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アメリカの相続財産、手続きはどうする?プロベートから税金まで徹底解説!

2025-05-24
目次

ご家族がアメリカに不動産や銀行口座、株式などをお持ちで、「もしもの時、相続手続きはどうなるんだろう?」と不安に思っていませんか?グローバル化が進み、海外に資産を持つことは珍しくなくなりましたが、特にアメリカの相続手続きは日本のものとは大きく異なり、とても複雑です。何も知らずに進めてしまうと、予想以上に時間や費用がかかってしまうことも。この記事では、アメリカに相続財産がある場合の相続手続きについて、日本との違いや税金の仕組み、注意点などを、専門用語をできるだけ使わずに、わかりやすく解説していきますね。

アメリカと日本の相続制度はこんなに違う!

まず、一番大切なポイントとして、アメリカと日本の相続に関する考え方やルールが根本的に違うことを知っておきましょう。この違いを理解することが、スムーズな手続きへの第一歩になりますよ。

日本では「遺産分割協議」、アメリカでは「プロベート」が基本

日本での相続は、亡くなった方(被相続人)の財産を誰がどのように引き継ぐか、相続人全員で話し合って決める「遺産分割協議」が基本です。話し合いがまとまれば、裁判所が関わることはほとんどありません。
一方で、アメリカでは「管理清算主義」という考え方が採用されており、相続が始まると、まず裁判所の管理下で遺産を清算する法的な手続き、通称「プロベート(Probate)」が必要になります。相続人が勝手に財産を分けることはできず、このプロベートという手続きを経て、最終的に残った財産が相続人に分配される仕組みなんです。

日本とアメリカの相続制度の基本的な違いを下の表にまとめました。

制度 内容
日本の相続制度 相続人同士の話し合い(遺産分割協議)が中心。裁判所は基本的に関与しない。
アメリカの相続制度 裁判所が関与する「プロベート」という法的手続きが必須。相続人の話し合いだけでは財産を分けられない。

納税義務者と課税方法の違い

税金の仕組みも大きく異なります。日本の相続税は、財産を受け取った「相続人」一人ひとりが、自分の取得した財産の額に応じて納税します。
しかし、アメリカの遺産税(Estate Tax)は、相続人ではなく、亡くなった方の「遺産全体」に対して課税されます。つまり、遺産そのものが納税義務者となり、税金を支払った後に残った財産が相続人に分配される、という流れになります。

アメリカの相続手続き「プロベート」って何?

アメリカの相続を語る上で欠かせないのが「プロベート」です。これは、遺言書が法的に有効かどうかを裁判所が確認し、遺産の管理人を任命して、その管理人の下で財産の調査、債務の支払い、税金の申告、そして最終的な財産の分配までを行う一連の裁判手続きを指します。この手続きは、州の法律によって細かく定められています。

プロベートの具体的な流れ

プロベートは一般的に、次のようなステップで進められます。州によって多少異なりますが、大まかな流れは同じです。

  1. 裁判所への申し立て
    まず、亡くなった方が最後に住んでいた地域の裁判所に、遺言書(あれば)や死亡証明書などの必要書類を提出して、プロベートの開始を申し立てます。
  2. 遺産管理人(Personal Representative)の選任
    申し立てが受理されると、裁判所は遺産を管理する責任者(遺産管理人)を任命します。遺言書で指定されていればその人が、いなければ相続人の中から選ばれるのが一般的です。
  3. 財産の調査・評価・管理
    遺産管理人は、不動産、銀行口座、株式、その他の資産をすべて洗い出し、その価値を評価します。同時に、被相続人が抱えていた借金などの負債も調査します。
  4. 債務の弁済・税金の支払い
    遺産管理人は、集めた遺産の中から、葬儀費用、被相続人の借金、そしてアメリカの遺産税などを支払います。
  5. 相続人への財産分配
    すべての支払いが完了した後に残った財産を、遺言書の指示、または法律の定めに従って、相続人に分配します。

このプロベート手続きは、すべてのプロセスが裁判所の監督下で行われるため、完了までに通常1年半から3年ほどかかることも珍しくありません。また、現地の弁護士に依頼する必要があるため、費用も高額になりがちです。

プロベートを回避する方法はあるの?

