長年大切に保有してきた不動産を別の不動産と交換し、さらにその新しい不動産をしばらくしてから売却した場合、税金がどうなるのか気になりますよね。特に、譲渡所得税率は不動産を保有していた期間によって大きく変わるため、計算方法や仕組みを知っておくことがとても大切です。今回は、5年を超えて保有していた不動産を交換し、そこから1年半後に売却したケースを例にして、適用される税率や特例の仕組みについて詳しく、そして優しく解説していきます。ぜひ参考になさってくださいね。
不動産を交換したときにかかる税金の基本
交換でも原則として譲渡所得税がかかります
普段、私たちが不動産を売買してお金を受け取ったときには税金がかかるというイメージがあると思います。実は、お金のやり取りがなく不動産同士を交換しただけの場合でも、税務署からは不動産を時価で売却して新しい不動産を購入したとみなされてしまいます。そのため、交換に出した不動産の価値が購入した当時の価格よりも値上がりしていた場合には、利益が出たとして譲渡所得税の対象になるのが原則です。
固定資産の交換の特例という便利な制度
ただし、不動産を交換するたびに多額の税金がかかってしまっては、スムーズな資産の整理が難しくなってしまいます。そこで国は、固定資産の交換の特例という制度を用意しています。この特例を正しく利用すれば、交換をした時点では税金がかからず、将来その不動産を売却する時まで税金の支払いを先送りすることができるのです。税金が完全に免除されるわけではありませんが、手元のお金が減らないためとても助かる仕組みです。
特例を使うための具体的な要件
この特例を使うためには、いくつかの厳しい条件をすべてクリアする必要があります。代表的な条件としては、まず交換する不動産同士が土地と土地、あるいは建物と建物のように同種であることが求められます。さらに、交換に出す不動産も受け取る不動産もそれぞれ1年以上保有されていたものでなければいけません。また、お互いの不動産の時価の差額が高い方の金額の20パーセント以内に収まっていることや、交換後も同じ用途で使用し続けることなども必要となります。
交換後の不動産を売却したときの税金
取得費と取得時期はどのように引き継がれるのか
特例を使って交換した不動産を後になって売却する場合、一番のポイントになるのがいつ取得したとみなされるかという点です。固定資産の交換の特例を利用すると、新しく手に入れた不動産の取得時期は、交換に出した元の不動産の取得時期をそのまま引き継ぐというルールがあります。つまり、交換した日ではなく、もともとの不動産を買った日からずっと保有しているものとして扱われるのです。また、購入にかかった費用である取得費も元の金額を引き継ぎます。
5年超保有と1年半の売却で判定はどうなる?
それでは今回のケースに当てはめてみましょう。あなたは最初の不動産を5年を超えて保有していました。そして特例を使って交換し、新しい不動産を1年半保有してから売却しました。この場合、新しい不動産の所有期間は5年超と1年半を合わせた期間となり、合計で確実に5年を超える保有期間として計算されます。税金の計算上、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで税率が変わるため、この引き継ぎのおかげで有利な扱いを受けることができます。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率の違い
不動産を売却した時の譲渡所得税には、短期と長期の2種類の税率が用意されています。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり、税率は39.63パーセントとかなり高めに設定されています。一方で、所有期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得となり、税率は20.315パーセントまで下がります。所有期間の引き継ぎのおかげで、約半分の税率で済むことになりますね。
売却時の税金を具体的に計算する流れ
譲渡所得の正しい計算方法
不動産を売却したときに出る利益のことを譲渡所得と呼びます。この利益を計算するには、売却して受け取った金額から、もともとの不動産を買った時の費用と、売却するためにかかった仲介手数料などの譲渡費用を差し引きます。特例を使った場合、この取得費は元の不動産を購入したときの金額を使います。もし元の取得費がわからない場合は、売却金額の5パーセントを取得費として計算することも認められています。
