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海外転居で収益物件を保有!1年以上海外に住む方の確定申告まとめ

2026-06-14
目次

収益物件を保有したまま、1年以上の海外転居が決まった方。日本を離れても家賃収入がある限り、日本での税務手続きは引き続き必要になります。特に海外へ転居して非居住者になると、日本国内に住んでいるときとは税金のルールが大きく変わり、源泉徴収や確定申告の手続きが複雑になります。この記事では、海外赴任や移住で1年以上日本を離れる不動産オーナーに向けて、家賃収入や売却時の税金ルール、事前に行うべき準備についてわかりやすく解説します。

海外転居で非居住者になると税務はどう変わる?

日本に1年以上住まない予定で海外へ転居すると、税金の計算上は非居住者として扱われます。非居住者になると税金のルールが変わるため、まずは基本的な違いを理解しておきましょう。

居住者と非居住者の違い

居住者の場合は世界中で稼いだすべての所得に対して日本で税金がかかります。しかし、非居住者になると日本国内で発生した所得に対してのみ日本で課税される仕組みに変わります。収益物件から得られる家賃収入はまさにこの国内源泉所得に当たるため、海外に住んでいても日本で税金を納める義務が続きます。

区分 課税される所得の範囲
居住者 国内外で発生したすべての所得
非居住者 日本国内で発生した所得のみ

納税管理人の選任と届出期限

非居住者になると、自分自身で税務署からの郵便物を受け取ったり、税金を納めたりすることが難しくなります。そのため、日本を出国する日までに納税管理人を決めて、管轄の税務署へ届出書を提出しなければなりません。納税管理人は親族や友人でもなれますが、税理士などの専門家に依頼することも可能です。この手続きを忘れると、無申告加算税や延滞税といったペナルティを受けるリスクがありますので、必ず出国前に済ませておきましょう。

収益物件の家賃収入にかかる源泉徴収の仕組み

非居住者が日本の収益物件を貸し出す場合、借主から支払われる家賃からあらかじめ税金が引かれる源泉徴収という制度が関わってきます。

借主が法人の場合と個人の場合の違い

源泉徴収が必要かどうかは、物件を借りている人が誰かによって変わります。借主が法人の場合、または個人であっても店舗や事務所として借りている場合は、借主が家賃から税金を差し引いて国に納める義務を負います。一方で、借主が個人であり、自分や親族が住むための住宅として借りている場合は、例外として源泉徴収は不要となります。

借主と用途 源泉徴収の要否
法人が借りる場合(社宅など) 必要
個人が居住用以外(店舗など)で借りる場合 必要
個人が自分や親族の居住用として借りる場合 不要

源泉徴収税額20.42%の計算と納付方法

源泉徴収が必要な契約の場合、借主は毎月の家賃の20.42%を差し引き、翌月10日までに税務署へ納付します。たとえば、月の家賃が10万円の場合、借主は2万420円を税務署に納め、オーナーであるあなたには残りの7万9,580円が振り込まれる計算です。手元に入ってくる現金の金額が減るため、ローンの返済がある場合は資金計画を見直しておくことが大切です。

毎年の確定申告と源泉徴収税の精算

源泉徴収で引かれた税金はあくまで仮払いの状態です。正しい税額を計算するために、毎年の確定申告を行う必要があります。

不動産所得の計算と確定申告の時期

毎年1月1日から12月31日までの家賃収入から、固定資産税や管理費、減価償却費などの必要経費を差し引いて不動産所得を計算します。そして、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行って正しい税額を精算します。計算した本来の税額よりも源泉徴収された金額のほうが多ければ、確定申告をすることで納めすぎた税金が還付されます。

青色申告で最大65万円の控除を受ける条件

非居住者であっても、事前に所得税の青色申告承認申請書を提出していれば青色申告を利用できます。複式簿記での記帳や期限内申告などの条件を満たせば、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。e-Taxでの申告や電子帳簿保存の要件を満たさない場合は55万円、簡易帳簿の場合は10万円の控除となります。修繕費などで赤字が出た場合でも、その赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越せるため、大きな節税効果が期待できます。

