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相続対策の切り札!同族会社事業用宅地等で相続税を80%減額する方法

2025-06-26
目次

ご自身の会社やご家族が経営する会社の事業で使っている土地の相続税、ご心配ではありませんか?相続税は高額になりがちですが、実は「特定同族会社事業用宅地等の特例」という制度を使えば、その土地の評価額を最大80%も減らせる可能性があるんです。この特例を上手に活用できるかどうかで、納税額が大きく変わってきます。この記事では、特例が使える条件から、具体的なメリット・デメリットまで、どなたにも分かりやすく、丁寧にご説明していきますね。

そもそも特定同族会社事業用宅地等の特例とは?

なんだか難しそうな名前ですが、これは「小規模宅地等の特例」という相続税の軽減制度の一種です。亡くなった方(被相続人)が持っていた土地を、被相続人やそのご親族が経営する「同族会社」に事業のために貸していた場合、その土地の相続税評価額を大幅に引き下げることができる、というものです。会社の事業基盤である土地を守り、事業がスムーズに次世代へ引き継がれることを目的とした、とても心強い制度なんですよ。

「特定同族会社」ってどんな会社?

まず、この特例の対象となる「特定同族会社」についてご説明しますね。これは、相続が始まる直前の時点で、亡くなった方(被相続人)と、そのご親族などが、会社の発行済株式の総数または出資の総額の50%を超えて持っている法人のことを指します。簡単に言うと、ご家族で経営している会社、というイメージですね。会社の資本金の大きさや売上規模は関係ありません。この「株式を50%超持っているか」という点が最初の大きなポイントになります。

「事業用」の範囲は?

次に、土地の使われ方ですが、特定同族会社がその土地を「事業」のために使っている必要があります。例えば、会社の工場や事務所の敷地、従業員のための社宅の敷地などがこれにあたります。ただし、注意点として、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業といった、いわゆる「貸付事業」のために使われている土地は、この特例の対象外となります。貸付事業の場合は、別の特例(貸付事業用宅地等)の適用を検討することになります。

特例を利用できる具体的な条件

この特例は節税効果が大きい分、利用するためにはいくつかの条件をすべてクリアする必要があります。「土地」「会社」「相続人」のそれぞれに要件がありますので、一つずつ確認していきましょう。一つでも満たせないと適用できなくなってしまうので、ここはしっかり押さえておきたい大切なポイントです。

会社に関する条件

まず、土地を借りている会社が、先ほどご説明した「特定同族会社」であることが大前提です。つまり、相続開始の直前時点で、被相続人やその親族たちで株式の過半数(50%超)を保有している必要があります。また、相続税の申告期限の時点(相続開始の翌日から10か月後)で、その会社が清算中でないことも条件となります。

土地に関する条件

土地については、いくつかの重要な要件があります。まず、亡くなった方(被相続人)の所有する土地であることです。そして、その土地を会社に「相当の対価」で貸している必要があります。もしタダで貸していたり(使用貸借)、周辺の相場と比べて極端に安い地代で貸していたりすると、この特例は認められません。また、原則として土地の上には、会社や被相続人、または生計を一つにする親族が所有する建物や構築物(アスファルト舗装など)が建っている必要があります。資材置き場のような更地のままでは、対象外になる可能性が高いので注意が必要です。

相続人に関する条件

最後に、その土地を相続する「人」についての条件です。土地を相続したご親族が、相続税の申告期限(相続開始の翌日から10か月後)まで、その会社の役員(取締役、監査役など)であることが求められます。役員であることが条件なので、株主である必要はありません。そして、その土地を申告期限まで売却せずに保有し続けていることも必須の要件です。事業を継続していく意思があることが大切、ということですね。

メリット:どれくらい相続税が安くなるの?

この特例を利用する最大のメリットは、何と言ってもその絶大な節税効果です。相続財産の中で大きな割合を占めることが多い土地の評価額を劇的に下げることができるため、相続税の負担を大きく軽減できます。具体的にどれくらい安くなるのか、減額割合と限度面積を見ていきましょう。

80%の大幅な評価減!

特定同族会社事業用宅地等として認められると、なんと土地の評価額が最大400㎡(約121坪)までの部分について80%も減額されるんです。これは非常に大きな減額率です。例えば、評価額が5,000万円の300㎡の土地があったとします。この特例を適用すると、評価額はたったの1,000万円(5,000万円 – 5,000万円 × 80%)にまで下がることになります。評価額が5分の1になる、と考えると、その効果の大きさがお分かりいただけるかと思います。

シミュレーションで見る節税効果

具体的な数字で見てみると、節税効果がより実感できるかと思います。下の表で、特例を使った場合と使わなかった場合の評価額を比べてみましょう。

土地の評価額(特例適用前) 特例適用後の評価額
5,000万円 1,000万円
8,000万円 1,600万円
1億円 2,000万円

このように、土地の評価額が大幅に圧縮されることで、相続税の計算のもとになる課税遺産総額が大きく減ります。結果として、相続税の税率が一段階低い区分になったり、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の範囲内に収まって相続税がゼロになったりするケースも少なくありません。