実際の税率を当てはめた税額の目安
利益が計算できたら、そこに税率を掛け合わせて税額を出します。今回は長期譲渡所得となるため、税率は20.315パーセントです。例えば、計算の結果として譲渡所得が1000万円だったとしましょう。この場合、1000万円に20.315パーセントを掛けた203万1500円が納めるべき税金の額となります。
| 譲渡所得の種類 | 適用される税率 |
| 短期譲渡所得(5年以下) | 39.63パーセント |
| 長期譲渡所得(5年超) | 20.315パーセント |
特例を使う際に気をつけるべき注意点
交換差金を受け取った場合はその時点で課税
不動産を交換する際、どうしてもお互いの価値がぴったり同じにならないことがありますよね。その差額を調整するために現金などを受け取ることを交換差金と呼びます。もし交換差金を受け取った場合は、その受け取った金額の部分だけは交換した時点で売却したとみなされ、譲渡所得税がかかってしまいます。もちろん、差額が高い方の不動産の価値の20パーセントを超えてしまうと特例自体が使えなくなるので、事前の価値評価はとても重要です。
特例を使うためには必ず確定申告が必要
固定資産の交換の特例は、条件を満たしていれば勝手に適用されるわけではありません。特例を利用して税金を先送りするためには、交換した年の翌年の2月16日から3月15日までの間に、必ず税務署へ確定申告を行う必要があります。申告書には譲渡所得の内訳書などの必要書類を添えて提出しなければなりません。申告を忘れてしまうと通常通り高額な税金が課されてしまう恐れがあるので、絶対に忘れないようにしましょう。
売却のタイミングで使えるかもしれないその他の制度
マイホームなら3000万円特別控除の可能性も
もし今回売却した不動産がご自身の住まいとして使っていたものであれば、居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例を使えるかもしれません。この制度を使えば、譲渡所得から最大3000万円を差し引くことができるため、税金がゼロになるケースも多くあります。ただし、交換特例を利用して取得した不動産であっても、実際にそこに住んでいたという実態が必要になりますので、要件をしっかり確認してみてくださいね。
まとめ
5年を超えて保有していた不動産を交換し、その後1年半で売却した場合、固定資産の交換の特例を利用していれば元の5年超の所有期間が引き継がれます。そのため、売却時の税率は低い長期譲渡所得である20.315パーセントが適用されることになります。税金を節約しながら賢く資産を組み替えるためには、特例の要件を満たすことや、期日までにしっかりと確定申告を行うことが欠かせません。ご自身の状況に合わせて、無理のないスケジュールで手続きを進めてくださいね。
参考文献
国税庁 No.3502 土地建物の交換をしたときの特例
国税庁 No.3508 交換差金を受け取ったとき
不動産の交換と売却のよくある質問まとめ
Q.不動産を交換しただけでも税金はかかりますか?
A.はい、原則として不動産を時価で売却したとみなされ、譲渡所得税がかかります。ただし、一定の条件を満たせば固定資産の交換の特例により課税を先送りできます。
Q.固定資産の交換の特例を使う条件は何ですか?
A.互いに1年以上保有している同種の固定資産であること、同じ用途に使用すること、時価の差額が高い方の20パーセント以内であることなどの条件があります。
Q.交換した不動産を売却する際、所有期間はどう計算されますか?
A.特例を使った場合、新しく取得した不動産の所有期間は、交換に出した元の不動産の所有期間を引き継いで計算されます。
Q.5年超保有した不動産を交換し1年半で売却した場合の税率は?
A.元の5年超の保有期間が引き継がれるため、長期譲渡所得として20.315パーセントの税率が適用されます。
Q.交換時に現金を受け取った場合はどうなりますか?
A.受け取った現金(交換差金)の部分については、その交換を行った時点で譲渡所得税が課税されます。
Q.特例を利用するのに手続きは必要ですか?
A.はい、特例を適用するためには交換した翌年の確定申告期間内に、税務署へ必要書類を添えて確定申告を行う必要があります。