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法定相続人が配偶者のみ!相続税の配偶者控除で全額非課税になる?

2026-06-04
目次

遺産を受け継ぐ法定相続人が配偶者しかいない場合、「相続税は一切かからないのだろうか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。結論からお伝えしますと、配偶者には手厚い税の優遇措置があるため、多くのケースで相続税は全額非課税になります。しかし、税額が0円になるからといって何も手続きをしなくて良いわけではありません。この記事では、配偶者控除の詳しい内容や、適用を受けるための具体的な条件、そして注意点について、わかりやすく解説していきます。

法定相続人が配偶者しかいない場合の相続税の基本

配偶者の税額軽減(配偶者控除)とは?

相続税における配偶者控除(正式には「配偶者の税額軽減」と呼びます)とは、残された配偶者の生活を保障するため、非常に大きな金額の非課税枠が設けられている制度のことです。具体的には、配偶者が取得した遺産額が1億6,000万円まで、あるいは法定相続分までのどちらか多い金額までは、相続税がかからないという仕組みになっています。

制度の名称 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
非課税となる金額の目安 1億6,000万円、または法定相続分のいずれか大きい金額

基礎控除額はいくらになる?

相続税には、配偶者控除とは別に、そもそも税金がかからない「基礎控除」という枠があります。基礎控除額は「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」という計算式で求めます。法定相続人が配偶者1人だけの場合は、「3,000万円 +(600万円 × 1人)」となり、基礎控除額は3,600万円です。つまり、遺産の総額が3,600万円以下であれば、そもそも相続税の申告自体が不要となります。

計算式 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
配偶者のみの場合の基礎控除額 3,600万円

配偶者控除で全額非課税になるボーダーライン

法定相続人が配偶者のみの場合、配偶者の法定相続分は100%(全額)となります。そのため、配偶者控除の「1億6,000万円または法定相続分まで」というルールを当てはめると、遺産がどれだけ多くても、配偶者がすべて相続するのであれば全額が非課税となります。たとえば、遺産が5億円あったとしても、配偶者が1人で全額を相続すれば相続税は0円です。ただし、この特例を利用するためには、後述する要件をしっかり満たす必要があります。

相続税の配偶者控除を受けるための具体的な要件

戸籍上の配偶者であること

配偶者控除を受けるための第一の条件は、亡くなった方と法律上の婚姻関係があることです。つまり、市区町村に婚姻届を提出している戸籍上の夫や妻でなければなりません。長年一緒に暮らしていたとしても、いわゆる内縁関係や事実婚のパートナーは、この配偶者控除の対象外となってしまうため注意が必要です。

対象になる人 法律上の婚姻届を提出している配偶者
対象にならない人 内縁関係、事実婚のパートナー、離婚した元配偶者

申告期限までに遺産分割が終わっていること

配偶者控除を適用するためには、誰がどの遺産を相続するかが確定している必要があります。法定相続人が配偶者1人だけであれば、当然すべての遺産を配偶者が引き継ぐことになりますが、手続き上は相続税の申告期限(亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)までに、その内容を確定させておくことが求められます。

税額が0円でも相続税申告を行うこと

ここが一番間違いやすいポイントです。配偶者控除を適用した結果、支払うべき相続税が0円になったとしても、税務署への申告は必須です。「税金がかからないから何もしなくていい」と勘違いして申告期限を過ぎてしまうと、特例が受けられず、多額の税金が課せられてしまう恐れがあります。基礎控除額である3,600万円を超える遺産がある場合は、必ず期限内に申告書を提出しましょう。

法定相続人が配偶者のみになる具体的なケース

子供がおらず、親や祖父母もすでに他界している場合

法定相続人の範囲は民法で決められています。配偶者は常に相続人となりますが、その他の親族には優先順位があります。第1順位が子供、第2順位が親や祖父母(直系尊属)、第3順位が兄弟姉妹です。つまり、亡くなった方に子供や孫がおらず、親や祖父母もすでに亡くなっている場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。このとき、もし兄弟姉妹も全くいなければ、配偶者だけが法定相続人となります。

兄弟姉妹がいない、または相続放棄をした場合

亡くなった方に子供や親がおらず、兄弟姉妹がいる場合は「配偶者と兄弟姉妹」が法定相続人になります。しかし、兄弟姉妹が全員相続放棄をした場合、初めから兄弟姉妹は相続人ではなかったことになります。その結果、法定相続人は配偶者1人だけという状況になります。このように、他の親族の有無や事後的な手続きによって、配偶者のみが相続人になるケースが存在します。

