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小規模企業共済は個人と法人どちらがよい?メリットデメリットを比較

2026-03-13
目次

個人事業主として活動しながらオーナー会社の社長も務めている方や、今後の法人化(法人成り)を検討している方にとって、小規模企業共済を個人と法人のどちらで加入するべきかは大きな悩みの種ですよね。小規模企業共済は将来の退職金を積み立てながら高い節税効果を得られる大変お得な制度ですが、立場によって手続きや注意すべき点が異なります。この記事では、個人事業主と法人のそれぞれのメリットとデメリットを比較しながら、ご自身の状況に合わせてどちらを選ぶべきかを分かりやすく解説していきます。

小規模企業共済の基本と個人・法人での加入資格の違い

小規模企業共済の基本概要と仕組み

小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する、個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金積立制度です。毎月の掛金は1,000円から70,000円までの範囲で、500円単位で自由に設定することができます。最大の魅力は、支払った掛金の全額が所得控除の対象になることです。例えば、毎月上限の70,000円を積み立てた場合、年間で840,000円もの金額を課税対象となる所得から差し引くことができ、大きな節税につながります。

個人事業主として加入する際の具体的な条件

個人事業主として小規模企業共済に加入するためには、営んでいる事業の業種に応じて、常時使用する従業員の数が定められた人数以下である必要があります。具体的には、商業(卸売業・小売業)やサービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合は従業員数が5人以下、製造業、建設業、運輸業、不動産業、農業、宿泊業、娯楽業などの場合は従業員数が20人以下でなければなりません。この従業員数には、家族従業員や臨時で雇っているパート・アルバイトは含まれませんので、ご自身の事業規模が該当するかどうかを確認してみてくださいね。

事業の業種 従業員数の上限
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 5人以下
製造業・建設業・運輸業・不動産業など 20人以下

オーナー会社の社長など法人役員として加入する際の条件

法人を設立して、その会社の社長や役員として加入する場合も、基本的には個人事業主のときと同じ従業員数の基準が適用されます。株式会社や合同会社の取締役、業務執行社員などとして正式に商業登記簿謄本に名前が記載されている役員であることが必須の条件です。また、法人役員として加入する場合、掛金は会社のお金から支払うのではなく、ご自身の役員報酬の中から個人の資金として支払う形になります。そのため、節税効果は会社の法人税ではなく、役員個人の所得税や住民税に対して働く仕組みになっている点に注意してくださいね。

役職の条件 対象となる法人形態の例
登記された役員であること 株式会社、合同会社、有限会社
業務執行社員・理事など 合名会社、合資会社、企業組合

個人事業主で小規模企業共済に加入するメリット・デメリット

個人事業主で加入するメリットと掛金の控除

個人事業主として加入する最大のメリットは、事業から得た利益に対してダイレクトに節税効果を発揮できる点です。個人事業主は事業の利益がそのまま個人の所得となるため、最大で年間840,000円の小規模企業共済等掛金控除を活用することで、所得税や住民税の負担を大きく軽減することができます。また、急に事業資金が必要になった場合には、これまでに納付した掛金の範囲内で、年0.9%から1.5%という非常に低い金利で、最大2,000万円までの貸付制度を利用できるのも心強いポイントです。資金繰りのセーフティネットとしても役立ちますよ。

メリットの種類 具体的な内容
節税効果 掛金全額が所得控除(最大年間840,000円)
貸付制度 年0.9%〜1.5%の低金利で最大2,000万円借入可能

個人事業主で加入するデメリットと解約時の注意点

一方で、個人事業主で加入するデメリットとして気をつけたいのが、早期に解約した場合の元本割れリスクです。ご自身の都合で任意解約をする場合、掛金を納付した期間が240ヶ月(20年)に満たないと、受け取れる解約手当金がこれまで支払った掛金の合計額を下回ってしまいます。さらに、掛金の納付月数が12ヶ月未満で解約した場合は、お金が一切戻ってこない掛け捨てになってしまいます。そのため、無理のない範囲で、毎月継続して支払い続けられる掛金を設定することが大切です。

納付月数(期間) 解約手当金の扱い
12ヶ月未満 掛け捨て(0円)
240ヶ月(20年)未満 元本割れ

法人役員として小規模企業共済に加入するメリット・デメリット

法人役員で加入するメリットと退職金の準備

法人の役員として小規模企業共済に加入するメリットは、役員報酬に対する個人の税金負担を軽くしながら、将来の退職金を安全に準備できる点です。役員報酬を高く設定すると、それに伴って個人の所得税や住民税が高くなりますが、共済の掛金を支払うことで課税所得を抑えることができます。また、将来的に役員を退任して共済金を受け取る際には、一括で受け取れば退職所得として扱われ、分割で受け取れば公的年金等の雑所得として扱われるため、受け取る際にも税制上の大きな優遇を受けることができますよ。

受け取り方法 税務上の扱い
一括受け取り 退職所得
分割受け取り 公的年金等の雑所得

法人役員で加入する際のデメリットと経費の扱い

法人役員として加入する際のデメリットは、支払う掛金が会社の損金(法人の経費)にはならないという点です。小規模企業共済はあくまで個人のための制度であるため、法人の経費として計上して法人税を節税することはできません。もし法人の利益を圧縮して節税したい場合は、別の制度である経営セーフティ共済などを検討する必要があります。また、法人役員であっても、加入期間が240ヶ月未満での任意解約による元本割れのリスクは個人事業主と同じように存在します。

制度の違い 節税の対象
小規模企業共済 役員個人の所得税・住民税
経営セーフティ共済 会社の法人税(法人の損金算入)

小規模企業共済は個人事業主と法人どちらで加入するべきか?

