税理士法人プライムパートナーズ

相続時精算課税をやめたい方へ|暦年課税へ変更できるか解説

2026-06-22
目次

相続時精算課税を選択した後に「やはり暦年課税に戻したい」「制度の利用をやめたい」と考える方は少なくありません。しかし、相続時精算課税は一度選択すると同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ後から変更・撤回することができない制度です。本記事では、選択後に変更できるのか、撤回できないとはどこまでの範囲を指すのか、選択前に確認すべき点は何かを、国税庁の情報にもとづいて整理します。

相続時精算課税を選択した後に暦年課税へ変更できない理由

相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫が財産の贈与を受けた場合に選択できる贈与税の課税方式です[国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択]。この制度を選択するには、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、納税地の所轄税務署長へ相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。

問題となるのは、この選択を後から取り消せるかという点です。国税庁は、相続時精算課税を一度選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできないと明示しています[国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択]。つまり、届出書を提出した年だけでなく、それ以降にその贈与者から受けるすべての贈与が相続時精算課税の対象となり続けます。

「撤回できない」の具体的な意味

相続時精算課税選択届出書による選択は、提出後に撤回することができません。いったん相続時精算課税を選んだ贈与者との関係では、その後の贈与について暦年課税の110万円の基礎控除や毎年の非課税枠を使い分けるという選択肢は失われます。「今年は相続時精算課税、来年は暦年課税」といった年ごとの切り替えはできない仕組みです。

選択後に「やめたい」と思ったときに対応できる範囲

変更・撤回ができないのは、あくまで相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与についてです。相続時精算課税は贈与者ごとに選択する制度であるため、対応できる余地が残されている場面もあります。

他の贈与者からの贈与は暦年課税を選べる

相続時精算課税は贈与者ごとに独立して選択できます。たとえば父からの贈与について相続時精算課税を選択していても、母や祖父母など別の贈与者からの贈与については暦年課税を選ぶことが可能です[国税庁 相続時精算課税制度のあらまし]。ある贈与者との関係で相続時精算課税をやめたいと感じても、その贈与者からの贈与方式そのものは変えられませんが、別の贈与者から今後受ける贈与では課税方式を選び直す余地があります。

選択後も年110万円の基礎控除は使える

令和6年1月1日以後の贈与については、相続時精算課税を選択した場合でも年110万円の基礎控除が適用されます[国税庁 No.4409 贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)]。この基礎控除額以下の贈与であれば贈与税はかからず、その部分は相続時に相続財産へ加算する必要もありません。相続時精算課税を選択したことを後悔している場合でも、この基礎控除の範囲内で贈与を続けるといった調整は可能です。

税理士法人プライムパートナーズ オフィス 相続のご質問、まずは無料相談 税理士法人プライムパートナーズ 無料相談はこちら

選択前に確認すべき相続時精算課税の要点

撤回できない制度である以上、選択前の確認が重要になります。相続時精算課税を選択した場合の贈与税は、贈与財産の価額から年110万円の基礎控除を差し引いた後、特別控除額を適用して計算します。

贈与税額 = (贈与財産の価額 – 基礎控除110万円 – 特別控除の残額) × 20%

特別控除額は贈与者ごとに累計で2500万円が上限で、この枠を使い切るまでは贈与税がかかりません。特別控除を超えた部分には一律20%の税率が適用されます[国税庁 No.4409 贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)]

制度の枠組みを比較すると次のとおりです。

比較項目 相続時精算課税の
取り扱い
選択の撤回 できない
暦年課税への
変更
できない
贈与者ごとの
選択
できる
年110万円
基礎控除
適用される
特別控除の
上限
累計2500万円

相続時精算課税のデメリットや暦年課税との違いをより詳しく知りたい場合は、あわせて次の記事もご確認ください。

相続時精算課税110万円のデメリット|暦年課税に戻せない落とし穴

まとめ

相続時精算課税は、選択した贈与者からの贈与について暦年課税へ変更できず、選択そのものを撤回することもできない制度です。一方で、制度は贈与者ごとに選択するため、別の贈与者からの贈与では暦年課税を選ぶ余地があり、選択後も年110万円の基礎控除は利用できます。撤回できない制度である以上、選択前に贈与の全体設計を検討しておくことが重要です。判断に迷う場合は、相続税に詳しい税理士へご相談ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税務署または税理士にご確認ください。

税理士法人プライムパートナーズへのお問い合わせはこちら

参考文献

相続時精算課税の変更・撤回に関するよくある質問まとめ

Q. 相続時精算課税を選択した後に暦年課税へ変更できますか。

A. できません。相続時精算課税を一度選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、選択した年分以降すべてこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。

Q. 相続時精算課税選択届出書は提出後に撤回できますか。

A. 撤回できません。相続時精算課税選択届出書による選択は、提出後に取り消すことができない取り扱いとなっています。

Q. 父からの贈与で相続時精算課税を選ぶと、母からの贈与も相続時精算課税になりますか。

A. なりません。相続時精算課税は贈与者ごとに選択する制度です。父からの贈与で選択していても、母など別の贈与者からの贈与については暦年課税を選ぶことができます。

Q. 相続時精算課税を選択した後でも年110万円の基礎控除は使えますか。

A. 使えます。令和6年1月1日以後の贈与については、相続時精算課税を選択した場合でも年110万円の基礎控除が適用され、その範囲内の贈与には贈与税がかかりません。

Q. 相続時精算課税の特別控除はいくらまでですか。

A. 特別控除額は贈与者ごとに累計で2500万円が上限です。この枠を使い切るまでは贈与税がかからず、超えた部分には一律20%の税率が適用されます。

Q. 相続時精算課税選択届出書はいつまでに提出しますか。

A. 贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、納税地の所轄税務署長へ相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /
相続税申告でお困りの方へ
土日無料相談会 受付中!
相続税申告実務 経験者待遇あり
スタッフ積極採用中!
士業の先生向け専門家AI
士業AI【税務】