実家を相続する際の相続税が高くなってしまう可能性があるのです。

兄弟間のトラブルを防ぐために

もしご兄弟がいる場合、特定の子だけが親から多額の資金援助を受けると、それが将来の遺産分割の際にトラブルの火種になることがあります。「あの時、家を買うお金をもらっていたじゃないか」という不公平感につながるのですね。こうした事態を避けるためにも、贈与を受けた際には、いつ、誰から、いくら贈与されたかを明確にする「贈与契約書」を作成しておくことを強くおすすめします。

制度の適用要件を再確認

最後に、それぞれの制度を利用するための主な要件を、表で確認しておきましょう。自分が対象になるかしっかりチェックしてくださいね。

住宅取得等資金贈与の非課税の特例の主な要件

項目 主な要件
受贈者(もらう人) ・贈与者の直系卑属(子や孫)であること
・贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
・合計所得金額が2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)
贈与者(あげる人) ・受贈者の直系尊属(父母や祖父母)であること
住宅 ・床面積が40㎡以上240㎡以下
・床面積の半分以上が居住用であること
・中古住宅の場合は、新耐震基準に適合していること(昭和57年1月1日以降の建築など)
手続き ・贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与資金の全額を使って住宅を取得し、居住すること

住宅ローン控除の主な要件

項目 主な要件
本人 ・合計所得金額が2,000万円以下であること
住宅ローン ・返済期間が10年以上であること
住宅 ・床面積が50㎡以上(合計所得金額1,000万円以下の場合は40㎡以上)
・床面積の半分以上が居住用であること
手続き ・住宅を取得してから6か月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで住み続けていること

まとめ

住宅取得等資金の贈与住宅ローン控除の併用は、マイホーム取得の大きな助けになります。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、いくつかの注意点を理解しておくことが不可欠です。

  • 併用は可能だが、贈与額によって住宅ローン控除額が減る可能性があることを理解する。
  • 非課税の特例を使うためには、贈与税が0円でも必ず翌年に申告が必要
  • 将来の相続(小規模宅地等の特例や兄弟間の公平性)も視野に入れて計画を立てる。

これらの制度は複雑な部分も多いため、ご自身の状況でどの選択がベストなのか迷った際には、税理士などの専門家に相談してみるのも一つの方法です。大切なマイホーム計画、後悔のないように賢く制度を活用してくださいね。

参考文献

国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

住宅取得資金贈与と住宅ローン控除のよくある質問

Q. 住宅取得資金贈与と住宅ローン控除は併用できますか?

A. はい、併用できます。ただし、贈与額によっては住宅ローン控除の金額が少なくなることがあるので注意が必要です。

Q. 贈与を受けると、なぜ住宅ローン控除額が減るのですか?

A. 住宅ローン控除の対象額が「住宅の購入価格から非課税の贈与額を差し引いた金額」になるためです。ローン残高がこの金額を超えていても、超えた部分は控除の対象になりません。

Q. 贈与税が0円になる場合でも、申告は必要ですか?

A. はい、必ず必要です。「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」は、贈与を受けた翌年に贈与税の申告をして初めて適用される制度です。

Q. 住宅取得等資金贈与の非課税枠はいくらですか?

A. 質の高い住宅(省エネ等住宅)の場合は1,000万円、それ以外の一般住宅の場合は500万円が非課税限度額です。

Q. 住宅取得等資金の贈与は誰からでも受けられますか?

A. いいえ、ご自身の父母や祖父母などの直系尊属からの贈与に限られます。配偶者の父母からの贈与は対象外です(養子縁組している場合を除く)。

Q. 贈与を受けたお金を住宅ローンの返済に充ててもいいですか?

A. いいえ、この特例は住宅を「取得・新築・増改築するため」の資金が対象です。そのため、すでに組んだ住宅ローンの返済資金に充てることはできません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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