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免税事業者の売上が源泉され入金!確定申告の仕訳の作り方

2025-11-23
目次

フリーランスや個人事業主として免税事業者で働いていると、取引先から売上が源泉されて入金されることがよくありますね。この場合、確定申告に向けてどのような仕訳を作ればよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。本記事では、源泉徴収された売上が口座に入金されたときの確定申告に向けた仕訳の作り方について、具体的な金額を用いてわかりやすく解説します。毎月の記帳作業がスムーズになるよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。

免税事業者の売上と源泉徴収の基本ルール

まずは、売上に対する源泉徴収の仕組みと、免税事業者ならではの基本的なルールについて確認していきましょう。

源泉徴収の対象となる具体的な業務と金額計算

源泉徴収とは、報酬を支払う側が事前に所得税を差し引いて国に納める制度です。デザイン料や原稿料、講演料など特定の業務については源泉徴収の対象となります。支払金額が100万円以下の場合は、金額の10.21%が源泉徴収されます。

業務内容の例 源泉徴収税率(100万円以下)
デザイン料、原稿料、講演料など 10.21%

インボイス制度による消費税と源泉徴収の関係

インボイス制度が始まっても、源泉徴収の基本的な考え方に変更はありません。請求書に本体価格と消費税額が明確に区分されている場合は、本体価格のみを源泉徴収の対象とすることができます。手元に入金される金額を少しでも多く残すためには、消費税を分けて記載することが大切です。

請求書の記載方法 源泉徴収の対象となる金額
本体と消費税を区分して記載 本体価格のみ
税込金額のみを記載 消費税を含めた税込価格全体

免税事業者における税込経理の原則

免税事業者は消費税を納付する義務がないため、売上や経費の記帳はすべて税込経理方式で行います。つまり、消費税を含めた55,000円という全体の金額をそのまま売上高として処理することになります。

源泉徴収されて入金された場合の具体的な仕訳例

それでは、実際に売上が源泉徴収されて口座に振り込まれたときの仕訳の作り方を、具体的な金額のケース別に見ていきましょう。

請求書に消費税を区分して記載している場合の仕訳

例えば、本体価格50,000円、消費税5,000円の合計55,000円で請求書を発行し、本体価格に対して5,105円(50,000円×10.21%)が源泉徴収されたとします。この場合、口座には49,895円が入金されます。引かれた税金は事業主貸という勘定科目を使って処理します。

借方勘定科目と金額 貸方勘定科目と金額
普通預金 49,895円
事業主貸 5,105円
売上高 55,000円

請求書に消費税を含めて記載している場合の仕訳

本体価格と消費税を分けずに税込55,000円として請求した場合、55,000円に対して5,615円(55,000円×10.21%)が源泉徴収され、口座には49,385円が入金されます。売上の金額は同じですが、引かれる税金が多くなります。

借方勘定科目と金額 貸方勘定科目と金額
普通預金 49,385円
事業主貸 5,615円
売上高 55,000円

経費を立て替えた場合の仕訳処理

取引先へ訪問した際の交通費2,000円を立て替えて請求金額に含める場合、その交通費も報酬の一部とみなされ源泉徴収の対象となってしまいます。売上に含めて請求し、同様に10.21%が差し引かれる仕訳の作り方となります。

借方勘定科目と金額 貸方勘定科目と金額
普通預金 51,181円
事業主貸 5,819円
売上高 57,000円

年末の確定申告に向けた源泉所得税の精算方法

日々の仕訳で作った事業主貸の源泉徴収税額は、1年分をまとめて確定申告で精算します。その手順を優しく解説します。

源泉徴収税額の集計と支払調書の確認

年明けになると、取引先から支払調書という書類が送られてくることがあります。ご自身が会計ソフトなどで記帳した事業主貸の合計額と、支払調書に書かれている源泉徴収税額が一致しているかを確認しましょう。ただし、支払調書の発行は義務ではないため、ご自身の帳簿を正しくつけておくことが一番重要です。

確定申告書への正確な記入箇所

確定申告書を作成する際、第二表にある「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」という欄に、取引先ごとの支払金額と源泉徴収税額を記入します。ここを漏らしてしまうと、すでに払った税金が計算に反映されないため注意してくださいね。

