税理士法人プライムパートナーズ

雇用促進税制とは?対象要件や最大90万円の控除額をわかりやすく解説

2026-03-20
目次

会社を経営されている皆様、雇用促進税制という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。新しく従業員を雇い入れた際に、法人税などの負担を軽くすることができるとても魅力的な制度です。現在は主に地方拠点強化税制における雇用促進税制として運用されており、地方創生を目的としています。この記事では、雇用促進税制とはどのような制度なのか、いくら税金が安くなるのか、そして具体的な適用要件までを優しく分かりやすく解説していきます。

雇用促進税制の基本的な仕組み

まずは、雇用促進税制の基本的な仕組みについて見ていきましょう。この制度は、地方に本社機能を移したり、拡充したりすることで、税金の控除を受けられる仕組みになっています。

雇用促進税制とはどのような制度?

現在の雇用促進税制は、正式には地方拠点強化税制における雇用促進税制と呼ばれています。地域再生法に基づいて、都道府県知事から事業計画の認定を受け、本社機能を地方に移転したり拡充したりした上で、従業員を新しく雇い入れた場合に、法人税や所得税から一定額が直接差し引かれる制度です。キャッシュの負担を大きく減らすことができるため、地方への事業拡大を考えている経営者の方には見逃せない制度となっています。

移転型事業と拡充型事業の違い

この制度には、大きく分けて移転型事業と拡充型事業の2つのパターンがあります。どこからどこへ本社機能を移すかによって、受けられる優遇の大きさが変わってきます。

移転型事業 東京23区から地方へ本社機能を移転する事業
拡充型事業 すでに地方にある本社機能をさらに拡充する事業

移転型事業のほうが、地方への人口流入を直接的に促すため、より大きな税額控除を受けられる仕組みになっています。

控除される具体的な金額

それでは、具体的にいくら税金が安くなるのでしょうか。新しく雇用した従業員1人あたりの税額控除額は以下の通りです。なお、無期雇用かつフルタイムで働く従業員であることが条件となります。

移転型事業の場合 新規雇用者1人あたり最大90万円(転勤者は80万円)
拡充型事業の場合 新規雇用者1人あたり最大30万円(転勤者は20万円)

このように、1人雇用するごとに大きな金額が法人税から直接控除されますので、手元に残る資金に大きな良い影響を与えます。

雇用促進税制の対象となるための主な要件

税金の優遇を受けるためには、国が定めた要件をしっかりと満たす必要があります。ここでは、適用を受けるための具体的な要件を分かりやすく解説します。

青色申告書を提出していること

大前提として、青色申告書を提出している事業主であることが必要です。個人事業主でも法人でも、日々の取引をしっかり帳簿に記録し、青色申告を行っていることが求められます。白色申告の場合は対象外となってしまいますのでご注意ください。

事業主都合による離職者がいないこと

制度の適用を受ける年度と、その前の事業年度において、事業主都合による離職者がいないことが条件となります。事業主都合の離職とは、例えば人員整理による解雇や、会社側からの退職勧奨による離職などを指します。新しく人を雇っても、一方で会社の都合で辞めさせている場合は、この制度を利用することができません。

雇用者の増加数が要件を満たしていること

この制度を利用するには、実際に雇用者が増えていなければなりません。具体的には、適用年度における対象施設の新規雇用者が2人以上増加している必要があります。また、会社全体で見ても、雇用者の総数が増加していることが求められます。会社全体の雇用者増加数が0人以下の場合は、控除額が0円となってしまいます。

雇用促進税制の手続きの流れ

要件を満たしていても、自動的に税金が安くなるわけではありません。正しい手順で手続きを進める必要がありますので、その流れを確認しておきましょう。

ハローワークへの雇用促進計画の提出

まず最初に、対象となる事業年度が始まる前、あるいは事業計画の認定を受けた後速やかに、雇用促進計画を作成して、管轄のハローワークへ提出する必要があります。この事前の提出を忘れてしまうと、後から要件を満たしても税額控除を受けることができなくなってしまいますので、一番気をつけたいポイントです。

