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親の介護施設費用を子供が払うと贈与税はかかる?非課税の条件を解説

2026-03-21
目次

親の介護が必要になり、子供であるあなたが有料老人ホームなどの介護施設費用を負担することになった場合、「これって贈与税がかかるのかな?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。親への仕送りや費用の立て替えは、日常的によくあることですが、金額や支払い方によっては税務署から贈与とみなされてしまうことがあります。この記事では、どのような場合に贈与税がかかるのか、または非課税になるのか、具体的な金額や条件を交えながら分かりやすく解説していきます。

親の介護施設費用を負担した場合に贈与税はかかる?

結論から申し上げますと、子供が親の介護施設費用を負担しても、原則として贈与税はかかりません。日本の法律である民法や相続税法では、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者同士で、生活費や教育費などをやり取りする場合、通常必要と認められる範囲であれば非課税になると定められているからです。

贈与税がかからない具体的なケース

親の生活を維持するために必要な費用を、必要な都度支払っている場合は非課税となります。たとえば、親が生活している特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームの毎月の利用料として15万円を子供の口座から直接施設に振り込んでいるようなケースです。これらは親の生活費として認められるため、年間で110万円を超えてしまったとしても贈与税の対象にはなりません。

贈与税がかかってしまう要注意ケース

一方で、生活費や介護費用という名目であっても、贈与税が課税されてしまうケースがあります。たとえば、親の口座へ「将来の介護費用として今のうちに渡しておこう」と、数年分にあたる500万円をまとめて振り込んだ場合です。今すぐに必要ではないお金を事前に渡す行為は生活費の支払いとは認められず、単なる資金の移動と判断され、年間110万円の基礎控除を超えた390万円分に対して贈与税が課されてしまいます。

生活費とみなされる費用の範囲とは

税金がかからない「通常必要と認められる生活費」とは、日常生活を送る上で欠かせない費用のことを指します。家賃、食費、光熱費、そして病院の治療費や介護サービスの利用料などがこれに該当します。わかりやすく表にまとめましたので参考にしてください。

非課税になる費用(生活費として認められる) 課税される可能性がある費用(生活費と認められない)
毎月の介護施設利用料、病院の通院・入院費、食費 将来のための貯蓄用資金、株式などの投資資金、ギャンブルや過度な娯楽費

親の資金を預かって介護費用を支払う場合の注意点

子供のお金ではなく、親自身が貯めた預貯金を使って子供が手続きや支払いだけを代行するケースもよくあります。この場合、親の財産を親のために使っているだけなので贈与にはあたりません。しかし、お金の管理方法を間違えると、税務署から「子供へお金を贈与した」と疑われてしまうリスクがあります。

名義預金とみなされないための対策

親のお金を子供名義の口座に移して管理することを名義預金と呼びます。親のお金を子供の口座に入れた時点で、税務署からは「親から子供への贈与」と見なされる恐れがあります。もし年間110万円を超えていれば贈与税が発生し、申告が遅れると無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されることもあります。これを防ぐためには、親の口座のまま管理し、キャッシュカードを預かって必要な金額だけを引き出す方法が安全です。

預かり証を作成し領収書を保管する

どうしても子供の口座に移して管理しなければならない場合は、親のお金を預かっているだけであることを証明するために預かり証を作成しましょう。作成日に加え、「親の介護費用として300万円を預かる」といった内容を記載し、お互いに署名・押印しておきます。また、預かったお金を間違いなく親のために使ったと証明できるよう、施設の利用料や医療費のレシート、領収書は必ず保管しておいてください。

成年後見制度の利用を検討するタイミング

親が認知症を発症してしまい、判断能力が著しく低下した場合は、銀行口座が凍結されてお金が引き出せなくなることがあります。その際は成年後見制度の利用を検討しましょう。家庭裁判所に申し立てを行い後見人が選任されれば、親の財産を法的に守りながら、施設の費用などを正当に支払うことができるようになります。親がまだ元気なうちであれば、子供を後見人に指定できる任意後見制度を活用するのもひとつの有効な手段です。

高額な入居一時金に潜む贈与税のリスク

毎月の利用料は非課税であっても、介護付き有料老人ホームなどに入居する際に支払う入居一時金には特別な注意が必要です。入居一時金は数百万円から数千万円にのぼることもあり、子供が負担した場合、その金額や施設の性質によって贈与税がかかるかどうかの判断が分かれます。

