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年金収入と相続した金の売却益がある場合の所得税はいくら?

2026-03-29
目次

年金を受け取って生活しているなかで、ご親族から相続した金地金や金貨を売却して現金化しようと考える方は少なくありません。その際に気になるのが、「いったいどれくらいの所得税がかかるのか」「そもそも確定申告は必要なのか」という点ではないでしょうか。金の売却によって得た利益は原則として課税の対象となりますが、所有していた期間や年金の受給額によって計算方法が大きく変わります。ここでは、年金受給者の方が相続した金を売却した際の税金の仕組みについて、具体的な金額を挙げながら詳しく解説していきます。

年金収入がある場合の確定申告の基本ルール

まずは、年金を受け取っている方の確定申告の基本的なルールについて確認していきましょう。多くの場合、年金だけを受け取っている方は確定申告の負担を減らすための制度を利用できますが、それ以外の収入が発生すると状況が変わります。

公的年金等の収入と確定申告の要否

年金受給者には確定申告不要制度という便利な仕組みが用意されています。具体的には、公的年金等の収入金額が年間400万円以下であり、なおかつ、その年金の全部が源泉徴収の対象となっている場合が前提です。この条件を満たしたうえで、公的年金等以外の所得金額が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告をする必要はありません。日本の公的年金の受給額は多くの方が400万円以下に収まるため、基本的には確定申告を行わずに済んでいる方が多数を占めます。

項目 確定申告が不要になる条件
公的年金等の収入金額 年間400万円以下であること
公的年金等以外の所得金額 年間20万円以下であること

年金以外の所得とは?金の売却益も含まれる

確定申告が必要かどうかを判断する基準となる「公的年金等以外の所得金額が年間20万円以下」というルールですが、この所得にはさまざまなものが含まれます。たとえば、生命保険の満期保険金や、副業で得た収入などが該当します。そして、今回テーマとなっている相続した金の売却益も、立派な所得として扱われます。つまり、金を売却して得たもうけが20万円を超えてしまうと、確定申告不要制度の対象から外れてしまい、ご自身で税務署へ確定申告を行わなければならなくなります。

確定申告が必要なケースと不要なケースの違い

金の売却益が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。ここで注意していただきたいのは、所得税の確定申告が不要であっても、市区町村へ納める住民税の申告は別途必要になる場合があるという点です。所得税の確定申告を行った場合はそのデータが市区町村へ送られるため住民税の申告は省けますが、所得税の申告をしない場合は、ご自身で役所へ行き、年金以外の所得(金の売却益など)を申告しなければなりません。

相続した金を売却したときの税金の仕組み

年金以外の所得が20万円を超えるかどうかは、金を売却した金額そのものではなく、そこから得た利益(所得)で判断します。ここでは金の売却によって生じる所得の計算方法を解説します。

金の売却益は譲渡所得として総合課税される

金地金や金貨を売却して得た利益は、税法上譲渡所得という種類に分類されます。譲渡所得は、お給料や年金など、他の所得と合算して税金を計算する総合課税という方式がとられます。そのため、金の売却で大きな利益が出た年は、年金の収入と合算されることで全体の所得が増え、結果として所得税の税率が上がってしまう可能性があります。所得税の税率は、所得金額に応じて5パーセントから45パーセントまでの7段階に分かれています。

譲渡所得の計算方法と特別控除50万円のルール

譲渡所得は、売却した金額から、その金を購入したときの代金(取得費)と、売却時にかかった手数料などの費用(譲渡費用)を差し引いて計算します。さらに、金の譲渡所得には年間で最大50万円の特別控除というおまけが用意されています。つまり、売却額から購入代金などを引いたもうけが50万円以下であれば、譲渡所得はゼロとなり、税金はかかりませんし確定申告の必要もありません。

計算の要素 具体的な内容
売却金額 金を買い取り業者などに売却して受け取った総額
取得費と譲渡費用 購入時の代金や手数料、および売却時の買取手数料など
特別控除額 年間最大50万円(もうけから差し引ける非課税枠)

所有期間で変わる!長期譲渡所得と短期譲渡所得

金の売却益を計算するうえで、特別控除の50万円と同じくらい重要なのが、その金をどれくらいの期間所有していたかという点です。所有期間によって、税金の負担が大きく変わる仕組みになっています。

所有期間5年を境に税金が大きく変わる仕組み

金を所有していた期間が5年以内の場合は短期譲渡所得と呼ばれ、売却額から購入代金と50万円の特別控除を引いた残りの金額が、そのまま課税の対象になります。一方、所有していた期間が5年を超える場合は長期譲渡所得と呼ばれ、特別控除の50万円を引いた後の金額を、さらに2分の1(半分)にすることができます。つまり、5年を超えて長く持っていた金のほうが、税金が実質的に半額になるため圧倒的に有利になります。

相続した金の所有期間は亡くなった方の購入日を引き継ぐ

ここで多くの方が疑問に思うのが、「相続で引き継いだ金の所有期間は、相続した日から数えるのか?」という点です。税法上のルールでは、相続や贈与によって引き継いだ財産は、亡くなった方(被相続人)がその金を購入した日を引き継ぐことになっています。たとえば、お父様が20年前に購入した金を今年相続してすぐに売却した場合、所有期間は20年となり、5年を超える長期譲渡所得として計算することができます。

