税理士法人プライムパートナーズ

居住用物件を相続!被相続人が課税事業者なら消費税申告は必要?

2025-09-29
目次

こんにちは。収益物件を相続した際、消費税の申告が必要かどうかの判断は非常に迷いますよね。今回は、亡くなった方(被相続人)が居住用アパートと商業用ビルの両方を所有していて消費税の課税事業者だった場合に、居住用アパートだけを相続した方の消費税申告について分かりやすく解説します。

消費税の納税義務の基本的な判定ルール

消費税を納める必要があるかどうかは、原則として2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで決まります。個人の場合は前々年の1月1日から12月31日までの売上高で判定します。ただし、相続が発生した場合は、相続人自身の売上だけでなく、被相続人の売上も考慮しなければならない特別なルールがあります。

被相続人が課税事業者だった場合の特例

相続があった年の消費税の納税義務は、被相続人の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかで判定します。もし被相続人の課税売上高が1,000万円を超えていた場合、事業を引き継いだ相続人は、相続があった日の翌日からその年の12月31日まで課税事業者となります。相続人自身の過去の売上が0円であっても、被相続人の売上を引き継いで判定するため注意が必要です。

居住用と商業用を分けて相続したケースの判定方法

では、被相続人が居住用アパートと商業用ビルの2棟を持っており、商業用ビルの課税売上が過去から継続して1,000万円以上あったケースを考えてみましょう。相続人Aさんは居住用アパートを、相続人Bさんは商業用ビルを相続しました。この場合、Aさんにも消費税の申告義務が発生するのでしょうか。

遺産分割が完了している場合のAさんの納税義務

結論から言うと、遺産分割がしっかりと完了している場合、Aさんは免税事業者となり、消費税の申告は不要になる可能性が高いです。なぜなら、複数の事業場(物件)を別々の人が相続した場合、その相続人が引き継いだ事業場ごとの課税売上高で判定するルールがあるためです。居住用アパートの家賃収入は消費税が非課税となるため、Aさんが引き継いだ物件の基準期間の課税売上高は0円として計算されます。

相続した物件の種類 基準期間の課税売上高の引き継ぎ
居住用アパート(Aさん) 0円(非課税売上のため免税事業者)
商業用ビル(Bさん) 1,000万円以上(課税事業者)

このように、Aさんは非課税売り上げとなるため免税事業者となり、Bさんは1,000万円を超えるため課税事業者として消費税の申告が必要になります。

遺産分割が終わっていない未分割期間の注意点

気をつけなければならないのが、相続税の申告期限までに誰がどの物件を相続するか決まっていない未分割の状態です。未分割の期間は、各相続人が法定相続分に応じて被相続人の事業を共同で引き継いだものとして扱われます。

遺産の分割状況 課税売上高の計算方法
遺産分割前(未分割) 被相続人の課税売上高×法定相続分
遺産分割後 相続した事業場(物件)ごとの課税売上高

例えば、被相続人の課税売上高が2,000万円で、AさんとBさんの法定相続分が半分ずつ(2分の1)だった場合、Aさんの引き継ぐ課税売上高は1,000万円(2,000万円×2分の1)となります。もし被相続人の課税売上高がもっと多く、計算結果が1,000万円を超えてしまうと、未分割期間中のAさんは課税事業者となってしまうケースがあるため、早めに遺産分割協議を終えることが大切です。

まとめ

被相続人が複数の収益物件を持っていて課税事業者だった場合でも、居住用アパートのみを相続した相続人は、物件ごとの売上で判定されるため原則として消費税の申告は不要となります。ただし、遺産分割が終わっていない期間は全体の売上を法定相続分で分けて判定するため、思わぬ形で課税事業者になるリスクがあります。相続が発生したら、できるだけ早く遺産分割を確定させることが消費税のトラブルを防ぐポイントです。

参考文献

国税庁:No.6602 相続で事業を引き継いだ場合の納税義務について

相続時の消費税に関するよくある質問まとめ

Q.被相続人が消費税の課税事業者だった場合、相続人は無条件で課税事業者になりますか?

A.無条件ではありません。被相続人の2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える事業を引き継いだ場合に課税事業者となります。

Q.居住用アパートの家賃収入は消費税の課税売上に含まれますか?

A.居住用アパートの家賃収入は非課税売上となるため、消費税の課税売上高には含まれず、0円として計算します。

Q.商業用ビルと居住用アパートを別々の人が相続した場合、過去の売上はどう計算しますか?

A.遺産分割が確定している場合、それぞれの物件(事業場)ごとに過去の課税売上高を分けて、それぞれの相続人の納税義務を判定します。

Q.遺産分割が終わっていない未分割の期間の消費税はどうなりますか?

A.遺産分割が終わるまでは、被相続人の課税売上高を各相続人の法定相続分で掛け算して計算し、その金額が1,000万円を超えるかどうかで判定します。

Q.免税事業者になる場合、税務署への届出は必要ですか?

A.被相続人が課税事業者であっても、相続により免税事業者となる場合は特別な届出は不要ですが、被相続人の個人事業者の死亡届出書の提出は速やかに必要です。

Q.相続した年の消費税申告はいつまでに行う必要がありますか?

A.相続した年の翌年3月31日までに消費税の確定申告と納税を行う必要があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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