時間も費用もかかるプロベートを避けるための対策も存在します。生前に行っておく必要がありますが、代表的な方法をいくつかご紹介しますね。

対策方法 内容
リビングトラスト(生前信託) 生前に信託(トラスト)を設立し、その中に財産を入れておく方法です。信託内の財産はプロベートの対象外となるため、スムーズに指定した人(受益者)に引き継がせることができます。
共同名義(ジョイント・テナンシー) 不動産や銀行口座を「生存者権付き共同名義」で保有する方法です。名義人の一人が亡くなると、その権利は自動的に残りの名義人に移転するため、プロベートを通す必要がありません。
死亡時受取人指定(POD/TOD) 銀行口座に「死亡時支払先(Payable-on-Death, POD)」を、証券口座に「死亡時譲渡先(Transfer-on-Death, TOD)」を指定しておく方法です。口座名義人が亡くなると、指定された受取人に直接資産が移ります。

気になるアメリカの相続税(遺産税)

次に、お金に関する最も重要な部分、アメリカの遺産税について見ていきましょう。日本の相続税とは考え方が大きく異なるので、しっかり確認してくださいね。

驚くほど高い!アメリカの基礎控除額

アメリカの連邦遺産税には、非常に高額な基礎控除が設定されています。例えば、2024年時点での基礎控除額は1,361万ドル(日本円で約20億円以上)です。これは、遺産の総額がこの金額以下であれば、連邦遺産税は一切かからない、ということを意味します。そのため、アメリカに住んでいる多くの方にとって、連邦遺産税は実質的に無縁のものとなっています。

日本居住者の基礎控除額は?

「じゃあ、日本に住んでいる私たちも同じ控除が受けられるの?」と思いますよね。残念ながら、アメリカに住んでいない「非居住者」の場合、原則として基礎控除額は6万ドル(約900万円)と、大幅に低く設定されています。このままでは、少しの資産でも遺産税がかかってしまいそうですが、ご安心ください。日本人には特別なルールがあるんです。

日米租税条約で控除額が拡大!

日本とアメリカの間には「日米租税条約」という特別な取り決めがあります。これにより、日本に住んでいる日本人がアメリカに資産を持っている場合、基礎控除額が拡大される特例が適用されるのです。
具体的な計算式は以下の通りです。

適用される基礎控除額 = 米国市民の基礎控除額 × (アメリカ国内の資産額 ÷ 全世界の総資産額)

例えば、亡くなった方の財産が全世界で合計2億円あり、そのうち日本に1億円、アメリカに1億円だったとします。この場合、アメリカの資産が全資産に占める割合は50%ですね。すると、適用される基礎控除額は、米国市民の基礎控除額(1,361万ドル)の50%、つまり680.5万ドル(約10億円)となります。アメリカの資産は1億円ですから、この控除額を大きく下回るため、アメリカの遺産税はかからない、ということになります。このように、日米租税条約のおかげで、多くの場合、アメリカでの納税を心配する必要はなくなります。

アメリカでの申告手続き「Form 706-NA」

日米租税条約のおかげで税金がゼロになるケースが多いとはいえ、「何もしなくて良い」わけではありません。特定の条件に当てはまる場合は、アメリカの税務当局(IRS)への申告手続きが必要になります。

申告が必要になるのはどんな時?

申告義務のボーダーラインは、アメリカ非居住者の基礎控除額である6万ドルです。つまり、亡くなった方がアメリカに保有していた資産(不動産、銀行預金、株式など)の合計額が6万ドルを超える場合は、たとえ日米租税条約の適用で最終的な納税額がゼロになったとしても、「Form 706-NA」という申告書を提出する義務があります。
特に注意したいのが、NVIDIAやAmazon、Appleといった米国株式です。これらは日本の証券会社を通じて保有していても、アメリカ国内の資産とみなされるため、評価額が6万ドルを超えれば申告対象となります。