達成状況の確認と確定申告

事業年度が終わってから2ヶ月以内に、提出していた雇用促進計画の達成状況についてハローワークの確認を受けます。そして、ハローワークから交付された「雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類」の写しを、税務署へ提出する確定申告書に添付して申告を行います。これで初めて、税金から控除されることになります。

適用を受けるための注意点

とても有利な制度ですが、いくつか気をつけておきたい注意点があります。後で適用できなかったとならないように、事前に確認しておきましょう。

オフィス減税などとの重複適用の制限

同じ本社機能の移転や拡充に関して、建物などの取得価額に対して特別償却や税額控除が受けられるオフィス減税という制度があります。しかし、同じ年度にオフィス減税と雇用促進税制を両方同時に受けることはできません。どちらの制度を利用したほうが会社にとって有利になるか、しっかりとシミュレーションを行うことをおすすめします。

対象とならない事業があること

すべての業種が対象になるわけではありません。例えば、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に定められている風俗営業や性風俗関連特殊営業を営む事業主は、この制度の対象外となります。また、本社機能(調査・企画、情報処理、研究開発など)が対象であり、単なる工場や店舗の移転は対象になりません。

雇用促進税制と賃上げ促進税制の違い

よく似た言葉に賃上げ促進税制というものがあります。どちらも従業員に関する税金優遇の制度ですが、目的や内容が大きく異なりますので整理しておきましょう。

賃上げ促進税制とは?

賃上げ促進税制は、従業員の給与を前年度よりも引き上げた場合(例えば中小企業なら1.5パーセント以上など)に、その増加した給与の一部を税金から控除できる制度です。こちらは新しく人を雇うことではなく、今いる従業員や会社全体の給与水準を上げることを目的としています。

目的と対象の違いについて

これら2つの制度の違いを表にまとめました。

雇用促進税制 地方への拠点移転・拡充に伴う「新しい雇用の創出」が目的
賃上げ促進税制 会社全体の「従業員の給与引き上げ(賃上げ)」が目的

どちらも会社の成長を後押ししてくれる制度ですので、自社の状況に合わせて上手に活用していきたいですね。

まとめ

雇用促進税制(地方拠点強化税制における雇用促進税制)は、東京23区から地方へ本社機能を移したり、地方の拠点を拡充したりして、新しく従業員を雇い入れた際に、1人あたり最大90万円の税額控除が受けられる制度です。青色申告をしていることや、事業主都合の離職者がいないことなど、いくつかの要件がありますが、手元に残る資金を大きく増やすことができるメリットがあります。事前のハローワークへの計画提出など、必要な手続きを忘れずに行い、会社のさらなる発展に役立てていきましょう。

参考文献

厚労省 雇用促進税制

国税庁 No.5926 地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除

雇用促進税制のよくある質問まとめ

Q.雇用促進税制とは何ですか?

A.地方拠点強化税制の一環で、地方へ本社機能を移転・拡充し、新しく従業員を雇い入れた場合に、法人税や所得税から一定額が控除される制度です。

Q.従業員を1人雇うといくら税金が安くなりますか?

A.東京23区から地方へ移転する移転型事業の場合は新規雇用者1人あたり最大90万円、地方で拡充する拡充型事業の場合は1人あたり最大30万円が控除されます。

Q.事前に必要な手続きはありますか?

A.はい、対象となる事業年度が始まる前、または計画認定後速やかに、管轄のハローワークへ雇用促進計画を提出する必要があります。

Q.パートやアルバイトの雇用でも対象になりますか?

A.控除の対象となるのは、無期雇用かつフルタイムで働く従業員であることが条件となりますので、有期雇用のパート等は対象外となります。

Q.どのような理由の退職者がいると利用できなくなりますか?

A.適用年度およびその前の事業年度において、解雇や退職勧奨など、事業主都合による離職者がいる場合は制度を利用することができません。

Q.オフィス減税と一緒に利用することはできますか?

A.同じ適用年度において、建物の取得に対するオフィス減税と、雇用促進税制を同時に重複して受けることはできません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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