税理士法人プライムパートナーズ

預貯金と有価証券の記載実務!特定口座・少額特例の活用法

2026-02-06
目次

株式投資や預貯金などで得た利益について、確定申告が必要なのか迷うことはありませんか。実は、特定口座や少額配当の特例を上手く活用することで、申告の手間を省いたり、税金をお得にしたりすることができます。この記事では、有価証券や預貯金の記載実務について、特定口座の仕組みや申告不要となる具体的な条件などを優しくわかりやすく解説していきます。ご自身の状況と照らし合わせて、賢く制度を活用していきましょう。

預貯金や有価証券の記載実務の基本

投資を始めると、必ず直面するのが税金の計算と申告の手続きです。有価証券の売買益や配当金には、原則として20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。しかし、口座の種類や利益の額によっては、この計算や申告を省略できる仕組みが用意されています。

特定口座と一般口座の明確な違い

証券会社で口座を開設する際、「特定口座」と「一般口座」のどちらかを選ぶことになります。特定口座は、証券会社が投資家に代わって1年間の損益を計算し、「特定口座年間取引報告書」を作成してくれる便利な口座です。一方、一般口座を選ぶと、ご自身で年間の取引明細を集計し、利益や損失を計算しなければなりません。そのため、特別な理由がない限りは、手間が省ける特定口座を選ぶのがおすすめです。

少額口座や少額配当の特例の概要

配当金を受け取った場合でも、その金額が少額であれば確定申告を省略できる特例があります。例えば、非上場株式の配当金であれば、1回の支払額が「10万円×配当計算期間月数÷12」以下の金額であれば少額配当とみなされ、所得税の確定申告が不要になります。ただし、この場合でも住民税の申告は別途必要になるため注意が必要です。

申告不要制度を活用する大きなメリット

申告不要制度を適用する最大のメリットは、何といっても確定申告の手間がかからないことです。さらに、申告しないことでその利益が「合計所得金額」に含まれなくなります。これにより、配偶者控除や扶養控除などの適用基準となる所得制限に影響を与えずに済むため、ご家族全体の税金や国民健康保険料の負担が増えるのを防ぐ効果も期待できます。

特定口座(源泉徴収あり)の賢い活用法

特定口座には、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。このうち、「源泉徴収あり」を選ぶことで、税金の手続きを非常にシンプルにすることができます。

源泉徴収あり口座なら確定申告が原則不要に

「源泉徴収ありの特定口座」を選ぶと、利益が出るたびに証券会社が自動的に20.315%の税金を差し引いて代わりに納税してくれます。そのため、投資家ご自身での確定申告は原則として不要となります。本業の仕事が忙しい方や、税金の計算に不安がある方にとっては、最も手軽で安心な選択肢と言えるでしょう。

口座内での譲渡損失と配当金の損益通算

「源泉徴収ありの特定口座」のもう一つの利点は、同じ口座内であれば、株式の売買で出た損失と、受け取った配当金を自動的に相殺(損益通算)してくれることです。たとえば、株式の売却で30万円の損失が出て、配当金で10万円の利益があった場合、本来配当金にかかるはずだった約2万円の税金が、口座内で自動的に計算されて手元に戻ってきます。ご自身で申告しなくても税金が調整されるのは嬉しいポイントです。

複数口座を保有している場合の注意点

複数の証券会社でそれぞれ「源泉徴収ありの特定口座」を持っている場合、口座ごとの計算は自動で行われますが、A証券会社での損失とB証券会社での利益を自動で相殺することはできません。証券会社をまたいで損益を合算したい場合には、ご自身で確定申告を行う必要があります。

少額配当や少額利益における特例ルール

少額の利益しか出ていない場合、申告のルールはどうなるのでしょうか。条件を満たせば、面倒な手続きを省略できる可能性があります。

年間20万円以下の利益なら所得税の申告不要

会社員などの給与所得者で、年末調整を受けている場合、給与以外の所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。「源泉徴収なしの特定口座」や「一般口座」で取引をしていても、年間の利益が20万円以内であれば申告しなくて良いのです。ただし、これはあくまで所得税のお話であり、金額にかかわらず住民税の申告は必要ですので忘れないようにしましょう。

NISA(少額投資非課税制度)の活用

税金を気にせず投資を楽しみたいなら、NISA(少額投資非課税制度)の活用が欠かせません。新しいNISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計で生涯1,800万円までの投資から得られた利益や配当金がすべて非課税になります。非課税なので、当然ながら確定申告の必要もありません。

少額配当の特例と住民税の関係

先ほど触れた非上場株式の少額配当(1回あたり10万円×期間月数÷12以下)など、所得税で申告不要の特例を利用した場合でも、住民税の課税対象にはなります。お住まいの市区町村役場へ行き、住民税の申告書を提出して、正しく税額を計算してもらう手順を踏んでください。