金の購入価格(取得費)が分からない場合の対処法

金を売ったときの利益を計算するには購入時の代金が不可欠ですが、親から相続した金の場合、「いつ、いくらで買ったのか証明する書類がまったくない」というケースが非常に多く見受けられます。

購入時の領収書がないと売却額の5%が取得費に

購入した当時の領収書や計算書など、金額を証明する書類がない場合は、売却した金額の5パーセントを購入金額(取得費)として計算しなければならないという厳しいルールがあります。たとえば、金を300万円で売却した場合、購入時の証明書類がなければ、300万円の5パーセントである15万円で買ったものとして計算されます。すると、残りの285万円が利益とみなされてしまい、多額の税金がかかる原因となります。ご自宅に当時の書類が残っていないか、念入りに探すことがとても大切です。

購入金額の状況 取得費の計算方法
当時の領収書などがある場合 領収書に記載された実際の購入代金をそのまま使える
証明できる書類がない場合 売却した金額の5パーセントを購入代金とみなして計算する

相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例

相続税を納めて金を引き継いだ方には、税負担を軽くする特例が用意されています。それが相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例です。この特例は、相続開始を知った日の翌日から3年10ヶ月以内にその金を売却した場合、ご自身が納付した相続税の一部を、金の購入代金(取得費)に上乗せして差し引くことができるというものです。購入代金に上乗せできる金額が増えれば、その分利益が減り、所得税を安く抑えることができます。

年金と金の売却益を合わせた所得税の計算シミュレーション

ここまでのルールを踏まえて、実際にどれくらいの所得税がかかるのか、具体的な金額を使ってシミュレーションしてみましょう。計算の手順を知ることで、イメージが湧きやすくなるはずです。

年金収入300万円、金の売却益100万円のケース

仮に、公的年金の収入が年間300万円で、相続した金(お父様が10年前に購入し長期保有に該当)を売却したとします。金の売却金額が400万円、購入金額が300万円だった場合、利益は100万円です。ここから特別控除の50万円を引くと50万円残ります。さらに所有期間が5年を超えているため、この50万円を2分の1にした「25万円」が課税される譲渡所得となります。年金以外の所得が25万円となり、20万円の基準を超えるため確定申告が必要です。この25万円が年金の所得と合算され、基礎控除などを差し引いた残りの金額に対して、所得税率が掛けられて税金が計算されます。

確定申告の手続き方法と必要書類

確定申告は、金を売却した年の翌年2月16日から3月15日までの期間に、お住まいの地域を管轄する税務署へ行います。必要な書類としては、年金の源泉徴収票、金の売却代金がわかる買取業者の支払明細書、購入時の金額がわかる領収書などです。マイナンバーカードをお持ちであれば、スマートフォンやパソコンを使ってご自宅からインターネット経由で申告をすることも可能です。操作に不安がある場合は、税務署に設置される相談会場を利用するとスムーズに進められます。

まとめ

年金を受給しながら相続した金を売却した場合、売却によって得た利益から50万円の特別控除を引き、さらに所有期間に応じた計算をした結果が20万円を超えるのであれば、所得税の確定申告が必要になります。特に、亡くなった方の購入日を引き継ぐルールや、購入時の領収書がない場合に売却額の5パーセントで計算されるルールは、税金の金額に直結する重要なポイントです。思いがけず多額の税金がかかって慌てないよう、売却前に書類を整理し、おおよその税金を把握しておくことをおすすめします。

参考文献

国税庁 No.3161 金地金の譲渡による所得

国税庁 不動産等を売却した方へ|令和7年分 確定申告特集

年金と金の売却益に関するよくある質問まとめ

Q.年金を受け取っていますが、金を売却したら必ず確定申告が必要ですか?

A.金の売却によって得た利益などの年金以外の所得が、年間で20万円を超えた場合には所得税の確定申告が必要になります。

Q.相続した金の購入価格がわかりません。税金はどうなりますか?

A.購入時の金額がわかる領収書などがない場合、売却した金額の5パーセントを購入代金とみなして利益を計算するため、税金が高くなる傾向があります。

Q.金の売却益はどのように計算するのですか?

A.売却した金額から、購入時の代金と売却手数料を引き、さらに50万円の特別控除を引いて計算します。これがプラスになれば利益が発生していることになります。

Q.相続した金の所有期間はいつから数えるのですか?

A.相続した日からではなく、亡くなった方がその金を購入した日から数え引き継ぎます。5年を超えていると税金が実質半分になる仕組みがあります。

Q.金を売却した翌年の住民税も上がるのでしょうか?

A.はい。所得税の確定申告を行うと、その情報がお住まいの市区町村へ連携されるため、売却で利益が出た場合は翌年の住民税も上がることになります。

Q.相続税を納めたのですが、金の売却時に所得税を安くする方法はありますか?

A.相続開始を知った日の翌日から3年10ヶ月以内に売却すれば、納めた相続税の一部を金の購入代金に上乗せして利益を減らせる特例を利用できる場合があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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