デメリットと注意点

これほど大きなメリットがある一方で、利用する際には知っておくべきデメリットや注意点も存在します。後から「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、あらかじめしっかりと確認しておくことが大切です。

申告期限までの役員就任と土地保有が必須

最も重要な注意点の一つが、相続人の行動に制約がかかることです。土地を相続した親族は、相続税の申告期限(相続開始の翌日から10か月後)まで、会社の役員であり続けなければなりません。また、その土地も売却せずに保有し続ける必要があります。もし申告期限までの間に、役員を退任したり、土地を売却してしまったりすると、特例は適用できなくなってしまいますので、十分な注意が必要です。

貸付事業は対象外

会社の事業内容にも注意が必要です。もし会社がその土地を使って不動産貸付業や駐車場業、駐輪場業などを行っている場合、この「特定同族会社事業用宅地等」の特例は使えません。その場合は、「貸付事業用宅地等」という別の種類の特例を検討することになります。こちらは限度面積が200㎡、減額割合が50%と、特定同族会社事業用宅地等の特例に比べると効果は小さくなります。

申告しないと適用されない

この特例は、何もしなくても自動的に適用されるわけではありません。相続税の申告書に「この特例を使います」という意思表示を記載し、会社の定款の写しなど、定められた書類を添付して、必ず期限内(相続開始の翌日から10か月以内)に税務署へ申告する必要があります。特例を使った結果、計算上の相続税額が0円になる場合でも、この申告手続きは省略できません。申告を忘れると特例は一切認められませんので、くれぐれもご注意ください。

他の小規模宅地等の特例との併用はできる?

亡くなった方の財産に、会社の土地だけでなく、ご自宅の土地やアパートの敷地など、複数の土地が含まれていることもありますよね。そうした場合、他の種類の小規模宅地等の特例と併用できるのでしょうか。組み合わせによって限度面積の計算方法が変わるため、どの土地にどの特例を使うか、最も有利な選択をすることが重要になります。

特定居住用宅地等(自宅)との併用

ご自宅の土地に適用できる「特定居住用宅地等」(限度面積330㎡、80%減額)との併用は可能です。この2つを組み合わせる場合、それぞれの限度面積をそのまま適用できます。つまり、特定同族会社事業用宅地等で400㎡、特定居住用宅地等で330㎡合計で最大730㎡まで80%減額の恩恵を受けることができます。これは非常に有利な組み合わせですね。

貸付事業用宅地等との併用

アパート経営などをしている土地に適用できる「貸付事業用宅地等」(限度面積200㎡、50%減額)と併用することも可能です。ただし、この場合は少し複雑な面積の調整計算が必要になります。簡単なイメージでお伝えすると、すべての特例の限度面積を上限まで使い切ることはできず、一定の計算式に基づいて適用できる面積の上限が決まります。どの土地にどの特例を適用すれば最も相続税が安くなるか、シミュレーションをしながら慎重に判断する必要があるため、専門家への相談をおすすめします。

まとめ

今回は、相続対策として非常に有効な「特定同族会社事業用宅地等の特例」について詳しく見てきました。この特例は、会社の事業で使われている土地の評価額を最大400㎡まで80%減額できる、非常に強力な制度です。しかし、その分、会社の株式保有状況、土地の貸し方、相続人が役員であることなど、クリアしなければならない条件が細かく決められています。これらの条件は、相続が起きてから慌てて対応しようとしても間に合わないものがほとんどです。ぜひ、お元気なうちからご家族で話し合い、専門家にも相談しながら、特例の要件を満たしているかを確認しておくことが、円満でスムーズな事業承継への第一歩となります。この特例を上手に活用して、大切な事業と財産を安心して次の世代に引き継いでいきましょう。

参考文献

国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

特定同族会社事業用宅地等のよくある質問まとめ

Q.土地を相続した親族が、会社の株を持っていなくても特例は使えますか?

A.はい、使えます。土地を相続した親族は、会社の役員であることが要件ですが、株主である必要はありません。

Q.被相続人自身が会社の役員である必要はありますか?

A.いいえ、被相続人が役員である必要はありません。あくまで、相続開始直前に同族会社に該当していることと、土地を相続した親族が申告期限まで役員であることが要件です。

Q.会社に土地をタダ(無償)で貸していた場合はどうなりますか?

A.残念ながら、特例は使えません。会社から「相当の対価」としての地代を受け取っている必要があります。無償や著しく低い地代の場合は対象外となります。

Q.会社の社宅として使われている土地も対象になりますか?

A.はい、対象になります。社宅の敷地も事業用と認められます。ただし、その社宅を被相続人の親族だけが使っていた場合は、対象外となる可能性があるので注意が必要です。

Q.申告期限までに土地の遺産分割が終わらなかったらどうなりますか?

A.原則として、申告期限までに遺産分割協議が整い、誰がその土地を相続するかが決まっている必要があります。もし間に合わない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、後から特例を適用できる可能性があります。

Q.特例を使ったら相続税がゼロになりました。申告はしなくてもいいですか?

A.いいえ、必ず申告が必要です。この特例は、相続税の申告をすることが適用の条件です。申告をしないと特例は認められず、後から多額の税金が発生する可能性があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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