法定相続人の順位 該当する親族
常に相続人 配偶者
第1順位 子供(亡くなっている場合は孫)
第2順位 親(亡くなっている場合は祖父母)
第3順位 兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪)

配偶者控除を適用する際の手続きと必要書類

相続税申告書の提出期限

繰り返しになりますが、相続税の申告には厳格な期限があります。亡くなったこと(相続の開始)を知った日の翌日から10ヶ月以内に、亡くなった方の住所地を管轄する税務署へ申告書を提出しなければなりません。配偶者のみの場合でも、遺産の調査や財産目録の作成など、準備には時間がかかるため、早めに動き出すことが大切です。

申告に必要となる主な書類一覧

配偶者控除の適用を受けて相続税の申告を行うには、いくつかの証明書類を準備する必要があります。誰が相続人であるかを証明するための戸籍謄本や、亡くなった方の財産を配偶者がすべて受け継ぐことを記した書面などが必要です。配偶者のみの相続であることを客観的に証明できるように、しっかりと書類を揃えましょう。

必要な書類の例 書類の目的
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 他に相続人がいないことの証明
配偶者の戸籍謄本および印鑑証明書 相続人本人の身元と意思の確認
遺産分割協議書(またはそれに代わる書面) 遺産の取得状況の証明

配偶者が全財産を相続した後の「二次相続」の注意点

次に配偶者が亡くなった場合の法定相続人は誰?

夫が亡くなり、妻が全財産を相続したとします。その後、その妻も亡くなってしまった場合(これを二次相続と呼びます)、その財産は誰が引き継ぐのでしょうか。お二人の間に子供がいれば子供が相続しますが、子供がいない場合は、妻側の親や兄弟姉妹が法定相続人となります。夫側の親族には財産が一切渡らないため、将来誰に財産を遺したいかについて、早めに考えておくことが重要です。

二次相続に向けた生前対策の重要性

二次相続では、配偶者控除という強力な非課税枠が使えません。さらに、法定相続人の数が減るため基礎控除額も少なくなり、相続税の負担が急激に重くなる傾向があります。特定の親族やお世話になった方に財産を遺したい場合や、税金の負担を減らしたい場合は、元気なうちに遺言書を作成したり、生前贈与を活用したりといった生前対策を行っておくことをおすすめします。

まとめ

法定相続人が配偶者しかいない場合、配偶者控除(配偶者の税額軽減)を適用することで、遺産の金額にかかわらず相続税を全額非課税にすることができます。ただし、そのためには「法律上の婚姻関係があること」や「10ヶ月以内に相続税の申告を行うこと」といった重要なルールを守らなければなりません。税金が0円になるからと安心せず、基礎控除額(3,600万円)を超える遺産がある場合は、必ず期限内に税務署へ手続きを行いましょう。また、配偶者が受け継いだ財産を将来どうするかという「二次相続」のトラブルや税負担も見据えて、早めに生前対策を検討していくことが大切です。

参考文献

国税庁 No.4158 配偶者の税額軽減
国税庁 No.4152 相続税の計算

法定相続人が配偶者のみの場合のよくある質問まとめ

Q.法定相続人が配偶者のみの場合、相続税はかかりますか?

A.基礎控除額(3,600万円)を超える遺産があっても、配偶者控除を利用することで全額非課税となり、相続税はかかりません。ただし、申告は必要です。

Q.配偶者控除を利用すれば、申告しなくても良いですか?

A.いいえ、申告は必須です。特例を適用して税額が0円になる場合でも、亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。

Q.法定相続人が配偶者のみの場合の基礎控除額はいくらですか?

A.法定相続人が1人(配偶者のみ)の場合、基礎控除額は「3,000万円+600万円×1人」で計算され、3,600万円となります。

Q.事実婚や内縁関係でも配偶者控除は受けられますか?

A.受けられません。配偶者控除の対象となるのは、市区町村に婚姻届を提出している法律上の配偶者のみです。

Q.配偶者のみが相続人になるのはどのようなケースですか?

A.亡くなった方に子供や孫がおらず、親や祖父母もすでに亡くなっており、さらに兄弟姉妹もいない(または全員が相続放棄をした)ケースです。

Q.二次相続とは何ですか?

A.全財産を受け継いだ配偶者が、その後亡くなった際の相続のことです。配偶者控除が使えないため相続税が高額になりやすく、事前の生前対策が重要となります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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