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医療法人のM&Aを成功に導く!出資持分譲渡と事業譲渡の違い

2025-12-14
目次

医療法人の引き継ぎやM&Aを検討されている皆さま、こんにちは。病院やクリニックを次の世代や信頼できる方へお譲りする際、「出資持分譲渡」や「事業譲渡」といった専門用語が出てきて戸惑ってしまうことはありませんか。医療法人は株式会社と違って独自のルールがたくさんあり、どの方法を選ぶかによって税金や手続きの手間が大きく変わってきます。ここでは、医療法人のM&Aを成功させるために知っておきたい大切なポイントを、わかりやすく丁寧にお話ししていきますね。

医療法人のM&Aの基本と出資持分の重要性

医療法人のM&Aを考えるとき、まず一番に確認していただきたいのが出資持分があるかどうかです。この出資持分の有無によって、選べるM&Aの手法がまったく違ってくるのですよ。

医療法人の種類と出資持分あり・なしの違い

医療法人は大きく分けて、出資持分ありの医療法人出資持分なしの医療法人の2つがあります。平成19年(2007年)4月の医療法改正によって、それ以降に設立された医療法人はすべて「出資持分なし」となっています。

医療法人の種類 特徴とM&Aへの影響
出資持分ありの医療法人 出資した割合に応じて財産の払戻しを受ける権利があります。M&Aではこの権利を譲渡するのが一般的です。
出資持分なしの医療法人 財産の払戻しを受ける権利がありません。M&Aでは役員の入れ替えや事業譲渡、合併などを用います。

出資持分とは?払戻請求権の仕組み

出資持分とは、医療法人の財産に対する権利のことです。たとえば、設立時に1,000万円を出資し、長年の経営で法人の純資産が1億円に増えたとします。退社する際、出資割合が100%であれば、この1億円の払戻しを請求できるのが払戻請求権です。この権利があるため、出資持分はM&Aの際にとても高い価値を持つことになります。

なぜ出資持分がM&Aに大きく影響するのか

出資持分がある法人の場合、買い手はその持分を買い取ることで、医療法人の資産も負債もまるごと引き継ぐことができます。これを出資持分譲渡と呼びます。一方、持分がない場合はこの方法が使えないため、別の方法で引き継ぎを行う必要があるのです。

出資持分譲渡によるM&Aの手法と流れ

出資持分がある医療法人で最もよく使われるのが、この出資持分譲渡という方法です。株式会社でいうところの「株式譲渡」に似ていて、比較的スムーズに進められるのが特徴です。

出資持分譲渡の具体的な手続き

手続きとしては、売り手と買い手で出資持分譲渡契約書を結び、持分の売買を行います。その後、医療法人の経営陣を交代させる手続きを行います。保健所や法務局などへの届け出で済むことが多く、新しく許認可を取り直す必要がないのが嬉しいポイントですね。

手続きのステップ 具体的な内容
1. 譲渡契約の締結 譲渡価格や引き渡し日(クロージング日)などを取り決め、契約書にサインします。
2. 役員と社員の変更手続き 旧役員が辞任し、新役員が就任します。保健所や法務局への届け出を行います。

役員変更と社員の入退社について

医療法人における「社員」とは、従業員のことではなく、最高意思決定機関である「社員総会」で議決権を持つ人のことです。出資持分を譲渡しただけでは経営権は移らないため、必ず古い社員が退社し、新しい社員が入社するという社員の入れ替えと、理事長をはじめとする役員変更をセットで行う必要があります。

合併・事業譲渡によるM&Aの手法と特徴

出資持分がない医療法人や、特定のクリニックだけを譲りたい場合には、合併や事業譲渡という方法を選びます。少し手続きが複雑になりますが、状況に合わせて使い分けることが大切です。

合併の仕組み

合併は、2つ以上の医療法人を1つに統合する方法です。吸収合併と新設合併がありますが、多くは吸収合併が選ばれます。複数の法人をまとめることで、経費の削減や経営の安定化が期待できますが、都道府県の医療審議会の認可や債権者保護手続きなどが必要で、完了までに約1年ほどの期間がかかることが多いです。

合併のメリット 合併のデメリット
同一医療圏内であれば病床の移動が可能になり、経営の効率化が図れます。 手続きに時間がかかり、見えない負債(簿外債務)を引き継ぐリスクがあります。

一部の事業のみを引き継ぐ事業譲渡の手法

事業譲渡は、法人の全部ではなく「特定のクリニックだけを譲りたい」といった場合に使われます。引き継ぐ資産や負債を選べるため、不要な負債を背負うリスクを避けられます。ただし、引き継ぐ側は新しく開設許可を取り直す必要があり、従業員や取引先とも契約を結び直さなければなりません。少し手間がかかる点には注意が必要です。

