特定口座で外国株式などを運用していると、配当金から税金が引かれていることに気づかれるかもしれません。実は、そのままにしておくと現地と日本の両方で税金を二重に支払ってしまうことになります。今回は、この二重課税を防ぐ外国税額控除の仕組みや、ご自身でできる確定申告のやり方について、優しくわかりやすく解説していきますね。
外国税額控除とは?二重課税を防ぐ基本の仕組み
外国株式の配当金を受け取る際、現地の国と日本の両方でそれぞれ税金が引かれてしまう状態を二重課税と呼びます。この払いすぎた税金を取り戻すための制度が外国税額控除です。
なぜ外国株の配当金に税金が二重にかかるの?
たとえばアメリカの株式を例にすると、まず配当金が支払われる際に現地のアメリカで10%の税金が引かれます。その後、手元に残った90%の金額に対して、さらに日本国内で20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかってしまうのです。このように、同じ配当金に対して2つの国から税金を取られてしまう状態を調整するのが外国税額控除の役割ですよ。
| 国名 | 課税される税率 |
|---|---|
| アメリカ | 10% |
| 日本 | 20.315% |
外国税額控除で取り戻せる税金の範囲と控除限度額
外国で引かれた税金が必ず全額戻ってくるわけではなく、日本の所得税額をベースにした控除限度額の範囲内で取り戻すことができます。たとえば、1年間の所得総額が600万円、そのうち国外の所得が200万円、日本の所得税額が約77万円だった場合、約25万7500円が控除の限度額となります。もし控除しきれなかった分があっても、翌年以降3年間にわたって繰越控除ができるので安心してくださいね。
| 項目 | 具体的な計算式・期間 |
|---|---|
| 所得税の控除限度額 | その年分の所得税額×(調整国外所得金額÷所得総額) |
| 繰越控除の期間 | 翌年以降3年間 |
NISA口座の場合はどうなるの?
NISA口座で保有している外国株式の配当金については、日本国内での税金が非課税(0%)となります。日本での税金がかかっていないため二重課税という状態にはならず、外国税額控除を利用することはできません。アメリカの10%分の税金は引かれたままとなりますので、計算の際には注意してくださいね。
特定口座で外国税額控除を受けるための確定申告のやり方
証券会社の特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、国内の税金計算は証券会社が行ってくれますが、外国税額控除を受けるためには、必ずご自身で総合課税または申告分離課税を選んで確定申告を行う必要があります。
必要な書類と特定口座年間取引報告書の見方
確定申告を行うには、証券会社が1月頃に発行する特定口座年間取引報告書と、配当金が支払われた際に交付される外国株式の配当金に関するお知らせなどの書類を用意しましょう。特定口座年間取引報告書には、1年間の配当金の総額や日本国内で源泉徴収された税額がまとまっていますので、これらの数字を申告書に記入していきます。
| 必要な書類 | 記載されている主な内容 |
|---|---|
| 特定口座年間取引報告書 | 1年間の譲渡損益や配当金、国内の源泉徴収税額 |
| 外国株式の配当金のお知らせ等 | 現地で徴収された外国所得税額(外貨および円換算額) |
外国税額控除に関する明細書の具体的な書き方
確定申告書を作成する際、外国税額控除に関する明細書に必要事項を記入します。証券会社から交付された配当金のお知らせを見ながら、配当金等の金額と外国源泉徴収税額を転記していきましょう。円貨に換算する際は、必ず書類に記載されている日本円換算後の数値をそのまま記入してください。ご自身で当日の為替レートを調べて計算してしまうと、税務署から計算が合わないと指摘を受ける原因になってしまいますよ。
まとめ
特定口座で外国株式に投資をしている方は、外国税額控除を活用することで二重課税を防ぎ、払いすぎた税金を取り戻すことができます。確定申告は少し手間に感じるかもしれませんが、特定口座年間取引報告書や配当金の明細書をお手元に用意して順番に入力していけば、決して難しくありません。NISA口座との違いにも注意しながら、ぜひご自身の控除限度額を計算して申告にチャレンジしてみてくださいね。
参考文献
特定口座と外国税額控除のよくある質問まとめ
Q.特定口座(源泉徴収あり)でも外国税額控除の確定申告は必要ですか?
A.はい、必要です。特定口座内で国内の損益通算は行われますが、外国で引かれた税金を取り戻すにはご自身で確定申告をする必要があります。
Q.外国税額控除はNISA口座の配当金にも適用できますか?
A.適用できません。NISA口座は日本国内の税金が非課税であり、二重課税が発生しないため、外国税額控除の対象外となります。
Q.確定申告で提出する外国税額控除に関する明細書の金額はどう計算しますか?
A.ご自身で為替レートを計算する必要はありません。証券会社から発行される配当金のお知らせ等に記載されている円換算後の数値をそのまま記入してください。
Q.控除限度額を超えて控除しきれなかった外国税額はどうなりますか?
A.控除限度額を超えて引ききれなかった外国所得税は、翌年以降3年間にわたって繰越控除を行うことができます。
Q.配当金について総合課税と申告分離課税のどちらを選べばよいですか?
A.所得総額が約900万円以下の場合は総合課税にして配当控除を受けた方が有利になることが多いですが、外国税額控除のみなら申告分離課税でも適用可能です。
Q.米国株の配当金は現地で何パーセントの税金が引かれますか?
A.アメリカの株式の場合、原則として現地で10%の税金が源泉徴収され、その後手元に残った金額に対して日本国内で20.315%の税金が課されます。