あえて確定申告をしたほうが有利になるケース

基本的には申告不要制度を利用するのが楽ですが、あえて確定申告をすることで、払いすぎた税金を取り戻せる(還付される)ケースもあります。

課税所得695万円以下なら配当控除を活用

日本国内の株式から受け取った配当金を「総合課税」として確定申告すると、「配当控除」という税額の割引を受けられます。給与などの他の所得から基礎控除などを引いた後の「課税される所得」が695万円以下の方であれば、源泉徴収された20.315%よりも実際の税率が低くなるため、確定申告をしたほうが手元に残るお金が増えます。逆に695万円を超える方は、申告不要を選んだほうが有利です。

複数の証券口座で損益を通算したいとき

A証券の口座で50万円の利益、B証券の口座で30万円の損失が出た場合、そのままにしておくとA証券の50万円に対して約10万円の税金が引かれたままになります。しかし、確定申告をしてこれらを「損益通算」すると、トータルの利益は20万円となり、払いすぎていた税金が還付されます。

売却損を翌年以降に繰り越す場合(最大3年間)

株式投資で出た損失が大きすぎて、その年の配当金や他の利益と相殺しきれなかった場合、確定申告を行うことで、その損失を翌年以降最大3年間繰り越すことができます(譲渡損失の繰越控除)。これにより、翌年以降に利益が出た際に、過去の損失とぶつけて税金を安く抑えることが可能です。損失が出た年こそ、忘れずに申告しましょう。

実務上の注意点と手続きの具体的な流れ

いざ確定申告をしようと思った際に、スムーズに手続きを進めるためのポイントをまとめました。

申告に必要な書類の準備

確定申告を行うには、まず証券会社から交付される「特定口座年間取引報告書」を手元に用意します。最近は郵送ではなく、証券会社のマイページから電子データ(XMLデータやPDF)でダウンロードするケースが主流です。その他に、本人確認書類(マイナンバーカードなど)や、給与所得がある方は源泉徴収票も準備しましょう。

取得費がわからないときの5%特例と調査

昔から保有している株式や、相続で引き継いだ株式を売却する際、いくらで買ったか(取得費)がわからないことがあります。その場合は、売却した金額の5%を取得費として計算する特例を利用できます。ただし、5%で計算すると利益が大きく見えて税金が高くなりがちです。可能な限り、過去の通帳履歴や証券会社の顧客勘定元帳を取り寄せるなどして、実際の購入額を調べることをおすすめします。

口座の種類 確定申告の必要性
特定口座(源泉徴収あり) 原則不要(還付を受ける場合は申告可)
特定口座(源泉徴収なし) 年間利益が20万円超なら必要
一般口座 ご自身で計算し、利益があれば原則必要
NISA口座 非課税のため不要

まとめ

預貯金や有価証券の記載実務においては、特定口座(源泉徴収あり)やNISA、少額特例などを活用することで、確定申告の手間を省きつつ正しく税務処理を行うことができます。一方で、複数の口座で損益を通算したい場合や、課税所得が695万円以下で配当控除を受けたい場合、損失を3年間繰り越したい場合など、あえて確定申告を行ったほうが税金面で有利になるケースも存在します。ご自身の収入や投資の損益状況をしっかりと把握し、どの選択肢が一番お得になるのかを見極めることが大切です。迷ったときは、無理をせず税務署の相談窓口などを活用してみてください。

参考文献

国税庁:No.1476 特定口座制度

特定口座や有価証券の税金に関するよくある質問まとめ

Q.特定口座(源泉徴収あり)とは何ですか?

A.証券会社が1年間の損益を計算し、利益に対して自動的に20.315%の税金を差し引いて代わりに納税してくれる口座です。原則として確定申告が不要になります。

Q.配当金を受け取った場合、必ず確定申告が必要ですか?

A.上場株式の配当金は源泉徴収されているため原則申告不要です。また、非上場株式でも1回あたり「10万円×配当計算期間月数÷12」以下の少額配当であれば所得税の申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。

Q.投資で損失が出た場合、確定申告したほうが良いですか?

A.はい、確定申告をすることで、他の証券口座の利益と相殺(損益通算)したり、引ききれなかった損失を翌年以降最大3年間繰り越して将来の利益から差し引くことができます。

Q.給与以外の利益が20万円以下なら申告しなくて良いですか?

A.年末調整を受けている給与所得者で、給与以外の所得が年間20万円以下の場合は所得税の確定申告は不要です。ただし、金額にかかわらずお住まいの市区町村へ住民税の申告は必要です。

Q.配当控除とはどのような制度ですか?

A.国内株式の配当金を総合課税として確定申告した場合に、税額から一定割合を差し引くことができる制度です。課税される所得が695万円以下の方であれば、申告不要制度よりも税金が安くなる傾向があります。

Q.相続した株式の購入金額がわからない場合はどうすれば良いですか?

A.過去の通帳履歴や証券会社の元帳などで調べても取得費がわからない場合、売却した金額の5%を取得費として計算する特例を利用して申告することができます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /
士業の先生向け専門家AI
士業AI【税務】
\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /