ご家族が亡くなり、遺産の分け方で話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所での相続調停(遺産分割調停)を利用することがありますよね。その際、「相続調停にした時にかかる費用はどれくらいなのだろう」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、裁判所に納める実費から弁護士に依頼した場合の相場まで、具体的な金額を挙げながら分かりやすく解説していきます。
相続調停にかかる費用の全体像
相続調停(遺産分割調停)を進めるにあたって、必要となる費用は大きく分けて「裁判所に支払う費用」「弁護士に支払う費用」「書類取得などの実費」の3つです。それぞれの費用の目安を表にまとめましたので、まずは全体像を把握してみましょう。
| 費用の種類 | 具体的な金額の目安 |
|---|---|
| 裁判所に支払う実費 | 数千円〜数万円程度 |
| 弁護士費用 | 50万円〜200万円以上 |
| 書類取得などの実費 | 数千円〜数万円程度 |
このように、相続調停にした時にかかる費用は、弁護士に依頼するかどうかで大きく変わってきます。ご自身の状況に合わせて、どこまで専門家のサポートが必要かを検討することが大切です。
裁判所に納める費用
裁判所を利用するための実費として、必ず支払う必要があるのが申立手数料と郵便切手代です。申立手数料は被相続人(亡くなった方)1人につき1,200円分と決まっており、収入印紙で納めます。また、裁判所から関係者へ書類を送るための郵便切手代も必要です。これらはご自身で手続きを行う場合でも必ず発生する最低限の費用となります。
弁護士に依頼する場合の費用
調停を有利に進めたり、精神的な負担を減らしたりするために弁護士に依頼する場合、まとまった費用が必要になります。主にかかるのは、依頼時に支払う「着手金」と、調停成立時に支払う「報酬金」です。着手金は33万円から55万円前後、報酬金は得られた遺産の額の11%から17.6%程度が一般的な相場となっています。
その他の必要経費
調停を申し立てる際には、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本など、さまざまな書類を集める必要があります。戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円かかるため、相続人の数や転籍の回数が多いと、書類代だけで1万円から2万円ほどかかることも珍しくありません。
裁判所へ支払う費用の詳しい内訳
ここでは、家庭裁判所に直接納める費用について、もう少し詳しく見ていきましょう。具体的な金額を知ることで、事前の準備がスムーズになります。
申立手数料(収入印紙代)
遺産分割調停を申し立てる際の手数料は、被相続人1人につき1,200円と定められています。たとえば、ご両親がすでに両方とも亡くなっており、2人分の遺産分割調停を同時に申し立てる場合は、1,200円×2人=2,400円分の収入印紙が必要です。
| 対象となる被相続人 | 申立手数料(収入印紙) |
|---|---|
| 被相続人1人の場合 | 1,200円 |
| 被相続人2人の場合 | 2,400円 |
連絡用の郵便切手代(予納郵券)
裁判所が相手方(他の相続人)に調停の案内などの書類を郵送するため、あらかじめ郵便切手を提出します。これを予納郵券と呼びます。金額は管轄の家庭裁判所や相続人の人数によって異なりますが、概ね3,000円から8,000円程度を指定されることが多いです。余った切手は、調停が終了した後に返却されます。
不動産の鑑定費用など
遺産の中に土地や建物が含まれており、その評価額について相続人間で意見が対立した場合、裁判所が選んだ不動産鑑定士に評価を依頼することがあります。この場合の鑑定費用は数十万円から100万円以上かかることもあり、原則として当事者で負担しなければなりません。鑑定費用が高額になるため、固定資産税評価額や路線価などを目安に話し合いで決めるケースも多く見られます。
専門家に依頼する際の弁護士費用
調停はご自身で進めることも可能ですが、法的な主張を正しく伝えるために弁護士に依頼する方が多いのも事実です。ここでは弁護士費用の内訳と相場を具体的に解説します。
相談料と着手金の相場
まず、弁護士に相談する際の相談料は、30分につき5,500円(税込)が相場です。正式に依頼を決めた際に支払う「着手金」は、請求する遺産の額によって変動しますが、おおむね33万円から55万円(税込)に設定している法律事務所が多くなっています。着手金は、結果に関わらず戻ってこない費用です。
| 費用の種類 | 相場(税込) |
|---|---|
| 法律相談料 | 30分あたり5,500円 |
| 着手金 | 33万円〜55万円程度 |
