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不動産所得の申告で借入金利子の内訳から金融機関を除く理由とは

2025-11-24
目次

不動産投資を始めて初めての確定申告の時期が近づくと、決算書や収支内訳書の書き方で迷うことがたくさんありますよね。特に不動産所得用にある「借入金利子の内訳(金融機関を除く)」という項目を見て、「なぜ金融機関は書かなくていいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。今回は、この記入欄で金融機関が除かれている理由や、経費にできる借入金利子の具体的な計算方法などを分かりやすく解説していきます。

借入金利子の内訳で金融機関を除く理由とは

確定申告書に添付する収支内訳書や青色申告決算書の不動産所得用には、借入金利子の内訳を記入する欄があります。しかし、ここには金融機関を除くという注意書きがあります。その理由について詳しく見ていきましょう。

税務署が支払先を簡単に把握できるため

銀行や信用金庫などの金融機関からお金を借りている場合、毎年送られてくる返済予定表や利息証明書などの公的な書類によって、いくらの利息を支払ったのかが明確に分かります。税務署側も、金融機関が相手であればお金の流れを簡単に把握し、照合することができるため、わざわざ決算書に個別の住所や名称を書く手間を省いてくれています。

借入先の種類 内訳欄への記載
銀行などの金融機関 記載不要(損益計算書の合計に含める)
親族や知人・一般企業 記載が必要

親族や知人からの借入は実態が不透明になりやすいため

一方で、親族や友人、あるいは金融機関ではない一般企業からお金を借りた場合、公的な書類が発行されないことが多く、実態が不透明になりがちです。「本当にその利息を支払っているのか」「誰にいくら支払っているのか」を税務署が確認しにくいため、詳細な情報を提供してもらう必要があります。

架空経費の計上を防ぎ税務調査の対象を絞るため

親族間などでの貸し借りは、契約書がなかったり、実際には支払っていない架空の利息を経費として計上してしまったりするリスクがあります。そのため、支払先の氏名や住所、期末残高などを細かく記載させることで、不正な経費計上を防ぐ狙いがあります。また、利息を受け取った側がきちんと雑所得などで申告しているかを確認するための重要な資料にもなります。

不動産所得で経費にできる借入金利子とは

不動産投資ローンを利用して物件を購入した場合、支払った金額すべてが経費になるわけではありません。ここでは、経費として認められる範囲について確認していきましょう。

経費になるのは利息部分のみで元本は対象外

毎月のローンの返済額には、借りたお金そのものを返す「元本」部分と、借りたことに対する手数料である「利息」部分が含まれています。このうち、不動産所得の経費として認められるのは利息部分のみです。例えば、毎月の返済額が10万円で、そのうち元本が6万円、利息が4万円だった場合、経費にできるのは4万円となります。元本の返済は経費にはならないので注意してくださいね。

返済項目の内訳 経費計上の可否
元本(借入額そのもの) 経費にならない
利息(借入金利子) 経費になる

不動産所得が赤字の場合は土地の借入金利子に制限あり

もし不動産所得が赤字になってしまった場合、他の給与所得などと相殺する「損益通算」という手続きができます。しかし、土地を購入するための借入金利子については、不動産所得の赤字を構成する金額までは他の所得と相殺できないというルールがあります。つまり、土地の利子部分はマイナスとして申告できないため、計算して差し引く必要があります。

事業開始前に発生した利息は取得費になる

アパートなどを建築中で、まだ人に貸し出せる状態になっていない間に支払った借入金の利息は、その年の経費にすることはできません。業務を開始する前までに発生した利息は、建物などの取得費に含めて、減価償却費として数年に分けて経費化していくことになります。

借入金利子の内訳の具体的な書き方

金融機関以外からお金を借りている場合の、収支内訳書や青色申告決算書への具体的な記入方法を優しく解説します。

支払先の住所と氏名または名称を正確に書く

まずは、お金を借りている相手(親族や知人、一般企業など)の現在の住所と、氏名または会社の名称を正しく記入します。ここを曖昧にしてしまうと、税務署から問い合わせが来る可能性があるので、借用書などを確認しながら正確に記載しましょう。

期末残高と本年中の利子の額を計算して記入する

次に、その年の12月31日時点での借入金の残高(期末残高)と、1月1日から12月31日までの1年間に実際に支払った利息の合計額(本年中の利子の額)を記入します。例えば、年末時点で残高が500万円あり、その年に支払った利息が15万円であれば、それぞれその通りに記載します。左側の「うち必要経費算入額」には、不動産事業に関する利息分のみを記入します。