個人事業主での加入が向いている方の特徴

事業の利益がそれほど大きくなく、法人化による社会保険料の負担増や、年間約70,000円かかる法人住民税の均等割といった固定費の増加を避けたい方は、個人事業主のまま小規模企業共済に加入するのがおすすめです。個人事業主であれば、事業で得た利益から掛金を支払うことで直接的に所得税を減らすことができ、手続きもシンプルです。また、今後もしばらくは従業員を増やす予定がなく、ご自身のペースで事業を続けていく方針の方にとっては、個人事業主としての加入が非常にマッチしています。

おすすめな方の特徴 理由
利益がまだ少なめ 法人化に伴う年間約70,000円の固定費などを避けられる
従業員を増やす予定がない 手続きがシンプルで日々の管理が負担になりにくい

法人成りして法人役員として加入するのが向いている方の特徴

事業の課税所得が9,000,000円を超えるなど、個人の所得税率が法人税率を上回るようになってきた方は、法人成りをして法人役員として加入するのがおすすめです。法人化することで、事業の利益には法人税が適用されて税率が抑えられ、ご自身には役員報酬を支払い、そこから小規模企業共済の掛金を支払うことで個人の所得税も節税するというダブルの対策が可能になります。すでに法人をお持ちのオーナー社長であれば、役員報酬の最適なバランスを見極めながら共済を活用することで、より大きな手残り資金を確保できますよ。

おすすめな方の特徴 理由
課税所得が9,000,000円以上 個人の最高税率より法人税率の方が低くなり有利
すでにオーナー会社の社長 役員報酬と法人利益のバランスで効果的な節税が可能

個人事業主から法人成りした際の小規模企業共済の継続手続き

掛金納付月数を通算するための3つの条件

現在個人事業主として小規模企業共済に加入しており、これから法人成りをする場合、今までの掛金や納付期間を無駄にすることなく引き継ぐことができます。これを同一人通算と呼びます。同一人通算を行うためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。1つ目は、個人事業を完全に廃業して法人成りすること。2つ目は、新しく設立した会社の役員として商業登記簿謄本に名前が記載されていること。3つ目は、設立した会社の従業員数が業種ごとの基準(5人以下または20人以下)を満たしていることです。

同一人通算の条件 詳細な内容
1. 完全な法人成り 個人事業を廃止し、事業を残さないこと
2. 役員登記 新設法人の役員として登記簿謄本に記載があること

同一人通算を行うための具体的な手続きの流れ

同一人通算の手続きは、法人成りをして個人事業の廃止等の事由が発生してから1年以内に行う必要があります。期限を過ぎてしまうと今までの期間を通算できなくなってしまうため注意してください。手続きに必要な書類は、税務署の受付印がある個人事業の廃業届の控えと、役員に就任していることが確認できる発行から3ヶ月以内の履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)、そして専用の納付月数通算申出書兼契約申込書です。これらの書類を、金融機関などの窓口に提出することで、手続きが完了し引き続き制度を利用できます。

提出が必要な主な書類 取得場所や条件
個人事業の廃業届(控) 税務署(受付印があるもの)
履歴事項全部証明書 法務局(発行から3ヶ月以内)

まとめ

小規模企業共済は、個人事業主で加入する場合も法人役員として加入する場合も、将来の退職金を準備しながら個人の所得税や住民税を大幅に節約できる非常に優れた制度です。どちらの立場で加入しても、最大年間840,000円の所得控除や低金利での貸付制度といった恩恵を受けることができます。ご自身の事業の規模や利益の状況、今後の法人化の予定などをしっかりと見極めたうえで、最適なタイミングで活用していきましょう。法人成りをする際も、条件を満たせば同一人通算で契約を引き継ぐことができるので安心してくださいね。

参考文献

国税庁:No.1135 小規模企業共済等掛金控除

独立行政法人中小企業基盤整備機構:小規模企業共済とは

小規模企業共済のよくある質問まとめ

Q.個人事業主から法人成りした場合、小規模企業共済はそのまま引き継げますか?

A.はい、引き継ぐことが可能です。個人事業を完全に廃止し、新設法人の役員として登記されるなどの条件を満たしたうえで、事由発生から1年以内に同一人通算の手続きを行うことで、これまでの掛金や納付月数を引き継ぐことができます。

Q.小規模企業共済の掛金は法人として経費に落とせますか?

A.いいえ、法人の経費(損金)として落とすことはできません。小規模企業共済はあくまで個人のための制度であり、役員個人の役員報酬から掛金を支払うことで、個人の所得税や住民税が控除される仕組みになっています。

Q.法人成りして同一人通算をする手続きには期限がありますか?

A.はい、期限があります。個人事業の廃止や法人成りといった事由が発生した日から1年以内に同一人通算の申出と手続きを行う必要があります。1年を過ぎると通算ができなくなりますのでお早めに手続きをしてください。

Q.加入して1年未満で法人成りし、解約した場合お金は戻ってきますか?

A.掛金の納付月数が12ヶ月未満で解約した場合、解約手当金や準共済金は掛け捨てとなり、お金は一切戻ってきません。そのため、法人成りのタイミングには注意するか、条件を満たして同一人通算を行うことをおすすめします。

Q.小規模企業共済の掛金を途中で減らしたり増やしたりすることはできますか?

A.はい、月額1,000円から70,000円の範囲内であれば、500円単位で自由に変更することが可能です。事業の業績が良い時は増額し、資金繰りが厳しい時は減額するなど、状況に合わせて柔軟に見直すことができます。

Q.法人の従業員数が20名を超えた場合、小規模企業共済は解約しなければなりませんか?

A.いいえ、解約する必要はありません。加入した後に従業員数が増加し、所定の人数を超えてしまった場合でも、そのまま小規模企業共済の加入を継続することが認められています。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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