解決後に支払う報酬金
調停が無事に成立し、ご自身が遺産を受け取れた場合に支払うのが「報酬金」です。一般的には、実際に得られた経済的利益(取得した遺産の額)に対して、11%から17.6%(税込)を掛けた金額となります。たとえば、1,000万円の遺産を獲得できた場合、110万円から176万円程度が報酬金として必要になる計算です。
出廷日当や実費
調停は平日の日中に行われるため、弁護士が裁判所へ代わりに出向いたり、同行したりする際の「日当」がかかることがあります。日当の相場は、1回(半日程度)の出廷につき3万3,000円から5万5,000円(税込)です。調停は1か月に1回程度のペースで進み、解決までに半年から1年以上かかることも多いため、回数が重なると日当の負担も大きくなります。
その他の手続きにかかる実費
裁判所や弁護士への支払い以外にも、調停を申し立てるための準備段階でいくつか細かな費用が発生します。どのような書類にいくらかかるのかを確認しておきましょう。
戸籍謄本や住民票の取得費用
家庭裁判所に提出するため、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍や、相続人全員の現在の戸籍が必要です。各役所で発行してもらう際の手数料は全国共通で定められています。
| 証明書の種類 | 1通あたりの発行手数料 |
|---|---|
| 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) | 450円 |
| 除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 750円 |
| 住民票の写し・戸籍の附票 | 300円 |
不動産の登記事項証明書など
遺産に不動産が含まれている場合は、法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」などを取得する必要があります。登記事項証明書は、法務局の窓口で取得すると1通につき600円、オンラインで請求して郵送してもらう場合は1通につき500円です。また、市区町村役場で「固定資産評価証明書」を取得する費用(1通300円程度)も必要になります。
調停費用を支払うのは誰?
「相続調停にした時にかかる費用は、負けた方や原因を作った方が全額払うのでは?」と疑問に思うかもしれません。しかし、調停における費用の負担には明確なルールがあります。
原則として各自で負担する
相続調停にかかる費用は、原則として「各自が自分の分を負担する」のがルールです。ご自身が依頼した弁護士費用はもちろん、ご自身で手配した書類の取得費用や裁判所への申立手数料も、申し立てた側が負担します。相手のせいで調停になったと感じる場合でも、相手に費用を請求することはできません。
例外として負担割合が変わるケース
基本は各自負担ですが、調停の話し合いの中で「遺産の中から調停費用を差し引いてから分割する」といった合意ができれば、実質的に全員で負担することができます。また、高額になりがちな不動産の鑑定費用については、話し合いのうえで相続分に応じて按分(割合で分担)して支払うように取り決めるケースが一般的です。
まとめ
今回は、相続調停にした時にかかる費用はいくらになるのか、具体的な内訳や相場について解説しました。ご自身で手続きを行えば裁判所への実費や書類代などの数万円程度で済みますが、弁護士にサポートを依頼した場合は着手金や報酬金として数十万円から数百万円の費用がかかります。調停は長引くことも多いため、ご自身の精神的な負担や獲得できる遺産の額を考慮しながら、専門家の活用を検討してみてくださいね。
参考文献
相続調停の費用に関するよくある質問まとめ
Q.相続調停の申立手数料はいくらですか?
A.被相続人(亡くなった方)1人につき1,200円の収入印紙が必要です。
Q.裁判所に納める郵便切手代はどのくらいですか?
A.管轄の家庭裁判所や相続人の人数によって異なりますが、概ね3,000円から8,000円程度を指定されるのが一般的です。
Q.弁護士に依頼する場合の着手金の相場は?
A.請求する遺産の額によりますが、33万円から55万円(税込)程度に設定している法律事務所が多くなっています。
Q.調停で弁護士が出廷する際の日当はかかりますか?
A.はい、1回の出廷(半日程度)につき3万3,000円から5万5,000円(税込)程度の日当がかかるケースが多いです。
Q.自分の弁護士費用を相手に請求することはできますか?
A.調停における費用は原則として各自負担となるため、自分の弁護士費用を相手に請求することはできません。
Q.戸籍謄本を集めるのにいくらかかりますか?
A.戸籍謄本は1通450円、除籍・改製原戸籍謄本は1通750円かかります。必要な通数によって数千円から数万円程度必要です。