日本の収益物件を売却する場合の税務ルール

海外転居中に物件の維持が難しくなり、売却を選択するケースもあります。その際の税金ルールも事前に把握しておきましょう。

売却代金の10.21%が源泉徴収されるケース

非居住者が日本の不動産を売却する場合、原則として買主が売却代金の10.21%を源泉徴収して税務署に納付するルールがあります。ただし、買主が個人であり、自分や親族の住まいとして購入し、かつ売却代金が1億円以下である場合は源泉徴収が免除されます。売却後には翌年の確定申告で譲渡所得を計算し、源泉徴収税額を精算することになります。

条件項目 具体的な要件
買主の属性と目的 個人が自分や親族の居住用として購入すること
売却代金の金額 1億円以下であること

マイホーム売却の3,000万円特別控除の注意点

これまで自宅として住んでいた物件を転居に伴って貸し出し、その後に売却する場合、条件を満たせば居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除を使えます。重要な条件は、自分が住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することです。この期限を過ぎてから売却すると、3,000万円の控除が受けられなくなり高額な税金が発生する可能性があるため、売却のタイミングには十分気をつけましょう。

海外転居時の所得控除の制限と注意点

日本国内に住んでいるときに使えていた所得控除の多くは、非居住者になると使えなくなってしまいます。

非居住者が使える控除と使えない控除

非居住者期間中は、日本国内で適用できる所得控除が大幅に制限されます。配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除などは、日本を出国した日以降に支払った分については適用されません。一方で、基礎控除や、日本国内の財産に関する雑損控除、寄附金控除などは引き続き利用することができます。なお、合計所得金額が2,400万円以下の場合は、基礎控除として48万円を差し引くことができます。

ふるさと納税や医療費控除の扱い

ふるさと納税は寄附金控除として非居住者でも利用可能ですが注意が必要です。ふるさと納税の最大のメリットである住民税の控除は、その年の翌年1月1日時点で日本に住民票があることが前提となります。海外転居によって住民票を抜いている場合、日本の住民税自体が課税されないため、住民税からの控除は受けられません。結果として所得税からの還付のみとなり、自己負担額が2,000円で済むという本来のメリットが薄れてしまいます。また、医療費控除も非居住者期間中に支払ったものは控除の対象外となります。

まとめ

1年以上の海外転居で収益物件を保有し続ける場合、税務上の扱いが非居住者に切り替わり、納税管理人の選任や源泉徴収ルールの把握が必須となります。特に借主が法人の場合は毎月20.42%の税金が差し引かれるため、資金繰りへの影響をあらかじめ計算しておきましょう。翌年の確定申告で正しく精算手続きを行えば税金が還付されることも多いため、出国前から専門家に相談し、万全の準備を整えておくことをお勧めします。

参考文献

国税庁 No.1926 海外勤務中に不動産所得などがある場合
国税庁 No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任
国税庁 No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき

海外転居と収益物件に関するよくある質問まとめ

Q.海外に転居した場合、日本の家賃収入の確定申告は必要ですか?

A.はい、必要です。1年以上の海外転居で非居住者となっても、日本国内にある不動産からの家賃収入は国内源泉所得となるため、日本で確定申告を行って税金を納める義務があります。

Q.納税管理人とは何ですか?いつまでに手続きが必要ですか?

A.納税管理人とは、海外に住むあなたに代わって税務署からの書類を受け取ったり、確定申告や税金の納付を行ったりする人のことです。日本を出国する日までに、管轄の税務署へ届出書を提出する必要があります。

Q.家賃から20.42%の税金が引かれるのはどんな時ですか?

A.物件の借主が法人である場合や、個人であっても店舗や事務所などの事業用として借りている場合に、借主が家賃の20.42%を源泉徴収して税務署に納める義務が発生します。

Q.源泉徴収された税金は戻ってきますか?

A.毎年の確定申告を行うことで精算されます。家賃収入から修繕費などの必要経費や控除を差し引いて計算した本来の税額よりも、源泉徴収された金額が多ければ、差額が還付されます。

Q.海外転居中でも青色申告で65万円の控除を受けられますか?

A.はい、事前に青色申告承認申請書を提出しており、複式簿記での記帳やe-Taxでの申告などの一定の条件を満たせば、非居住者であっても最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。

Q.海外から日本の不動産を売却した際にも税金は引かれますか?

A.原則として、売却代金の10.21%が源泉徴収されます。ただし、買主が個人で、自分や親族の居住用として購入し、かつ売却代金が1億円以下である場合は源泉徴収が免除されます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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