過去の裁判事例にみる課税の判断基準

実際に入居一時金をめぐって裁判になった事例があります。あるケースでは、子供が親のために945万円の入居一時金を負担しましたが、これは「通常の生活に必要な費用」と認められ、贈与税はかかりませんでした。しかし別のケースでは、1億3,370万円という非常に高額な入居一時金を子供が支払ったところ、生活費の範囲を超えていると判断され、多額の贈与税が課せられてしまいました。

豪華な設備は生活費として認められない

高額な入居一時金が課税対象となる大きなポイントは、その施設が「通常の日常生活」を送るための標準的な設備を超えているかどうかにあります。たとえば、施設内に豪華なフィットネスジム、温水プール、エステサロンなどが完備されているような高級老人ホームの場合、それらは生きていくために不可欠なものとは言えません。そのため、相場を大きく上回る入居一時金を子供が負担すると、贈与税の課税対象となる可能性が非常に高くなります。

贈与税を避けて親の介護費用をサポートする方法

親の介護費用を子供が援助する際、税金のトラブルにならないための具体的な対策をご紹介します。制度を正しく理解して活用することで、無駄な税金を払うことなく安心して親のサポートに専念できます。

贈与税の基礎控除110万円を活用する

将来の介護に備えて親から子供へ資金を移動させたい場合、または子供から親へお金を援助したい場合は、贈与税の非課税枠である年間110万円の基礎控除を活用しましょう。1月1日から12月31日までの1年間で、渡す金額を110万円以下に収めれば贈与税はかからず、確定申告の手間も不要です。数年に分けて少しずつ資金を移すことで、将来のまとまった費用負担に備えることができます。

扶養控除を利用して所得税を節税する

子供が親の介護費用を負担して養っている場合、子供自身の税金を安くできる扶養控除という制度があります。会社員の方であれば年末調整で、個人事業主の方であれば確定申告で手続きが可能です。親の年齢が70歳以上であり、一定の所得条件を満たしていれば、以下の表のように子供の所得から一定額を差し引くことができ、所得税と住民税を節税できます。

親の居住状況(70歳以上) 所得税の控除額
子供と同居している場合 58万円
子供と別居している場合(老人ホームへの入居など) 48万円

まとめ

親の介護施設費用を子供が支払う場合、それが毎月の利用料などの通常必要な生活費であれば、年間110万円を超えても贈与税はかかりません。しかし、将来に備えた事前の資金移動や、フィットネスジムなどが併設された高級老人ホームへの高額な入居一時金の支払いは、贈与税の対象となる可能性が高いため注意が必要です。また、親の資金を子供の口座で管理する場合は、名義預金と疑われないように預かり証や領収書をしっかりと残しておきましょう。制度の仕組みや年間110万円の基礎控除、扶養控除をうまく活用して、負担のない範囲で親の介護をサポートしていきましょう。

参考文献

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

親の介護施設費用と贈与税に関するよくある質問まとめ

Q.親の介護施設の月額費用を子供が払うと贈与税はかかりますか?

A.毎月の施設利用料や食費など、親の生活に直接必要な費用をその都度支払っている場合は、生活費とみなされるため贈与税はかかりません。

Q.将来の介護費用として親から500万円を預かった場合、税金はどうなりますか?

A.今すぐ必要ではない資金を事前にまとめて受け取ると、単なる贈与とみなされます。年間110万円の基礎控除を超えるため、超えた部分に対して贈与税が課税されます。

Q.老人ホームの入居一時金を子供が負担しても非課税ですか?

A.一般的な施設の入居一時金であれば生活費と認められ非課税になるケースが多いですが、豪華な設備を備えた高級老人ホームで入居一時金が数千万円から1億円などの高額になる場合は、生活費とは認められず贈与税がかかる可能性があります。

Q.親の預金を子供の口座に移して介護費用を管理してもいいですか?

A.親の預金を子供の口座に移すと、名義預金として贈与を疑われるリスクがあります。トラブルを防ぐため、親の口座のまま管理するか、預かり証を作成して領収書を保管しておくことをおすすめします。

Q.親の介護費用を負担している場合、子供の税金は安くなりますか?

A.親の年齢が70歳以上で所得要件を満たしている場合、扶養控除を受けることができます。同居で58万円、老人ホーム入居などで別居している場合は48万円が子供の所得から控除され、所得税や住民税が安くなります。

Q.年間110万円の基礎控除はどのように活用すればいいですか?

A.1月1日から12月31日までの1年間に渡すお金を110万円以内に収めれば、贈与税はかからず申告も不要です。将来の介護費用に備えて、数年に分けて少しずつ資金を移すことで安全に資金準備ができます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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