譲渡価格の算定方法と具体的な金額の目安

病院やクリニックを譲る際、いったいいくらで譲ることができるのか、とても気になりますよね。医療法人の価値を決めるには、いくつかの計算方法があります。

純資産価額方式・収益還元方式などの評価方法

代表的な評価方法として、今ある資産から負債を引いた価値に、ブランド力や将来性をプラスする純資産価額方式があります。たとえば、純資産が5,000万円で、のれん代(無形資産の価値)を3,000万円と評価すれば、譲渡価格は8,000万円となります。また、将来生み出すキャッシュフローから計算する収益還元方式(DCF方式)などもよく使われます。

評価方法 特 徴
純資産価額方式 現在の資産と負債をベースにするため分かりやすく、中小規模の案件でよく使われます。
収益還元方式 将来の収益性を重視するため、今後の成長が期待できる場合に適しています。

退職金や役員報酬を活用した税負担の軽減

出資持分を売却して得た利益には、約20.315%の譲渡所得税がかかります。そこで、譲渡価格の一部を役員退職金として受け取ることで、税金の負担を軽くできる場合があります。たとえば、最終報酬月額100万円、勤続年数30年、功績倍率3.0の場合、適正な退職金は約9,000万円となります。これを適正に活用すれば、手元に残るお金を増やすことができますよ。

各スキームのメリットとデメリットの比較

これまでお話ししてきた手法には、それぞれ良いところと気をつけるべきところがあります。ご自身の状況にぴったりの方法を選んでくださいね。

出資持分譲渡のメリット・デメリット

出資持分譲渡の一番のメリットは、なんといっても手続きがシンプルなことです。許認可を新しく取り直す必要がなく、スタッフの雇用契約もそのまま引き継げます。一方で、純資産が膨らみすぎていると譲渡価格が数億円と高額になり、買い手が見つかりにくくなるというデメリットもあります。

スキーム名 特徴の比較
出資持分譲渡 手続きが簡便で許認可の引き継ぎもスムーズですが、簿外債務を引き継ぐリスクがあります。
事業譲渡 必要な資産だけを選んで引き継げますが、許認可の取り直しや契約の巻き直しが必要です。

事業譲渡・合併のメリット・デメリット

事業譲渡は、見えない借金などを引き継ぐリスクを避けられるのが最大の魅力です。しかし、保健所への廃止・開設の手続きが必要で、診療を止めずに引き継ぐには綿密なスケジュール調整が欠かせません。合併については、経営の効率化には最適ですが、長期間の手続きと行政との事前相談が必須となります。

医療法人M&Aを成功に導くためのまとめ

医療法人のM&Aは、出資持分の有無によって進め方が大きく変わります。出資持分があるなら手続きがスムーズな出資持分譲渡が基本となりますし、ない場合や一部だけを譲りたい場合は事業譲渡や合併を検討することになります。どの方法を選ぶにしても、税金の問題や複雑な行政手続きが絡むため、専門的な知識が不可欠です。大切な病院やクリニック、そしてスタッフや患者さまの未来を守るためにも、早めに信頼できる専門家に相談し、二人三脚で準備を進めていってくださいね。

医療法人のM&Aのよくある質問まとめ

Q. 医療法人の出資持分とは何ですか?

A. 出資持分とは、医療法人の財産に対する権利のことです。退社時などに、法人の純資産に対して自分の出資割合に応じた払戻しを請求できる権利(払戻請求権)を持っています。

Q. 出資持分譲渡のメリットは何ですか?

A. 許認可やスタッフの雇用契約、取引先との契約をそのまま引き継ぐことができるため、手続きが比較的シンプルでスムーズに経営権を移行できる点が大きなメリットです。

Q. 持分なし医療法人でもM&Aは可能ですか?

A. はい、可能です。出資持分の譲渡はできませんが、役員の入れ替えや社員の入退社、または事業譲渡や合併といった手法を用いることでM&Aを行うことができます。

Q. 事業譲渡と出資持分譲渡の違いは何ですか?

A. 出資持分譲渡が法人全体をまるごと引き継ぐのに対し、事業譲渡は特定のクリニックや必要な資産・負債だけを選んで引き継ぐ方法です。ただし事業譲渡は許認可の取り直しが必要です。

Q. 医療法人の譲渡価格はどのように決まりますか?

A. 主に現在の資産から負債を引いた額にのれん代(無形資産)を足す純資産価額方式や、将来の収益性を予測する収益還元方式などを基に、売り手と買い手の話し合いで決定されます。

Q. M&Aの際にかかる税金を減らす方法はありますか?

A. 譲渡対価の一部を適正な範囲内で役員退職金として受け取ることで、譲渡所得税の負担を軽減できる場合があります。税金については専門家に相談しながら進めるのが安心です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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