還付金を受け取るための口座指定

確定申告で正しい税額を計算した結果、すでに源泉徴収された金額の方が多ければ、納めすぎた所得税が還付金として戻ってきます。確定申告書の第一表にある「還付される税金の受取場所」に、ご自身の銀行口座情報を正確に記入して受け取りましょう。

確定申告の仕訳作りで注意すべきポイント

源泉されて入金された売上の仕訳を作る際には、いくつか気をつけるべき間違いやすい注意点があります。

売上の計上時期は入金日ではなく発生日

売上は、口座に入金された日ではなく、商品を引き渡した日やサービスを提供した日に計上する発生主義が原則です。例えば12月に納品して1月に入金された場合は、12月の日付で売掛金として計上する仕訳を作成します。

納品時(12月)の仕訳 入金時(1月)の仕訳
売掛金 55,000円 / 売上高 55,000円 普通預金 49,895円、事業主貸 5,105円 / 売掛金 55,000円

事業主貸と租税公課の使い分け間違い

個人の所得税の先払いである源泉徴収税額は、事業の経費である租税公課にはなりません。経費にしてしまうと確定申告の計算が狂ってしまうため、必ず事業主貸という勘定科目を使って仕訳を行ってください。

支払手数料など他の差し引き金額との混同

振込手数料がご自身の負担となっている場合、口座への入金額がさらに数百円少なくなります。このときは、源泉徴収税額と振込手数料を分けて仕訳する必要があります。手数料は支払手数料として経費に計上しましょう。

源泉徴収漏れを防ぐための請求書の作り方

確定申告でのトラブルを防ぎ、正確な仕訳を行うためには、日頃発行する請求書の作り方も非常に重要になってきます。

本体価格と消費税額の明確な区分記載

源泉徴収の対象額を正確にするため、請求書には本体価格50,000円、消費税5,000円のように必ず明確に分けて記載しましょう。これにより、余分な税金を引かれることを防げます。

源泉徴収税額の明記による相互確認

請求書の中に「源泉徴収税額5,105円」とあらかじめ計算して記載しておくことで、取引先側の計算間違いや天引き漏れを未然に防ぐことができます。お互いにとって親切な方法ですね。

インボイス制度を考慮した事業者区分の表示

ご自身が免税事業者であることを取引先に伝えるため、インボイスの登録番号がない旨を適切に説明し、双方で誤解のない取引を心がけましょう。これにより、相手も正確な消費税計算ができるようになります。

まとめ

免税事業者が売上から源泉されて入金された場合の、確定申告に向けた仕訳の作り方について解説しました。免税事業者は税込経理方式で売上を計上し、引かれた源泉所得税は事業主貸として処理することが大切です。また、請求書の書き方ひとつで手元に残る入金額が変わることもあります。正しい仕訳を身につけて、安心できる確定申告を迎えてくださいね。

参考文献

国税庁 消費税等と源泉所得税及び復興特別所得税

売上の源泉徴収と確定申告に関するよくある質問まとめ

Q.免税事業者でも売上から源泉徴収されるのですか?

A.はい、免税事業者であっても、原稿料やデザイン料などの特定の報酬については源泉徴収の対象となります。

Q.売上として計上するのは入金された金額ですか?

A.いいえ、源泉徴収される前の消費税を含めた総額を売上として計上し、引かれた税金は事業主貸で処理します。

Q.確定申告で引かれた源泉徴収税額はどうなりますか?

A.確定申告で1年間の正しい所得税を計算し、すでに引かれている源泉徴収税額の方が多ければ還付金として戻ってきます。

Q.請求書に消費税を分けて書くメリットはありますか?

A.本体価格と消費税を分けて記載することで、本体価格のみを源泉徴収の対象にでき、手元に入金される金額を少し多くできます。

Q.源泉徴収の勘定科目を租税公課にしてはいけませんか?

A.個人の所得税は事業の経費にはならないため、租税公課ではなく事業主貸を使用するのが正しい仕訳の作り方です。

Q.売上を計上するタイミングはいつですか?

A.口座に入金された日ではなく、サービスを提供した日や納品した日に計上する発生主義が基本となります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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