申告期限と必要書類

「Form 706-NA」の提出期限は、被相続人の死亡日から9ヶ月以内と定められています。日本の相続税申告(10ヶ月以内)よりも少し短いので注意が必要です。
申告には、申告書本体のほかに、遺言書のコピー(とその英訳)、日本の相続税申告書のコピー、死亡証明書、アメリカ国内の資産を証明する書類など、多くの書類が必要となります。期限が短く、準備も大変なので、早めに行動を開始することが大切です。

日米での二重課税は大丈夫?外国税額控除とは

「アメリカの資産には、アメリカの遺産税と日本の相続税の両方がかかってしまうの?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。国際的な二重課税を防ぐための仕組みもしっかり用意されています。

日本の相続税も忘れずに

まず大前提として、亡くなった方が日本に住んでいた場合、その方の財産は、日本国内にあるものもアメリカにあるものも、すべて日本の相続税の課税対象となります。日本の相続税の申告と納税は、亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。

「外国税額控除」で二重課税を防ぐ

もし、アメリカで遺産税を支払うことになった場合、その支払った税額を、日本で納める相続税額から差し引くことができる制度があります。これを「外国税額控除」と呼びます。
具体的には、①アメリカで支払った遺産税額と、②日本の相続税額のうちアメリカの資産に対応する部分の金額、のどちらか少ない方の金額が控除されます。この制度があるおかげで、一つの財産に対して日米両国で二重に税金を負担する、といった事態は避けられるようになっています。

まとめ

アメリカに相続財産がある場合の手続きは、日本の常識が通用しない部分が多く、戸惑うことも多いかもしれません。最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • アメリカの相続では、裁判所が関与する「プロベート」という手続きが基本で、完了までには長い時間と費用がかかります。
  • アメリカの遺産税は、高額な基礎控除がありますが、日本居住者の場合は原則6万ドルです。
  • ただし、「日米租税条約」の適用により控除額が拡大され、多くの場合、納税は発生しません。
  • アメリカ国内の資産が6万ドルを超える場合は、納税がなくても申告(Form 706-NA)が必要です。
  • 日米での二重課税は、「外国税額控除」という制度で防ぐことができます。

このように、アメリカの相続手続きは非常に専門的で複雑です。ご自身だけで進めるのは難しいため、国際相続に詳しい弁護士や税理士といった専門家にできるだけ早く相談することをおすすめします。事前の準備と専門家のサポートが、スムーズで安心な相続を実現する鍵となりますよ。

参考文献

アメリカの相続手続きに関するよくある質問

Q.アメリカの相続手続き「プロベート」とは何ですか?

A.裁判所の管理下で遺産の調査、管理、分配を行う法的な手続きです。被相続人の財産を確定し、債務を支払い、残った財産を相続人に分配するまでの一連の流れを指し、完了までには通常1年半から3年ほどかかります。

Q.アメリカの遺産税は誰でも払うのですか?

A.いいえ。2024年時点で1,361万ドル(日本円で約20億円以上)という非常に高額な基礎控除があるため、遺産総額がこれを下回るほとんどのアメリカ市民は課税されません。

Q.日本人がアメリカに資産を持っている場合、遺産税はどうなりますか?

A.アメリカ非居住者として原則6万ドルの低い基礎控除が適用されますが、「日米租税条約」により、全財産に占める米国資産の割合に応じて控除額が拡大されます。そのため、多くの場合、アメリカでの遺産税はかかりません。

Q.アメリカで遺産税がかからなくても、申告は必要ですか?

A.はい。アメリカ国内の資産価値が6万ドルを超える場合は、日米租税条約の適用によって税金がゼロになったとしても、「Form 706-NA」という申告書を税務当局(IRS)に提出する義務があります。

Q.アメリカの資産に、日本の相続税もかかりますか?

A.はい、亡くなった方が日本に住んでいた場合、その方の財産は所在国を問わずすべて日本の相続税の課税対象となります。したがって、アメリカにある不動産や預金なども日本の相続税申告に含める必要があります。

Q.日米で二重に税金がかかることはありますか?

A.万が一アメリカで遺産税を支払った場合でも、日本の相続税からその税額を差し引ける「外国税額控除」という制度があるため、実質的に一つの財産に二重で課税されることはありません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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