税理士法人プライムパートナーズ

企業負担の社員旅行の課税関係とは?非課税になる要件を解説

2025-09-30
目次

従業員の親睦を深めるために社員旅行を企画される方も多いのではないでしょうか。しかし、会社が費用を負担する社員旅行は、税務上のルールを守らないと従業員の給与として課税されてしまうことがあります。ここでは、社員旅行が会社の経費(福利厚生費)として認められ、従業員に所得税がかからないための具体的な要件や注意点についてわかりやすく解説します。

企業負担の社員旅行は給与として課税されるの?

会社が社員旅行の費用を全額または一部負担した場合、従業員はその分だけ得をしたことになります。これを税務上は経済的利益と呼び、原則として給与と同じように所得税が課税されます。ただし、一定の条件を満たせば福利厚生費として処理でき、給与課税されずに済みます。

福利厚生費として非課税になるための具体的な要件

社員旅行が給与課税されず福利厚生費として認められるためには、社会通念上一般的な旅行であることが求められます。具体的には以下の要件をすべて満たす必要があります。

要件 具体的な基準
旅行期間 4泊5日以内(海外旅行の場合は外国での滞在日数が4泊5日以内)
参加人数 全従業員の50%以上が参加すること(工場や支店ごとの場合はその職場の50%以上)
費用の目安 社会通念上一般的な範囲内(目安として会社負担額が1名につき10万円程度まで)

要件を満たさず給与課税されてしまうケース

上記の要件を満たしていても、特定の条件に当てはまると福利厚生費とは認められず、従業員の給与として源泉徴収の対象となります。たとえば、役員だけで行う旅行や、実質的に個人的な私的旅行とみなされるものは課税対象です。また、旅行に参加しなかった従業員に対して、代わりに現金や商品券を支給するような選択ができる旅行も、参加者・不参加者を問わず全員に給与課税されてしまいますので注意しましょう。

研修旅行や合宿の場合はどう扱われる?

社員合宿や研修を目的とした旅行については、会社の業務を行うために直接必要なものであれば旅費交通費として処理され、給与課税はされません。しかし、業務に直接関係のない同業者団体が主催する観光メインの団体旅行や、旅行業者が主催する一般的な団体旅行、観光目的が強い海外視察などは、業務に必要不可欠とは言えないため、従業員への給与として課税されることになります。

参加割合が要件に満たない場合や不参加者への対応

全従業員の50%以上が参加するという要件を満たせない場合や、どうしても参加できない従業員が出た場合の取り扱いについて確認していきましょう。

参加割合が50%未満だった場合の例外的な取り扱い

原則として参加割合が50%以上必要ですが、個別の事情によっては50%未満でも給与課税されないケースがあります。過去の国税庁の具体例では、3泊4日の旅行で旅行費用が15万円(うち会社負担7万円)、参加割合が38%だった事例において、社内規程に基づき毎年行われているレクリエーション旅行であり、従業員が受ける利益が少額であるため給与課税しなくてもよいと判断されたことがあります。ただし、これは総合的な判断による特例的な扱いであるため、基本的には50%以上の参加を目指すのが安全です。

不参加の従業員に代わりの現金を支給する場合

自己都合で旅行に参加しなかった従業員に対して、旅行費用に相当する現金を支給してしまうと、不参加者だけでなく参加した従業員も含めて全員が給与課税の対象となってしまいます。一方で、業務の都合など会社側の理由でどうしても参加できなかった従業員にのみ現金を支給する場合は、現金を受け取った不参加者だけが給与課税され、旅行に参加した従業員には影響しません。

家族を同伴する場合や役員出張の取り扱い

従業員の家族が一緒に社員旅行に参加したいというケースもあるでしょう。また、役員が海外出張に行く際に家族を同伴する場合の費用負担についても税務上のルールが決められています。

従業員の家族が参加した場合の費用負担

従業員の家族は会社と雇用関係にないため、家族の分の旅行費用を会社が負担した場合、それは福利厚生費として認められず、従業員本人の給与として課税される可能性が非常に高くなります。そのため、家族を同伴する場合は、家族分の費用は従業員の自己負担として会社がいったん立て替え、後から実費を徴収するなどの対応をとることをおすすめします。

役員の海外渡航に親族を同伴する場合の特例

法人の役員が業務のために海外出張をする際、親族を同伴した場合の費用を会社が負担すると、原則として役員に対する給与として処理されます。ただし、例外として、役員が身体障害者で常時補佐が必要な場合や、国際会議への出席で配偶者の同伴が求められる場合、外国語に堪能な適任者が社内にいないため親族を臨時で通訳として同伴する場合など、明らかに業務達成のために必要な同伴であれば経費として認められます。

まとめ

企業負担の社員旅行の費用は、条件次第で会社の経費となり従業員に税金がかからない有効な福利厚生になります。そのためには、期間が4泊5日以内、参加者が50%以上、会社負担額が10万円程度で社会通念上一般的な内容であることなど、税務上のルールをしっかり守ることが大切です。旅行に行かない人に現金を渡すと全員が課税されるなど、思わぬ落とし穴もありますので、事前に要件を確認して計画的に実施しましょう。

参考文献

国税庁:No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行

社員旅行の課税関係に関するよくある質問まとめ

Q.社員旅行の費用はいくらまでなら非課税ですか?

A.法律で明確な金額の基準はありませんが、過去の事例や税務上の判断から、会社負担額が1名につき10万円程度までであれば社会通念上一般的として非課税(福利厚生費)と認められやすいです。

Q.旅行の期間に制限はありますか?

A.はい、旅行期間は4泊5日以内である必要があります。海外旅行の場合は、外国での滞在日数が4泊5日以内であれば要件を満たします。

Q.全従業員が参加しなくても経費になりますか?

A.工場や支店などそれぞれの職場ごとの従業員の50%以上が参加していれば、福利厚生費として認められます。参加割合が50%未満の場合は原則として給与課税の対象となります。

Q.旅行に行かない従業員に現金で旅費を渡してもいいですか?

A.自己都合で参加しない従業員に現金や商品券を渡すと、不参加者だけでなく旅行に参加した従業員も含め、全員の旅行費用が給与として課税されてしまうため注意が必要です。

Q.従業員の家族も一緒に社員旅行に参加する場合、費用はどうなりますか?

A.従業員の家族は会社と雇用関係がないため、家族分の費用を会社が負担すると従業員への給与として課税されます。家族の参加費用は従業員の自己負担とするのが基本です。

Q.役員だけで社員旅行に行った場合は経費になりますか?

A.役員だけで行う旅行は福利厚生を目的とした社員旅行とは認められず、役員への給与(役員賞与)または交際費として処理されるため、給与課税の対象となります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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