金融機関から借り入れた場合の利子の申告方法

内訳欄には書かなくてよい金融機関からの借入金利子ですが、経費にするための手順はもちろんあります。どのように申告すればよいのかを確認しましょう。

損益計算書の借入金利子欄に合計額を記入する

内訳欄への記載は不要ですが、1ページ目にある損益計算書の「借入金利子」の項目には、金融機関に支払った利息も含めたすべての事業用借入金利子の合計額を記入します。例えば、金融機関からの利息が年間30万円、親族からの利息が年間10万円なら、合計40万円を記入することになります。

返済予定表や利息証明書を元に正確な金額を算出する

金融機関に支払った利息の金額は、金融機関から郵送やウェブサイトで発行される「返済予定表」や「借入金利息証明書」を見て計算します。1月分から12月分までの利息部分だけを足し合わせて、1年間の正確な利息額を算出してください。手元に書類がない場合は、早めに金融機関に再発行をお願いしておくと安心です。

不動産投資ローンに関する確定申告の注意点

最後に、不動産所得の申告で借入金利子を経費にする際に、つまずきやすい注意点をいくつかご紹介します。

事業とプライベートの借入が混ざっている場合は按分する

自宅兼賃貸アパート(賃貸併用住宅)のように、プライベート用の住居部分と事業用の賃貸部分が一つになっている建物をローンで購入した場合、支払った利息の全額を経費にすることはできません。建物の面積などの割合(例えば事業用が60%、自宅用が40%など)をもとに、事業にかかわる部分の利息だけを計算して経費に計上する必要があります。

使用用途 利息の取り扱い
事業用の賃貸部分(面積比60%など) 事業の経費として計上できる
プライベートな自宅部分(面積比40%など) 経費にできない

同一生計の親族からの借入利息は経費にならない

親族からお金を借りている場合でも、「生計を一にする親族(お財布が同じ家族)」に対して支払った利息は、所得税法上、経費として認められません。例えば、一緒に暮らしている親から1000万円を借りて年利2%で年間20万円の利息を払ったとしても、不動産所得の経費にはできないので十分に注意してください。

まとめ

不動産所得の申告で「借入金利子の内訳」から金融機関が除かれるのは、税務署が公的な書類で簡単にお金の流れを把握できるからです。一方で、親族や知人からの借入は不透明になりやすいため、詳細な記載が求められます。ローン返済のうち経費にできるのは利息部分だけであり、不動産所得が赤字の際の土地の利子や、事業開始前の利息の扱いなど、少し複雑なルールもあります。正しい知識を身につけて、書類や返済予定表をしっかり確認しながら、漏れなく正確な確定申告を行いましょう。

参考文献

国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

国税庁 No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算

国税庁 No.3264 借入金の利子が取得費になるとき

不動産所得の借入金利子に関するよくある質問まとめ

Q.不動産所得の借入金利子の内訳に金融機関を書かないのはなぜですか?

A.金融機関からの借入は、返済予定表などで税務署が容易に正確な利息額を把握できるため、個別の詳細な内訳の記載を省略できるようになっています。

Q.親族から借りたお金の利息は経費になりますか?

A.生計を別にする親族からの借入であれば利息を経費にできますが、生計を一にする(お財布が同じ)親族への利息の支払いは経費として認められません。

Q.毎月のローンの返済額はすべて経費になりますか?

A.すべては経費になりません。返済額のうち経費として認められるのは利息部分のみで、元本の返済部分は経費にはなりません。

Q.不動産所得が赤字の場合、借入金利子はどうなりますか?

A.建物の利息はそのまま経費になりますが、土地を取得するための借入金利子については、不動産所得の赤字分を他の所得と相殺(損益通算)できないという制限があります。

Q.アパートを建築中でまだ貸し出していない間の利息は経費ですか?

A.事業を開始する前に発生した利息は経費にはならず、建物の取得費に含まれます。その後、減価償却費として毎年少しずつ経費化していきます。

Q.金融機関からの利息額はどこで確認すればよいですか?

A.金融機関から送られてくる返済予定表や、1年間の利息額が記載された借入金利息証明書などで確認することができます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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